あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

魔法少女リリカルルイズ28


空から落ちる爆音にさらされながらコルベールも会場に残っていた。
アンリエッタ王女から避難命令は出ていたが、そこには彼の目を奪うものがあった。
それは魔法の鎖と盾を操る空から降りてきた少年の左手に光るルーン。
「あれは、確かガンダールヴのルーン?」
少し遠目だが間違いない。
「しかしガンダールヴのルーンを持つのはミス・ヴァリエールの使い魔のはずでは?」
コルベールの思索は息とともに止められた。
「ぐえ」
ヒキガエルのような声を出す。
後ろ襟が誰かに引かれて服が喉に食い込んだ。
「なにやってるんですか。危ないですよ!」
「ちょ、ちょっとまって。ぐぇええ」
どこかの女性がコルベールを引っ張っている。
誰かと思い首を回そうとしたが。
「え?」
髪を捕まれた。
「ま、ま、ま、待ちなさい。ぐえええ」
首も回せないし息が詰まる。
そのうち頭から何か引きちぎれるような音が響いてきた。
「あ……」
コルベールの中で何か大切なものがぷっつり切れた。


シエスタは男を引きずり、走っていた。
男は杖とマントのえらい貴族様だが、あんなところに立ちっぱなしにさせておくなんてことはできない。
後でどんなお叱りを受けるかと思ったが、どうやらその貴族様も納得してくれたようだ。
しばらくばたばたしていた後で今はおとなしく引きずられるままになってくれている。
「ユーノさん。がんばってください」
会場では、まだユーノが砲弾を防ぎ続けているはず。
シエスタは祈った。
──ユーノさんが怪我をしませんように
前で鎧を着た衛士が手を振っていた。
安全な場所まであと少し。
シエスタは足を少しはやめた。


「ああああああああ」
シルフィードの背中でリリカルイズを支えるキュルケは叫んでしまった。
後ろを見ているキュルケにはシルフィードを追う火矢がよく見えている。
その数は1本、2本、3本……とにかくたくさん。
10や20ではない数がシルフィードを追って距離を詰めてくる。
タバサが何度かエアハンマーでシルフィードを加速させているが、もう追いつかれそうになっている。
そのタバサが長い杖をのばしてキュルケの肩を叩いた。
「な、なに?」
「追いつかれそう。あれを少し落として」
「どうやって!」
「フレイム・ボールをたくさんとばして」
「そんなにたくさん撃てないわ。精神力が持たないわよ」
「小さいフレイム・ボールでいい。当たればおちる」
「あー、もうっ」
キュルケは杖を手に取る。
このままでは火矢がシルフィードに当たって大爆発するのは間違いない。
だったら何か言っている場合ではない。タバサの言うとおりにしてみる。
「どうなっても知らないわよ」
キュルケはルーンを唱える。杖を振る動きにあわせ頭上に火球がいくつも姿を現していく。
「行きなさい!フレイム・ボール」
放たれた幾多もの火球は、火矢の行く手を遮るために空中を縦横に飛ぶ。
地上から見上げる者はその炎の航跡により、シルフィードの羽が4枚になったように見えた。
意志を持たぬ火矢はその速度にものを言わせて、火球の守りの中に突き進む。
だが火球は自らの敵を追う力を持っている。
火球に食らいつかれた火矢は爆発の中へ消えていった。


キュルケのフレイムボールが火矢を爆発に変える。
その爆音が響いてもルイズはとぎれることなく集中し続けた。
魔力をくみ上げ、溜めていく。
使う魔法はディバインバスター。
──だけど……
ゴーレムは以前より強くなっている。
以前と同じのディバインバスターでは通用しないかもしれない。
タバサの策が成功しても、もっと強力な魔法攻撃が必要になるかもしれない。
前と同じでは
──足りない。まだ足りない。もっと、もっと。
ルイズはさらに魔力を込めていく。
限界まで。限界を超えて。


「はじめる」
タバサはキュルケの返事もルイズの返事も聞かずにエアハンマーを打つ。

きゅいい

どん、という音と共にシルフィードが見えない天井を蹴って突如急降下を始めた。
火矢の群れもまた急降下を始める。
地面すれすれで再びエアハンマー。

きゅきゅきゅいっ

今度は学院を囲む森の木の高さで水平に飛ぶ。
再び突然向きを変えるシルフィードの軌道変化に火矢は追いつけない。
いくつもの火矢が雨のように降り注ぎ、地面をえぐり、木を吹き飛ばす。
それでも、まだ全ての火矢が炎の中に消えたわけではない。
数え切れない火矢がシルフィードに迫る。


ルイズはシルフィードの背中から離れた。
形成されたディバインスフィアがシルフィードの背中まで焼いてしまうかもしれないからだ。
「ありがとう。キュルケ。行くわ」
まだ不安はある。
あるが、ここで出ないわけにはいかない。
足下に作ったフライアーフィンに魔力を乗せ、ルイズはシルフィードの背中から飛ぶ。
かなり早く飛んだつもりだったが、火矢が何本かがルイズを追ってきた。
ほとんどシルフィードを追っているが、一発でも当たればルイズはやられてしまう。
──どうしよう
避けながら魔法を使うための集中はできない。
何か方法を考えようとしたときに、ルイズを追っていた火矢が全て爆発した。
下ではシルフィードの背中でキュルケが杖を振っている。
小さなフレイムボールが火矢を打ち落としていた。
「しっかりやりなさいよ!ルイズー」
「リリカルイズ」
「そうそう、リリカルイズ!」
二人の声を受けてルイズはさらに高度をとった。


見かけ通り鈍重なゴーレムはシルフィードが突進しても、なお動かなかった。
体中に生えた小型の大砲から火矢を撃つ気配もない。
シルフィードは速度をゆるめない。
ゴーレムにぶつからんばかりのスピードで飛ぶ。

どん
きゅうううううっ

タバサのエアハンマーで強制的に上昇させられる。
小さく悲鳴を上げたシルフィードはゴーレムの体を翼だけでなく爪の生えた手と足も使って駆け上る。

きゅいっきゅいっきゅいっ

小さいとはいえ、大砲の前を走っているのだ。
怖いことこの上ない。
夢中で手と足と翼を動かし、やっとゴーレムの頭の上に飛び出した。
直後、爆発が連続して聞こえる。

きゅいっ

尻尾の先がちりちり熱くなった。
後ろは怖くて振り向けない。
シルフィードは必死に翼を振って逃げた。


ゴーレムに火矢がぶつかっていく。
その間にもルイズは力ある言葉を唱えることで、魔法をより強くしようとしていた。
──まだ、まだ。もっとたくさんの精神力を。魔力を。
そんな物はもうない。
ルイズが使えるだけの精神力はすでにディバインスフィアの中で魔力となっている。
もうどこにも魔力はない。あるはずがない。
──まだ、まだ
あるはずがない。
しかし魔力はあった。
ルイズのすぐ近くに。
それを知覚した時、レイジングハートの中で新たなプログラムが動き出す。
今、この空域の魔力はとても濃くなっている。
ディバインバスター、ジュエルシードの力、タバサのエアハンマー、キュルケのフレイムボール。
ゴーレムが撃ち出した火矢も魔力で作られたものだ。
爆発したときには魔力をまき散らす。
それらの残滓が、空間に満ちている。
集束魔法。
それが新たなプログラムが紡ぐ魔法の名前。
「リリカル・マジカル」
周囲に残る魔力を集めることで術者の精神力を超えた魔法を完成させる。
ルイズの呪文と共に小さな星が無数にうまれ、スフィアに吸い込まれていく。
星を吸収したスフィアは少しずつ力と大きさを増していく。
「リリカル・マジカル」
また小さな星が生まれ、吸い込まれていく。
小さな光を魔力を、大きな魔力に束ねていく。
「Master.Please name new magic」
「新しい魔法……名前?」
新しい魔法には新しい名前が必要だ。イメージを魔法と成し、確たる物にするために。
──集まる。星の光。光の力。
──そう、これなら空の星だって!
そしてルイズは叫び、唱える。
「スターライト!」
今できたばかりの新しい魔法の名前を。
「ブレイカー……シューーーーートッ」


それはまさしく星をも砕く光の槌。
ルイズがレイジングハートを振り下ろしたスフィアから落ちる魔力光は、すでに自分の火矢で半分ほどに削れたゴーレムをさらに叩き、砕いていく。
さらに半分に削れたゴーレムを青い光が包んだ
青い光は槌を止めるがそれもわずか一瞬のこと。
スターライトブレイカーの光は何もなかったかのようにゴーレムを叩きつぶしていく。
「捕まえた!」
ルイズは確かな手応えを感じる。
ジュエルシードの手応えを。
「Sealing form, set up」
形を変えたレイジングハートにルイズは命じた。
「リリカル、マジカル。ジュエルシードシリアル5 封印!!」
青く流れるジュエルシードがレイジングハートに飛び、その中に静かに消えていく。
「あ……っ」
ルイズの視界がぼやけた。
焦点が定まらない。レイジングハートが重さなって見える。
揺れ出した意識はルイズの思うようにならない。
「Sealing.Receipt Number Ⅴ」
レイジングハートの声を聞いたルイズは、渦の中に落ちていくような感覚と共に意識を途絶えさせてしまった。


新着情報

取得中です。