あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

魔法少女リリカルルイズ26


砲撃魔法ディバインバスターはいつまでも撃ち続けられるような魔法ではない。
短距離走にも似て、砲撃時間は長くはない。
その限界時間まで撃ち終えたルイズは、レイジングハートを上に向けて顔をしかめた。
「ルイズ?」
「駄目。届いてない」
暴走したギーシュのゴーレムを撃破したとき、城下町で暴れる木を撃ち抜いたとき、どちらもジュエルシードをつかんだ、という手応えがあった。
だが今は限界まで撃ち続けてもその手応えがない。
魔力がジュエルシードまで届いてないのだ。
「なら、もう一回!」
再び魔力を溜め直せばディバインバスターは撃てる。
ルイズは今度こそと再びレイジングハートを構える。
そのとき、またルイズは閃光を感じた。
ジュエルシードの力が高まっているのだ。
その証拠にむき出しのジュエルシードが輝き、その中でゴーレムが急速に復元していく。
復元が簡単な土のゴーレムであっても、あの速度は異常だ。
「その前に撃ち抜いてやるわ」
ルイズの呪文に応じて作られた光球──ディバインバスターの発射台となるそれは、ディバインスフィアと呼ばれる──が徐々に大きくなっていく。
その間もゴーレムは急速に復元していき、ついにはルイズの魔法が完成する前に復元を終えた。
そしてルイズに右腕を向ける。
ルイズは呪文を止めない。この距離ならゴーレムが手を出せるはずがないからだ。
それに砲撃魔法以外にルイズには選択肢がない。
「リリカル・マジカル」
魔法の完成まであと一回というときにゴーレムが突き出した手がぼろりと崩れた。
崩れた腕の中からは黒い筒が現れる。
それを見たユーノが顔色を青くして、なおも力ある言葉を唱え続けるルイズの前に出る。
ディバインスフィアの前にだ。
「ルイズ!駄目だよ!よけて」
ゴーレムが突き出す黒い筒から爆発音がする。
同時にユーノが右手に作り出したシールドと何かがぶつかって爆音をあげる。
「早く、ルイズ逃げて!」
ルイズは訳がわからない。
あのゴーレムが何をしたのか、何が爆発したのかさっぱりわからない。
魔法を使ったのというのもおかしい。即席のゴーレムがそこまで高度なことをするはずがない。
それでもユーノの言うことはわかる。
光るフライアーフィンで宙を滑り、ゴーレムとの距離を開けた。
さらに、ゴーレムの黒い筒から3回音がする。
高速で飛ぶルイズには、ゴーレムが黒い筒から火を噴くおかしな形の火矢を射出したのがわかった。
それは本当におかしな形の火矢という他はない。
鏃の代わりに口を貼り合わせた黒いカップみたいなものがついている。
いくら火矢でもあんな尖ってない鏃では意味がないだろうとは思うが、ユーノが警戒しているのなら、きっと危険なものなのだろう。
その火を噴く矢が三つ、ルイズめがけて飛んで来る。
「な、何よ!あれ」
このままでは火矢に当たってしまう。
ルイズはただ後ろに飛ぶのをやめ、右に滑る。
どんな矢でも横に避けてしまえば当たりはしない。
「えっ?」
ルイズは驚きとともに速度を上げる。
矢は普通、真っ直ぐにしか飛ばない。
だが、この火を噴く矢はルイズが避ける方向に向きを変えて追ってくる。
「何よ、こいつ」
ルイズは自分より少しだけ速い矢を振り切るべく、今度は地面に向けて加速した。


学院の品評会場であわてていたコルベールもゴーレムと、それと戦うメイジに気づいていた。
会場にいる他の生徒や教師と同様にコルベールも空を見上げる。
「あれは……」
コルベールもメイジを追跡する火矢を考えたことはあった。が、今はその研究は止まっている。
「ほう」
コルベールはほんの少しの間、危険を忘れて感嘆の声を上げた。


火矢はルイズを追い、地面に向きを変える。
肩越しにそれを見たルイズは、地面にぶつかる寸前で反転。地面を蹴って今度は急上昇する。
ルイズを追っている火矢も向きを変えてルイズ追い、上昇に転じようとするが、1本は間に合わなかった。
地面に激突し、そして……


かぜっぴきのではなく、北風のマリコルヌは人混みを外れて少し休んでいた。
そろそろ会場に戻ろうとしたところで、空気を切る鋭い音が聞こえてきた。
振り返ると何か白いものが落ちて、すぐに上に飛んでいく。
顔はわからないがスカートをはいた女の子にも見えた。
上に飛んでいく少女にマリコルヌはしばし注目する。
スカートはどんどん高く飛んでいき、マリコルヌは首をどんどん上に傾けていく。
「もうちょっと。ああっ、おしい」
しまいには体をのけぞらせてまで上を見る。
そしてマリコルヌは仰向けに倒れてしまった。
同時に爆発が起こり、土砂がマリコルヌの上に落ちてくる。
「うわ。ぺっ、ぺっ」
顔に落ちた泥をはたいたマリコルヌは見失ったスカートの代わりに足元を見た。
「ひぃっ」
そこにできていた大穴に腰を抜かしてしまう。
──もし、あのまま立っていたら……
マリコルヌは歯をがちがち鳴らせた。


空にまで及ぶ爆風の圧力にあおられ、ルイズはわずかに上昇した。
その下をルイズほどにはあおられない火矢が二本、ルイズを追い越して走っていく。
ルイズはレイジングハートを前に向ける。
二本の火矢は方向を変えるために速度を落としている。
そしてルイズにはディバインバスターを撃つために溜めていた魔力がまだ残っていた。
「シュートっ」
一瞬の魔力光が火矢の一本を貫き爆発を起こす。
バリアジャケットで防ぎきれない熱い風になぶられ、顔を赤くしたルイズは後ろに飛んだ。
次に襲ってきたのは爆煙を突き破り飛んでくる最後の火矢。
あわてて速度を上げようとするが近すぎる。逃げられない。
「!!!」
ルイズは目をきつく閉じた。
爆発。
闇の中で予感した衝撃は届くことはなかった。
「ユーノ……」
彼女の使い魔が、また火矢をシールドで防いでいた。
衝撃も熱風も届かない。
ルイズはもし直撃したときのことを想像した。
地面にできた穴。バリアジャケットでも防ぎきれない炎。
「あんなのを、防いでいたのね」
──ユーノが来てくれなかったら
背中が少し寒くなる。ルイズの体が少し震えた。


地上のゴーレムは空を見上げて動かない。
ルイズも少し休みたかった。
爆発のおかげで変な耳鳴りがするし。

ばっさばっさ。
きゅるきゅる。

訂正。耳鳴りではなかった。
いつかと同じように後ろに何かいる。
「ねえ、ルイズ」
空でもすっかり聞き慣れたキュルケの声。
「リリカルイズ」
訂正するタバサ。今日も真顔だ。
「わかってるわよ!で、リリカルイズ。なにやってるのよ」
ルイズはくるり振り向く。
「なにやってるのよ。じゃないでしょ。キュルケ。ここは危ないよの。タバサまで連れてきて。早く逃げなさい!」
「大丈夫よ。魔法少女リリカルイズがぱぱっとやっつけてくれるんでしょ。あのときみたいに」
「できるくらいなら、ぱぱっとやってるわよ」
「なんで?あのときみたいに、あなたの魔法でどーんと行けばいいじゃない」
「なんでって、あのね……えーと」
説明しようとするが詰まってしまう。
ルイズも感覚ではわかっているが、うまくは説明できない。
「それはね」
目が明後日の方向を向くルイズに変わってユーノが説明を始める。
「あのゴーレムを倒すには、ル……」
「ユーノ!」
「あ、うん」
あわてて言い直すユーノ。
「リリカルイズが十分な魔力をジュエルシードに当てないと行けないんだ」
「ジュエルシードって?」
キュルケが首をかしげる。
「あのゴーレムの中にある青い宝石だよ」
「あ、ユーノ!教えちゃっだめ!」
「あっ」
口を押さえるユーノを見て、キュルケがにやにや笑う。
──ふーん、ジュエルシード。
言われてみれば、城下町のお化け大木にもそんなのがあった。
「ささ、言っちゃいなさいよ。手伝ってあげるから」
キュルケに促されて決まり悪そうなユーノが説明を再開する。
ルイズは止めたかったが、いい方法が見つからないのでキュルケに教えることにした。
「リリカルイズの魔法だったら一回の砲撃だとジュエルシードに十分な魔力が届かないんだ」
「だったら2回撃てばいいじゃない」
「2回目を撃つには魔力を溜めないと行けないんだ。でも、その間にゴーレムは復元してしまう。そしたら、またやり直しになるんだ」
「近づいて撃ったら?」
「あの質量兵器にやられると思うんだ。僕もあれを防ぎ続けるのは難しいと思うし」
「質量兵器って?」
「質量兵器というのはね、えーと」
本を何冊か読んだが、この世界には質量兵器という分類はない。
ユーノはとりあえずのわかりやすい説明を考える。
「大砲みたいな武器のことだよ」
「あれって、大砲なの?」
ルイズが問いただす。爆発でとばしているみたいだから、そうといえないこともないかもしれない。
「うん。でも、あのタイプは誘導の機能はないはないはずなのに。ジュエルシードの影響かな」
ユーノはそう言って考え込む。
キュルケも手伝うといってしまったので考えてみるがどうもいい方法が思い浮かばない。
遠ければ魔力が届かない。近ければ魔力を溜める間に大砲の的になる。
キュルケは自分の火の魔法でゴーレムを爆破するというのも考えたが、とてもではないが十分な威力はありそうにない。
「私に考えがある」
タバサが唐突につぶいた。


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