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ゼロのしもべ第2部-2



午後の授業は全て中止され、歓迎式典の準備に当てられた。
準備が終わると生徒は全員正装し、正門で整列をさせられた。
街道を4頭立ての馬車が粛々と進んでいる。金の冠を御者台横につけ、ところどころに金銀白金でできたレリーフ。
そして、つけられたユニコーンのマークが国際警察機構ユニコーン……じゃなくて王女の馬車であることをしめしていた。
よく見れば馬は紋章と同じ、ユニコーンが勤めている。無垢なる処女しかその背に乗せぬユニコーンは、なるほど王女の馬車に
ふさわしい。
その後ろにマザリーニ枢機卿、さらに2台の周りを王室直属の近衛部隊魔法衛士隊が固めている。男の貴族は皆その任に就く
ことを望み、女の貴族は皆その妻となることを望むという。トリステインの華やかさの象徴であった。
だが、その華やかさの裏で、馬車の中は苦悩に満ちていた。
アンエリッタ王女も、さきほど乗り込んで来たマザリーニ卿も、ある一つの苦悩を共有していた。
『アルビオンにおける動乱』
革命なるものを行い、アルビオン王家を打ち倒そうとする運動があの浮遊大陸で起こっているという。その勢いたるや尋常のもの
でなく、今にも国王を縛り首にしそうな勢いだという。おまけに、革命の勢いに乗ってハルケギニアを征服、一気に聖地を奪還
しようとすらかんがえているという噂もある。
そもそも、王女とゲルマニア皇帝との婚姻も、この外患に対抗する手段として行われるものであった。
そしてもう一つ。
王女は誰にも打ち明けていないが、もう一つの憂慮があった。
ただ、その憂慮は何とかなるかもしれない。そう考えてもいた。
ちらっと窓の外を見る。外からは見えないが中からは見えるようにレースのカーテンが引かれている。そこから外にいるだろう目的の
人物を探す。腕には先ほど授与条件が変わったといわれたシュヴァリエ授与者名簿が乗っている。
だが、グリフォンにのった、『閃光』なる二つ名のグリフォン隊隊長しか見えず、外を覗くのをやめる。たしか、マザリーニ卿の腹心と
いっていた人物だ。
王女は何かをジッと思案しているようであった。

その後の式典は実に華やかなものであった。
唯一の気がかりであったオスマンは曖昧に戻らず無事に任を終え、王女は学院へと入って行った。
その周囲を固める警備の物々しさは、フーケのことがあり万一あるを考えた布陣であった。
その中に、特に異彩を放つ1人の男の姿。
背の高い、髭を生やした男であった。
見事な羽帽子をかぶった、精悍な顔立ちの若い貴族。グリフォンにまたがり、胸に同じ刺繍を施された黒いマントを羽織っている。
ルイズもキュルケも、その男をボーっと見ている。タバサだけが黙々と「サルでもかける漫画教室」なる本を読んでいる。
『なるほど、ああいう男が好みなのか。』と、バビル2世は思った。

優雅で華やかな式典は終わった。
バビル2世はなぜかぼーっとしたままのルイズやロデムたちと部屋にいた。
「こいつはあれだな。お医者様でも草津の湯でも、お釈迦様でも治せない、ってやつだ。」と、デルフ。
「どこでそんな言葉を知ったんだ。恋の病であることは間違いないだろうな。」と、バビル。
『ご主人様、すこしはショックを受けてもよいのでは?_』と考えているロデム。
と、そこへノックの音。
「誰だ?」
透視をすると、真っ黒な頭巾をすっぽりかぶった……アンエリッタ王女だ。
間違いない、昼に見た王女だ。偽者でないことは、高貴さというか伝わってくるオーラでわかる。
「ルイズ、王女様がきたようだよ。」
慌てて言うバビル。が、まあ、この程度では全く動じないので、慌てても普段とあまり変わらない調子で言う。
ようやくその一言でルイズが気づき、
「は?あんた何を馬鹿な…」
ドアがノックされた。規則正しく。はじめに長く2回。それから3回。
ざっと気をつけをし、急ぎドアの前まで行く。
バビル2世は、まあ使い魔の仕事だろうと、恭しくドアを開いた。
入ってきた王女は杖を振り、ディティクトマジックを使う。盗聴防止魔法だ。
「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね。」
王女が頭巾を取る。ルイズが慌てて膝をつく。
バビル2世は、警護は立っておかないとまずいだろうと考え、ドアを閉めて窓際へ移動した。ロデムはデルフを咥えていつの間にか
ベッドの下へ潜り込んでいる。
アンリエッタは涼しげな、心地よい声で言った。
「お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ。」

翌朝、食事を取っていると、バビル2世はシエスタに声をかけられた。
「ファイアさん、なんだかおつかれですね?」と。
疲れもするだろう。なにしろあのあとルイズの部屋で、王女がアルビオン大陸という空中国家の王子、ウェールズ王子に渡した
一通の手紙(おそらく恋文かなにかだろう、とバビル2世は思っている。)を取り戻してくれ、ということだけを伝えるのにえらいことに
なったのだ。というのもギーシュが覗き見していたせいで、察知したロデムが飛び出てきてギーシュの首筋に噛み付く、黒豹を見て
驚いた姫は気絶しそうになる、ギーシュは泣き叫ぶ、デルフの刃が欠ける、オスマンが徘徊し始めて極秘に回収される、と一番
寝ただけで回復していた今までには珍しいほど疲労していた。
結局、ルイズとバビル2世、それにおまけでギーシュがついてくることになった。話によるともう1人、頼れる人間が加わる、との
ことである。この件はなにぶん極秘に、ということで、ウェールズ王子宛の手紙と、旅費用に水のルビーをいただいた。
「場所は?」とルイズに聞くと、「ロプロスでいけばあっという間よ!」とのお答え。
「でも、ギーシュもいるんだが。あと、もう1人加勢が来るらしいじゃないか。」
「あ、忘れてたわ。そうね、ならラ・ロシェールまで行って、船に乗るしかないわね」
とのこと。なんでも空飛ぶ船があるらしい。さすが魔法の国。
「で、場所は?」と改めて聞くと、「あのヨミの基地があったとこからすぐよ。」
というじつにファジーなお答え。まあ、そう遠くなさそうだしいいか。

「まあ、いろいろあってね。」
シエスタに曖昧に答えると、そうですかと深くは追求してこない。できた娘だ。
「あ、そうだ!」
となにか思いついたらしく、シエスタがえへへと柔らかな笑みを浮かべ、胸の前で手を合わせ叫んだ。バビル2世はひっくり返りそう
になった。
「な、なんだい、いきなり?」
「ファイアさん、わたしの村に来ませんか?」
一気にしゃべる暇を与えずまくしたてるシエスタ。
「あのね、今度お姫様が結婚なさるでしょ?それで特別にわたしたちにもお休みが出ることになったんです。でもって、久しぶりに
帰郷するんですけど、よかったら遊びに来ません?いい気分転換と療養になりますよ。ファイアさんに見せたいんです。あの草原、
とっても綺麗な草原。」
「い、いや…」姫様からの極秘任務があるのをいうことはできない。この好意に対し、どうやったら傷つけずに断れるか思案する。
「ラ・ロシェールって町のすぐ近くにあるんです。タルブっていうんですけどね、村の名前。」
「ラ・ロシェールだって?」
ラ・ロシェールの近くなら、むしろシエスタの故郷に遊びに行くという名目で出発するのがいいかもしれない。それならいっそアルビオン
まで足を伸ばして、というふうにアルビオンへ行く名目ができ怪しまれないだろう。
「わかった、考えておくよ。」
何はともあれルイズに一応相談しないと、へそ曲がりだからふてくされて「そんなの駄目に決まってるでしょ!」と言い出しかねない。
だが、シエスタは
「本当ですね!?約束ですよ!絶対、絶対、行きましょうね!」
バビル2世が行くと返事してくれたと思ってしまったようだ。さて困った、うまい具合に切り出さないと。
場合によっては催眠術を行使してでも納得させるしかないだろうな、と思うバビル2世であった。

なお、ルイズは渋りかけたので催眠術を使う嵌めになった。まあ内心いい方法だと考えていてくれたのだろう。
ギーシュにも一応連絡したが、こちらは素直に認めた。可愛い女の子がいるかも、とでも思ったのだろうか。



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