あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのMASTER-03

窓の外は暗い――― 上を見上げる。なんと言うことか。月が二つもある。しかも、かなり大きい。
やはり、ここはイギリス………いや、地球ですらないのか。
キートンの心境は困惑していた。帰らなければならない。家族の所へ、親しい友人達の所へ。
とりあえず、この世界の詳しい情報を得なくては。そう思い、ルイズと話す。

「ルイズ君。彼等は僕のことを平民と言っていたようだけど………」
「それがどうかしたの?」
「いや………。なんで平民って呼ばれたのかなってね」
ルイズは首を傾げる。
「だって平民じゃない。冴えないし、魔法は使えないし、変な服着ているし」
………このスーツ、けっこうお気に入りなんだけどな。
「ま、私達『メイジ』には一生追いつけないわね」
彼女はえっへんと胸を張る。メイジ………魔法使いは、この世界では相当な権力を有しているようだ。
私は実にまずい所に放り込まれたのかもしれない。階級社会だとしたら―――
私の母もイギリスはコーンウォールの貴族だった。だが、この世界の貴族は………。

「この部屋………電気は通ってないんだね」
テーブルの真ん中に置かれているランプをぼうっと眺めながら、ぽつんと呟く。
高価なランプのようだ。火はゆらゆらと揺れている。揺れているのは私の心、か。
「デンキってなに?」
「………なんでもありません」
科学技術はあまり進歩していないのだろうか?

「僕は元の世界には帰れないのかい?」
単刀直入に訊いてみる。"召喚"されたということは、ひょっとしたら元の世界に戻すことも………。
だが、ルイズの口から出てきた言葉は私を絶望の底に叩き落すものだった。
「無理よ」
「ど、どうして?」
「だって、あんたはわたしの使い魔として契約しちゃったもの。あんたがどこの平民だろうが、別世界とやらから来た人間だろうが、一回使い魔として契約したからにはもう動かせないわ」
「そ、それは困るよ。私には待っている人達がいるんだ。それに、仕事もあるし………」
「とにかく無理。だいたい、わたしの方が不幸よ!やって成功したと思ったらあんたみたいな………」
不味い、逆鱗に触れてしまいかけているようだ。とにかく話題を変えなくては。
とっさにポケットに手を入れる。なにか、なにか………。
あった。

「ル、ルイズ君。これをどうぞ」
「なにこれ?」

レモンキャンデーだった。

「そもそもあんたが別世界から来たってのが信じられないのよね」
ルイズはキャンデーをころころと口で転がしながら食べている。
安物ね、とか言ってたけど少しは満足したようだ。
「何か証拠見せなさいよ」
「あー………、うん」
もう片方のポケットをまさぐる。出てきたのは………財布とジッポーライターだった。
ダニエルがくれた奴だな。なんか聞いたことも無い格言と一緒にくれたけど。
「これはどうかな?」
「なにそれ?」
「ライターだよ。こうやって………」
シュボッという軽快な音と共に火が飛び出す。さすがはダニエル。なかなか高級なやつみたいだ。
「火の魔法ね」
「いや、魔法じゃなくて、機械だよ」
「キカイ?それは何系統なの?」
「うーん………」

その後も彼女といくつか話をした。この大陸はハルケギニアというらしい。
そして、今私がいる国はトリステイン王国。
最後に私を元の世界に戻すような魔法は無いということだった。
「『サモン…サーヴァント』は呼び出すだけ。使い魔を元に戻す呪文なんて存在しないもの。だいたい、サモン…サーヴァントはハルケギニアの生き物………つまり、動物や幻獣などが召喚されるのよ。
人間が召喚されるなんて初めて見たわ」
「そんな………」
私はがっくりとうなだれた。ふと、昼に刻まれた文字が目に付いた。左手の甲の―――。
落ち着いて、ようく見てみる。昼間は頭が混乱して忘れていたが、このルーン文字、どこかで………。
ああ、そうか。

「ガ、ン、ダール、ヴ………?」
私はぽつりと呟く。
「何か言った?」
ルイズが怪訝な顔をしている。なんでもないと言ったあと、手の甲を隠した。
「もうそろそろ寝るわ」
「ああ………、もうそんな時間か」
腕時計を見る。………壊れていた。恐らく、あの鏡に入ったときの電気ショックのせいだろう。
高かったのに………。
と、突然ルイズが服を脱ぎ始めた。私が慌てていると、キャミソール一枚になった彼女は私の方に下着を放り投げて
「じゃあ、これ、明日になったら洗濯しておいて」

私も寝たほうがいいだろう。………ところで、私のベッドはどこにあるのだろうか?

「あんたは私の使い魔でしょ?洗濯、掃除、雑用、当然じゃないの」
毛布一枚を放り投げたルイズは床を指差す。そこで寝ろということらしい。
私が毛布にくるまうと、ルイズはパチンと指を鳴らした。同時にランプの火が消える。
これも魔法なのか………。
私は地面に倒れこむように寝転んだ。

百合子………父さん………太助………ダニエル………チャーリー………みんな………。
絶対に、元の世界に戻るからな………。


―――朝。
私は目を覚ました。疲労はまだ残っているが、文句は言えない。ふと隣に下着が落ちている。
………ああ、彼女の、か。ベッドの方に目をやるとスヤスヤを寝ている。普段の強気な少女の面影は無い。
「さて、と」
しまった、洗濯場の場所を聞き忘れたな。誰かに聞かないと。下着を洗濯籠に入れる。
こういうことは早めにやっておかないとな。私はスーツの袖をまくって廊下へと出た。ルイズは―まだ眠っている。

「あの、すみませーん」
「はい?」
廊下を歩いている少女に声をかける。カチューシャを付け、メイドの格好をしている。
そばかす、黒髪と………なんとなく風貌が日本人みたいな感じだな。
「ちょっとお聞きしたいんですけど、洗濯場って何処にありますか?」
「ああ、それならあそこです」
少女は指差した。なるほど、大きな洗い場がある。
「どうも、ありがとうございます」
「いえいえ」
少女は微笑みながら去った。純朴で大人しそうな子だったな………。

洗い場に着き、さっさと洗濯をすませたあと、洗濯物干し場でルイズの下着を干した。
あとは彼女を起こさないと。そう思い、ルイズの部屋をノックする。
「ルイズ君、起きているかい?」
「遅いわよ」
そう言うルイズは起きたばかりなのか、髪はボサボサだ。下着は自分で着替えたようだが。
「ごめんごめん。洗濯物を干してたら、少し遅くなってね」
「言い訳はいいから、そこのブラウスを着せてよ」
「はいはい」
「はいは一回。それとわたしのことは『ルイズ君』じゃなくて『ご主人様』と言いなさい」
「わかりました、ご主人様」
苦笑しつつ、彼女に服を着せる。ふと、百合子の子供の頃を思い出した。

「ふふ………」
つい、笑みがこぼれてしまう。
「なによ、ニヤニヤして。気持ちが悪いわね」
「ああ、ごめんごめん。娘のことを思い出してね」
「あなた、子供がいるの?」
ルイズは心底驚いたような表情と声を出した。………私は子供がいるようには見えないのだろうか。
「もう高校生だけどね。小さかったときは、よくこうやって服を着せてあげていたから」
「コーコーセーってなに?」
そんな会話をしているうちに、身支度も終わった。
首輪を付ける?と言われたが、慌てて断った。いくらなんでも、そりゃないだろう………。
さて、ルイズの話だと朝食があるらしい。彼女に付いてくるように言われ、私は部屋から出た。

この学院の食堂は、まったく見事なものだった。まるで王宮の食堂みたいだな………。
食事に来た子供達は色とりどりのマントを付けている。学年別の区分けかなにかだろうか。
ルイズはさっさと前に行き、あるテーブルの前でぴたりと止まった。
椅子を引け、ということらしい。私が椅子を引いたら、どっかと座った。
………ところで、私の分の食事はどこだろうか。
「ル……ご主人様、僕の分の食事はどこかな?」
ルイズは黙って地面を指差した。見ると皿が一枚。
いやいやいやいや!これは無いだろう!これならダニエル探偵事務所で自炊していた方がいい!
「あー、ああ。ちょっと散歩してくるよ。すぐに戻るから」
ルイズが何か言っていたが、構わず私は食堂から出た。
駄目だ………さすがに空腹だ。思えば、昨日の夜も食べていないのだ。
ポケットをまさぐると、レモンキャンデーが一粒………。悲しいが、仕方無いな。
それを口に放り込み、ウロウロしていると
「あの」
声をかけられ、振り向いた。ああ………。確か、昨日洗濯場を教えてくれたメイドの子だな。
「やあ、昨日はどうも」
そういって彼女に挨拶をしたら……盛大に腹の虫がなった。
「あ………」
「お腹が空いてらっしゃるんですか?」
「あ、はい。実は昨日の夜から食べてなくて………」
「まあ!それは大変」
女の子は悲しそうな顔をすると、
「こちらにいらしてください」
私は彼女についていくことにした。さすがに、もう限界だったから………。

到着したのは厨房だった。彼女は親切にも私に食事をわけてくれたのである。
まかないものということだったが、私にとっては最高の料理のように思えた。
それらを一通り食べ終わると、私は彼女と話し始めた。

「ありがとうございます、とても美味しかったですよ」

私がそう言うと、彼女はとても喜んだ。
「ああ、すみません。申し送れました。私は平賀…キートン…太一と申します」
「まあ!それでは、あなたがミス…ヴァリエールが召喚したという………」
「あー………、もう話題になってますか」
ルイズ本人にとっては不本意だろうけど。
「御飯がお皿一枚の料理だけらしくてね……。さすがに飛び出してきてしまいまして」
「わたしはシエスタと申します。もし宜しければ、いつでも来てください。私たちが食べているものでよかったら、いつでもお出ししますから」
なんて素晴らしい娘なんだろう。この世界につれて来られてから、初めて優しくされたような気がする。
「ありがとうございます。でも、さすがに何回も厄介になるわけにはいきませんし、彼女の所に戻ったら相談してみますよ。
食事のお礼といってはなんですが、何か手伝えることはありませんか?」
シエスタは喜んだ顔をすると、デザートを運ぶのを手伝ってくださいと言ってきた。
そうして彼女と作業をこなした。ようやく、人間扱いされたような気がするな………。

「どこに行っていたの!!」
怒髪天を衝くというのだろうか。ルイズは小柄で可愛らしいが、怒ったときの迫力は凄まじい。
私はお説教をされたあと、彼女の教室に引き摺られていった。
周りの生徒達がクスクスと笑っている。………まあ、無理もないか。さながら参観日に来た親みたいだからなあ。
「あらあら。授業を受けるのにも付添い人がいるの?ルイズ」
後ろで声がした。ルイズが苦々しげに振り向く。私もつられて振り向く。
そこにいたのは………美人だった。美人なだけではない、スタイルも抜群だ。ダニエルやチャーリーの奴が見たら、口説くのが目に見えるな。隣には大きなトカゲらしき生き物もいる。
こんなトカゲ、みたこともないぞ。新種のトカゲだろうか?
「キュルケ、さっさと座りなさいよ。授業が始まるわよ」
「言われなくても座るわよ。あなた、名前は?」
「ああ、えー。平賀…キートン…太一です。職業は保険………」
「こいつは私の使い魔よ!馴れ馴れしくするのは止めてよね!」
使い魔じゃなくてオプなんだけど………。
「いいじゃない、減るもんじゃなし。でも、ま、あなたには平民の使い魔がお似合いかもね」
そういうと、彼女はほーっほっほと高笑いしながら自分の席についた。
頼むから、ルイズを刺激しないでくれ……。私にとばっちりが……。
そのとき、扉が開いて中年の女性がやって来た。どうやら教師らしい。
女性はシュヴルーズと名乗ると、生徒達の使い魔を見始めた。
当然、ルイズのほうも見たわけだが。
「おやおや、変わった使い魔を召喚したものですね。ミス…ヴァリエール」
「ははは………」

私は照れ笑いをする。ルイズに足をつねられた………。

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