あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのしもべ第2部-1


「これが調査班が撮影してきたSBC基地のありさまだ。」
モニターには熱でへしゃげた鉄骨、粉々になった岩とコンクリート、瓦礫に埋まった人間の死体が次々と映し出されていく。
「まず修理のしようがないほどの破壊のされかただ。」
会議室にいる男たちは血相を変え、食い入るように画面を見つめている。
その最奥に、悠然と座っている男がいた。
ヨミだ。
「しょくん、みられるとおりだ。わずか一日で、わが組織のほこる対トリステイン王国攻略用基地が完璧に破壊された。」
「ヨミ様、いったいどこの国が攻撃をしたのです?トリステインが我々に気づいたのですか?」
「いや」ヨミが首を振った。
「そうではない。この基地を破壊したのはあのバビル2世だ。」
画面に映し出されたのは、まぎれもないバビル2世だ。
「「「バビル2世!!」」」
全員が総毛だって叫んだ。
「ヨミ様。ヨミ様はたびたびバビル2世の名をおっしゃるが、いったい何者なんです。いったいどれほどの力を持っているのです。」
「3つのしもべを従え、バビルの塔に住んでいる。そしてわしに匹敵する超能力と、わしにもないエネルギー吸収能力を有している。」
「むむむ」
「なんと」
「だが、この世界に来た以上、バビルの塔は失っていると見てよい。となればあとは3つのしもべだけだ。」
「それで、3つのしもべとは…」
「3つのしもべとは」ヨミが合図をすると画面が切り替わった。
「一つは何にでも変身でき、普段は黒豹の姿をしているロデム。」
高速で大地を駆けるロデムが映し出された。
「二つめは空を飛ぶ巨大な怪鳥ロプロス」
皮膚のない状態のロプロスが映し出された。
「そして3つ目は海と陸を自由に移動する巨大ロボポセイドン」
海から現れ、艦船を次々沈めていくポセイドンの姿が映された。
「この3つのしもべが陰になり、ひなたになってバビル2世を守っている。」
しーんと重苦しい空気があたりを包み込む。
「だが」とヨミは力強く言い放つ。
「3つのしもべは恐れるにたらん!3つのしもべはわしでも操ることができる!」
おお、と歓声が上がる。
「そしてなにより、我々にはV2計画があります。」


「その通りだ!」
そして、とヨミは基地全体を指すかのように両手を広げた。
「バビル2世はすでにバベルの塔を持たぬが、我々にはこの基地がある。思えば、あの日北極海に沈んだわしは、この基地ごと
この世界に召喚をされた。それ以来、共に召喚されたおまえたちと、技術力の差を魔法で補いながらこの世界のバベルの塔
とでもいうべきこの大要塞を作り上げたのだ。今、我々の手にこそバベルの塔は存在する!何も恐れるものはない」
「ヨミ様、ここはいっそのことバビル2世の機先を制し、先制攻撃をしかけられてはどうでしょう?」
「なに?」
「我々の存在はバビル2世に察知されています。ならばいっそのことA作戦をはやめ同時にバビル2世をおびき出し、我々の総力を
挙げてバビル2世を撃ってはどうでしょうか?A作戦は現在の人員で充分可能です。」
「うむ。おもしろいかもしれんな。」
「それについてはわしのほうから報告があります。」
白髪の老人が立ち上がった。「これをご覧ください」と映像を変えさせる。
「基地に現れたバビル2世ですが、まず左手をご覧ください。」
「これは……ルーンか?」
「はい。おそらくガンダールヴのものではないかと。」
「ガンダールヴだと!?」
「あの伝説の使い魔の!?」
「はい。おそらく、バビル2世はもう1人の虚無のメイジによって、この世界に召喚されたものと考えられます。ではそのメイジですが…」
もう一度映像が切り替わる。ルイズと、キュルケと、タバサが映し出される。
「おそらくこの3名のうちの誰かの可能性が高いのではないかと考えました。使い魔は主人を守ることが使命ですからな。」
そして、誰かに出てくるように促した。
現れたのは、白い仮面に黒いマントを羽織った、長身の男であった。男は恭しく会釈をする。
「これがそれについて重要情報を持っています。それによると、これはこの中の桃髪の娘と縁のあるもので、以前からその娘が、
虚無の魔法についての才能を持っていたのではないかと、疑っていたというのです。」
おお、と一同がざわめく。
「おまえはたしかバビル2世発見の情報を持ってきた男だな。」
「はっ、ご無沙汰しております。」
「ふむ。すると、そのおかげでいち早くバビル2世を発見できたというわけか。」
「御意。」


「ヨミ様。わしはこやつを使い、バビル2世と主らしきこの娘、ルイズをおびき寄せようと考えております。」
「ふむ。だが問題があるぞ。バビル2世は思考を読み取ることができる。もし気づかれればおびき寄せるもどうもないぞ。」
「その点は考えています。心を読まれなければよいのです。つまり、この人物は間違いない人物である、という保障をしてやれば
バビル2世もわざわざ心を読みますまい。」
「ふーむ。」
「それに、普段はこの通り顔を隠しています。わしの部下に変装術が巧みな武吉という男がいましてな。ちょうど背格好がぴったり
ですので、そやつに似たような格好をさせて、仮面をとったこれと同時にバビル2世の目の前に姿を現させれば、よもやこれを
疑いはしますまい。」
「むむっ、おもしろい。やってみる価値はありそうだ。よし!すぐてはずをととのえろ。今回の作戦は全て呂尚に一任する。」
はっ、と礼をする老人、呂尚と白仮面。
「今日の会議はここまでとする。」ヨミが宣告し、全員が立ち上がる。
この恐るべき要塞こそはかつて北極で海の底へ沈んで行ったヨミの最終基地であった。
沈む最中、ヨミは生き残った部下と共に突然この世界へ召喚されたのだ。
そして今、この要塞は砂漠の真ん中にあった。まるで本物のバベルの塔のように。


「泣いているのかい?ルイズ」
子供のころ、叱られるとルイズはいつも中庭の池に浮かぶ船に逃げ込んでいた。ここはルイズにとっての秘密の場所だった。
そう。ここはルイズが唯一安心できる場所なのだ。自分を叱るか、バカにするものしかいない屋敷の中で、ここは唯一心休まる
場所であった。
ルイズは船の中に用意してあった毛布に潜り込み、包まる。
そんな風にしていると、霧の中から16歳ぐらいの、マントを羽織った立派な貴族が現れて、ルイズに語りかける。
「また怒られたんだね?ぼくがとりなしてあげるよ……」
手が差し伸べられる。大きな手。憧れの手……。
その手を握ろうとして気づく。後ろから誰かに羽交い絞めにされたことに。
「バビル2世、さあおとなしくしろ!」
毛布があっという間に人間に変わっていた。そして目の前の人間は…
「勝手にするんだな。ルイズごとこの基地は吹っ飛ばす!」
「げえっ!」
「行くぞ、みんな!」
巨人にキュルケが、巨大な鳥にタバサが乗っている。マントはいつの間にか学生服に変わり、髪と目は燃えるように赤くなっていた。
気づくと自分は鎖で連結された大船団の中の一艘に乗っていて。そこに火をつけた小船が突っ込んでくる。
そして炎の中から現れた男がルイズに向かってこう言った。
「君と余だ。」

妙な唸り声に、バビル2世は目を覚ました。
窓からは二つの月光が差し込み、部屋の中を照らし出している。唸り声のほうを見ると、ルイズがロデムを締め上げながら、
「げえ!関羽!」
「余は信じぬ!信じたくない!」
などと寝言を呟いている。どういう夢を見ているんだろう。
ふと、自分の身体が今回も完全に回復していることに気づいた。あの基地を破壊するだけの超能力を使った疲労感は微塵もない。
やはり、この世界にはなにかあるのだろう。それは何なのか。
夜空を見上げる。双つの月が煌々と輝いている。
「行け!鉄人!」
夢の内容が変わったらしかった。


紛れもない、朝。
「おいおい、フーケを追いかけて破壊の杖を取り戻したらしいじゃねえか」
「すごいです、ファイアさん」
と食堂コンビに食事の間中、質問攻めに会った。特にシエスタは、目がうるうるきらきらしていた。
「あ、あの、わたし、その……」
「む?」
食後、シエスタが改めて話しかけてきた。が、
「あの……なんでも、ないです。それじゃあ!」
が、よくわからないまま駆けて行ってしまった。心を読んでもよかったが、その暇もなかった。
教室に行くと、バビル2世が破壊の杖を取り戻したという噂は広まっているようで、なぜかギーなんとかが
「まあ、僕を倒すだけのことはあるようだね」
と言っていた。誰だったかな?
そして授業。
一時限目はギトーなる教師の風の授業であった。
風系統は最強で、偏在だのなんだのと説明をしていた。
もっとも、この授業のことはバビル2世には珍しくあまり覚えていない。なぜなら、次のコルベールの授業こそが、バビル2世の
興味を非常に強くひきつけたからである。

「さて、と。皆さーん?」
なぜかドン・ガバチョのように言うコルベール。たしか昨日まで国王暗殺未遂だので憔悴しきっていたにもかかわらず、今日は
これである。精神が細いのか太いのかよくわからない。あの頭では細いんだろうが。
この男の授業は非常に変わっているらしく、始まる前にルイズたちが
「あーあ、次はコルハゲかー。」
「また妙なもの持って来るのかしら?」
とつまらなそうに言っていたことが印象に残っている。
そして、多くの生徒の予想通り、コルベールは机の上に妙なものを置いた。
長い円筒状の金属の筒に、金属のパイプが延びている。そのパイプはふいごのようなものに繋がり、円筒の頂上にはクランクが
ついている。そしてそのクランクは円筒の脇に立てられた車輪に繋がっている。そしてさらに、その車輪は扉のついた箱に、
ギアを介してくっついている。
「それはなんですか?ミスター・コルベール」
「これかね、これは……うふ、うふふ、うっふっふっふっふー」
コルベールが突然笑い出し、生徒たちが怪訝な顔をする。みな怯えたようにコルベールを見ている。


「よくぞ聞いてくれました。これは私が発明した装置ですぞ。油と、火の魔法を使い動力を得る装置です。」
コルベールはものすごい勢いで装置についての説明を始めた。いちいち記すと何TBになるかわからないので省略する。ようするに、
「エンジンだ。」
バビル2世がぼそっと呟く。ルイズがえっと顔を向ける。
他の生徒たちは魔法で充分じゃないかなに考えてんだ貴重な授業時間を潰しやがってと心にもない事を言いながら悪態をつく。
おそらく、この重要性に気づいているのはバビル2世だけである。
「先生、それはエンジンですね?」
バビル2世が立ち上がって改めて言う。ギーシュの一件以来注目されているエルフ(と思われている)男の発言に、教室中が黙り
視線を集中させる。
「えんじん?」
コルベールがきょとんとして、バビル2世を見つめた。
「そうです。ぼくがもといた世界では、それを使い工場や流通、先生が説明したことをしているんです。」
「なんと!やはり気づく人は気づいておる!エンジンか。おお、たしか君はミス・ヴァリエールの使い魔の!よし、ヴァリエールは
特別に火の成績を上げておこう!エンジン、エンジン」
コルベールは、ビッグ・ファイアが伝説の使い魔ガンダールヴのルーンを持つことを思い出した。そして、改めて興味を抱いた。
「ああ、君。暇があったら、いつか私の研究室に来てくれないかい?いろいろ、エンジンについても聞きたいことがあるのでね。」

というわけでバビル2世は誘われるままホイホイと研究室について行っちゃったのだ♥
ルイズはともかく、なぜかキュルケとタバサまでついてきている。
まあ、この2人は元の世界にあった、というので興味を持っているのだろう。タバサはひょっとすると、手に「栄光なき天才たち 第8巻」
を持っていたのでエンジンに興味を抱いたのかもしれない。たしかロケット技術者の話が乗っていたはずだ。なにかおかしいが気に
してはいけない。
だが、もう1人すっごく気になる人物が着いてきていた。
「エンジンってなんだい?」
「いや、なんであんたまでいるのよ、ギーシュ…。」
ギーシュだった。ああ、そうだ、ギーシュ。ギーシェだと思ってた。


「つれないな、ミス・ヴァリエール。彼は仮にも僕を倒した男、つまり宿命のライバルってわけだ。僕は女の子にしか興味はない
けど、女の子を守るためには力を手に入れる必要がある。そのためには自分よりも強い男から、少しでも学ぶべきだろう?」
少し気になることを言ったが、この男、少しは考えているようだ。少し、ほんの少しだけ見直した。
「それに、君たち3人は女性だが、ミスター・コルベールと彼は男性だ。数が合わないじゃないか?」
なんの話だ。
さて、コルベールの研究室だが、本塔と火の塔に挟まれた一画にあった。見るもボロい掘っ立て小屋だ。
はじめは自分の居室で実験をしていたが追い出され、ここに落ち着いたらしい。
中にはバベル2世が昔学校の理科室で見たようなものや、魔女が使うような壷、本の山と2人入るのがやっとであった。
おまけに匂いがきついので、残る4人は外に出て窓ガラス越しに見ている。
「それで、エンジンについて聞きたいんだが…」
「いや、ぼくも基本的な原理だけで全てを知っているわけでは…」
そういうとコルベールはがっくり肩を落とした。
「ぼくのいた世界では、そういうことは専門の技術者が設計や開発をしていたので、一般の人間は詳しいことなどわかりませんよ。
もっとも一般の人間でも学ぼうと思えば学べるんですけどね。」
コルベールが顔を上げた。メガネがギランと輝く。
「なるほど!ならば聞くが、わたしのような他国者が行っても、その技術は学べるのかね!?」
「ええ。充分可能ですよ。」
パアア、とコルベールの顔が明るくなった。
「そうか!それだ!すでにそういう技術を持った国に行き、学べばいいんだ!技術を輸入して導入すればいいんだ!いいことを聞い
たぞ!それで、きみ、えっと、ビッグ・ファイアくんだったね?きみの国へはどういけばいいんだ?」
「え…?」
絶句するバビル2世。
「きみの国だよ?行かないと学べないじゃないか。」
誤魔化すこともできた。だが、下手に誤魔化して希望を持たせるのはこの男に対してかえって申し訳ない気がして。
それならいっそのこと完全に希望の芽を摘んだほうがよいのではないかと思い、
「じつは、ぼくはこの世界の人間ではないんです。別の世界からやってきたものなんです。」


コルベールがぴたっと静止する。
「ほう、なるほど。別の世界から。」
「驚かないんですね。」
「そりゃあ、驚いたさ。でもね、その服といい、普段の言動、行動、どれもぶっとんでいる。おもしろい。じつに、おもしろい。異世界
だと?きみがきたということは、こっちから行って戻ってくる方法もあるんだろう?いいねえ、じつにいい!希望は膨らむばかりだ。
だからビッグ・ファイア君。困ったことがあったら、いつでもなんでも相談してくれ。この炎蛇のコルベール、いつでも力になるぞ。」
「ありがとうございます。では、こちらもコルベール先生に言っておきたいことがあります。」
「なんだね?」
「ぼくは本当はビッグ・ファイアではなく、バビル2世というんです。」
「わかったよ。」とコルベールが答える。
「バビル2世。うん、覚えておくよ。」
しかし、たぶん忘れるだろうなぁ。

と、そこにギーシェ?あ、ギトーだ。ギトーが飛び込んできた。
「おや、ギトー先生、どうなされました。」
「いえ、どうやら本決まりになったようです。」
「そうか!実にめでたい。」
「では、あとは予定通りに……」
そのまませくせくと出て行くギトー。
何事だろうか、と4人もあとを見ている。
「ああ、ちょうどいい。そういえばきみたち4人はあのときいたんだね。アンリエッタ王女のご来院が正式決定したのだよ!」



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