巨大な男の銅像が漆黒の闇夜の中、そびえ立っている。その大きさは頭部だけでも10メイルはゆうにありそうだ。
像から遥か下に見える地上には長方形の塔のようなもので所狭しと埋めつくされており
塔に無数についた四角い窓から光が漏れている。
像から遥か下に見える地上には長方形の塔のようなもので所狭しと埋めつくされており
塔に無数についた四角い窓から光が漏れている。
そしてその巨大な像の頭頂部に『それ』は立っていた。
2メイルをゆうに超える筋肉質な巨体、その屈強な体躯は太もも、腹部、上腕部以外の殆どの部位は
鋼色の鎧で覆われている。腰部には赤い腰巻が巻かれており、右肩の鎧から
4本生えた棘のようなものの一本には人間の頭蓋骨が刺さっている。
鎧を着けていない部分からはまるで爬虫類や両生類を思わせる模様を浮かばせた表皮がのぞく。
そしてその顔面は鎧と同様に鋼色の奇妙なマスクに覆われていた。顎のあたりが前方に妙にでっぱっり、頬の部分は
大きく削げ、その上には細長い楕円形の目、そして額の部分から頭頂部にかけては滑らかな表面で頭部を守るように覆われている。
額の中央部には小さな角のようなものが四本立てに並んで生え、マスクの縁からは太く長いドレッドヘアを思わせるような
髪が数十本ほど垂れ下がっていた。
2メイルをゆうに超える筋肉質な巨体、その屈強な体躯は太もも、腹部、上腕部以外の殆どの部位は
鋼色の鎧で覆われている。腰部には赤い腰巻が巻かれており、右肩の鎧から
4本生えた棘のようなものの一本には人間の頭蓋骨が刺さっている。
鎧を着けていない部分からはまるで爬虫類や両生類を思わせる模様を浮かばせた表皮がのぞく。
そしてその顔面は鎧と同様に鋼色の奇妙なマスクに覆われていた。顎のあたりが前方に妙にでっぱっり、頬の部分は
大きく削げ、その上には細長い楕円形の目、そして額の部分から頭頂部にかけては滑らかな表面で頭部を守るように覆われている。
額の中央部には小さな角のようなものが四本立てに並んで生え、マスクの縁からは太く長いドレッドヘアを思わせるような
髪が数十本ほど垂れ下がっていた。
その人とは思えぬ怪人の右手には精悍な男の生首が握られていた。
掴んでいる怪人と同じように髪はドレッドヘアに纏められ、顎髭を蓄えたその顔は
今は空しく天をみつめている。
生首からは剥き出しになった脊髄が数十サントほど垂れ下がっており、人間ではあり得ない
緑色の蛍光色の血液が滴っている。
掴んでいる怪人と同じように髪はドレッドヘアに纏められ、顎髭を蓄えたその顔は
今は空しく天をみつめている。
生首からは剥き出しになった脊髄が数十サントほど垂れ下がっており、人間ではあり得ない
緑色の蛍光色の血液が滴っている。
怪人は男の生首を頭上に掲げ、闇夜に向かい肉食獣を思わせる巨大な咆哮を上げた。
「……なんて夢……こんな大事な日に……」
夢の中の怪人の咆哮とともにルイズは目を覚ました。
得体の知れぬ夢を見てしまったせいか、全身にびっしょりと寝汗を掻いている。
窓からはすでに日が射し込み、小鳥のさえずりが聞こえる。
気を取り直しベッドから起きあがり汗を拭い、寝巻きからブラウス、スカート、ニーソックス、そしてマントといつもの格好に着替え部屋を出る。
今日はトリステイン魔法学院の生徒にとって最も重要な行事の一つ、使い魔召喚の儀式の日であった。
夢の中の怪人の咆哮とともにルイズは目を覚ました。
得体の知れぬ夢を見てしまったせいか、全身にびっしょりと寝汗を掻いている。
窓からはすでに日が射し込み、小鳥のさえずりが聞こえる。
気を取り直しベッドから起きあがり汗を拭い、寝巻きからブラウス、スカート、ニーソックス、そしてマントといつもの格好に着替え部屋を出る。
今日はトリステイン魔法学院の生徒にとって最も重要な行事の一つ、使い魔召喚の儀式の日であった。
「一体何を出すんだ?」
「どうせ失敗よ、なんたってゼロのルイズだもん」
魔法学院の中庭で使い魔召喚の儀式は行われていた。各生徒たちが順調に自身の使い魔を召喚していき
最後に残ったルイズに全員の視線が注がれている。
サラマンダーを召喚したキュルケも微笑を浮かべながらルイズを見つめている。
「どうせ失敗よ、なんたってゼロのルイズだもん」
魔法学院の中庭で使い魔召喚の儀式は行われていた。各生徒たちが順調に自身の使い魔を召喚していき
最後に残ったルイズに全員の視線が注がれている。
サラマンダーを召喚したキュルケも微笑を浮かべながらルイズを見つめている。
(一体何を召喚するのかしらあの子……?)
キュルケが召喚したばかりのサラマンダーをなでながら考えていると沈黙していたルイズが
召喚の呪文を唱え始める。
召喚の呪文を唱え始める。
「宇宙の果てのどこかにいる私の使い魔よ!我が導きに答えなさい!!」
自身で考えた呪文とともに杖を振り下ろすと爆発とともに土煙が舞い上がった。
土煙に巻き込まれた周りの生徒がルイズに対する罵声を浴びせる。
「やっぱり失敗だぜ!!」
「いい加減にしろよ!ゼロのルイズ!!」
やがて土煙が晴れてもそこには何も召喚されてはいなかったかのように『見えた』。
土煙に巻き込まれた周りの生徒がルイズに対する罵声を浴びせる。
「やっぱり失敗だぜ!!」
「いい加減にしろよ!ゼロのルイズ!!」
やがて土煙が晴れてもそこには何も召喚されてはいなかったかのように『見えた』。
「あらルイズどうしたの?透明人間でも召喚したのかしら?」
キュルケのからかいに周囲がドッと沸く。しかし負けん気の強いルイズは杖を握り締めながら言い返す。
キュルケのからかいに周囲がドッと沸く。しかし負けん気の強いルイズは杖を握り締めながら言い返す。
「う、う、うるさいわね!!ちょっと失敗しただけ……グッ!!?」
突然ルイズの体が2メイルほどの高さまで浮かび上がり
ルイズの端正な顔が苦悶に歪む。
ルイズの端正な顔が苦悶に歪む。
「何なの一体!?」
周囲がざわめく中、キュルケも驚嘆の声をあげる。
周囲がざわめく中、キュルケも驚嘆の声をあげる。
見るとルイズはしきりに喉のあたりを引っ掻き、口は空気を求めてか大きく開かれている。
どうやらルイズは何者かに首を締め上げられているらしい。
しかしそこにはどう見てもルイズが一人で宙に浮かんでいるようにしか見えないのだ。
どうやらルイズは何者かに首を締め上げられているらしい。
しかしそこにはどう見てもルイズが一人で宙に浮かんでいるようにしか見えないのだ。
(い、息が……でき……ない……ッ!!)
首を握り潰すかのような剛力で締め上げられ、ルイズの顔が真っ赤に染まっていく。
なんとか抵抗しようとするが次第にジタバタと動かしていた手足からも力が抜けていった。
「まずい!このままでは……!!」
コルベールが杖を構え炎の魔法を詠唱をする。だが、
「駄目だ!ミス・ヴァリエールに当たってしまう!
しかし、一体何が彼女を……!?」
なんとか抵抗しようとするが次第にジタバタと動かしていた手足からも力が抜けていった。
「まずい!このままでは……!!」
コルベールが杖を構え炎の魔法を詠唱をする。だが、
「駄目だ!ミス・ヴァリエールに当たってしまう!
しかし、一体何が彼女を……!?」
(私……死ぬの……?こんな……所で……?)
ルイズが死を予感した瞬間、突然ルイズの体は2メイルの高さから叩き落された。
後頭部を地面に打ち付け、ルイズは失神した。
後頭部を地面に打ち付け、ルイズは失神した。
「今だ!!」
コルベールの杖から青い炎がルイズが吊り上げられていたあたりへと
走る。炎は何者かに直撃し、見えなかったその姿が露となった。
コルベールの杖から青い炎がルイズが吊り上げられていたあたりへと
走る。炎は何者かに直撃し、見えなかったその姿が露となった。
「な、何だあれは!?」
その姿は長年、教師として勤め幾多のサモン・サーヴァントに立ち会ってきたコルベールでも始めてみるものだった。
全身に鎧を着込み、身の丈は2メイルを超える亜人、それは昨晩ルイズが夢の中で
見た亜人と全く同じものだった。
その姿は長年、教師として勤め幾多のサモン・サーヴァントに立ち会ってきたコルベールでも始めてみるものだった。
全身に鎧を着込み、身の丈は2メイルを超える亜人、それは昨晩ルイズが夢の中で
見た亜人と全く同じものだった。
全身から煙を立ち昇らせながら亜人が怒りの咆哮を上げる。
亜人が背中から降り畳まれた黒い棒のようなものを取り出した。亜人が一振りすると
棒は亜人の身の丈ほどもあるグレイブへと早変わりした。
亜人はコルベールへと疾走し手にしたグレイブで横なぎに斬りかかった。しかし斬りかかった瞬間
コルベールの体はフライにより宙高く浮かびあがっていた。
亜人が背中から降り畳まれた黒い棒のようなものを取り出した。亜人が一振りすると
棒は亜人の身の丈ほどもあるグレイブへと早変わりした。
亜人はコルベールへと疾走し手にしたグレイブで横なぎに斬りかかった。しかし斬りかかった瞬間
コルベールの体はフライにより宙高く浮かびあがっていた。
「校舎に逃げなさい!!さぁ、早く!!」
突如現れた謎の亜人により半ばパニック状態となった生徒たちが次々と校舎へと逃げていく。
「さぁ来い!こっちだ!」
五角形に学院を囲む外壁へと飛行し亜人を生徒たちから引き離す。
コルベールが外壁へと降り立ち亜人に問いかけた。
「どこから召喚されたかもわからぬ亜人よ、聞いて欲しい!君は私の生徒の一人である
ミス・ヴァリエールによりサモン・サーヴァントで召喚された!どうか彼女と契約の儀式を……なッ!?」
コルベールは驚嘆の声を上げた。なんと2メイルはゆうに超える亜人の体が空中高く飛び上がったのだ。
亜人は彼と同じ、高さ10メイルはあろうかという外壁に降り立った。
「さぁ来い!こっちだ!」
五角形に学院を囲む外壁へと飛行し亜人を生徒たちから引き離す。
コルベールが外壁へと降り立ち亜人に問いかけた。
「どこから召喚されたかもわからぬ亜人よ、聞いて欲しい!君は私の生徒の一人である
ミス・ヴァリエールによりサモン・サーヴァントで召喚された!どうか彼女と契約の儀式を……なッ!?」
コルベールは驚嘆の声を上げた。なんと2メイルはゆうに超える亜人の体が空中高く飛び上がったのだ。
亜人は彼と同じ、高さ10メイルはあろうかという外壁に降り立った。
(この高さまでッ!?この亜人も魔法を?いや、これは単純な……跳躍力!?)
外壁へと着地した亜人が再びコルベールへと襲いかかる。
薪割りのごとくグレイブを振り上げコルベールへと振り降ろす。
しかし、またフライで逃げられてしまう。
「できれば殺したくは無いが……しかたあるまい」
地面へと降り立ったコルベールが呪文を詠唱し、青い炎が亜人へと撃ちこまれる。
しかし今度は逆にその炎が亜人の巨体に似合わぬ宙返りにより避けられてしまった。
その後も何発か撃ちこむがその度に亜人は前後左右へと跳ねまわりかわされてしまう。
外壁へと着地した亜人が再びコルベールへと襲いかかる。
薪割りのごとくグレイブを振り上げコルベールへと振り降ろす。
しかし、またフライで逃げられてしまう。
「できれば殺したくは無いが……しかたあるまい」
地面へと降り立ったコルベールが呪文を詠唱し、青い炎が亜人へと撃ちこまれる。
しかし今度は逆にその炎が亜人の巨体に似合わぬ宙返りにより避けられてしまった。
その後も何発か撃ちこむがその度に亜人は前後左右へと跳ねまわりかわされてしまう。
「何て身軽さだ!……これだけは使いたく無かったが……」
コルベールが再び詠唱を始める。そのスペルは「発火」ではなく、周りの酸素全てを焼き尽くし
窒息させる恐ろしき炎術、「爆炎」。
そして今正にその炎術を炸裂させようとした時、予想もしないことが起こった。
亜人の全身に青い電流のようなものが走り、次の瞬間その姿が突如掻き消すように消えてしまったのだ。
まるで周りの景色に溶け込んだかのように。
窒息させる恐ろしき炎術、「爆炎」。
そして今正にその炎術を炸裂させようとした時、予想もしないことが起こった。
亜人の全身に青い電流のようなものが走り、次の瞬間その姿が突如掻き消すように消えてしまったのだ。
まるで周りの景色に溶け込んだかのように。
「なに!?……姿を消した?……いや、思えば召喚された時も……まさか先住魔法の類か!?」
コルベールが周りを見回すがどこにも亜人の姿は見当たらない。
「一体どこに……グハッ!?」
コルベールが周りを見回すがどこにも亜人の姿は見当たらない。
「一体どこに……グハッ!?」
コルベールの体が突如2メイルを超える高さへと浮かび挙がる。その腹部からは血が流れ落ち
透明の二本の細長い刃が突き刺さっていた。刃が引き抜かれると同時にコルベールの体がドッと地面に落ちる。
空中に青い電流のようなものが走ると再び亜人の姿が現れる。
その右手からは血の滴った長い二本の鉤爪が伸びていた。
透明の二本の細長い刃が突き刺さっていた。刃が引き抜かれると同時にコルベールの体がドッと地面に落ちる。
空中に青い電流のようなものが走ると再び亜人の姿が現れる。
その右手からは血の滴った長い二本の鉤爪が伸びていた。