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ゼロと聖石-18


ミメットが元気に走り回り、シルキスが火の塔の上に立っている。
ほかの使い魔たちと一緒にはしゃぎ回るのがチョコボの日常だ。

チョコボを飼って知ったことは、成長が早いことだ。
一週間で私の背丈を追い越して、乗れるサイズまで育った。
今は、鞍を体になじませている最中である。

その光景を見ながら、私はポーションを飲む。
手元には白紙の本、王家に伝わる始祖の祈祷書だ。
アンリエッタ姫から結婚式の祈祷文を読み上げてほしいと。
今は各属性の同級生に協力してもらって、文章を考えてる最中だ。

普段ならシエスタが紅茶を運んでくるが、今は帰省中。
といった事情で、チョコボの面倒は私が見ている。
野菜をあげたり、羽を整えてやったり、騎乗の練習をしたり。

コルベール先生は相変わらず『エンジン』を弄っている。
労働八号に進行状況を聞くと、

「ゲンジョウデ、ウゴカスコトハ カノウデス タダシ カイセキシュウリョウハ モウスコシダト 

イッテマシタ」

この分だと、もうしばらく掛かりそうだ。
二週間で間に合えばいいんだけど。




といった事情にも裏がある。
アルビオン方向から来る噂が不穏な空気をはらんでいる。
それも、軍備を進めているという噂が。
情報元はシエスタ。
タルブ村に集まる噂話を手紙にして送ってもらっている。
休暇なのにゴメンなさい。

しかし、今トリステインを攻めるのは得策じゃ無いはず。
気に入らないとはいえ、ゲルマニアとの同盟が有る。
いくらレコンキスタが最強の空軍を持っていた所で、数は覆せないはず。

「休戦で力を蓄えるの? それとも奇策でも使うのかしら…?」

どちらにせよ、開戦まで時間はそう長くは無い。
ここがトリステインの修羅場といったところか。

ところで今まですっかり忘れていたが、ウェールズさまはどうなったかしら?
別れ際に眠らされたからなぁ…



時間はアルビオンからの帰還までさかのぼる。

傷の処置を済ませた後、私ことワルドは『土くれ』フーケと共に、ウェールズの死体を捜していた。
奥の聖堂には、私とルイズ、あの平民―――シエスタとの死闘の後が残されていた。
中身の無い袖が揺れ、あの戦いで奪われたものと敵の姿がよぎる。

―――アレだけの傷を負わせたのに、生きているということ自体が驚きだ。

地下の港に倒れていたメイジの遺体を見て、確証に変わった。
鋭い斬撃と共に残る焼け焦げ、十中八九シエスタの聖剣技だ。

聖堂から歩き、玉座の間にたどり着く。
ウェールズの遺体はそこに倒れていた。
手には、シエスタが使っていた剣の片方。
刻まれているルーンが何を意味するか解らないが、魔力の増幅効果を意味するものだろう。

「これは、コピーのルーンソードだね。タルブ村でしか売られていないヤツだ」
「ほう、目利きは流石だな。土くれ」
「ちょっとでも旅をしたことあるなら『冒険者の楽園』のことは知ってるさ」

なるほど、冒険者の楽園か。
気になるところだが、たかが小規模の村。
所詮は搾取されるだけの平民集団が肩を寄せ合っている程度。

「気になるのは、聖剣技か。メイジでもない平民が一体なぜ…」
「やぁやぁ! ワルド君、ウェールズの遺体、それとラブレターは見つかったかね!?」

やけにテンションの高い声が響く。
オリヴァー・クロムウェル。
もともとはただの司祭で、今はレコンキスタ総司令である。

「申し訳ございません、腕ごと持ち去られました」
「いや、構わんよ。それ以上に大事なのはこっちのウェールズだ」

倒れたままのウェールズに杖を振り、呟くような詠唱を紡ぐ。
すると、ウェールズの遺体が起き上がり、クロムウェルに対して礼をした。

―――これが、虚無の魔法か。

会話をするウェールズとクロムウェル。
薄ら寒いものを感じながら、虚無の力に軽い恐怖を覚えるのだった。



シエスタが帰省してから五日が経った。
レコンキスタから休戦協定が持ちかけられ、王家はそれを受けた。
それにアルビオン側からの親善訪問も間近に迫っている。
当面状況は動かないだろう。


クックベリーパイを食べながら、シエスタからの手紙を読む。
噂話は休戦ムードで染まっていて、当面の動きは無いものと見ている。
ただ、一つだけ毛色が違う一言が載っている。

『レコンキスタの元、全ての国が統一され、聖地奪還のために一丸となる』

という一文が書かれている。
この噂は、レコンキスタに参加していたタルブ村の傭兵からだ。
内容の詳細を読むのと同時に、違和感が湧き上がる。

オリヴァー・クロムウェルはただの司祭だった男だ。
そんな男が虚無を手に入れただけで、あそこまでのし上がれるものなのか?
何か、裏を感じる。
クロムウェルの背後もそうだが、親善訪問にも何かの意図が見えてくる。

全ての国を統一して、聖地を奪還する。
今、レコンキスタは勢いに乗っていて、士気も抜群。
加えて虚無の使い手という肩書きだけでも、掲げた看板に箔が付く。
消耗しているとはいえ、殆どは無傷。

アルビオンの空軍戦力は脅威そのもの。
対するトリステイン側に対抗しうる航空戦力は無い。
この状況で掛けられる奇策は唯一つ。

―――騙し討ち。

親善訪問でイチャモンをつけ、先制攻撃で数少ない航空戦力を黙らせる。
その後は援軍の来ないうちに、煮るなり焼くなり好きなように調理。

いくらなんでも親善訪問を騙った奇襲など、恥さらしな真似…
いや、やりかねない。
レコンキスタは、聖地奪還のためになら何でもやりそうだ。
それこそ、聖地奪還のためには仕方が無いことだという言い訳と共に。

その結論に至った私は、シルキスとミメットを呼び寄せた。




帰省から七日目。
今日の分の手紙を書き終わり、ベットに寝転がる。
やはり、故郷はいい。
しばらくはこうやって、自分の剣を磨いたりしてのんびりと過ごしたい。
起き上がり、村のメインストリートを歩く。
商いの声に、噂話をする近所の人たち、はしゃぎまわる子供の声。

それらを耳にしながら、村を出て、草原にたどり着く。
風が吹き、草の香りが私を包む。
平穏な日常、これらがずっと続いていけばいい。
そう思っていた。

空には親善訪問を行うトリステイン空軍の船が飛んでいる。
ラ・ロシェールよりタルブ寄りで行われる親善訪問のお出迎えは、ここからだとよく見える。
ロイヤル・ソヴリン号から祝砲である空砲が放たれ、返答の空砲がトリステイン側から発せられる。

次の瞬間目にしたものは、レコンキスタ側の船が爆煙をあげる瞬間だった。
その光景を見た瞬間、私は村まで走った。
ここはもうじき―――戦場となる。
その前に村の人を避難させないと!

口笛を吹き、呼ぶのは私の愛羽。

「来なさい、トウホウフハイ!」

凄まじい勢いで飛んできて、隣に降り立つ黒チョコボ―――トウホウフハイに跨り、村へと急いだ。


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