あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ-06

時は過ぎ、昼休み。生徒の大半は、昼食をとっている。
オニクスに昼食は要らなかった。ほぼ無尽蔵のエネルギーを誇る彼に、食事の補給など必要なかった。
ルイズはまたしても敗北した気分で、昼食を食っていた。これでは昼食抜きの意味がない。

オニクスは食堂の壁にもたれかかり、ぼんやりと時の経過を待っていた。
戦うために生み出された自分に平常時に出来ることなど何一つなく、食事時などは特に暇だ。戦争がしたいわけではないが、彼は退屈だった。
それに彼女の近くにいても、また口喧嘩になるだけだろう。彼はそう判断して、この食堂の隅にいるのだった。
「…」
人間で言えば目をつむり、半ば眠っている状態だ。
だが、聴覚はきちんと働いている。
その聴覚が、あるとき、ひとつの音を捉えた。
「…!」
何かが砕ける音。直後に食堂は少し静まり返り、大きな声が響く。オニクスはシステムを平常モードに移行させ、音の方角を見つめた。
どうやら、何か揉め事が起こっているらしい。オニクスは視界にそれを捉える。メイドが一人、椅子にふんぞり返る男が一人。
ギーシュ・ド・グラモン。
オニクスは彼を何度か見かけていた。きざったらしい奴、と思っていたが、どうやらそのとばっちりを受けたようだ。 顔に奇麗な紅葉がついている。
「す、すみません!」
オニクスの目にまず飛び込んできたのは、メイド服の少女が、ギーシュに平謝りしている光景だった。
オニクスは近くにいた男子生徒に声をかけた。
「何事だ」
「えと、あのギーシュがさ、かくかくしかじか」
オニクスは全容を理解した。そして、その喧噪の方向へと足を進めた。
あのメイドには、ひとつ貸しがある。

「弱いものいじめはそこそこにしておけ」
ギーシュとシエスタの騒動の一部始終を見ていたルイズは驚いた。あの何でも無関心そうで無愛想な自分の使い魔が、なんとシエスタの助け舟に入ったではないか。
ルイズは興味がわいたので、それをもう少し見ていることにした。
「自分の過失で他人を責めるな」
「何を言っている、僕はこのメイドのせいで、二人もの女性のプライドを傷つけてしまったんだぞ」
「ハイリスクな行動を起こすならば周到にしろということだ。軽い気持ちでバクチをするな」
「バクチだと!?これは正しい行いだ、僕は多くの人を幸せに」
「出来ていないなら意味は無い」
「ゴーレムだか人造人間だがPTだか知らないが、そこまで僕を侮辱して済むと思うなよ」
「こないだの戦闘を見てまだその口が叩けるか、いい度胸をしている」
確かに以前のギーシュなら、尻尾を巻いて逃げ出していただろう。だが今のギーシュは違う。何だか知らないが絶好調だ。
ギーシュは負ける気がしなかった。

「決闘だ!ゼロの使い魔!」
「…愚かしい。だが、『痛まなければわからない』というアレもあるしな、ここは少し懲らしめてやろう」
「ふん、馬鹿め。ヴェストリの広場で待っている」
オニクスを尻目に去っていくギーシュ。
これを聞いていてもたってもいられないのは、ルイズとシエスタであった。

「オニクスさん!」
「…すまない、洗濯の借りを返すだけのつもりだたが、面倒なことになった」
シエスタがオニクスになかば懇願のように言った。
「私が謝ってきますから、ど、どうか決闘は」
「俺は負けない。俺は戦うために作られた。それで負けるはずが無い」
「でも、貴族の魔法を相手にしたらどんなに強い人だってやられちゃいます!」
「…心配は無用だ。俺が死んで悲しむものなどいない。俺は負けても勝っても、どうにもなりはしないさ」
「約一名悲しむわよっ!」
そこへ後ろから、大怪獣のような形相でルイズが歩いてくる。彼女は声を荒げてオニクスに言った。だがオニクスはさらりと受け流す。
「心配してくれるのか、嬉しいものだな」
「心配じゃないわよ!負けたらアタシが大恥かくでしょっ!」
「おおかたそんな所だろうとは思っていたが…」
「わかってるなら言うな!」
「それより、心配なら要らんぞ。俺は負けない、すくなくとも赤子の手をひねるくらい簡単だ」
「ひねりすぎもどうかとおもうけど…?」
「ああいう奴は、3回転ぐらいひねってやらないとわからない」
きっとオニクスに表情が出せたなら、彼は、笑っていただろう。だが、一方でオニクスは、悪い予感を感じていた。
(--------あの小僧、何かに『憑かれている』のか)
だが、オニクスは悪い予感を頭から振り払い、集中する。憑き物が憑いているなら、振り払ってやるまでだ。

ヴェストリの広場。そこには多くの観衆が集まっていた。ルイズの使い魔と絶好調のギーシュ、どちらが勝つかで賭けが始まっている始末だ。
そして観衆の輪の中にたっているのは、ギーシュ、ただ1人。
「遅いぞ、ルイズの使い魔は」
そう。オニクスが来ない。十分が経過した今なおオニクスは来ない。
「捨てたのか、勝負を…!」

否、来ていた。

ギーシュの頭上、遥か上空。
彼は正々堂々戦う気など、はじめから無い。
「…面倒ごとは一発でけりをつけるに限る」
オニクスは右腕を天に掲げ、そこにエネルギーが集中していく、掌にたまったエネルギーはみるみる巨大なエネルギーの弾になり、一撃必中の「矢」となる。
そしてオニクスはセンサーのすべてを動員し、地上のギーシュを捉えた。
罠は無い
風は無い
弾道上に障害物なし
護衛もいない
ガラ空きだ

「矢の鉄槌(リュストゥング・ファイル)」

一句、詠唱。腕を振り下ろし、金色の弾丸を叩き下ろすようにオニクスは地上に放った。

地上では、ルイズとギーシュがもめていた。
「キミの使い魔がちっとも来ないじゃないか!」
「アタシに文句言わないでよ!」
「部下の不始末は上司の責任だろう!」
「いつからアタシは上司になったのよ!ていうかあんたがふっかけた喧嘩でしょ、あんたが責任持ちなさい!」
「なんだと、ゼロのくせに!」
「言ったわね!!」
ルイズはすぐに懐から杖を抜き出し、ギーシュに向けて構える。ギーシュは平然と構えているが、周囲の生徒は「爆発」を恐れ、退避を始めている。
ルイズは詠唱を続けていたが、不意に、ルイズは詠唱をやめてしまった。ギーシュは気になってルイズに尋ねた、
「おい、どうしたんだ」
「……ギーシュ」
「え」
「上」
「あ」
上を見上げるギーシュ。
光の弾丸が雲を裂いて、ギーシュの元に一直線に飛来するのが、見えた。ギーシュは固まる。直撃コース、常識的に考えれば間に合わない。
光の弾丸は速度を緩めず、ギーシュの頭上に。

着弾。

ぽかんとしているルイズの隣に、音もなくオニクスが降り立った。ルイズは目の前に出来たクレーターを見つめ、放心している。周囲の観衆も同様に放心したようにクレーターを見つめ、動けないでいる。
「おお、当たった」

一方でオニクスはのんきそうに、そのクレーターを見つめている。ルイズは我に返ってオニクスに言った。
「あ、あれ、あんたの仕業でしょ!」
「いかにも」
「不意打ちってちょっと…」
「いいか、ルイズ」
オニクスがクレーターから眼を離さずに、ルイズに語りかける。
「お前はこの攻撃を卑怯と思ったわけだな?」
「あ、あたりまえでしょ」
「それは『真剣勝負』を前提にしてるからだ」
「それこそ当たり前じゃない!」
「大人になったらそんな言い訳は通用しないんだ、ルイズ」
「え?」
「いつまでも自分の前提で相手が動いてくれるとは限らない。おれはその厳しい大人の常識を、身を以て教えてやったのさ」
「………それにしたって、やりすぎよ」

「全くだ」
その会話に割り込む、男の声。ルイズとオニクスは、そして周囲の人間は驚愕した。その声の主は、
ギーシュ・ド・グラモン。
先ほど光弾を喰らいクレーターの爆心地にいなければならないはずの人物は、キズひとつなくクレーターから姿を現した。
「…うそでしょ」
ルイズの耳から、またひとつ何か抜けた。心はもう抜けたので、きっと魂だろう。
「…手加減したとはいえ…無傷だと!?」
「危ない所だったよ、まさか不意打ちとはね」
「大人の世界の辛口常識て奴さ」
「子供と女性にはやさしくしたまえ…紳士ならね」
ギーシュは手に持った造花の杖を構え直す。ルイズは一歩下がり、観衆の輪の中に、一人と一機が取り残された。喧噪は止み、空気は一変する。
両者の殺気が空気を張りつめさせ、どちらが仕掛けるか、どちらがやられるのか、そういう「修羅場」の空気が、ヴェストリの広場に充満する。
もはや会話すらためらわれるこの状況、先手を打ったのは----------

破砕音。

オニクスは後ろを向いていた。その首元には剣が突きつけられている。
オニクスの視線の先には、人波を割って登場したと思われる黒い鎧を纏った戦乙女が、胸から「切っ先が無い剣の片割れ」をはやして、剣をオニクスに突きつけている。
切っ先はそれているが、反応が遅ければ、背後からの一撃は免れなかっただろう。

「…その場の状況は利用する。戦闘の基本だな」
「やはり、君に不意打ちは効かないか」
ギーシュは微笑みを浮かべている。既にその周囲には、七騎のワルキューレが待機している。
その姿は前ギーシュが使っていたワルキューレとは異なり、漆黒の刺々しい鎧を纏い、武器も禍々しい外見へと変化している。
「かかってきたまえ、ゼロの使い魔っ!」
「のぞむ所だ、ナルシスト野郎!」
剣の片割れをオニクスは引き抜くと、素早く右手の盾に格納された切っ先と合体させる。剣は完成し、光を纏ったソードへと変化する。オニクスはスラスターを吹かし、一直線に突撃した。
対するギーシュはワルキューレを突撃させ、それに応ずる。先頭の剣を持ったワルキューレの攻撃をオニクスは素早く打ち払い、跳躍。
二体目のワルキューレを踏み台に、さらに天高く飛んだ。そして大上段に構えた剣を、ギーシュに向かって打ち下ろす。
だがギーシュは素早くバックステップし、身代わりに一体ワルキューレを生成すると、それを盾に後退した。剣は一撃でワルキューレを裂く。
オニクスは素早くギーシュ本体からの攻撃を警戒し、空中へと飛んだ。
(有効な戦術だ)
ギーシュはそれを冷静に観察する。護衛に一騎のワルキューレを従え、彼は遠くからそれを見つめていた。
(確かにワルキューレは、空を飛べない。そしてそちらは空中から攻撃が可能)
だがギーシュは、笑っていた。
(確かに有効だ、「今までの僕」ならば!)
空中に飛翔したオニクスを追うように、六騎のワルキューレは背中から翼を生やし、飛翔した。
オニクスとワルキューレは、空中で熾烈な剣戟を繰り広げる。剣は火花を散らし、迫り来るワルキューレを足蹴にし、オニクスは空を舞った。
だが、斬り捨てようとワルキューレは補充され、7VS1の図式が覆ることはない。
熾烈な空中戦は、続く。

一騎のワルキューレがランスで突撃を仕掛けてきた。オニクスは蹴りで穂先を逸らし、ソードでワルキューレを串刺しにすると、さらに後方から迫り来るワルキューレに剣を払った。
剣からすっぽ抜けたワルキューレが、突撃してきたワルキューレと激突する。
オニクスは内心驚いていた。
小僧、ここまでやろうとは。
だが、この強さは既に「強力」を通り越して「異様」ですらある。
(クソ、やはりあれはただの魔術師なんかじゃない)
オニクスの悪い予感は、既に確信に変わっていた。
(しかも、あの無尽蔵の魔力…まさか)
さらにその確信は、新たなる予感を生み出す。
(『神』か!?)




次 回 予 告

変容する青銅の魔術師
そして事態は急展開を迎える
それこそ悪魔の悪戯のように
悪夢は広場で幕を開ける

次回「玄武」 その者、神の御使いか。あるいは。

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