あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ドラゴンウォーター

 己の置かれた状況に対して、その少女――ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはひたすらに煩悶していた。
 (始祖ブリミルよ、これは何かの天罰なのですか?)
 サモン・サーヴァントで呼び出した使い魔。
 それは、人間の男であった。
 年は若くない。
 少なくとも二十代ということはなさそうだった。
 ひょっとすると相当の高齢であるのかもしれない。
 だがしかし、男は老人という言葉にあまりにも似合わぬ覇気と屈強な肉体を有していた。
 奇妙な衣服の袖からのぞく腕は、丸太のように太く、引き締まった筋肉で包まれていた。
 鋼のようなマッチョボディをしているに違いない。
 (それはいいのよ、それは)
 人間というのは大いに不満だが、弱いよりは強いほうがいい。
 問題はその、容姿である。
 そっているのか、それとももともとなのか、頭には髪の毛が一本もない。
 さらに、実に表現の難しい奇怪な面相をしていた。
 ブサイクといってもいいのだろうが、そのインパクトはそんな単純な言葉では形容しきれない。
 見目のよくない人間にありがちな卑屈さや劣等意識のようなものは、男からは感じられなかった。
 むしろ、逆。
 ある意味で心地よいほどの傲慢さがその言動から発せられていた。
 「あんたは私の使い魔よ!」
 そう宣言するルイズに、男は否定するでもなく、かと服従する様子も見せず、にやりと不気味な笑みを浮かべただけだった。

 召喚の翌日に、ルイズはおかしな光景を見た。
 いくら使い魔でも、こんなのと一緒の部屋で寝泊りするのは御免なので、馬小屋でも寝かせることに決めた。
 男もそれに異論を唱えることなく、部屋を出た。
 一晩たってさてどうしているか、ちょっと様子をみたところ、男はメイドの(シエスタとかいっただろうか?)と何か話していた。
 その様子がどこか変だ。
 シエスタの男に対する態度は、何か奴隷が主人に接するような、媚を含んだものだった。
 よく見れば、頬が上気している。
 全体の雰囲気も何か変だった。
 一言でいうなら、つやっぽくなっている。
 以前と服装などが変わっているわけでも、体つきが変わっているわけでもないのに、その胸や腰が妙に生々しい。
 「まずわしにこの世界のことを色々と見せよ。さすれば今宵、再び快楽を授けてやる」
 男はそんなことを言っていた。
 ルイズは深く考えないことにして、その場を去った。
 「あのルイズとかいう小娘は使えそうにないんでな」
 という台詞にはむかついたが。
 いつもなら切れて失敗魔法でかますところだが、何故かそんな気にはなれなかった。
 いや、理由ははっきりしている。
 ルイズは恐れていたのだ。
 その不気味な使い魔を。

 ギーシュの事件の時は、えらいことになった。
 何でも、キザ男のギーシュが、二股がばれたとかの八つ当たりをシエスタにぶつけていたところ、あの使い魔がしゃしゃり出てきたらしい。
 で、何故だか決闘ということになった。
 力は強そうだが、メイジ相手にどうにかなるものか。
 そんなことを考えながら、ルイズは自分の使い魔であるにも関わらず、事態を静観していた。
 しかし、結果はギーシュの負けであった。
 「念彼観音力!!」
 ギーシュが青銅のゴーレム――ワルキューレを繰り出した直後、男は妙な呪文のようなものを唱えて跳躍した。
 そのままワルキューレを飛び越え、ギーシュを蹴り飛ばしてしまったのだ。
 この一撃で、ギーシュは昏倒してしまった。
 大恥である。
 問題はその後だった。
 男はギーシュが起き上がると、妙な演説か説教だかをぶち始めた。
 「薔薇だと!? 紳士だと!? お笑い草よ、女も抱けぬような男が何が一人前か!!」
 ……つまり、ギーシュは色男づらしてまだ、だったらしい。
 何やら顔を赤くしてうつむいている。ちょっと意外だった。
 説教はさらに続き、
 「良いか!? 男たるもの能う限り長くたくましく女を抱け!! 女に神経など使ってはならん。女に仕えることはない。自分だけ愉しめ。女を舐め女にひたり聖水をほとばしらせよ! そのために穴は存在する。ゆったり天上をそぞろ歩く心もちで大きく心を開くのだ。これこそが仏に近付く道である!!」
 とんでもないことを言い出しやがった!!!
 当然女子生徒は青くなったり、赤くなったり、いずれにしろマイナス感情を見せているが、男子生徒は何故か感動のまなざしで男を見ていた。
 (というか、ホトケってなに?)

 あのキュルケが、あの変態使い魔に色目を使ったらしい。
 それを聞いたルイズは、思わず正気を疑った。
 いくら気が多いといっても、アレはないだろう。
 公衆の面前で女性を侮蔑しまくった発言をしていたあれの何がいいのか。
 最初に誘いをかけた夜は他の男とのブッキングでダメになったそうだ。
 変態使い魔は部屋を出る時、
 「では、明日の同じ時刻に忍んで参れ」
 と、ねぐらにしている馬小屋に帰ってしまったとか。
 次の夜、
 「念彼観音力 或被悪人逐!!」
 という叫びと、ドドド……という地響きが響いた。
 それから、キュルケが変なプレイに目覚めたらしいという噂が流れた。
 馬小屋で馬をさすってやりながら、うっとりとしているキュルケの姿が度々目撃されるようになったとか。
 一体、あの夜何があったのやら……。
 また、変態使い魔が馬を背負って全力疾走する姿を見たという声も聞いた。
 ンなあほなと思いつつ、あの変態ならばやりかねないと思ったりした。

 またおかしな噂が立った。
 あの使い魔が男子生徒を集めて変なことをしてるらしい。
 夜な夜な学園内の講堂に集まって何かをしているというのだ。
 何かというのは、一体何だ。
 (あのハゲ、女ばっかりじゃなくて、男にも手を出しているのかしら!?)
 キュルケといい、シエスタといい、ミス・ロングビルといい、すでに色んな女性とそういう関係になっているのは周知の事実。
 その割に、一応契約を結んだ主従であるはずのルイズに何もしないのは、喜ぶべきか、悲しみべきか。
 一応気にはなったので、キュルケが変な趣味に目覚めて疎遠になってしまったというタバサとこっそりと様子を見に行くことにした。
 タバサもルイズと同じく、男には手を出されていない……というか、無視されているらしい。
 そして、密かに近づいた講堂からは、
 「そうら、しごけ、しごけ!!! もっと強くだッ! イチ・ニイ・サン・シッ!!」
 変態使い魔の大声が響いていた。
 (しごく? しごくって何?)
 後輩をしごくという言葉は耳にするが、しかし、何かこの場のそれとは符号しないように思える。
 「この程度で漏れるような奴は男ではなーいッ!!」
 (濡れる……? つか、マジで何やってんの!?)
 のぞいてみたいが、怖くてルイズは動けなかった。
 「何じゃ! 貴様の○○は!! 縮みっぱなしではないか!!」
 マジで何をやっているのだ……。
 代わりに、中をのぞいたタバサは、
 「……」
 失神した。

 以後、タバサは強烈な男性恐怖症に陥ってしまう。
 一体何を見たのか、ルイズは言及していないが、初心な乙女には耐え難い代物であったことは間違いないだろう。

 「これが女犯道!! 俺の世直しだあ!!!」

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