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ZERONATORオーガン-4


第四話「虚無の曜日に」

ルイズはオスマンの提案で、夕食は彼と共に、他の生徒たちの後で食べる事となった。
通常の夕食時間が過ぎ、指定された時間になったので、厨房に来たルイズは唖然とした。
これでもか、と言わんばかりの豪華な料理と、数種類の酒がずらりと並んでいた。
「何、コレ…」
オーガンが決闘で貴族(ギーシュ)に完勝した記念と、オスマンがオーガンと再会した記念が重なった結果。
説明終わり。
ちなみにオスマンは宝物庫に行っている。
当のオーガンはと言うと、廊下で待機していた。
たまたまその場にいたドラゴン(シルフィード)の頭の上で、腕を組んで仁王立ちしながら。
バカと煙だけでなく、イバリューダーも高いところが好きなようだ。
そして、その光景を見たルイズの口からすぐにお叱りの言葉が出た。
「降りなさい」
「はい」
ルイズにしかられた事で、ようやくオーガンはシルフィードの頭から降りた。
それと同時にオスマンも来た。
「よしよし、時間通りじゃな。オーガン、もって来たぞい」
「感謝する、フレッシュ・オスマン」
オスマンが宝物庫から持ってきたのは、古めかしいギターであった。
オーガンがギターを受けとった直後、ルイズは疑問を口にし、オスマンが答えた。
「オールド・オスマン、そのギターは?」
「こやつがバンビーナ団にいた頃に使っておったギターじゃ。ある依頼でちょっとしたハプニングがあっての、その時の依頼人から詫びの品でもあるんじゃ」
感慨深げにギターを見るオスマンを見て、オーガンはギターを弾こうとしたが、オスマンに止められた。
「今ここで弾いてどうする。宴会が始まってから弾かんかい」
「分かった。ところでフレッシュ・オスマン」
「どうした?」
「私を元の世界に帰した後、他のみんなはどんな生涯を送ったんだ?」
「すまぬが、それは聞かないでくれ。この歳になっても、あいつらの死んだ時のことは思い出すのが辛いんじゃ」
「そうか…」
「今日の宴、デルフリンガーとフリッケライガイストもいればなお良かったがの…」
「そうだな…」
どんよりとした空気が気に入らないのか、ルイズが途中から割って入った。
「オールド・オスマン、デルフリンガーとフリッケライガイストとは?」
「わしらの仲間の一人、『墓土』のティーナが使っておったインテリジェンス・ウェポンよ。気まぐれで聖地回復軍に参加した時のドタバタで行方不明になっての…。勝ち戦じゃったが、素直に喜べんかったわい。ティーナの奴に至っては最期まで気にしておったしの…」
「そうですか…」
「オマケにロマリア本国の権力争いに巻き込まれての。頭に来たから宗教庁にケンカ売って暴れたついでで、金になりそうな宝物を盗れるだけ盗ってバックレてやったわい」
「あの時は大変だったな。トリステインに戻った途端、毎日のように追っ手が襲い掛かってきた」
「血で血を洗う毎日じゃったわい」
オスマンとオーガンの爆弾会話を聞いて、ちょっとだけ食欲が減退したルイズであった。

気を取り直し、厨房に入りなおしたルイズ。
オーガンとオスマンもそれに続いた。
「親方、『我らの槍』が来ましたぜ」
料理人の声を聞いたマルトー親方は即座に振り向いた。
「待ってたぞ、『我らの槍』!」
その両手に、どうやって作ったのか見当もつかないほどのデカいティラミスが乗った大皿を抱えて。
「そうか。ところで、何故『我らの槍』なんだ?」
オーガンのもっともな疑問に、マルトー親方より先にルイズが答えた。
「決闘の時にあの双頭槍を使ったからよ。きっと」
「こっちが言おうとしたのに…」
悔しさを隠さないマルトー親方の表情を見て、何ともやりきれない気分になったオーガンであった。
数分後、気を取り直したマルトー親方による乾杯三唱が始まった。
「『我らの槍』の勝利と、オールド・オスマンとの奇跡の再会の両方を祝して、乾杯だっ! Oh Yeah!!」
『かんぱーい!』
飲み物を口にする直前、オーガンはみんなの目の前で人間に化けた。
一瞬、みんなが固まったが、大した事ではない。
「おぬし、その姿にならんと飲み食いできんのか?」
「ああ」
オスマンの疑問に即答するオーガン。
(そういえば、あの頃のこやつが飲み食いしている所を見たことがなかったのぉ…。あの能力もいつの間にか習得していたと言っておったし…)
続いてマルトー親方が口を開いた。
「シエスタから聞いてはいたが、それでも実際に目するとビックリするなぁ…」
ゆっくりと、緩やかな速さで酒と皿の上の料理が減っていく。
オーガンがギターを弾き、オスマンが歌い、宴の席は徐々にそのやかましさを増していった。

宴が終わって夜。
酒をしこたま飲んでしまったルイズは深い眠りに堕ち、オーガンは彼女を起こすまいとそっと部屋を出た。
出る時にギターを手に持っていたので、オーガンは屋外に出てギターを弾く事にしたが、途中でサラマンダー行く手を遮られた。
「私は外に出たいのだが…」
サラマンダーはオーガンの抗議を無視して、自分の主の部屋にオーガンを押し込んだ。
「何がしたいんだ…、おわ!?」
部屋に灯されていた微量の照明が、オーガンとサラマンダーが入ってきたのと同時に消えた。
バタン、ガチャリッ。
サラマンダーが器用にドアを閉めるのと同時に、勝手に鍵がかかった。
刹那、オーガンはドアノブを回したが、ドアは開かなかった。
「ロックか…」
「ご名答」
部屋の主の声が響くと同時に、室内のロウソクに火が灯り、サラマンダー(フレイム)の主―キュルケ―の姿が浮かび上がった。
「君は今朝の…」
「ふふ…。私はキュルケ…、『微熱』のキュルケ。決闘の時、あの勇姿を見て貴方に恋したのよ。あのメイドを守るために決闘に応じた勇気、ゴーレムをすべて切り捨てた強さ、そして…ヴァリエールのために『ゼロネイター』と名乗ったほどの一途さ。その全てが愛しいのよ」
「それでわざわざ自分の部屋に連れ込んだわけか……。見た目と二つ名だけでなく、性格までアラバストにそっくりだな…」
「当然よ。私は『微熱』のアラバストの直系の子孫よ」
その言葉に、オーガンの表情が少しだけ引きつった。
「ツェルプストー家史上、最も多くの男を寝取った彼女が手に入れることの出来なかった唯一の男、『デトネイター・オーガン』。恋したついでで、ご先祖様の無念も晴らさせてもらうわよ」
「たとえブリミルでも、主から私を奪う事は出来ない。諦めたまえ」
「それは出来ないわ。オーガン、ご先祖様に狙われていた貴方なら分かるはずよ。ツェルプストー家に生まれし者は、狙った異性はあらゆる手段を使って手に入れることを。既婚者はおろか、幼い子供にまで手を出すことを」
オーガンに拒絶されても全く退こうとしないキュルケ。
直後、突如としてドアの鍵が勝手に外れたので、オーガンは思わず呟いた。
「アンロックか…」
ついでに五名の男子生徒たちがドアを開けて入ってきた。
『待ち合わせの時間になってもこないと思ったら…。キュルケ、その変なジャケットを着た平民は誰だ!』
「あらら…、忘れていたわ」
『忘れるなぁっ!』
「えーっと…、今取り込み中だから、6時間後にまた来て」
『朝じゃん!!』
男子たちからの盛大なツッコミに逆切れしたキュルケは攻撃魔法で、彼らを部屋からたたき出そうとしたが、それを察知したオーガンに杖をひったくられた。
オーガンは杖を机の方に放り投げ、そそくさとドアの方に歩き、去り際にこう言った。
「ごゆっくりー」
ドアを閉め、なるべく音を立てないようにその場を去ったオーガンであった。
大音量でキュルケの絶叫が聞こえたが、気にしてはいけない。

外に出たオーガンは、その場に座り込み、ギターを弾くのと同時に歌い始めた。
宴の席ではオスマンが歌っていたので自重していたが、実際はさりげなく歌も歌えるオーガンだった。
「かぁ~ぜぇ~とぉ~語る十字架ぁ~♪」
どこで覚えたかは聞かないように。
「君は何をしているんだ?」
不意に呼ばれたオーガンが振り向くと、そこにはギーシュが突っ立っていた。
「ギターを弾くのと同時に歌っていた。そういう君は何故こんなところに?」
「モンモランシーとケティに謝りに行ったんだ」
「そうか」
「そういえば名を名乗っていなかったな。僕はギーシュ・ド・グラモン。ギーシュと呼び捨てにしてくれ」
「分かった」
淡々とした会話が途切れ、オーガンが再びギターを弾き始めた。
真夜中の演奏会は、キュルケの部屋で行われている乱痴気騒ぎのせいで見事に目が覚めたルイズに、オーガンが連れ戻されるまで続いた。
そして、ルイズの部屋では日が昇るまで、ヴァリエール家とツェルプストー家の二百数十年に渡る寝取りと報復の歴史の説明が行われた。
朝になり、キュルケと五人の男子が学院長室に呼び出された。
「バッカモォンッ!!!」
室内にオスマンの怒号が響いた。
「大勢でヤルのはかまわぬ。じゃが、寮内であのような大声を出すとは何事か! 特にミス・ツェルプストー、少しは自重せい!」
「私ですか!?」
「当たり前じゃ――――――っ!」
オーガンを誘惑しようとしたキュルケに対し、オスマンの口から更に激しい怒号が飛び出した。
一方、食堂付近の廊下では。
「オーガン、どうした?」
辺りを見回すオーガンが気になったギーシュが声をかけた。
「…キュルケという赤毛の女が、この時間になっても姿を見せないのが気になってな…」
なかなか姿を見せないキュルケに対し、少し警戒していたオーガンだった。
「安心しろ、彼女ならオールド・オスマンが直々に説教している最中だ。後10分は来れないさ」
「そうか。それにしても、色事絡みでフレッシュ・オスマンが人に説教するとは…。明日の天気は大雨かな?」
「大げさだなぁ。懐かしい仲間を誘惑しようとしたのが許せなかっただけだよ、きっと」
あのときの会話が縁で、奇妙な友情関係が成立したオーガンとギーシュであった。
「ところでルイズは?」
「主なら既に食堂内に入ったぞ。では私は失礼させてもらうぞ」
そう言って、オーガンは厨房へと向かった。

昼休み。
昼食を終えて厨房から出たオーガンは、先に食べ終わっていたルイズに呼び止められた。
「オーガン、明日は虚無の曜日だから、街に行くわよ」
「クックベリーパイが美味しいお店を探すのですか?」
「ハズレ。武器を買いに行くのよ」
「武器…ですか?」
「そうよ。昨日の決闘で出したあの双頭槍、人間に化けている間は出せないでしょ」
「確かに…」
オーガンは今朝、人間に化けている時にオーガンランサーを出そうとして出せなかった事を思い出した。
「元の姿に戻ればどうにでもなるけど、それが出来ない場合とかに備えて、やっぱり武器の一個や二個は持っておいた方がいいわ」
「なるほど…」
「あと、ギーシュとシエスタが同行するから」
「分かりました」

そして虚無の曜日。
待ち合わせの場所に来たルイズたちに合わせるかのように、ギーシュが乗った馬車が現れた。
たまたまその光景を目撃したキュルケは、急いで友人の部屋へ向かった
「タバサ、出かけるわよ!」
「何で?」
「後を追うのよ! オーガンの後を!」
必死になったキュルケに言いくるめられたタバサは、彼女と共にシルフィードに乗ってルイズたちの後を追うこととなった。
約3時間後、街に到着したルイズたちは、ブルドンネ街へと足を運んだ。
「あの頃とあまり変わっていないなぁ…」
感慨深く、嬉しそうにつぶやくオーガン。
そんなオーガンの姿に、思わず三人は笑みを浮かべた。
お昼までにはまだ時間があったため、ルイズたちはまっすぐ武器屋へと向かった。
「いらっしゃい…、これはこれは、貴族様がこの店に何用で」
「武器を買いに来たに決まっているでしょ」
ルイズにそう言われた武器屋の店主は、彼女の隣に立つ執事服の青年(オーガン)に視線を移した。
「そちらの方が使うものをお求めで?」
「そうよ。オーガン、どんなのがいいの?」
「……出来れば、1メイル半以上はある大型の剣がいいですね」
「では、少々お待ちを」
そう言って店主は店の奥に姿を消した。
直後、オーガンが急にそわそわし始めた。
「オーガン?」
「御主人様、店の外から殺気にも似た気配を感じます。狙いはこの店だと思われます」
オーガンのその言葉に、ルイズだけでなく、ギーシュとシエスタも固まった。
そうこうしている内に、店主が装飾が施された派手な剣を数本持ってきた。
「シュぺー卿を始めとする、ゲルマニアの錬金術師たちが作った業物ばかりですぜ」
「幾らするの?」
「安いヤツでも、2000エキューは超えますぜ」
「森と庭付きの屋敷が買えるじゃない…!」
店主とルイズが下らない問答を繰り広げているうちに、オーガンは店主が持ってきた剣に目を通した。
「全部偽物の上にナマクラか。話にならないな」
オーガンのこの一言で、店主が固まった。
「な、なななな、何を根拠に…」
「目利きには自信がある。それだけだ」
オーガンの一言で更に固まる店主に、追い討ちを掛かのような声が剣を陳列している棚から聞こえた。。
「ははは、ナリは変わっちまったが、相変わらずだな、オーガン!」
その声を聞いたオーガンは、棚の方に視線を移し、所々錆びている片刃の剣を手に取った。
「デルフリンガー……!」
「お互い、生きてまた会えるとはなぁ…。そうそう、この店にゃあ、俺だけじゃなくてフリッケライガイストもいるぞ!」
「本当か!?」
二人の会話の最中、突如として十数名の衛士たちが押し寄せてきた。
「連行!!」
隊長の咆哮に呼応した衛士たちが店主を連れて行った。
「ちょっと待て! 俺は何もやましい事は…」
「しただろうが! ナマクラを掴ませやがって!」
「お、おーたーすーけぇぇぇぇぇっ!!」
後には店主の絶叫だけが木霊した。
「君たち、危なかったな」
衛士たちの隊長がルイズたちに話しかけた。
「あの人、いったい何を?」
「ああ、製造元の偽装に粗悪品の乱売、ついでに同業者への営業妨害だ」
ルイズたちと隊長の会話が続く中、デルフリンガー片手に店の奥に行っていたオーガンが、右手に装飾が施された銃と、デルフリンガー用と思しき鞘を持って戻ってきた。
「それにしても、生きてまた会えるとはねぇ…」
「フリッケライガイスト、私だけではない、フレッシュ・オスマンもまだ生きているぞ」
「そうか…、あのエロガキにもまた会えるのかい…」
オーガンが右手に持っている銃こそ、インテリジェンス・ガン、フリッケライガイストである。
「ところでオーガン、そこの嬢ちゃんたちは誰だい?」
オーガンはルイズたちをデルフリンガーとフリッケライガイストに紹介した。
「この黒髪のメイドさんはシエスタだ」
「初めまして、デルフリンガーさんとフリッケライガイストさん」
「この金髪の少年が、ギーシュ・ド・グラモンだ」
「初めまして、デルフリンガー、そしてミス・フリッケライガイスト」
「そして、このピンクヘアーの少女が私の新たな主、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢だ」
「初めまして、デルフリンガーにフリッケライガイスト」
「おう、よろしく頼むぜ、娘っ子たち。俺の事は「デルフ」って呼んでもいいぜ」
「よろしく頼むよ。あたしの事は、気が向いたらでいいから「オババ」って呼んどくれ」
フリッケライガイストのこの一言に、場の空気が少し凍った。
『フリッケライガイスト…』
オーガンとデルフリンガーの声がハモった。
「喋り方は確かに「オババ」なんですが…」
「声の方がねぇ…」
「何ていうか、若々しすぎるのよ。その声じゃ「オババ」じゃなくて「幼女」って言った方が納得できるわ」
「予測はしてたけど…、実際に言われるとこたえるねぇ…」

店の中の衛士たちがだんだんと増えてきたので、ルイズたちは店を出て違う店に向かった。
ちなみに店主が衛士に連行されたため、代金は払っていない。
「射手の嗜好と資質に合わせて姿形と弾の性質を変える能力かぁ」
「そうさ、杖を仕込んだ上でメイジがあたしを使えば、そのメイジの系統の属性を有した弾を撃つことが出来る。弾の方も、射手の精神力を触媒にして作られるから、気合の続く限り撃ち放題さ」
「アンタ、ひょっとしてメイジが使うのを前提に作られたんじゃないの?」
「そこはルイズちゃんの想像に任せるよ」
フリッケライガイストの能力を知っていたオーガンの強い主張により、フリッケライガイストはルイズが使う事になった。
「そういえばギーシュ、それにシエスタ」
「なんだい?」
「何でしょう?」
「君たちは何で今日の買い物に付いて来たんだ?」
オーガンは、昨日ルイズに聞きそびれたことを、今日ギーシュとシエスタに聞いた。
「僕はモンモランシーとケティとシエスタへの侘びの品を買うときにアドバイスが欲しくてね」
「私は、ミス・ヴァリエールとオーガンさんと一緒に買い物がしたかっただけです…」
ギーシュはさらりと、シエスタは顔を少し赤くして答えた。
ちなみにキュルケとタバサがその光景に少しだけ目をやり、すぐに武器屋へと向かっていったが、ルイズたちはそれに気付かず、オーガンのリクエストで足早に屋台街へと向かった。
途中、スリが出てきたが、オーガンの強烈な「しっぺ」が腕に直撃したダメージで道にうずくまった。
「昔とは違って妙にスリが多いですね、御主人様」
「数年前に国王陛下が崩御してから、この国は王座が空位なの。だから治安とかが不安定になって、あの手の連中が増えているのよ」
「なるほど。しかし、王様が死んでから数年たった今でも王座が空位とは…」
「王宮の方もいろいろと複雑なのよ」
「何となく気が滅入ってしまう話ですね…」
微妙な表情になったオーガンであった。
それはさて置き、ルイズたちはオーガンが『目利き』で選んだ屋台に入った。
ギーシュだけは一人、その中で考え事をしていた。
(あの時もそうだったけど、オーガンの『目利き』ってどうもレベルが高過ぎるんだよなぁ…)
数分して、注文した料理が出された。
出てきた料理を平らげたギーシュが、ふと視線を通りの方に移すと、何やら目付きの悪いのが十人ほどこちらの様子を窺っているのに気付いた。
「あのスリの仲間か…」
ギーシュの呟きが耳に入ったルイズとシエスタは、視線を移そうとしたがギーシュが止めた。
「目が合ったらマズイ。店を出てから撒こう」
ギーシュの提案に全員が首を縦に振った。
代金を払い、気付いていないフリをしながら店を出たルイズたちは、ギーシュの号令と同時に猛ダッシュでその場を離れた。
「走れ!」
虚を突かれたスリの仲間たちは、一瞬唖然としたが、すぐに得物を手にして追いかけてきた。
それと同時に物陰から残りの中たちが出てきた。
敵の合計人数、百人強。
それを見ていたルイズが叫び、ギーシュが答える。
「何であんなに出てくるのよぉっ!!」
「こっちが知りたいよ!」
このままでは逃げ切れないと判断したオーガンはボマージャケットを脱ぎ、シエスタに手渡すと、デルフリンガーを手にスリの大群に突撃していった。
「オーガンさん!!」
「ここはオーガンに任せて、私たちは逃げるわよ」
オーガンの真意を瞬時に理解したルイズは、ギーシュと一緒にシエスタを引っ張りながらその場を走り去った。

オーガンは勢いに任せて横一文字にデルフリンガーを振るが、タイミングが早すぎたためギリギリのところでかわされた。
(この人数…、元の姿に戻った方がいいか?)
そう考えた矢先、投げナイフが飛んできたので、オーガンはあわててデルフリンガーで叩き落した。
「こちらは一人撃退しただけだぞ」
オーガンの抗議を無視して殺気をむき出しにしながらスリたちは好き放題わめいた。
その中で、スリたちのリーダー格が言った一言がオーガンの怒りを招いた。
こう言ったのだ、「まずはテメェから。金髪の坊主と黒髪の女とピンクヘアーの貧乳なチンチクリンは後だ!」と。
『ピンクヘアーの貧乳なチンチクリン』はルイズの事だとオーガンは理解した。
ルイズが自らの体型を気にしている事を直感で気付いていたオーガンは、偶然とはいえ彼女の気にしている事を大声で言い切ったスリたちに殺意を抱いた。
ふと、あの時トモルがラングに向けて言った言葉を思い出し、口に出した。
「悪魔めっ、許さんっ!」
その言葉と同時に(決闘の時とは違って)最初に左手のルーンが光り、直後に全身を光が包み込み、全身を輝かせながら元の姿に戻った。
ゴーレムの如き、オーガンの真の姿を目の当たりにしたスリたちが呆然としたが、オーガンはかまわず叫んだ。
「ゼロネイター・オーガン!!」
左手に持ったデルフリンガーを振り回し、オーガンは迷わずスリの一人を切り捨てた。
飛び交う怒号と悲鳴。
パニックになったスリたちをオーガンは一人ずつではあるが確実に始末していった。
飛び込んできた一人を壁ごとデルフリンガーで串刺しにして柄を手から離し、両手のオーガンカッターで周りにいるのを一通り斬り刻み、遠距離から魔法で攻撃するものをニードルガンで次々と蜂の巣にした。
リーダー格以外をすべて片付けたオーガンは、死体越しに壁に突き刺さっていたデルフリンガーを再び手に取り、最後の最後でリーダー格を「八つ裂き」にした。
リーダー格を始末し、ようやくオーガンは冷静さを取り戻し、周囲を見渡した。
百体以上の死体が辺り一面に転がる血の海。
耳をすませると、衛士たちの声が聞こえてくる。
この場にいてはマズイと判断したオーガンは、衛士たちに気付かれないように急いでその場を離れた。
一方、ルイズたちはスリたちから逃げ切り、ブルドンネ街で休憩していた。


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