あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

悟空のライバル?参上!!


「やっぱ、どう考えてもこれしか…地球が助かる道は思い浮かばなかった…」
 (ここは、どこ……?)
「え…!?」
「バイバイ、みんな…」
 (あれは、誰……?)
「ご…悟空…、おまえ、ま…まさか………」
 (ゴクウ? これが…?)
「え!?」
「ここまでよくやったな、悟飯。すごかったぞ!」
「お…おとうさん…」
「母さんに、すまねえっていっといてくれ」
 (何……わたしは何を見ているの……)
「き…消えた…。……悟空の気が……」
「悟空―――――――――っ!!!!」
「おとうさ――――ん!!!!!」



二つの月が煌煌と室内を照らす部屋で、ルイズは目を覚ました。
身に着けている薄手のネグリジェが、冷や汗でぐっしょりと濡れている。

「夢……?」

奇妙な光景だった。
見た事も無い場所、見た事も無い人達。皆が絶望に打ちひしがれていた。
あの醜く膨れ上がった化け物は、一体何だったのだろうか。
それと共に消えた、自分の使い魔によく似た背格好の男。
皆から「ゴクウ」と呼ばれていたから、やはりそうなのだろう。
ふと気配を感じ、自分の使い魔を見やると、彼も目が覚めたのか、部屋の隅に置かれたマットの上で上半身をむっくりと起こしているところだった。

「あんたも起きたの…?」
「ああ…。何か、変な夢見ちまってよ……」
「もしかして、あんたがいたっていう世界の夢?」
「よくわかったな」
「多分、私も今同じ夢を見ていた気がするの……」
「どういう事だ?」

ルイズは自分が見た夢の内容を話した。
始めは驚いた顔でそれを聞いていた悟空だったが、次第にその表情は確信めいたものに変わっていった。
間違い無く、ルイズの見た夢は自分が見た夢の内容と寸分違わず一致していた。
その理由は何だろうか。ルイズは考えた。

「そりゃあ、アレじゃねえのか」

悟空の寝床の脇から声が上がった。
大枚叩いて買ったものの、全くもって使用機会に恵まれないインテリジェンスソード、デルフリンガーである。

「アレって?」
「主人と使い魔ってのは、本来は主人が使い魔の目や耳を通してものを見たりするんだろ?」
「そうよ」
「相棒よ。おめえさん、人の心を読んだり念話の類ができたりするんだよな?」
「ああ」
「だったら話は早ええわな。要は相棒が見た夢を主人のおめえが一緒になって見てたってワケだ」
「そうなの?」
「そうなんか?」
「結果から見りゃそう思えるけどな。お互いの関係が一歩前進したって事なんじゃねえのか?」

釈然としない様子で、ルイズは悟空の顔を見た。
使い魔が見ているものを見られるようになったのは、確かに喜ばしいことかもしれないが、それが夢の中だけではいまいち使い勝手が良くない。
だがルイズはそれ以前に、あの夢の内容が気になった。
自分がゴクウと同じ夢を見たという点に関してはこの際無視しよう。問題は、その夢に出てきた登場人物の顔ぶれだ。
何故、あの金髪碧眼の男が『ゴクウ』と呼ばれていたのか。

「…ねえゴクウ」
「何だ?」
「夢の中に、あんたと同じような背格好の人がいたんだけど、あれ誰?」
「オラだ」
「ええ? だって髪の色も眼の色も、まるで違うじゃない」
「?…ああ、そういう事か。見てろ」

悟空はやおら立ち上がると、両手を軽く握り、気合いを込めた。
ぼう、という音と共に悟空の身体が眩い金色の炎に包まれ、方々に広がっていた髪の毛が一斉に天を向く。
今まで漆黒だった髪や瞳の色が、夢で見たのと同じ金髪碧眼へと変わり、目つきも眼光で敵を威圧しそうな険しいものになった。
全身の筋肉が張り詰め、まるでオークのような頑強さを見せている。
使い魔の豹変に、ルイズは目を見開いた。

「な、何したの…?」
「超サイヤ人だ」
「スーパーサイヤ人……? これが………」

悟空から話には聞いていたが、こうも外見が変わるものだったとは。
ビリビリと周囲の空気が震えている。見るからに強そうだ。

「つ、強そうね」
「こんなもんじゃねえぞ」

悟空が更に力を込めると、身体を覆う炎の勢いが更に激しさを増し、悟空の身体を中心として突風が巻き起こった。
着衣を乱され、吹き飛ばされそうになったルイズが慌てて止めに入る。

「っ! わ、わかった! わかったからもう止めて!!」

悟空は超サイヤ人への変身を解いた。炎が掻き消え、髪と瞳の色が純サイヤ人であることを示す黒に戻る。
デルフリンガーが興奮した口調で捲くし立てた。

「こいつぁおでれーた! 相棒! お前さん本当に普通の人間じゃねえんだな!」
「何だ、まだ疑ってたんか」
「そうだわ!」突然、ルイズが大声を上げた。
「な、何だ!?」
「ゴクウ、今度の品評会で今の奴やってみせてよ!」
「品評会? 何だそれ?」
「いやー迂闊だったわ~…品評会のことすっかり忘れてた」

ルイズによると、毎年、使い魔を召喚した2年生は学院中に御披露目するための会に出なければならないらしい。
特に今年は、この国を治めるトリステイン王国の姫君が御出でになるとの事で、生徒一同気合いが入っているそうだ。
フーケ襲来のために今日まで日程が延期になってしまっていたが、その分使い魔に芸を仕込む時間が増えたとの事で生徒には却って歓迎され、キュルケなどはかなり気合いの入った調教を施していた。
もっともオスマン氏などは、優秀な秘書がいなくなってしまったおかげで書類仕事の手間が増えてしまったと嘆いていたが。

「うん。決めた! よかった~危うく出し物を決めかねるところだったわ……。そうだ、ゴクウ。夢の続き聞かせてよ」
「続き?」
「あれからどうなったの? あの化け物は?」
「あの後はなあ……」



その頃………
トリステイン魔法学院から遠く離れた城下町の一角にある、チェルノボーグの監獄。
その中にある独房の一室で、不貞腐れた表情でみすぼらしい造りのベッドに横たわり、天井を見つめている人物がいた。
土くれのフーケである。

「あ~あ、暇だねぇ……」

あのクソジジイに踵をキメることができたので、とっ捕まった事にそれほど悔恨は無いが、裁判が始まるまでの間ずっとここに閉じ込められっ放しかと思うと、身柄上仕方ないとはいえ退屈を覚えてしまう。
戯れに脱獄でもしてみようかと思ったが、食器類は木製、その上杖も取り上げられては手の出しようが無い。
時間をかければ木製の杖をこしらえる事は不可能ではないが、その前に判決が出てしまうだろうし、よしんば出来たとして、壁や鉄格子に張り巡らされた魔法の障壁を突破するには力不足だ。

「まったく、かよわい女一人閉じ込めるのにこの物々しさはどうなのかしらね?」

苦々しげに呟く。
とりあえず寝ようと思い、目を瞑ったが、すぐに開いた。
何者かがこちらに向かってくる足音が聞こえる。牢番だろうか? いや、この足音には拍車の音が混じっている。牢番は馬に乗らない。
フーケはベッドから身を起こした。
鉄格子の向こうに、長身の黒マントを纏った人物が現れた。白い仮面に覆われて顔が見えないが、マントの中から突き出た杖を見る限り、どうやらメイジのようだ。

「こんな夜更けにお客さんなんて珍しいわね。でも、お生憎。見ての通り、ここには客人をもてなすような気の利いたものはごぜいませんの」

おおかた、貴族連中の寄越した刺客だろう。自分が盗んだものの中には、そういった連中が盗まれた事を明るみに出されると困るような代物がいくつかあった。
裁判なんてまだるっこしい事をやっていては面倒なので、口封じでもしようというのか。
フーケはこんなところでむざむざ殺されるつもりは無かった。かといって、鉄格子越しに魔法をかけられては手も足も出ない。油断させて、言葉巧に独房の中へ引き込もうと考えた。
男が口を開いた。年若く、力強い声だった。

「『土くれ』だな?」
「誰がつけたかしらないけど、確かにそう呼ばれているわ」
「話をしに来た」男は敵意がない事を示すためか、両手を広げた。
「話? 弁護でもしてくれるっていうの? 物好きね」
「何なら弁護してやってもいいぞ、マチルダ・オブ・サウスゴータ」

フーケの顔が蒼白になった。何故、この男がその名を知っている?
かつて捨てる事を強いられたその名を知る者は、もう一人もこの世には存在しないはずだった。

「あんた、何者?」平静を装ったが無理だった。声の震えは隠しきれない。
「再びアルビオンに仕える気は無いかね? マチルダ」
「まさか! 父を殺し、家名を奪った王家に仕える気なんか更々無いわ!」

フーケは冷たい態度をかなぐり捨てて、怒鳴った。

「勘違いするな。何もアルビオンの『王家』に仕えろと言っている訳ではない。アルビオンの王家は崩れる。近いうちにね」
「どういうこと?」
「革命さ。無能な王家は潰れる。そして、我々有能な貴族が政を行うのだ」
「でも、あんたはトリステインの貴族じゃないの。アルビオンの革命とやらと、何の関係があるっていうの?」
「我々はハルケギニアの将来を憂い、国境を越えて繋がった貴族の連盟さ。我々に国境は無い。
 ハルケギニアは我々の手でひとつになり、始祖ブリミルの光臨せし『聖地』を取り戻すのだ」
「バカ言っちゃいけないわ」フーケは薄ら笑いを浮かべた。「それで、その国境を越えた貴族の連盟とやらが、このコソ泥に何の用?」
「我々は優秀なメイジが一人でも多く欲しい。協力してくれないかね? 『土くれ』よ」
「お断りだわ」

フーケはひらひらと手を振った。
今自分が事を起こせば、十中八苦あの忌々しい使い魔に察知され、現行犯で現場を押さえられるだろう。
それに、国を一つにまとめるなんて夢物語には、正直興味が無い。おまけに『聖地』を取り戻す? あの強力なエルフどもから?
最終的にエルフを敵に回すつもりが本当にあるのなら、この男は正直言って、相談を持ち掛ける相手を間違えている。
どうせなら、自分よりもあの使い魔を味方につけた方が余程戦力になるだろう。
そう考えたフーケは、ひとつ提案をした。

「……と言いたいところだけど、どうせこのままじゃ極刑は免れないだろうしねえ…。条件次第で戦力に加わってもいいわ」
「言ってみろ」
「ある人間をこちら側に引き込んで欲しいの」
「何処のメイジだ?」
「メイジじゃないわ、本人曰くね。でも私クラスのメイジじゃ太刀打ちできないほどの実力を持った相手よ」
「そんな平民がいるとは信じられんな」
「信じる信じないはあんたの勝手だけど、彼を味方につけなかった場合、間違い無くこちらにとって脅威になるわ。断言してもいい」
「ふむ……そこまで言うなら、考えん事も無い。では、その条件さえ飲めば我々と一緒に来るのだな?」

フーケは腕を組むと、尋ねた。

「あんたらの貴族の連盟とやらは、何て言うのかしら」
「来るのか来ないのか、どっちだ」
「これから旗を振る組織の名前は、先に聞いておきたいのよ」

男はポケットから鍵を取り出し、鉄格子についた錠前に差し込んで言った。

「レコン・キスタ」



数日後、品評会前日。
教壇に立っているのは長い黒髪に漆黒のマントを纏った教師、ミスタ・ギトー。
はっきり言って、生徒からの評判は宜しくない。学院で何か事件が起これば、真っ先に犯人に疑われそうな人物だった。

「では授業を始める。知っての通り、私の二つ名は『疾風』。疾風のギトーだ」

教室中が静まり返った。その様子を満足げに見つめ、ギトーは言葉を続けた。

「最強の系統は知っているかね、ミス・ツェルプストー」
「『虚無』じゃないんですか?」
「伝説の話をしているわけではない。現実的な答えを聞いているんだ」

いちいち引っかかる言い方をするギトーにカチンと来たキュルケは、不適な笑みを浮かべて言い放った。

「『火』に決まってますわ、ミスタ・ギトー」
「ほほう。どうしてそう思うね?」
「全てを燃やし尽くせるのは、炎と情熱。そうじゃありませんこと?」
「残念ながらそうではない」ギトーは腰に差した杖を引き抜き「試しに、この私に君の得意な『火』の魔法をぶつけてきたまえ」と言い放った。

キュルケはギョッとした。仮にも今は授業中だ。基本的に攻撃魔法である『火』の系統魔法を使えとはどういう訳だ?
尚も彼女を挑発すギトーの物言いに、キュルケの形のいい眉が吊り上がる。

「どうしたね? 君は確か『火』系統が得意なのではなかったのかな?」
「火傷じゃ…すみませんわよ」
「構わん。本気で来たまえ。その、有名なツェルプストー家の赤毛が飾りではないのならね」

キュルケの顔から、いつもの小馬鹿にしたような笑みが消えた。
胸の谷間から杖を引き抜くと、彼女の赤毛が炎のようにざわめき、逆立つ。
杖を振り、目の前に差し出した右手の上に炎の球を出現させる。
尚も呪文の詠唱を続けると、球の直径はみるみる大きくなっていき、ついには直径1メイルほどになった。
珍しく授業に参加していた悟空が、「おー、凄ぇ」と感嘆の声を漏らした。
キュルケが手首を回転させ、ギトー目掛けて炎の球を押し出した。ギトーは唸りを上げて自分目掛けて飛んでくる炎の球を避けるどころか、杖を横振りに薙ぎ払う。
烈風が舞い上がり、一瞬にして炎の球は掻き消えた。風の勢いは凄まじく、その向こうにいたキュルケの身体を教室の隅まで吹き飛ばした。

「諸君、『風』が最強たる所以を教えよう。簡単だ。『風』は全てを薙ぎ払う。『火』も、『水』も、『土』も、『風』の前では立つ事すらできない」
「なあ、オラもやってみていいか?」
「あんたのは系統魔法じゃないからダメ」
「ミス・ヴァリエール?」
「は、はい」
「系統魔法ではない…とは?」
「彼はメイジじゃありません。何でも無いんです。聞かなかった事にして下さい」
「興味が沸いた。最強である『風』が、系統魔法を使えぬ輩に遅れを取る訳が無い。それを証明して見せよう」
「あの、考え直して下さい本当お願いします」
「やらせてあげなさいよ」

立ち上がり、自分の席まで戻って来たキュルケがルイズに向き直り、言った。

「せっかくの機会じゃない。あんたの使い魔の実力をちょっとくらい披露するのなんて、訳無いでしょ」
「あんたは黙ってて」
「Hurry up、ミス・ヴァリエール。授業時間が終わるまでお茶を濁しているつもりかね?」
「あら、待ち時間まで疾風なんですのね。男の早いのは自慢になりませんわよ」
「ああもう何でそうやって火に油を注ぐような真似をするのよあんたわ」
「だって『火』ですもの」

ルイズは頭を抱えた。フーケ討伐以降「ゼロのルイズ」と呼ばれる事がめっきり減ったので、このまま目立たないようにしようと思っていた矢先に、よりによって嫌味ったらしい教師の前で目立ってしまうなんて。
焚き付けたキュルケに非難の睨みをきかせ、ルイズは諦めた口調で悟空に促した。

「……しょうがないわ、軽くやっちゃって。あ、でも、例のスーパーなんちゃらは品評会までとっといてね」
「任しとけ」

悟空はルイズの隣に立つと、とりあえず脅かしてやろうと思い、両腕に力を込めて気を開放した。
身体が白い炎に包まれ、溢れ出すパワーが烈風となって教室中を駆け巡る。
実際には違うのだが、まさか使い魔が自分と同じ『風』系統だとは思わなかったギトーは慌てたものの、すぐに余裕を取り戻した。

「むお…! ふ、ふん。やはり『風』ではないか。私の自説に間違いは無いようだな」
「『風』系統に、自分を炎で包むような魔法なんてありましたかしら?」
「『火』系統に、このような風を起こす魔法があった記憶も無いがね」
「火は勢いを増せば増すほど、周囲の空気を取り込んで熱風を巻き起こしますわよ」

悟空をネタに、再びキュルケとギトーの舌戦が始まった。
放っておけばいつまでも続きそうな二人の応酬に悟空が割って入る。

「なあ、もう攻撃していいか?」
「え? あ、ああ。構わん。来たまえ」

悟空は右手を開いてゆっくりと前に突き出し、ごく低威力の気功弾を放った。
ギトーが先程同様に杖を振るい、風で気功弾を掻き消そうとするが、消えるどころか軌道すら乱れないそれは一直線にギトーの頭頂部を掠めた。
通り過ぎた際の摩擦熱でギトーの髪が焼け落ち、後には赤く熱せられた頭皮が顔を覗かせた。
いわゆる、逆モヒカンというやつである。
一瞬遅れて、熱が刺すような痛みとなってギトーの神経をちくちくと刺激し始めた。

「ほ…ホーッ! ホアー!! ホアア―――――ッ!!!」

文字通り頭から湯気を出したギトーが白目をひん剥いて悲鳴を上げ、モンモランシーが慌てて水を浴びせた。

「おお、さすがは洪水のモンモランシー。見事なぶっかけっ振りね」ルイズが誉める。
「ぶっかけ言うな! それに私は洪水じゃなくて『香水』よ! あんた知っててワザと間違えたでしょう!」

新たな舌戦の火蓋が切って落とされようとしていたその時、教室の扉がガラッと開き、緊張した顔のミスタ・コルベールが現れた。
珍妙ないでたちをしていた。頭に馬鹿でかい、ロールした金髪のカツラを着けている。ローブにもレースの飾りやら刺繍やらが踊っていた。
教室中の視線が一斉に彼に向く。コルベールは、呆けた様子で教壇にへたり込んでいるギトーに気付いた。

「やや、ミスタ・ギトー! これはいったい……?」
「な、何でもありません。ところでまだ授業中ですが…」
「おっほん。本日の授業は全て中止であります」コルベールは重々しい口調で告げた。
「いかなる理由があってのことですかな?」
「それが……」

ごにょごにょと密談を始める男二人。やがて、納得したのかギトーが「それでは、私もこの頭を何とかしなければ」と呟いて足早に教室を後にした。
残されたコルベールが代わりに教壇に立った。

「えー、皆さんにお知らせですぞ」

もったいぶった調子で、コルベールはのけぞった。その拍子に、頭に載った馬鹿でかいカツラが取れて床に落下する。
通気性が悪かったのか、彼の頭は若干蒸れていたようで、頭皮に汗が玉になって浮いていた。それが陽光に煌き、普段以上に彼の頭を眩く照らしている。
教室中がくすくす笑いに包まれた。
一番前に座ったタバサが、コルベールの頭を指差して、ぽつんと呟いた。

「太陽拳」

教室が爆笑に包まれた。その言葉が意味するところを知っている悟空は一際激しく笑い転げていた。
キュルケが笑いながらタバサの肩をぽんぽん叩いて「あなた、たまに口を開くと、言うわね」と言った。
顔を真っ赤にさせたコルベールが怒鳴りちらし、その剣幕に、とりあえず教室が大人しくなった。
ぜいぜいと息を乱したコルベールが再びカツラを被り直し、あらためて説明する。

「突然ですが、アンリエッタ姫殿下が王宮を出発したとの連絡が入りました。そこで急な話ですが、今から全力を挙げて、歓迎式典の準備を行います」
「あれ、出発は明日早朝の筈ではなかったんですか?」
「先方に急な予定変更があったのでしょうな。とにかく、生徒諸君は正装の上、門に整列するように。
 ああそうそう、品評会は明日、予定通り行います」


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