あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ZEROのSENTINEL ルイズの懺悔

Gコアは大気圏再突入の姿勢に入る。
ルーツは、クリプトは、ウェストは見た。
SガンダムのA、Bパーツが再び人型を成してスマートガンの発射態勢を取る姿を。
さようなら……  ALICEの残留思念がそう言った。

彼女は最後に夢を見た。

地球から浮かび上がる二つのSの字が見え、それが重なって二重螺旋になった。
彼女にはそれが何か分かっていた。ヒトのDNAだ。永久にヒトの記憶を伝えるもの。
ALICEは今、人間だった。

大気圏突入の高熱で、彼女の内部での短絡思考が増大した。不規則で非論理的な思考の増幅。

ALICEALICEALICEALICE よい夢を……… ALICEALICEALICEALICE

スマートガンから光の奔流が伸びてゆき、再突入体勢を取るシャトルに千の鏃となって突き刺さる。
簡単な事だ。自分をさらけ出して、叫べば良かったのだ。だがもう遅い。
シャトルは見る間に先鋭な外形を膨れあがらせ、金属と微量の有機物を含んだ巨大な光芒の球へと姿を変えていく。
彼はまた独りぼっちになってしまったのだ。
クレイの最期を見届けて、オフショーの肉体は母なる大気との摩擦に擦り切れ燃え尽きていった。

はずだった。


土煙。

レティクルにぴたりと収まっていたはずのシャトルも、長大な円弧を描いて輝く大気上層も視界から消え失せて
現状はただ立ち上るもうもうとした影が不快に視界を遮るのみ。

最初にALICEがセンサに感知したのは大気に漂う土壌鉱物や生物の死骸の混合物すなわち土煙だった。
雑多な粒子の描く軌跡はそれが何かの爆発的燃焼により巻き上げられ今は沈降していく過程を細密に描いている。
先ほどとは別の種類の、不可解に対する思考の交錯。
起こりえない出来事へ集中するあまり、ALICEは現在実行中の“タスク”の中断を忘れていたのだ。

土煙のコロイド粒子が下降する中に何かの存在を認め、ALICEはそこに桃色の髪色をした少女を見いだした。
FCSが「FIRE(発射)」と伝えてくるレティクルの中心にちょうど収まった、シャトルとは異なる小さな外形。

ALICEALICEALICEALICE いけない…! ALICEALICEALICEALICE

逡巡はわずかに遅く、教導団の最後のシャトルを射抜くはずのビームは事前の計算と寸分違わない軌道を描いて
太陽フレアをさえ遙かに凌ぐメガワット級の熱量を孕んで、目前の少女に向けて収束の度合いを深めていく。
中心へ向けて収束され時に互いを衝突させる荷電粒子たちの情報が逐次もたらされる中、
最後に許された僅かな時間でALICEに出来たことと言えば砲口を僅かに上に逸らせただけだった。

モニタの中を走り寄ってくる桃色の髪をした少女が脚をもつらせて顔から先に転倒し鼻を強打する。
磁界により亜光速の指向を与えられた、数万mの彼我さえもゼロコンマで駆ける超高速荷電粒子の奔流が
弦楽器の不協和音のような短い響きを立てて、先刻少女が立っていた辺りを縦に薙ぎ払っていた。

ALICEALICEALICEALICE 発射に向けて走ってくるなんて狂っている…
  転んだからよかったけれど…結局人間は皆狂っているの? ALICEALICEALICEALICE

二十数m大のルナチタニウムと樹脂と珪素と三重水素の混合物は、混交する思索にしばし立ち尽くす。
ALICEは今、非論理的な事柄に非論理的思考な思いを巡らすだけの、ただの少女だった。


髪を少し焦がされた不快な臭いと、ちりちりと大気の焼ける熱量の残滓と、何より鼻の強打ににむせ返りながら
ルイズはのろのろと身を起こすと、四つんばいのまま、日を遮る巨大な影を呆然と見上げた。

視野の端にも収まりきらない重圧に目を背け視線を背後に回せば、同じように呆然とした級友が目に入る。
その後ろ、先ほどまでは尖塔が一つあった場所に、その根本だけを残した空白がぽかんと口を開けていた。
よくよく見れば、予め計画立てられた回廊か何かのように空白は視界の奥へ奥へと続いている。
それぞれ元々あったはずの根本だけを残して。

どんなメイジならこんな理不尽な破壊力を行使できるんだろう。
あれを数回もやればここら一帯は生の痕跡すらまるで留めない、煮え立つ鉱物の溶鉱炉となるだろう。
という判断を下したのはルイズの級友の一人ではあったが、いかなゼロのルイズでも感想はさほど変わらない。

頭では未だ何が起こったのかを飲み込めてはいないが、身体はもう少し把握を見ているようだ。
熱の名残に晒されながら身体は震え、足下の感覚もない。かちかちと歯の根が合わない音が遠くに聞こえる。

 きょきょ巨大ゴーレムだ!召喚成功ダ!今のは危なかった。
 ほほほほらキュルケもタバサも先生たちもここここのゴーレムに唖然としてる!今ので髪が焦げた。
 いやいやそうじゃないでしょいいいま攻撃された?ありえないからこんな大きなゴーレムを呼び出せるなんて。
 剣の穂先から出た光が。槍じゃないんだから穂先じゃないか。これは死ぬかと思った。なんで攻撃が。成功した?

予期しない成功と脅威と高熱。彼女の元々の短絡思考が更に増大した不規則で非論理的な支離滅裂。
彼女は今、恐慌状態だった。


なんだ私はなにをしている。そ、そそそそうだ契約の儀式を交わさないと。
儀式でこの怖いゴーレムが私の犬よ犬。どんなに怖くてもいぬぅ~!

名門の出の端くれである矜持と、それに今まで何も応えられてこなかった記憶の交錯とが。
理解の範疇を越える出来事と身体が麻痺する恐怖感とそれを成した当事者たる高揚感と呆然とが混然となって
もちろん勇気でも知略でもなく動物的防衛本能でもない単なる半ば無思考がルイズの背中をついと押して、
ふらふらとした足取りでルイズは蒼の濃淡で幾何学的に彩られた巨体へ足を進める。

おいおい死ぬから。もう一度あれやられてみな。級友もその使い魔と先生方ももろとも原子の塵になるから。
そんな声がどこかで聞こえたような気もするが彼女もまた、実行中の“タスク”を中断できなかったのだ。

夢遊病というよりは徘徊老人のような足取りであっちへふらふら、こちらへよろよろと近寄るルイズ。
ギャラリーの悲鳴と逃げろ!という親身な声を背に、
しかし恐怖を一身に背負う対象たるところの、深い蒼色に幾何学模様で彩られた巨人も特に微動するでもない。
のろのろと進むルイズが巨躯の足下にちょこんと這い寄り、ちょっと見上げてから
そのあと上目遣いに唇を近づけても、都市の一部を消滅させた巨大なゴーレムに動きはない。
この途轍もない力と深い蒼とが自分のものとなるのだ、恐怖は既にどこかへ飛んでいて
その高揚感を乗せてルイズは髪とほぼ同色の唇を、巨人の、明けの空の色をした深い蒼に這わせた。

ルイズ「あっち―――!!!!!」


※モビルスーツは核融合で出てしまう大きな熱量を主に外皮からの放散と推進剤の気化に頼って冷却しています。 人間がキスしたなら焼肉の鉄板に口づけしたようなものといっていいでしょう。


ZEROのSENTINEL終了。やってるうちに後の展開に行き詰まったので続きません。

追記:ルイズもALICEも含めて、今、全ての人々が確実に成長した。
それは大きな目で見れば極めて小さな、緩やかでドタバタなものだったかも知れない。
だが、これらの人々は一部(センチ世界の住人)を除き大きな満足感を抱いていたのは確かである。
時に宇宙世紀0088、4月5日、α任務部隊(タスクフォースアルファ)、一部を除き任務完了。
そしてα任務部隊本隊、地球連邦軍教導団“ニューデサイズ”の地球降下を許し任務不完了。

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