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2000の技を持つ使い魔 EPISODE03 服従

2000の技を持つ使い魔
 EPISODE03 服従

 トリステイン魔法学園の学生寮の一室、ルイズの部屋に腰を落ち着けた雄介は、ルイズと共に夜食のパンをほおばりながら、情報交換をしていたところだった。
「つまりここは、ハルケギニア大陸ってところのトリステイン王国って国にある、トリステイン魔法学院ってところで………。それで、二年生に進級した際行われる使い魔召喚の儀式で俺が召喚されちゃった、ということ?」
「そ、あなたの言うことがホントなら、ここはあなたの住んでいたところとは違う世界、ということになるわ。月が一つだけで魔法使いのいないところなんて、この世にあるわけないし。それに、『ばいく』っていうんだっけ、あの鉄の馬? あんなの見たら納得しちゃうし」
 なるほどと雄介がルイズの言葉に頷いて、窓から外を見やる。
 その空に浮かぶ二つの月を見ていなければ、雄介だって異世界に来ていることなど気にもとめてなかっただろう。
 ビートチェイサーはミスタ・コルベールの取り計らいで、彼の研究室に置かせてもらっていた。
 ビートチェイサーを一目見たコルベールが、是非にと願い出た事もあり、あまりビートチェイサーを目立つようなところに置く訳にもいかなかったので、雄介としては渡りに船だった。今ごろはコルベールが分解しないまでも、思う存分余すことなく細部まで見ていることだろう。
 ただ、ルイズはコルベールの元にビートチェイサーを預けるのは不本意だったらしく、ちょっとしたいざこざはあったものの、最終的にはコルベールと雄介にとりなされる形で、しぶしぶ引き下がっていた。

「で、元の世界に帰る方法って、あるのかな?」
 異世界にいるという事は、帰る方法だってあると踏んで雄介はルイズに聞いてみる。
「無理ね。元々サモン・サーヴァント自体が、この世界の生物を召還する魔法なのに、あなたが召還されたことそのものが、おかしなことなんだから」
「それじゃあ、もう一回その召還の呪文を唱えるって言うのはどうなの?」
 呼び出すことができるのなら、送り返すことだってできるはずだろうと雄介は簡単に考えていたのだが。
「無理、だめよ」
 ところが、にべもなくルイズが言い放つ。
「でもさ、やってみないと判らないじゃない」
 雄介が食い下がってくるのを見て、ため息をつきつつルイズが言った。
「サモン・サーヴァントはね、一度唱えて使い魔を呼び出したら、次に使い魔が死んだりしないと、もう一度唱えることはできないのよ」
「……え」


「あなた、一度死んでみる?」
 そんな揶揄するルイズの問いに、雄介は一瞬頷きかけたが、大慌てで首を振って否定する。
「いや、その。死ぬってのはちょっと……」
「だから無理なの。わかった?」
 ルイズの言葉に、雄介はぐうの音も出なかった。
「というわけでユースケ、あなたは私の使い魔として動いてもらう以外ないわけ。おわかり?」
 ようやく本題に持って来たルイズが、余裕の表情で雄介に聞いてくる。
 そう、あくまでルイズにとっては、雄介はちょっと特殊な使い魔でしかないのだ。
 呼び出してみたものの、何の変哲もないただの平民かとおもいきや、すばらしい速度を出す鋼の馬を持っている。それだけでもめっけもんだ。
「ユースケは、他にどんな事が出来るの? あの、ばいくを操る以外に」
 ルイズにそう問われて、目を泳がす雄介。
「とりあえず、2000とちょっと技を持ってます。それじゃダメ?」
 努めて明るく言う雄介に駄目だしするルイズ。
「ダメ。もっと詳しく何が出来るとか言いなさいよ」
 ルイズに突っ込まれてちょっと困った顔をするものの、ならばと指を折って数え始める雄介。
「えっと、炊事洗濯なんかは一通り出来るとして、ジャグリングなんかの大道芸も一通り、彫金や刺繍もやれるし、バイクは…… あ、さっき乗ったっけ? 他には…… まぁいろいろと」
「誰がそんな事言えって言ったのよ!? そうじゃなくって、例えば、特定の魔法の発動に必要な触媒、秘石や薬草だとかを見つけることが出来るとか、何か特殊な力を持っているとか、なんかないの!?」
 一気にルイズにまくし立てられた雄介が、しばらく考えてからぽんと手を打ち合わせる。
「触媒、ってどんなものか見せてくれれば、多分見つけられるだろうし…… 何か特殊な力というと、いまはちょっと……」
「何? あんた何か特殊な能力持ってるの!?」
 特殊な力、といわれて言いよどんだ雄介を見て、ルイズがとたんに色めきたつ。
「もったいぶってないで言いなさい!」
「あ、うん。俺、戦士『クウガ』なんだ」
「くうが?」
 クウガと聞いて、ルイズがきょとんと首をかしげる。
「なに、その『くうが』って?」
 先を促されて続けようとした雄介であったが、なぜか雄介自身が今度は困った表情になって、あれこれ悩み始めたのだ。
「何で言ってるあんたが悩んでるのよ!?」
「いやその…… ちょっと一言で説明するのが難しいんだけど、そう言う名前の古の戦士になる事が出来るんだ」
「古の戦士? アンタが?」
 雄介の見かけ、ルイズよりも年上の、自分の一番上の姉くらいの年頃のひょろっとしたつかみ所のない感じのせいか、そんなに強そうには見えなかった。
 せいぜいちょっと腕っ節が強いかもしれないくらいだろうと、ルイズはこのときそう思っていた。もっとも、この想像は数日後に簡単に覆されてしまうわけだが、この時点では雄介がどんなに説明しても、大真面目にそんな程度の認識でしかなかったのだ。

「何か証明してみなさいよ、その証拠を」
 ルイズに促され、雄介はしぶしぶと立ち上がると、両手を腰の前にかざすのだが……
「……なにしてんのよ?」
「やっぱり、出てこないよなぁ」
 あれこれと気合を入れては見たものの、雄介の腰には何も出てこない。
「ホントはね、こう構えると、ベルトが出てきたんだけど…… やっぱ壊れちゃってるから無理か」
「はぁ?」
 呆れてこめかみがプルプルと震え始めてるルイズを宥めつつ、雄介は3年前の出来事をかいつまんで話し始めた。
 久しぶりに故郷に戻ってきた雄介が、訳あって古代の遺跡に封じられていたベルトを手に入れ、その所有者になった事から、約1年間ずっと戦いつづけてきた事、そんな中で彼を助けてきた仲間達の事、いろいろなことを説明した。
 その説明が終わる頃には、もはや胡散臭さ100倍と言った感じでジト目で見るルイズがいたわけだが。
「あのねえ、アンタ作り話を考えるならもっとマシな話を作ってみなさいよ!」
 脱線含みの話を半刻以上もされたルイズは、大層お怒りになられていた。
「何よその嘘みたいな話! まるでそこらの子供向けの御伽噺みたいな事を信じろって方が無理よ。もうちょっと根拠のあることを言いなさいよ!」
「根拠も何も、全部本当の事」
 と弁解する雄介を、さらに一喝して黙らせる。
「百歩譲っても、そんなに強いなら証明して見せなさい! まったく、こんなくだらない事のために遅くまで起きてる羽目になるなんて…… もう寝る!」
 そう捲し立てると、雄介の見ている前で制服を脱ぎだすルイズ。
「え、ちょ、ちょっとルイズ?」
 慌てふためく雄介をさておき、ルイズはブラウスのボタンを一つ一つ外すして脱ぐと、お構いなしにキャミソールに手をかけ、これも脱ぐ。
 次にルイズがスカートに手をかけたのを見て、慌てて雄介は回れ右してルイズを視界から外す。
 せめて人目くらいはばかったところで着替えてくださいルイズさん、と雄介が思う中、ルイズはスカートを脱ぎ、ショーツに手がけていく。
 まいったなぁ、何か中学くらいの時の、みのりの着替えに出くわしたみたいな感じだな、と懐かしくも場違いな記憶が雄介の頭の中でよぎる。
「何で後ろなんかむいてんのよユースケ」
 と、唐突にルイズが雄介の背に向かって声を投げかける。
「い、いや。だってルイズが急に着替えだすから。一応俺、成人男子だし、ねえ……」
 どぎまぎが止まらぬ雄介が、多少早口になって弁解するが、それを聞いたルイズの声のトーンが一段階下がった。
「はぁ? 何で平民が貴族の着替え覗いて欲情する気かしら、このバカ犬……」
 雄介でなくとも、今のルイズは声だけで怒りと恥辱のオーラで燃え盛っているのがやすやすと判るくらいだった。とどのつまり、怖くて雄介は後ろを振り返れなかった。
「い、犬ですか俺!?」
 さすがの雄介も、犬扱いされたとしてギョッとするが、ルイズの怒りは収まらない。
「うるさいうるさい! 普通の使い魔ですらないあんたなんか犬で十分! 大体、アンタには使い魔って意識すらないんだから、犬扱い当然!」
「ちょ、それは」
 さすがに犬扱いではあんまりだと雄介が抗議しようと後ろを振り向くと、雄介の目の前には既にネグリジェに着替え終わったルイズが、右手をズビシっと雄介の鼻っ面の前に突きつけていた。
「誰がアンタを養うと思ってるの? 誰がアンタの食事を用意すると思ってるの? それにここ、誰の部屋?」
 立て続けに告げられるきつーい事実に、雄介は声も言葉も出せなかった。
「……はい」
 もはや路は無しとあきらめもついたのか、たっぷり間を置いて雄介は頷かざるを得なかった。
「そう言うわけだから。アンタの寝床はそこの床。それと、そこの服は全部明日洗ってね」
 ルイズは、雄介からようやく満足の行く答えを採りつけてか、すっきりとした顔つきで、さらりとあれこれ言ってのける。というか、聞いてた雄介がこれまた恥ずかしくなりそうな事まで言っているが、当のルイズにはそんな意識は無い。
「え、え? 洗濯も俺? っていうか、洗濯はともかく下着まで俺がするの?」
 そんなんで良いんですかルイズさん!? というニュアンス含みまくりの雄介の質問にルイズはにっこりと笑顔で返す。もちろん、その笑顔に「あんたがやりなさい」との鉄板のニュアンスが混じっていた事は言うまでも無い。
「それじゃ、おやすみ。ちゃんと起こしなさいよ?」
 それだけ雄介に告げると、ルイズは指を鳴らして部屋のランプを落としたかと思うと、
早々にベッドの中で寝息を立て始めた。


 さて、主人は早々に寝てしまったものの、ありとあらゆる事が自動的にかつ超特急で決定してしまった雄介は、ルイズの寝息の響く中で、ふと夜空に浮かぶ二つの月を見上げながら、深く溜息をつく。
「あー…… 何か勝手にどんどん決まっちゃったけど、しょうがないか」
 大体月が二つ見えている時点で、ここは雄介の知る場所ではないのだ。現状もよく判らないまま、冒険を続けるのは無謀すぎるし、もし世界が違うと言うなら、元いた世界とは生活習慣から何から違うだろうから、うかつに動き回らないほうがいい。
 しばらくはルイズの召使として働きながら、いろいろと必要な事を覚えていくのも悪くは無い。取り敢えずは食事も寝るところも確保できたようなものだから、すべてはそれからだ。
「……起きたら全部夢、だったら…… ま、そんなことないか」
 雄介が改めて部屋を見渡すと、部屋の隅っこのほうに、それなりにたたまれた古そうなぼろ布のような毛布があるのを見つけ出す。
 毛布一枚有るのと無いのでは、夜の過ごし方も変わってくるので、雄介は既に寝ている主人に向かってありがたそうに両手を合わせてから、その毛布を広げて荷物の入ったバッグを枕の替わりに置く。
「あー、ま、いっか…… 俺も何だか疲れちゃった……」
 気分は27時間動きっぱなしの鈴村組のようだなと、唐突に訳のわからないコメントが頭の中でよぎった雄介は、静かに床に座ると、毛布に包まって枕代わりのバッグに頭を乗せて目を瞑った。
 これが全部夢だったら良いのに……
 ところが、そんなに簡単に夢で終わるわけは無かったわけである。

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