あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの夢幻竜-03


驚いた顔をしているルイズにラティアスはにこにこと応対する。
ルイズは使い魔の体を端から端まで眺めながらこう言った。

「……あんたの体じゃわたしを乗せたりなんかしたら潰れちゃうんじゃない?」
「大丈夫です!ちゃんと飛んでみせますから、さあ早く!早く!」

ラティアスはどうぞと言わんばかりに滞空している位置を下げ、ルイズがその背中に乗れる様にする。
乗りますか?乗りませんか?
使い魔の感情を無碍にする訳にもいかないので、ルイズは出来る限りそうっとその背中に乗る。
乗った刹那、ラティアスの体は上下の振れ幅が大きくなったが、その後は何ともなかった様に地面からどんどん離れていく。
10メイル、50メイル、100メイルと高く昇る度にルイズは心の中に湧き上がる嬉しさが増えていく。
それに少しだけ蓋をしてルイズは一つ質問をする。
それは相手が人語を理解する存在であるが故に一応聞いておきたかった事だった。

「ラティアス。一つ訊いていいかしら?」
「何でしょうか、ご主人様?」
「あんたどうやって私に話しかけてるの?口少しも動かしてないのに……」

するとラティアスはなんて事はない様に答える。

「テレパシーです!えっへん!」
「てれぱしぃ?何、それ?意思疎通の手段の一つ?道具?」
「えーとですね、くわしい事はわたしも説明できないんですけど、自分が心をゆるした者との心を結ぶと年上のだれかに聞かされた事があります。」
「凄い……!心を許した者って私の使い魔になったからかしら?ねえ、私以外の周りの人に声が聞こえなかった理由は何なの?」
「この世界に来てわたしが最初に見たのがご主人様だったからです。それに……」

そこまで言うとラティアスは左手の甲に刻まれたルーンを見つめながら、またも両頬を赤く染めてうっとりするような調子で言う。

「ご主人様だけ、わたしが痛がったり苦しがったりしている時に優しい言葉をかけてくれましたから……」

その言葉を聞いてルイズは決心する。
この子にもっと優しく接してあげよう、と。
上手くすれば更に素晴らしい能力を引き出す事が出来るかもしれないからだ。
そして一応もう一つ質問する。

「あなた……声と口調からして、雌ね?それも私より年下でしょ?」
「はい!今年でちょうど10才になります!」
「10歳ですって?!!まだ子供じゃないの!!」

ルイズが驚くのも無理はない。
竜という生き物―くどい様だがラティアスがこの世界でいう竜とするならば―は人間に比べて遥かに長命で、成体ともなれば4桁の年齢に差し掛かるものもざらにいる。
となればやっと2桁台に乗った目の前にいるラティアスは赤ん坊にも等しい事になる。
ただ竜には至極稀に、それも限った種に寄るが幼い段階から聡明な個体も生まれる事があると聞かされている。
ましてやラティアスが口にした年齢が正しいとすれば、自分はそれこそとんでもない当たり籤を引いたという事だ。
そんな考え事をしているルイズへラティアスは少々膨れて応対する。

「子どもじゃないです!わたしの様な年になったら、みんな人とおしゃべりできるんです!」
「ご、ごめんなさい。ちょっと信じられなかっただけ。」
「……くすっ。気にしないでください。同じ事を言う人は結構いるって聞いた事ありますから。それにしても……ご主人様の体、暖かいなあ。」

そしてお喋りは終わりとばかりにルイズはぽーっとしているラティアスに話しかける。

「ありがと。じゃ、行きましょうか!……ってラティアス?ラティアスー?」
「は、はわわ!!すいません、ご主人様!じゃ、わたしの体のどこかにしっかりつかまっていて下さい!行きますよー。とばしますよー!」

そろそろ高度が300から400メイルに達しようかと思われた次の瞬間だった。
ラティアスは手を収納し、地面に対して45度程の角度で立てていた翼を水平にし、直後放たれた矢の如き速さで発進した。

先に飛んでいった生徒達は学院まであとちょっとという所にいた。
既にルイズを冷やかす話は終わり、皆自分達の使い魔についての話をしている。
まあ、大抵は貴族のプライドが先に来る為か自慢合戦の様相を呈していたが。
だがそんなお喋りは誰かが発した叫び声で唐突に終わりを告げる。

「おい!何か来るぞ!」

生徒達は何だろうと自分達の後方を見つめる。
だが何もやって来る気配はない。

「上だよ!上!」

最初に叫んだ生徒は気づいてよ!とばかりに再び叫ぶ。
そこで彼等は自分達のいる空域の更に上方を見上げると、確かに何かが急速度で近づいてくる。
そして風を切る様な音と共に現れたのはあのルイズが召喚した使い魔だった。
更によく見ればその背に当のルイズも乗っている。
その使い魔は呆気に取られている生徒達をあっさりと追い抜き、学院の広場へと向かって行った。
あまりにあっという間の出来事だった為に誰も口を開こうとはしない。
やや間があってからタバサが乗っている風竜が我先にと全員の前に飛び出し、猛スピードでルイズの後を追い始めた。
そしてそれにキュルケが続き、更に後方から他の生徒達が続く。
先頭をきるタバサは何でもなかったが、キュルケを始めとする他の生徒達は一つの言葉に突き動かされるように急いだ。
曰く、ゼロのルイズに負けてたまるか(たまるものですか)!との事。

そんな連中を尻目にルイズとラティアスは学院の広場に降り立った。
少し、いやかなりスピードが出ていた為かルイズの髪は今、起きぬけに櫛を入れ忘れたかのような状態になっている。
だが今のルイズの表情はそんな事を粉微塵も感じないかのように晴れ晴れとしていた。
機嫌が言いなんて物じゃない。最高の気分だ。
風竜?めではない。更なる能力が開花すればそれ以上の存在になる可能性を秘めているからだ。
サラマンダー?大きさこそあちらが勝っているがやはりここまで直ぐに移動できたという印象の方が大きい。その自信があればサラマンダーすら野鼠の様に見えてくる。
梟?ジャイアントモール?比べるまでもない。
尚も宙に浮き続けるラティアスをルイズはそっと抱き締め優しく言う。

「最高よ、ラティアス。あなたは最高の使い魔よ。他の誰がなんて言おうと私はあなたを見離すなんて事しないわ。これからもずっと一緒にいてね。」
「もちろんです!ご主人様大好きですっ!」

ラティアスは嬉々としてその言葉を受け入れる。
そして心の底から思う。
この、自分の『ご主人様』となった人に心を許して良かったと。

「あ、でも今度から私を背中に乗せる時はあんな速さで飛んじゃ駄目。速くても良いけどこうなるのは嫌だもん。」

そう言ってルイズは自身の髪を一房分持ち上げる。
そこには強風の為ぼさぼさになった桃色の髪があった。

「はう。ごめんなさいご主人様。」


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