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神聖マルコメ帝国-2

ナオンと彼らだけの蜜あふるる約束の地、神聖マルコメ帝国。
これは、その理想郷の実現を目指す、彼ら二人の物語である。
ノーベルクロスオーバーSS賞ノミネート作品。

『神聖マルコメ帝国AZ(あのゼロ)』
 第二話 にこやかな白人男性の夢を見た

ある日。ハルケギニア大陸トリステイン王国の魔法学院にて。
太っちょの少年マリコルヌが召喚した使い魔は、我らが宇宙的英雄キャプテン・フォン・ファーザー国王でした。
ファーザーは調子に乗って苛酷な要求を51か条にまとめて提出しましたが、マリコルヌに破かれました。
仕方なく、ファーザーはMNO(もてない男)であるマリコルヌを新たなオンナスキー(皇太子?)とし、
同君連合を組んで神聖マルコメ帝国の建国を宣言。人民の人民による民主主義的共和独裁立憲君主帝国連邦としました。
主権は唯一ファーザーに与えられ、その統帥権は神聖にして不可侵であり、
《このへんで毒吐きスレで叩かれた》

「そういうわけで、今日も一発ナオンでもひっかけて来るんじゃよー。ゲヘ」
「お前が血を流して死ぬだけだろうが。僕はいつになったらモテるんだ……」
かくして、二人の建国活動(ナンパ)は続くのであった。

「さあ、みんなもやってみよう!」(※ やらねー方がいい)


貴族の子弟が集まる魔法学院では、食事もマナーを身につけるべき修業の場である。
マリコルヌ・ド・グランドプレは『アルヴィーズの食堂』で昼食をとっていた。一人で。
使い魔であるファーザーは、当然外である。何やら他の使い魔に噛み殺されているらしき音がしたが、無視した。
アレは数分もすれば何事もなく復活して、トンカツ定食を食べている。なんだっけトンカツって。

しかし、ファーザーの建国活動と称する変態的ナンパに付き合う事によって、彼の友人はほとんどいなくなった。
彼女? そんなのは脳内電流の産物じゃろ? そんな事より建国だ。五族協和、万邦一家だ。
ナオンを七人集めれば、天命が下って四海六合を併せ、八紘を一宇とし、以て世界の安寧をもたらさん。
斯様なファーザイズムに汚染されたマリコルヌは、もうかなり後戻りできなくなっていたのである。

そんな彼の目の前で、許しがたい状況が展開されていた。
同級生の軟弱男ギーシュが、ルイズの使い魔・サイトとメイド・シエスタのせいで二股発覚。ざまをみよ、天罰だ。
しかし、彼はサイトに決闘を申し込もうとしている。仮にもメイジの端くれ、平民のサイトぐらいには勝てるだろう。
そうすれば彼のモテモテ状態は回復。見よ、モンモランシーはすでにギーシュのセコンドにつこうという勢いだ。
これを看過してよいのか、マリコルヌ・ド・オンナスキー。ポッチャリスキー。

「黙って外で死んでいろ!!」
マリコルヌは、勝手に脳内へナレーションを吹き込んでいたファーザーを、風の魔法で吹き飛ばした。
しかしファーザーは空中で足の底からバーニア?を噴射し、軌道を変えてふわりと着地した。
ギーシュたちの目の前のテーブルへ、だ。

「天呼ぶ、地呼ぶ、わしが呼ぶ。その決闘、わしが買ったのじゃよ―――――――――!!」


いきなり何を言い出すのだ、この変態中年は。
「さあ、嬢ちゃんたち、そいつから離れなされ。そいつはナオンのエキスを吸って生きているのですよ?
 夜な夜な触手をウネウネと伸ばして、よからぬことをするのです。じゃが、なあに、わしにかかれば赤子も同然。
 さあギーシュとやら、わしの喧嘩を買ってもらおうか。今なら分割払い可能!」
それを聞いて、ゆらりとギーシュが立ち上がる。

「やあ、誰かと思えばマリコルヌの使い魔、ファーザー君じゃないか。
 するというと、君はこう訴えているわけだ。もし自分が負ければ、あのルイズの使い魔も自動的に負けとなり、
 モンモランシーもケティもメイドもルイズも僕のもの、お買い得ですよ、と! 一発でーも妊娠、と」

ギーシュはフラフラとワインに酔っ払いながら、よく分からない事を口走る。
彼の二つ名は『青銅の偽善者』ギーシュ。いろいろと最低な男だが、なぜかナオンにはモテる。
こんな奴、さっさと包丁で刺し殺されてしまえ。然る後に解体されてしまえ。
「ええい、黙れこのにこやかな白人。わしが貴様を解体ショーして、不審船に乗ってナイスボートしながら、
 爆発に巻き込まれて大西洋の底に沈むヴィジョンが見えた。……わしはなにか、大変なものを見ているのか?」

ルイズとモンモランシーは、とりあえず状況を整理する。
「じゃあ、あんたがサイトとギーシュの決闘の前座で、ギーシュに挑戦するって事でいいのね」
「まあ、この変態なら殺されてもなんら害はないし……むしろ善行をする事になるわね。
 じゃあギーシュ、行くわよ。『ヴェストリの広場』で両方殺してあげましょう」

……主人を置いてきぼりのまま、ファーザーはギーシュと決闘する事になった……らしい。


「さて諸君、決闘だ! この『青銅の正義』ギーシュ・ド・グラモンが、変態と犬を倒すのだ! 乞うご期待!」
ギーシュはまだ酔っ払っている。立っているのがやっとのくせに、態度がやたら大きい。
「うるせーっ、わしが貴様をサンドバッグのように、カネの埋まったリングに沈めてやる。
 この神聖モテモテ王国国王、ファーザー1世がな! はよう始めてんか、おっちゃーん」
誰がおっちゃんだ。大体、なんで僕が、このマリコルヌが巻き込まれているのだ。

「では始めよう、使い魔くん。この僕はメイジであるから、魔法を使うのが流儀!
 出でよ青銅の戦士『ワルキューレ』!!」
ギーシュがクルクル回転しながら、薔薇の造花の杖から花びらを飛ばす。それらは地面に落ち、青銅戦士を創造する。
……その造型は、どう贔屓目に見ても、ヤクザさんだったが。

『おうおう、誰に断ってギーシュちゃんに喧嘩売ってんだ』
『よーし、おめーのスペック確かめてやるよ』
『ポテンシャルまで!』

「並んだー!! 喋ったー!!」
ファーザーの頭上の赤色灯が、危険を感じてパリーンと割れた。
ナオンを感知しても、危険を感知しても光る謎のランプだそうだが、頭上にあるので自分では見えない。仕様だ。
まあ、今更光ろうが点滅しようが、数秒後にアレが死ぬ真実に、何ら変更はないだろう。
僕は体育座りで、ぼんやりと惨劇が始まるのを見ていた。

しかし、ファーザーはシュイイインと足裏からバーニアを噴出し、結構な勢いで逃げ惑っていた。
汗まみれ涙まみれで、あまり褒められた姿ではない。やがてワルキューレの一体に捕まり、フクロにされた。
「もうダメだ……投了だな」


「でええい、フラワーチョップ!!」
意外なことに、ファーザーはチョップでワルキューレを吹き飛ばした。見た目はアレだが、案外強いのか。
というより、ワルキューレが見た目の割に弱っちいのか。紙のように薄い青銅で出来ているらしい。

「おおっ、すげえぜ!」
「不死鳥だぁ!」
ギャラリーは無駄に喜ぶ。ギーシュは厭らしい笑顔を浮かべたまま、次の作戦に移る。
「では、僕の使い魔を戦わせよう。来たまえ、僕のヴェルダンデ!」
ギーシュの呼びかけに答え、地面からギュルギュルと何かが回転しながら這い出してきた。

「やーっ、ギーシュさまに歯向かう奴は、許さんですターイ。
 このいなか人間ヘビトカゲ、この世界の救世主たるギーシュさまの、忠実な下僕ですターイ」
見るからに平民というか、産地直送のいきのいい田舎者の男が現れた。坊主頭ででっぷり太り、何も考えてない顔だ。
ギーシュはこんなのを使い魔にしていたのか。というか、強いのか?

「行け、ヴェルダンデ!」
「ヘビトカゲですターイ!」
ふらつくファーザーにヘビトカゲだかヴェルダンデだかいう使い魔が襲い掛かり、ゆっくりとパンチを放つ。
見るからに弱そうなパンチだったが、命中したファーザーはズガアアアアという轟音を立てて吹き飛んだ。
真っ直ぐ10メイルばかり垂直に飛び、落下してギーシュの顔面にゴーンと直撃する。
「わあ、大変ですタイ、ギーシュさま! しっかりするですターイ」

ヘビなんとかは慌ててギーシュに駆け寄り、その怪力でバシンバシンと頬を殴り続ける。
手加減できない力の持ち主らしい。忽ちギーシュは血まみれになり、気絶した。
「殺す気かぁ!! 誰かあいつを止めろ!」


やがて騒ぎを聞きつけた教師が、魔法でいなか者を眠らせ、その場はおさまる。
かくして、ファーザーとギーシュという悪はともに滅んだ。一日後生き返ったが。
なおルイズの使い魔のサイトは、特に活躍する事もないまま日常生活に戻ったという。

(続く?)

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