『土くれのフーケ』
いつ誰がそう呼んだのか知らない。
その盗賊はそう呼ばれていた。
由来はその侵入方法。
壁や扉を粘土や砂に変え、穴を開けて侵入するからだ。
そして侵入した先でマジックアイテムを盗み出す
そして「秘蔵の○○、確かに領収いたしました。土くれのフーケ」とふざけたサインを残していく
いつ誰がそう呼んだのか知らない。
その盗賊はそう呼ばれていた。
由来はその侵入方法。
壁や扉を粘土や砂に変え、穴を開けて侵入するからだ。
そして侵入した先でマジックアイテムを盗み出す
そして「秘蔵の○○、確かに領収いたしました。土くれのフーケ」とふざけたサインを残していく
そんな話をルイズから聞いた。
「まるでアルセーヌ・ルパンみたいな奴だな。」
「だれそれ?」
「俺の世界の架空の大怪盗だ。盗む前に予告をし、それを必ず盗み出す、という怪盗だ。」
「へぇ。」
「だれそれ?」
「俺の世界の架空の大怪盗だ。盗む前に予告をし、それを必ず盗み出す、という怪盗だ。」
「へぇ。」
学園に戻ってきた二人。
スネークが本塔の外壁に人影を見つける。
スネークが本塔の外壁に人影を見つける。
「ルイズ、アレは?」
「なに?」
「あそこだ。本塔の壁。五階ほどの高さ。」
「なに?」
「あそこだ。本塔の壁。五階ほどの高さ。」
目を凝らしてみてみると確かに人がいるようだ。
静かに近づいていく。息を殺し、足音に気を配って、慎重に近づいていった。
壁に対して垂直に立っているようだ。
静かに近づいていく。息を殺し、足音に気を配って、慎重に近づいていった。
壁に対して垂直に立っているようだ。
「ここからでは男か女かも分からんな。」
「ええ。でも、怪しいわ。お日様の下を大手を振って歩けそうな奴じゃないわね。」
「ええ。でも、怪しいわ。お日様の下を大手を振って歩けそうな奴じゃないわね。」
小声で話したつもりなのだが、こちらに気がついたようだ。
詠唱が一瞬で終わらせ、地面から30メイルほどのゴーレムを呼び出した。
その大きな拳が振り下ろされる。
ルイズを小脇に抱えて走る。間一髪、避ける事が出来た。
詠唱が一瞬で終わらせ、地面から30メイルほどのゴーレムを呼び出した。
その大きな拳が振り下ろされる。
ルイズを小脇に抱えて走る。間一髪、避ける事が出来た。
「あんた主人を何だと思って!」
「そんな事を言っている場合か!?当たれば死ぬぞ!」
「そんな事を言っている場合か!?当たれば死ぬぞ!」
だが、ゴーレムは目標を変更したのか、本塔の外壁を叩き始めた。
少しはなれたところでルイズをおろし、様子を見る。
少しはなれたところでルイズをおろし、様子を見る。
「何やってるのかしら…」
「…ルイズ、あのあたりには何がある?」
「えっと…多分宝物庫があったと思うけど…。まさか!」
「ああ。多分フーケだろう。」
「だったら捕まえないと!」
「どうやってだ?あいつに対抗できそうな武器は無い。」
「…ルイズ、あのあたりには何がある?」
「えっと…多分宝物庫があったと思うけど…。まさか!」
「ああ。多分フーケだろう。」
「だったら捕まえないと!」
「どうやってだ?あいつに対抗できそうな武器は無い。」
そうやって見ている間にゴーレムは外壁を破壊していく。
拳を強く握る。くやしい。見ている事しか出来ない。
だから私はゼロと呼ばれる。無能だから。
目の前に盗賊が盗みをしているのに、見ている事しか出来ない。
だから私はゼロと呼ばれる。無能だから。
目の前に盗賊が盗みをしているのに、見ている事しか出来ない。
「私は、無力ね。」
ぽつんと呟いた。
魔法がつかえないメイジなんて、ただのガキよ。
魔法がつかえないメイジなんて、ただのガキよ。
ゴーレムがこっちに向かって歩いてくる。
「まずい、こっちに来るぞ!」
またルイズを抱えて走るスネーク。
「うぉおおおおおお!!!」
全力で走る。走る。走る。
何とか踏まれずに済んだ。
何とか踏まれずに済んだ。
「危なかった…。」
「…。」
「…。」
翌朝、学院は大騒ぎになっていた。
何処に行っても、フーケ、フーケとその話で持ちきりだ。
二人は第一発見者として教師達に質問攻めにあい、ようやく落ち着いたところだ。
結局たいした手がかりにはならなかったが。
何処に行っても、フーケ、フーケとその話で持ちきりだ。
二人は第一発見者として教師達に質問攻めにあい、ようやく落ち着いたところだ。
結局たいした手がかりにはならなかったが。
「ふむ、どうしたものか。時に、ミス・ロングビルはどうしたかね?」
「存じません。朝から姿を見ておりませんな。」
「この非常時に一体何処へいったのかのう?」
「存じません。朝から姿を見ておりませんな。」
「この非常時に一体何処へいったのかのう?」
噂をすれば影がさす、といった具合に丁度ロングビルが帰ってきた。
「おお、ミス・ロングビル。一体何処へ行っていたのじゃ?」
「申し訳ありません。調査をしておりましたの。
今朝方起きたらこの騒ぎじゃありませんか。そして宝物庫の壁にフーケのサインを見つけたので、すぐに調査をいたしました。」
「申し訳ありません。調査をしておりましたの。
今朝方起きたらこの騒ぎじゃありませんか。そして宝物庫の壁にフーケのサインを見つけたので、すぐに調査をいたしました。」
調査の結果、フーケらしき人影がここから馬で四時間ほどの森の廃屋に逃げ込んだらしい、とわかった。
「では、捜索隊を編成する。誰か立候補はおらんかね?
我と思うものは杖を掲げよ。」
我と思うものは杖を掲げよ。」
教師は誰も杖を上げない。
ルイズは俯いていたが、すっと杖を掲げた。
その場にいた誰もが驚いたようだ。
フーケ討伐にゼロのルイズ。どう見ても勝ち目は無い。
ルイズは俯いていたが、すっと杖を掲げた。
その場にいた誰もが驚いたようだ。
フーケ討伐にゼロのルイズ。どう見ても勝ち目は無い。
「ヴァリエール、正気ですか?貴方は生徒ですよ?ここは教師に任せて…。」
「誰も掲げないじゃないですか。」
「誰も掲げないじゃないですか。」
きっぱりと言い放った。
だが、視線が定まらず、自信が感じられない目つきをしている。
一度見た事がある目、新兵特有の目だ。
だが、視線が定まらず、自信が感じられない目つきをしている。
一度見た事がある目、新兵特有の目だ。
「俺も行こう。」
ルイズが振り向く。
「何考えてんのよ?」
「心配なもんでね。俺が行った所で力になれるかどうか分からんが、行かせてもらう。」
「心配なもんでね。俺が行った所で力になれるかどうか分からんが、行かせてもらう。」
軽口を叩く。先ほどまでキッと結んでいた口が少し緩んだ。
目にも余裕が戻ってくる。
目にも余裕が戻ってくる。
「…ありがと。」
「なぁに、気にするな。」
「なぁに、気にするな。」
フーケ討伐のメンバーが決まった。
《ゼロ》のルイズ
《微熱》のキュルケ
《雪風》のタバサ
《伝説の傭兵》ソリッドスネーク
の四人。少々心もとない気がするが、ほかに誰もいないので仕方が無いじゃろう。
あの使い魔君にはわしも期待しておる。それにガンダールヴもある。何とかなるじゃろう。
《ゼロ》のルイズ
《微熱》のキュルケ
《雪風》のタバサ
《伝説の傭兵》ソリッドスネーク
の四人。少々心もとない気がするが、ほかに誰もいないので仕方が無いじゃろう。
あの使い魔君にはわしも期待しておる。それにガンダールヴもある。何とかなるじゃろう。
「さて、君たちに依頼する任務を確認しよう。
君たちに依頼する任務は二つ。
フーケの逃げ込んだ小屋へ侵入、『破壊の杖』を奪取すること。そして可能ならば、フーケの討伐だ。
そして交戦規定はただひとつ。生き残れ!無言の帰還は許さん。幸運を祈る。」
君たちに依頼する任務は二つ。
フーケの逃げ込んだ小屋へ侵入、『破壊の杖』を奪取すること。そして可能ならば、フーケの討伐だ。
そして交戦規定はただひとつ。生き残れ!無言の帰還は許さん。幸運を祈る。」
オスマンに見送られ、捜索隊が出発した
「オールド・オスマン、彼らだけで大丈夫でしょうか…?」
「…君は、彼、いやスネークが厨房の連中になんと呼ばれているか知っているかね?」
「いえ…。」
「『不可能を可能にする男』と呼ばれているそうだよ。」
「…君は、彼、いやスネークが厨房の連中になんと呼ばれているか知っているかね?」
「いえ…。」
「『不可能を可能にする男』と呼ばれているそうだよ。」