あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ナンダイ

こんばんは、私は今、トリステンとアルビオンを結ぶ定期便の中にいます。
さて、現在、私たちの生活の中に溶け込んでいる飛行機ですが、その登場は、実に唐突なものでした。
今夜は皆さんと、航空機その登場と現在までの軌跡を追っていこうと思います…
(トリステン国営放送制作のドキュメンタリー番組冒頭より抜粋)





彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは気がつかなかった。
彼女が平民の少年を召喚したとき、はるか海のかなたと、彼女らが東方と呼ぶ地域で、異変が起きていることなど。
彼女は、いやこの世界の誰も気がつかなかった。その異変が、この世界を全く変えてしまうことになろうとは。

話はそれから数ヵ月後、アルビオンは、ロサイスのはずれまで飛ぶ。
一人の少年が、地面に剣を突き立て、力なく跪いている。
眼前には、地平線を埋め尽くさんばかりの軍勢、その数7万!
息も絶え絶えに、少年、平賀才人がつぶやく。
「はあ、はあ…なんで俺、あんなのに突っ込まなくちゃいけないんだろ…」
「そりゃ、おまえ…」
彼のつぶやきに握られた剣が答える。
「好きな女のためだろ」
「……」
ふと脳裏をよぎるのは、あどけなく眠る、桃色の髪の少女。
彼は軽く目を閉じ、自身の相棒たる剣、デルフリンガーに語りかける。
「なあ、デル」
「何だ」
「俺、死ぬのかな…?」
「ああ、…たぶんな」
瞬間、途切れる会話。
重苦しい雰囲気を、少しでも軽くしようと、
デルフリンガーはいつもの陽気な調子で話し出す。
「…まあ、どうせ死ぬなら、せいぜいカッコつけな!」
「それもそうだな、…よし!」
一拍の間をおいて、立ち上がり、剣を抜く。
そして、両足に力をこめ、丘を勢いよく駆け下っていく。
「をおおおおおおおおお!!!」
「敵襲!!」
彼の姿を見咎めた、敵の士官が叫ぶ。
同時に放たれる無数の魔法、
しかし、それをものともせず、彼は敵との距離をつめる。
跳躍!彼が陣の只中に躍り出る。
瞬時に騎士、剣士が周りを取り囲むが、彼が振るう剣から、常識では考えられないほどの、激しい突風が襲い掛かる。
さんを乱す騎士たち、そこに突入する。あっという間に数人の騎士が切り倒される。
火の玉の爆発に吹き飛ばされても、彼は立ち上がる。
幾多の魔法も、巨大なトロル鬼も、何千本もの矢の弾幕も、ものともせず、彼はつきすすむ。
しかし…

しばしの後、彼は草原に倒れていた。
周りは、彼の屠った敵兵によって、屍山血河のごとき様相を呈している。
しかし、その周りを一重二重と取り囲むのは、今まで屠った敵兵の何倍、いや何十、何百倍の数の敵兵。
その中の、指揮官と思わしき騎士が、厳かに右手を掲げる。
それにあわせ、周りのメイジの掲げる杖に魔力が集まり、輝きだす。
大砲が仰角をとり、弓兵が弓に矢をつがえ、狙いをつける。
彼の周囲のみが、あたかも、満天の星空のごとく、まばゆい輝きを放つ。
「ルイズ…」
目を閉じれば、彼女が明るく微笑んでいた。
「まだ、死にたくねーよ…」
「相棒ー!!」
愛剣の叫び声を聞きながら、彼は、意識を手放した…


「……はっ!」
目を覚ましたとき、彼は見覚えのない場所にいた。
いや、彼自身は比較的近い場所を知っていた。
ただ、“こちらの世界”では、二度とお目にかかれない場所のはずである。
「ここは…」
「あ、目が覚めました?」
入り口から入ってきた人物を見て、彼は衝撃を受ける。
その人物は、まごうことなき、“ナース服”を着ていたのである。
「少し待ってね、今先生を呼んできますから」
「あ、ちょっと…」
まってくれという前に、その看護士は出て行ってしまった。
その場に残されたのは、なんともいえない雰囲気のみ。
「なんだってんだ、いったい…」

その後、やってきた医師に診察を受け(この医師も、才人にとって、なじみのある服を着ていた。)、入ってきた兵士(才人の目には、ニュースなどで見たアメリカ軍の兵士に見えた)に連れられ、船の艦橋まで案内されていた才人は、もう何度目かになる衝撃を受けていた。
「く、空母…?」
船の内装からして、明らかにハルケギニアのものではない、とは思っていた才人だが、まさか、ニュース映像ぐらいでしかお目にかかれない、航空母艦に自分が乗せられていたとは、思いもしなかった。
「これって、いったい…」
「驚いたかね」
かけられた声に振り返ると、そこには、いかにも“軍艦の艦長です”といった感じの、初老の男性が立っていた。
「ようこそ、空母“リゲル”へ、私が艦長のアンダーセンだ」
「あ、えっと、ひ、平賀才人です」
「はは、そうしゃちほこばらんでもかまわんよ」
「はあ…」
思わず、敬礼の真似事のようなものをしてしまった才人に、艦長はにこやかに言う。
「それで、アンダーセン艦長、ここはいったい、それに脱出船団はどうなったんですか?」
「うん、本艦いま、トリステンの沿岸からおよそ100海里のところを航行中だ。脱出船団は無事に目的地に着いたことが、確認されている。安心したまえ」
「そうか、よかった…」
ほっとしたところで、もうひとつの疑問が、頭を掠める。
「あの、こんなこと聞くのもどうかと思いますけど、俺、何で助かってるんですか?とても助かるような状況では…」
「…ふむ、では、自分がいたところを実際に見てみるといい」
「へ?」


1時間後、彼は機上の人となり、自身が立っていた地の上を飛行していた。
「これって…」
眼下に広がるのは、広大な草原…ではなく、大量のクレーター・爆心地に埋め尽くされた焼け野原であった。
「いったい、なにがどうしたら、こんなになるんだよ…」
その疑問に答えるには、あの会戦の少し前にさかのぼらなくてはならない。



トリステン王国首都トリスタニア、某国領事館
『ハロウ、クイーン・アンリエッタ、火急の用とのことですが、今日はどのようなご用件でしょう?』
「こんにちは、プレジデント・ハーリング、ほかでもありませんわ、この間お話をいただいた、通商条約と安全保障条約についてです」
トリステ王国女王アンリエッタ、彼女はいままさに、国の命運をかけた交渉の最中であった。
“電話”の向こうにいる人物が言っていたことが本当なら、間違いなくこの国を救い、かの少年の命も、もしかしたら救えるかもしれない。
「修好通商条約については、大変魅力的なお話です。わが国としましても、すぐに締結しても、特に問題はないでしょう。ただ…」
『ただ?その口ぶりだと、もう一方については、何か問題が?』
「はい、安全保障条約については、閣僚級においても、貴国の実力を疑問視する声が、聞こえているのです」
『なるほど、それでクイーン、わが国に何をさせたいのですかな』
「現在、アルビオン大陸より撤退中の、わが軍の支援をお願いしたいのです。そちらのいうことが本当なら、数時間のうちに、現地への戦力展開が可能だとか…」
『…われわれとしても、唯一の窓口である貴国の頼みです、お受けするのはやぶさかではない。ただ、無償奉仕では国民が納得しません。わが軍を動かすに足る、対価は何でしょうか?』
「条約の早期締結、それに、わが国の優先開発権だけでは、いけませんか?」
『不十分ではありません、が、理由としては少し弱い、わが国もごく最近大規模な戦争を行ったばかりなのです、軍のほうも予算不足でして』
「…今回の出兵の費用を全額、こちらが持つ、というのはいかがでしょうか?」
『…わかりました。交渉成立ですね』

某国首都、大統領官邸
先ほどまでアンリエッタ女王と話していた大統領は、付き合いの長い自身の補佐官に向き直り言った。
「トミー、すぐに閣僚を集めてくれ、それと、現在トリステン・アルビオンの近くには確か…?」
「は、空母リゲル基幹のTF-65と空母アルタイル基幹のTF-68の二部隊が展開済みです」
「わかった、その2部隊には、事前作戦書どおりに、行動するように命令をだしてくれ。それと、“友人”にホットラインをつないでもらいたい。それから、空軍のレイモンド大将にも連絡を…」

平賀才人救出まで2時間
空母リゲル艦橋
司令部から待機命令が出てから数時間、CICから要員が飛び込んでくる。
「艦長、オーレッドより入電、英雄ハ剣ヲ掲ゲタ。以上です」
「そうか、全艦艇へ、第一種戦闘配備発令、飛行隊の発艦準備を急がせろ!」
「了解、総員、第一種戦闘配置、繰り返す、第一種戦闘配置!!」
けたたましくサイレンが鳴り響き、艦内があわただしくなる。
先行する哨戒機および、墜落救助のためのヘリ部隊が甲板上に引っ張り出される。
その後に、海兵隊のヘリ、そして本命の艦載戦闘機部隊が続くことになっている。
さらに、アルビオン大陸をはさんで反対側には、同程度の戦力を有する艦隊が、もうひとつ展開している。
その上、本国および“友好国”の戦略爆撃機の運用も計画に含まれている。
このとき、異邦人のハルケギニアへの本格軍事介入が開始された。



平賀才人が、今まさに止めが刺されんとしたとき、上空からそれを見つめているものがいた。
「ブレイズよりサンダーヘッド、アルビオン軍の先頭集団を確認、情報にあった要救助者も確認した。方位1-2-1、周りに煙が見える」
『こちらサンダーヘッド、了解した。近くにいる海兵隊をまわす。到着まで、周囲を確保しろ』
「ブレイズ了解、機銃掃射を開始する。各機、俺に続け」
隊長機以下8機の漆黒のF-14Dがバンクをうち、降下していく。
突如鳴り響く轟音に、戦場にいる兵士たちは動きを止める。
そこに、降下してきた戦闘機が、機銃掃射を仕掛ける。
20mmの直撃を受けた兵士が、ミンチになる。
至近弾を受けたメイジが吹き飛ばされる。
そして、執拗に続いた機銃掃射によって混乱した戦場に、更なる混乱が舞い降りる。
「サンダーヘッド、海兵隊の到着はまだか?」
『こちらサンダーヘッド、海兵隊のヘリボーン部隊が到着した。ラーズグリーズ、目標地点までの護衛を命じる』
『こちらシーゴブリン、大急ぎで飛んできたぜ!エスコートよろしくぅ!』
機銃掃射がやんだと思ったとたん、耳慣れない羽音とともに、才人の近くにヘリコプターが舞い降りる。
『そら、天使が助けに来たぞ!』
「ストーム1、降下して周囲を確保する」
『こちらガンシップ、周囲を掃射する。早いこと勇者様を助けてやれよ!』
「わかってら、親爺さんだけに任すなよ!降下、降下!」
ヘリから降下した海兵隊員が、アサルトライフルを撃ちまくる。
止めとばかりに、ヘリからの機銃掃射が敵をさらになぎ払う。
「要救助者確保!あげてくれ!」
「ストーム1より各員、引き上げるぞ!」
「メディック、少年の傷を診てやれ!」
『シーゴブリンよりサンダーヘッド、勇者様は確保した。航空隊に仕事をさせてやれ!』
「こちらサンダーヘッド、了解した」
そして、サンダーヘッドの次の言葉で、アルビオン軍7万の運命が決まった。
「作戦参加中の各機へ、武装制限解除、アルビオン軍を、叩き潰せ!」
『ブレイズ了解、ラーズグリーズ各機、爆弾投下準備』
『ブルーバードリーダー了解、TLS起動、照射開始する』
『オメガ1了解、遮蔽物のない平原だ。当てやすくて助かる。各機弾残したまま帰るなよ!』
戦場のあちこちで、火の手が上がる。
砲兵陣地が砲手や護衛とともに派手に吹き飛ぶ。
巨大なオーク鬼が、トロル鬼が、奇声を上げながらTLSに焼きつくされる。
屈強な兵士が、高名なメイジが、何もできないまま吹き飛ばされていく。
しかし、彼らに襲い掛かる不幸はそれだけではなかった。
『オメガ1よりサンダーヘッド、弾も燃料も、心もとなくなってきたんだが…』
『サンダーヘッドよりオメガ1、安心しろ、増援が到着した』
『こちらオーシア第23爆撃大隊、焼夷弾からクラスターまで、つめるだけつんできたぞ!』
『ユーク第107爆撃中隊だ、B-2の試験飛行もかねて、飛んできた』
『こちら空中管制機敵オーカニエーバ。残念だが、敵はレーダー、対空兵器を所持していないようだ。ステルスの無駄遣いになったな』
何十機もの戦略爆撃機の編隊が空を往く。
ろくに照準をつけないじゅうたん爆撃だが、戦闘攻撃機とは威力、量ともに比較にならない爆弾の雨が、アルビオンの大地に降り注ぐ
『オーカニエーバより、作戦参加中の各機へ、任務完了だ。速やかに帰還してくれ』
作戦機が帰った後、戦場には動いているものは、ほとんどなかった。

オーレッド、大統領官邸ブライトヒル
閣僚との会議を終え、派遣軍からの報告を受け取り、ユークトバニア首相へのお礼の電話を終えたハーリング大統領は、ある青年と会談をもっていた。
「よろしかったのですか、ウェールズ皇太子?今回の件、貴国にしてみれば、痛手以外の何者でもないでしょう?」
「いいえ、ハーリング大統領、これでいいのです、今回の件で、国内の膿を出すことができました。それに、世界中の情勢に、こと、オーシアやユークトバニアといった、近代国家を見ることができました。私だけでなく、国にとってもいい刺激になるでしょう」
その青年、アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーが、やわらかい笑みをたたえ答えた。
「それより、レコン・キスタ討伐への戦力提供、戦後復興への協力、約束していただけるのでしょうか?」
「それはもちろん、帰還が絶望視されている状況下です。こちらとしても、この世界における足がかりはほしいですから。焼け野原からの復興は、大変なものになると思いますが…」
「それはもちろん、その程度でめげるようなアルビオン国民ではありませんよ」



彼、神聖アルビオン共和国皇帝、オリヴァー・クロムウェルは混乱の極致にあった。
そもそも、死んだと思っていたウェールズ皇太子は影武者であり。
国王派の貴族がほとんど生き残っていた時点で、相当に彼の目論みは外れていた。
そのうえ、当てにしていたガリア空軍は、アルビオン領空内に入った時点で、片端から撃沈されており、頼りにしていたガリア王の使いの女も、指輪とともにいなくなってしまった。
そして、自分を守っていた軍人たちは、ウェールズ皇太子の説得により、ほとんどが寝返ってしまった。
とどめは、目の前にいる黒ずくめの男たちである。
見たこともない衣服に身を包み、強力な銃火器で武装した彼らは、開口一番こういった。
「オリヴァー・クロムウェル大司教、アルビオン、オーシア、ユークトバニア、三カ国連合軍の名において、あなたを逮捕します」


あの戦役から10年、私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、オーシア共和国のトリステン王国大使館へ、駐在文官の交代要員として向かっていた。
あのあと、彼は帰ってこなかった。
ただ、世界中に衝撃が走った。
いや、そんな生易しいものではなかった。
世界のあり方が変わった、それが一番正しいかもしれない。
私が彼を召喚したその日に、同じくこの世界に出現した巨大国家、オーシア・ユークトバニアの2カ国は、私たちがアルビオンから撤退したその日、歴史の表舞台に姿を現した。
魔法の使えぬ、平民だけの国、最初は誰もがそういった。
しかし、新制アルビオン帝国、そして私の祖国トリステン王国から世界中に放たれた情報は、そのような戯言を黙らすのに、十分すぎる威力を持っていた。
ガリア軍が手も足も出なかった圧倒的な軍事力、科学技術に裏打ちされた驚異的な生産力、広大な国土、私たちが知っていたあらゆる国家と、次元が違った。
そのうえ、彼らの工業力の手を借り、急激な速度で復興、発展していくアルビオンという、実例を見せられては、みな彼の国を認めるしかなかった。
こと、アルビオン・トリステンの2カ国はともに、オーシア、ユークトバニア両国との国交樹立、安全保障条約の締結を進め、急速な経済発展の只中にある。
もっとも、頭の固い爺様貴族は、いまだにこの発展を毛嫌いしているようだが…
おかげで、宮廷内でも革新派と復古派の派閥争いが起きている。
私自身、伝統を捨てるのはどうかとも思うが、せっかくのチャンスをものにできないようでは、国としておしまいな気がする。
取り留めのないことを考えているうちに、どうやらオーシア領内に入ったようだ。
私の乗っている機の横に、エスコートの戦闘機が寄り添うようにつけている。
ただ、その垂直尾翼のエンブレムには、見覚えがあった。
どこで見たのだろうか、考えていると、コクピットに入ったその戦闘機からの無線が、キャビンにも聞こえてきた。
『IA306便、こちらオーシア第71戦術飛行隊所属機、貴機をエスコートします、こちらの誘導に従ってください』
『こちらIA306便、ガンダールヴ隊か、君らのうわさは聞いているよ、エスコートよろしく頼む』
ガンダールヴ!久しく聞いたその名に、瞬間、私の時が止まる。
まさか、彼なのか!?
こんがらがりそうになる頭を、無理やりにも整理するため、1つ深呼吸をする。
なに、それほどあせることもない、自分は向こう3年この国にいるのだ。
それに、所属も聞きとめている。
後で探すのなど、造作もないだろう。
私は、退屈になりそうだった今回の派遣に、楽しみを見つけ、人知れず笑みをこぼした。

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