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魔法少女リリカルルイズ27


ゴーレムの右腕から音を立てて火矢が飛び出す。
ねらいはシルフィード。それに、その背中に乗っているタバサ、キュルケ、ルイズ、ユーノの4人。
「少し右」

きゅい。

シルフィードは体を少し傾けて、火矢がうまく追ってこられるように進路を変えてやった。
「ねえ、タバサ。この方法、やっぱり無理があるわよ」
キュルケは風にばたつく髪を押さえている。
「大丈夫」
「でもね、あの火矢をおびき寄せてゴーレムに当てるなんて無理がありすぎるわ。フレイム・ボールも敵を追いかけるけど、使ったメイジに当てるなんてできないのよ」
「フレイム・ボールとは違う」
タバサは横目で火矢が地面をえぐった後を見る。
「追いかけるという性能では、火矢はフレイム・ボールよりずっと下。だからできる」
「それはよくても……タバサ!後ろ後ろ!」
キュルケの後ろには呪文を唱えるルイズ──ではなく、リリカルイズ──と彼女が落ちないように支えているユーノがいる。
さらにシルフィードの尻尾の向こうでは火矢が急速に距離を詰めつつある。
「あなたのシルフィードの方が遅いのよ!追いつかれる!」
「大丈夫」
タバサは小さく呪文を唱え体をねじりながら杖を後ろに降る。
空気に空気をたたきつけるエアハンマー特有の音がキュルケの耳を打つ。

きゅいっ。きゅきゅいっ。

音と同時にシルフィードは急加速。
青い風になったシルフィードは火矢との距離が開げた。
「ねえ、さっきのエアハンマー。何に使ったの?」
タバサは答えない。
ただ、そのときのシルフィードは涙目になっているようにキュルケには見えた。
「あなたも大変ね」

きゅい。

今度は風竜の瞳がきらりと光る。
キュルケはシルフィードが訴えかける目をしているような気がした。


暴走するジュエルシードはさらなる魔力を放出する。
それはゴーレムにさらなる力を与え、変異を促した。


さらに数発の砲撃の後にゴーレムは動きを止める。
キュルケがいぶかしんで見下ろすとゴーレムの胴体がぼろぼろと崩れ出した。
「あら、終わり?」
そうではない。
崩れたのはゴーレムの表面だけ。
その下からはハリネズミのの針ように胴体を埋め尽くす無数の砲身が姿を現す。
「ちょっと!何よ、あれ!」
「ちょうどいい」
あわてるキュルケとは反対にタバサはいつもと変わらない。
シルフィードに命じて少し降下し、羽を左右に振らせる。
「挑発してどうするのよ!」
「まだ火矢が足りない」
「ええっ!?」
ゴーレムの視線が上を向き、砲身のついた腕を上げる。
「嘘……でしょ?」
キュルケの顔が引きつった。


ルイズはキュルケとは別のことを考えていた。
ゴーレムの右腕は自分たちに向いている。
でも胴体にある無数の砲身は全てがルイズたちを狙っているわけではない。
いくつもの砲身が品評会会場を向いている。
──あそこには姫さまが
ルイズは叫ぶ。
「ユーノ!急いで!姫さまを守って!」
ユーノが口を開こうとする。
何を言いたいかはだいたいわかる。ルイズはそれを視線で押さえた。
ユーノにはそれで通じた。
「わかった。アンリエッタ王女はきっと守るよ」
ユーノはシルフィードの背中からふわりと離れる。
「キュルケさん。お願いします」
「え?ちょっと、待ちなさいよ!」
あわててキュルケはユーノに変わってルイズを支えた。
ユーノは会場に向けて飛ぶ。
その下でゴーレムが不気味な音をあげていた。


ゴーレムが爆発した。
実際には全ての砲身より無数の火矢が同時に放たれたのだが、火を噴き轟音を上げる様はそうとしか見えない。
発射音は遙か遠くまで響く。学院の塔はふるえ、ガラスも割れて崩れ落ちる。
火矢の多くはシルフィードに殺到し、あるものは全く別の方向に飛ぶ。
その内、品評会会場に飛んだ火矢の数は決して少なくはなかった。


空を飛ぶユーノの下を火矢が次々に追い越していく。
会場まではもう、あと少しもない。
この後に来る惨劇を予想してユーノの顔が曇る。
「相棒。俺だ。俺を抜け。ちったぁ助けになるはずだ」
叫ぶ背中のデルフリンガーに手をかける。
鞘から刀身が抜けきった時に視界が変わった。
ロケット弾がゆっくり飛んでいる。
ユーノにはそう見えた。
なら簡単に追い越せる。
「どうするんだ?相棒」
「全部止めるよ!」
デルフリンガーの切っ先にシールドを展開。
ロケット弾の前に立ち、受け止める。直後に爆発。
その圧力を利用して方向を変えた。
「こんどは、あれ!」
次に前に出ているロケット弾の前に飛ぶ。
普段ならできるはずのない判断が瞬時にできる。
ユーノはそれに従い、空を舞い踊る。
ロケット弾が一つ一つ、順番に爆発の中に消えていった。


ゴーレムが出現してからアンリエッタが下した命令はただ一つだけだった。
「皆さんを安全なところに!」
その一言で彼女の近衛隊は動いてくれた。
空に起こる爆発にも動じないのは日頃の訓練のせいだろうか。
だが、そんな訓練をしていないアンリエッタもここから逃げ出す気にはなれなかった。
この国の王女としてだけではない。
空で戦う白い服の少女。
その桃色のブロンドを見てアンリエッタは確信した。
「ルイズ……」
ルイズがあそこで学院の守るために戦っている。
なら自分がなぜここから逃げられるのか。
そのアンリエッタに火矢──アンリエッタはロケット弾という言葉を知らない──が迫る。
アンリエッタは恐怖した。
火矢の威力は先に爆発した地面でわかる。
走ってもフライでも逃げられる速さではない。
その場で立ちつくし動けなくなる。
目を見開くアンリエッタの前に、空から落ちてくるような速さで誰かが降り立った。
背丈より長い剣を手にした少年のメイジだ。
少年は魔法陣を先に灯した剣を火矢に向ける。
「あ……」
止める暇もない。
火矢は魔法陣にぶつかり爆発する。
にもかかわらず爆風も熱風も魔方陣に阻まれアンリエッタを襲うことはなかった。
「早く逃げてください。アンリエッタ王女!」
少年の強い言葉にアンリエッタは背を押される。
「わかりました。ご武運を」
会場の生徒はほとんど避難している。
アンリエッタは近衛の騎士に手を引かれ、生徒たちを追った。
「チェーンバインド!」
振り返ると地面に描かれた魔法陣から、しなやかに舞い踊る光の鎖が火矢の行く手を遮った。
光の鎖は火矢をその踊りの中へと引き込む。
囚われの火矢はその中で、引き絞られ、くびれ、自らを火炎と変えていった。


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