あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ACECOMBAT ZEROの使い魔-03


「そうか、そういうことだったのか」
ラリー・フォルクはまるでクラスター爆弾でも投下されたのかと聞いてみたくなるほど
ズタズタにされた教室で1人、唐突に納得した。
「何を納得してるのよ」
教室の隅っこでルイズが不機嫌を思い切り表情に表してラリーに問う。
「いや、どうして君が教壇に立つなりみんな避難するのかなと・・・そうだな、これほどの破壊力を
意図的に生み出せる。素晴らしい魔法だ、火力不足な歩兵連隊ではきっと重宝される」
ラリーは褒めたつもりだったが、ルイズにしてみればそれは自分の失敗した魔法の皮肉にしか聞こえ
ない訳で―
「うるっさいわねこの馬鹿犬ぅ!」
手当たり次第に辺りの椅子や机を投げられた。ラリーはそれを回避しつつ「あれ、なんか俺失礼なこと
言ったかな・・・」とつぶやき、被害が余計に拡大していく教室を思いため息を吐いた。

さっきの事態は簡単に言えば、ルイズが授業の一環として石ころに錬金の魔法をかけようとした。
そうすると爆発。爆風と衝撃が机を、椅子を、窓を破壊し、教師も吹き飛ばされた。
と言う訳でルイズは教室の片づけを命じられ、さらにルイズはラリーに教室の片づけを命じた。
さらにラリーの言葉でルイズは怒り、結果として飯抜きとなった。
「やれやれ・・・無茶苦茶言う雇い主はいたが、今回もとはな」
もっとも飯抜きで済むならラリーにとってまだいい方だ。護衛機も無しで重い爆弾を抱えて対空砲の雨
を潜り抜けろだの、ろくに補給もされず多数の爆撃機を1機たりとも逃がすなだの、もっと無理で無茶
な任務を下す雇い主を思えば。
とは言え、腹が減ったのは誤魔化しようも無い。
どうしようもなく佇んでいると―視界の隅に人影が映った。
「あの~・・・」
振り向くと、メイドの格好をした黒髪の少女が心配そうにこちらを見ていた。
―メイド?ああ、そうか。貴族もいればメイドもいるか。そういえばディレクタスにメイド喫茶なる
ものがあったってPJが興奮してたなぁ。
「どうかなさったんですか?」
「いや・・・ちょいと昼飯を食い損ねてな」
左手でラリーはぽりぽりと頭を掻く。その時見えた手の甲のルーンが少女の目に留まった。
「あなたは、もしかしてミス・ヴァリエールに召喚されたって言う・・・」
「ミス・ヴァリエール・・・って、ルイズか。俺を知っているのか」
「はい。学院中で平民を呼んだって噂になってますよ」
ふぅん、とラリーは改めて少女を見る。
この世界ではあまりお目にかかれない黒髪をカチューシャでまとめており、素朴ながらも親しみやすい
感じがした。ルイズとはえらい違いである。
「君も貴族・・・ではないな」
「はい、平民です。貴族の方々をお世話するために、ここでご奉仕させていただいてるんです」
「そうか。俺はラリー・フォルクって言う」
「ラリーさんですね。私はシエスタです」
シエスタ、か。いい子だな―。
とりあえず何も話すことも無いラリーはそれじゃあ俺は、とその場を立ち去ろうとする。
「あの・・・お昼ご飯、食べてないですよね?お腹すいてないですか?」
ところがシエスタに呼び止められ、ラリーは足を止めた。
「・・・まぁ、な」
「じゃあ、こちらにいらしてください」

「美味いな」
野菜がたっぷり入ったシチューを食べながら、ラリーは感嘆した。
「おかわりありますから、遠慮せずいってくださいね」
「ありがとう。君は料理が上手いな」
「いえ、これ、余りものですし・・・」
ラリーに率直に褒められて、シエスタは頬を赤くした。
ここは食堂の裏側、厨房である。ラリーは彼女に連れられ、差し出されたシチューを食べていた。
まったく、ルイズを始めとしてこの世界の住民ときたら鼻持ちならない連中ばかりだと思っていたら、
シエスタのような優しい子もいる。ラリーはシチューを食べながら「そうだ、そうだな、信じあえば
憎悪は生まれない。それが出来るのが人なんだ」と小難しいことをつぶやく。
「なんでご飯、もらえなかったんですか?」
「さぁ・・・俺にも分からない。主人の魔法を褒めてやったら急に怒り出した」
「えぇ!?理不尽ですね・・・」
「うむ・・・まぁ、こうして食事にありつけたから結果オーライだがな」
シチューを食べつくして、ラリーはシエスタに空になった皿を返した。久々に満ち足りた食事だった
気がする。
「美味かった、ありがとう」
「いえいえ、お腹がすいたらいつでも来てください。余りものでよければ・・・」
「そいつぁありがたい」
ふとラリーは厨房でまだ多くの人々が働いているのを目にした。みんな同じ平民だろう。
「・・・ただ食いは傭兵としては無礼だな。俺に何か出来ることがあれば手伝おう」

そうしてラリーはシエスタの手伝い、デザート運びを始めた。こうしているとガキの頃にやったアル
バイトを思い出す。
あの頃は若かった、まだ世界の暗部や戦争の汚い面を知らなかった。希望が溢れていた―と言う表現
がぴったりかもしれない。
ふと物思いにふけっていると、足元に何か転がっている。何気なく拾ってみると、紫色の液体が入った
小瓶だった。
「シエスタ、これ落ちていたぞ」
「え?ああ、たぶんそちらの貴族の方のものですね・・・返してあげましょう」
シエスタは小瓶の持ち主と思しき派手に着飾った貴族の少年に声をかけ、小瓶を渡す。
―思えばこれがまずかったのかもしれない。
小瓶のせいでこの貴族の少年―ギーシュは二股かけていたのがバレた。
「君の軽率な行動のせいで2人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれる?」
ギーシュに睨まれて、シエスタは明らかに怯えた。ラリーはそんな彼女をかばう。
「待て小僧、どう考えても浮気していた貴様が悪いぞ」
ラリーは強く、ドスの利いた声で言う。面白そうに状況を眺めていた他の貴族たちも「そうだ、ギーシュ
が悪い」と笑いながら言った。
「・・・言葉遣いに気をつけたまえ。貴族に向かって小僧など―」
「小僧は小僧だ。貴様こそ浮気がバレないようもっと注意するんだな」
どっと貴族たちが笑う。「その通りだ」「いいぞ平民!」と声が聞こえた。
「・・・どうやら君は貴族に対する礼儀を知らないようだね」
ギーシュはわなわなと震えて、しかしあくまで冷静に言う。
「そんなもの知る気にもならないな、反吐が出る」
ラリーはギーシュにホフヌングを焼き払った好戦派のオーシア軍部隊を重ねた。
いつもこうだ、力を持った馬鹿は図に乗る。その力をもっと大きくしようとどこまでも貪欲になる。
そのためなら何だってする―俺はこういう人種が大嫌いだ。
「いいだろう、礼儀と言うものを教えてやろう。その身をもってな」
そう言ってギーシュは白い手袋を投げつけてきた。


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