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ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ-09

  • ある貴族の邸宅-

その頃、ある貴族の邸宅の内部。
最新部の主人の部屋に当たるそこに、主人はいない。豪奢なカーペットの上には衛兵が倒れ、その倒れた衛兵達の中心には、一人の女性と一騎のギガンティックが立っている。
「『金獅子の宝剣』、確かにいただいた…と」
女性はペンで紙に何かをかくと、そのカーペットの上におく。そして後ろに立つ機体に話しかけた。
「主人が戻る前に、撤収するよ、ユーノワ」
「わかっている。行こうフーケ」
そして一人と一機は部屋を出る。そう。今しがた部屋を出た女性こそ、今世間をにぎわす「土くれのフーケ」その人である。
今夜も貴族の屋敷に忍び込み、家に代々伝わる宝を戴いたのだ。
そしてそれの隣にいたユーノワと呼ばれた機体こそ、かつて東欧ロシアに仕えた、ゼウスの妻と呼ばれ、2体のギガンティックを葬った青の機神、ユーノワ・である。
彼女とユーノワは階段を駆け下り、廊下を突っ走り、脱出する。もうドアを開けるのも面倒で、ユーノワが機銃でドアを吹き飛ばす。
そして階段を再び駆け下りて、メインホールに繋がるドアを蹴破った。
「あ」
そこに、丁度正面のドアを開けて来たのであろう、屋敷の主がいた。見事にフーケは最も出くわしたくない人間と出くわしてしまったのだった。隣には沢山の衛兵もいる。
「これはこれはフーケ。ワシの『金獅子の宝剣』をどうするつもりかな?」
「きまってるじゃないか。戴くんだよ」
「この数を相手にするというのかね?」
ユーノワが、ゆっくりとフーケの前に歩み出る。まるでフーケを守るかのように。衛兵はフーケ達に剣や槍を向け、既に戦闘態勢に入っている。
この数、常識ならば相手は難しいだろう。だがそこはユーノワ、この程度の敵にやられるわけはなかった。
「ほほう。フーケの騎士というわけかね?」
「…フーケ、『百目』を使う。さがって」
「容赦ないねぇ、アンタは…」
こちらを無視した上に、余裕な口を叩くフーケが、貴族の何かに触れたようだ。貴族は懐から杖を取り出し、フーケに向けた。
額には怒りマークが浮かび、明らかに怒っている。それを見たフーケが、「ありゃりゃ」という顔をした。
「あんた、どうなっても知らないよ?」
「…フーケ、生きて帰れると思うなよ。私はこれでも名の知れたメイジ。貴様一人を葬るなど雑作もないことだ」
「あっそう。ユーノワ」
「わかってる」

軽く流すフーケと、それに応じるユーノワ。ユーノワはそう言うが早いか、背中のスラスターを展開し、翼のようなパーツを展開した。
翼は上下に分かれ、目のような意匠をあしらった絵が多数に描かれている。そして、ユーノワは先手を打った。
必撃の先手を。

翼にあしらわれた「目」が光った。
「な、何だこの光は…ッ」
「眠るがいい。悪夢に抱かれて、永久の眠りを」
「ふっ、ふざけるなぁああああ!!」
光に目を潰された貴族は、でたらめに杖から魔術を放つ。だが魔術はフーケにもユーノワにもかすりもせず、無駄な魔力の浪費となった。
だが彼は引き続き魔術を連射し、まるで泣きわめく子供のように叫んだ。
「ああああああっ」
だが、魔術にも限界はある。魔力が切れ、杖からは何も放たれなくなった。だがそれでも貴族はでたらめに杖を構え、叫び続ける。
ユーノワの光は周囲の兵士にも作用し、周囲の兵士も貴族の狂気が伝染したかのように、でたらめな行動をとり始めた。
それもそのはず、ユーノワの放つ光は対象者に悪夢を見せ、自滅させる精神兵器。
今頃貴族の頭の中では、まさしく『悪夢のような光景』が展開されていることだろう。やがて貴族はふらりとして、倒れてしまった。周囲の兵士もそれに釣られて、バタバタと倒れていく。
それを見ると、ユーノワは後ろを向いてフーケに話しかけた。
「フーケ、終わった」
「ごくろうさん。じゃ、撤収するよ!」
「了解」
2人は堂々と正門から、貴族の邸宅を脱出した。

  • 同時刻-

森の中に、ぽっかりと開いた空間。そこに玄武神は立っていた。玄武神の体には無数のナーブケーブルが巻き付き、自己修復を行っている。
(ありえない…あの小娘…)
玄武神の驚きは未だに頭の隅にあった。ナーブケーブルを行使し、玄武神に致命傷を与えた少女。光神へスティアの力を使い、片手間でビームを弾き返した少女。
あれは玄武神を驚愕させるのに十分だった。
「…あり得んッ!」
思わず口に出して叫ぶ。叫びは周囲の木々へと吸い込まれ、森に眠る動物達以外に、それを聞く物はいない。一瞬切り裂かれた夜の静寂は、再び修復された。
玄武神を修復するナーブケーブルの立てる音だけが、空しく森に響く。
ふとそのとき、玄武神の後ろに何かが出現した。
『ヘルメスよ』
「!」

それは銀の美しい躯体を持つ、一見騎士の鎧を連想させるギガンティックであった。だがその姿はうっすらと透けており、幽体のようにも見える。
玄武神は彼の存在に気付くと、すぐさま膝をつき、臣下の礼をとる。
『オニクスを処分し損ねたようだな』
「は。申し訳ございません」
『次は無いと思えよ』
「承知しました」
『ユーノワがそちらに向かっておる、次は合同で作戦を行え。アルテミスやヘスティアも、この地に生を受けたようだしな。全く、呼んでもいないというのに』
「…宿命という物でしょう」
『それはどういう意味だ、玄武神よ』
「ギガンティックは最後の一騎になるまで殺し合う。それが、前世から課せられた宿命。なら我々が存在する以上、運命が我々の一人勝ちを許すはずがない。
ふたたびあのWWWを再現するために、きっと運命が…また廻り始めたのです」
『…そうかもしれんな。だが、その運命ももうすぐ消滅する』
「そうですね」
『では健闘を祈る。汝の行く手に、光あらんことを』
幽体のそれが消え去る。それが消えた後も、玄武神はしばらく臣下の礼をとっていた。
「…次こそ…仕留めてみせるさ。オニクス!」


ルイズは目を醒ました。そして身を上げた。周囲を見て、ここが自室でないことを確認する。そして、記憶を辿り始めた。
あの玄武神とやらに撃たれた後の、記憶が不鮮明だ。ルイズはすぐに気付く。その場所の記憶が、キレイさっぱり抜け落ちている。
白い宇宙。
オニクスの声。
ナーブケーブル。
部分部分は抜き出せても、それが繋がらない。眼をつむってジグソーパズルのピースを手探りで探している、そんな感覚。だが、その作業をくり返すうちに、ある単語が見つかった。

「カナ」。


「…誰?」
疑問。
全て終わって、一段落したはずなのに、頭から疑問が抜けなかった。

こんこんっ。
軽快なノックの音が部屋に響いた。
「どうぞ」
ルイズは返事をする。すると、ドアを開けて入ってきたのはとても見覚えのある顔だった。キュルケが、タバサを連れて見舞いにきてくれたのだ。
「あら、元気そうじゃない。これなら見舞いは必要ないかもね」
「元気で悪かったわね」
「あはは、冗談よ冗談。それより、アンタが魔法を使った時は、ビックリしたわよ」
「え?」
今彼女はなんて言った?
「だから、あんとき。極太ビームを撃って、オニクスを助けたじゃない」
「私が?魔法?いつ?」
「…覚えてないの?もしかして」
キュルケは、事態の詳細をルイズに話した。ナーブケーブル、そしてルイズが魔法を使ったことを。
「…というわけ。すごかったわよ?」
ルイズはまだ良くわかっていなかった。
魔法。私が、魔法。
「…ドッキリとかじゃないわよね」
「ないわよ?」
「もしかしてこれってよくできた夢?」
「ならほっぺをつねってみなさい」
「枯れない桜の生み出した幻ってことは?」
「ないわよそんな」
「VR訓練とか?」
「ないない」
「…うそん」
「ほんと」
「………」

しばらくの静寂の後に、ルイズは再びしばらくの眠りについた。驚きのあまり、螺子が外れてしまったのだろう。
「…あらら」
キュルケはすやすやと眠るルイズを見て、困った顔をした。だがすぐに、その顔は神妙な顔に変わる。
「あれは…魔法なんかじゃなかった」
「…『オニクス』と同じ力」
後ろのタバサがそれに同意する。
「ルイズ…あんたにあのとき、何が起こったの?」

次 回 予 告

謎が謎を呼び、
オニクスは主人と相見える。
そして語られるのは、
歴史の闇に葬られた薄幸の少女の人生。

次回、「疑問」 嫉妬か、憤怒か。あるいは。



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