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HELLOUISE 番外編

ある意味一番ヤバイのを召喚したのはミス・ツェルプストーである。
彼女が呼んだのは唯一人間だったが――はてさて、アレが人間と呼べたものか。
コルベールには分からなかった。

光と共に、黒い服を着た意識の無い中年の男が召喚された。
同時にまた威圧感が増し、大尉が構え、セラスが大声を上げ、
何かもう三度目で早くも慣れてしまったのか、コルベールが油断無く呪文を唱え始める。
意識の無い内に契約してしまえ、事後承諾だとキュルケは呪文を唱えキス。
契約のルーンが刻まれる痛みによって男――
「殺し屋」「首斬判事」「再生者」「天使の塵」「銃剣」の異名を持つ、
最強の「聖堂騎士」「神父」、十三課の鬼札、アレクサンド・アンデルセン――
が目を覚ました時には、見慣れた顔と見慣れない顔に包囲されていた。

「…何だここは」
アンデルセンがむくり、と起き上がり、辺りを見回した。
「あ、お、おお起きましたね」
「そのようですな」
その様子を見てビビリっぱなしのセラスに、コルベールが相槌を打つ。
アンデルセンが訳が分からぬままにその声の方を向き、目を見開いた。
「…吸血鬼セラス・ヴィクトリア」
好戦的な笑みを浮かべ、懐に手を入れるアンデルセンを見て、セラスが慌てる。
「ちょ、ちょちょちょっと待ってください闘ってる場合じゃないです!」
「笑止!眼前に敵を放置して何が十三課か!?何が法王庁か!?」
アンデルセンは絶滅主義者である。
彼にとって「敵がいる」ことは、何より優先すべき事項があるということと同義だった。
だが――
「お待ちなさいな」
眼前に褐色肌の少女が立ちはだかる。

す、とアンデルセンは目を細め、
「退け小娘、貴様も塵に還りたいか?」
全身から怒気を発散させた。
迫るアンデルセンに、しかしキュルケは不敵にも笑ってみせる。
「まぁ怖い。こんな怖い男に凄まれてはロクに話もできないわね」
「ならあたしもこうするわ、拮抗状態を作りましょう」
パチン、と指を鳴らし、
「T A A A B A A S A A A !!!」
叫んだ。

「エロイムエッサイム……」」
呪文を詠唱しながらタバサと大尉が近づいてくる。
二人を見たアンデルセンの顔が喜悦に染まり、こちらも迎撃すべく行進。
「いッ、いかんッ!」
「対峙するだけでいいの!ストップよタバサ!!」
コルベールが叫び、キュルケが焦る。
が、三人とも聞いていない。
とうとうアンデルセンが銃剣を構え、タバサが詠唱を終え杖を向けたとき、

「ぅわわわゎゎゎわわわわ!?」
間にギーシュが転がり出た。

「ゃゃややあミス・タバサ、ここ、これから僕と遠乗りにでも行かないかい?
 な何、薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのさ。君の笑顔という太陽――」
「邪魔。」

全力のウィンディ・アイシクルの直撃を受け、ギーシュはボロ雑巾のように朽ち果てた。
同時に闘争の空気も無惨。じゃなかった霧散。
ああギーシュ君、あなたの犠牲は忘れない、と、主人を死地に蹴り出した使い魔が祈った。

ともあれ、(ギーシュの尊い犠牲によって)落ち着いたアンデルセンは、
キュルケとその後ろ、視界に入らないように会話するセラスに説明を受ける。
「…つまりここは全くの別世界で帰る手段は現在は無い、と?」
「そそそうですアンデルセン神父」
わたしはもう何もおそろしくありません、なんて嘘でしたごめんなさい。
やっぱりわたしアンデルセン神父は怖いですマスター助けて。
と、セラスは却って火に油を注ぐだけになりそうなことを考えている。
「ふざけるな!そのような戯言を誰が聞くものか!神はそんなことは一言も――」
「でッでッでも実際あるんだから仕方ないじゃないですか!
 ほら神様だって2000年前に一回来たきりでその後異世界とか出来てても分からないんですし!!」
「教義のためなら教祖をも殺す、その狂信こそが十三課なれば!」
そもそもハルケギニアの歴史は6000年だからこっちのが早いけどな、
とギーシュが呟こうとしてタバサに地獄突きを食らったが余談である。
「落ち着きなさいなミスタ。そもそもあなたがここに召喚されたことにも意味があるんではなくて?」
「なにィ?」
「本来強制力の無い呪文で意識の無い貴方が現れた。何かの意志を感じない?」
「それが神の意志だと?私に宣教でもしろと言うのか?」
もとより、平時は孤児院にあって純粋培養の狂信者を量産していた今どき珍しい神父である。
不可能ではないだろう。いや、
「ハルケギニアでは始祖ブリミル以外の信仰は厳しく弾圧されてるの。だから私は何も言わないわ。
 …ただ、目に見える敵を滅する戦いだけが信仰ではないのではなくて?」
確かに力と信仰心を持ち合わせた彼はここでの布教には最適かもしれない。

結論が、出た。

「分かりましたお嬢さん。しばし貴女の身を守ってさしあげましょう。
 迷える子羊は救ってやらねばならぬのだから」
「ありがとう、ミスタ・アンデルセン。条件はさっき言ったとおりよ」
ぎりぎりと不満そうに歯を鳴らしながら頷く。
驚くことに彼は「防衛以外の許可なき戦闘禁止」を呑んだ。ルーンの力も影響したのかもしれない。
ふう、とため息をつき、キュルケはどっかりと座り込む。
死ぬほど疲れた。だがまあ――
「異教の狂信者、か。」
悪くないわね、と、静かに呟いた。
彼女の二つ名は、『微熱』のキュルケ。




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