あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロと人形遣い-5

「こりゃたまげた・・・。」

阿紫花は、おもわずそう呟いてしまった。
その呟きを聞いたルイズは、勝ち誇った顔で自慢してきた。

「ここが『アルヴィーズの食堂』よ。普通は平民が入るなんて一生無理なんだからね。でもアンタは私の使い魔だから特別に許してあげるわ。」

そんなこと言われても、誰が感謝なんぞするものか。
ここに来るまでの説明では、この食堂は夜になると人形が踊りだすらしい。
別の世界に来てまで自動人形とかかわるのは正直勘弁願いたいものだ。
勝手に動く人形の相手など、もうやり飽きてしまった。

そう考えながら、改めて辺りを見渡してみる。
そこは無駄なまでに豪華絢爛な作りの部屋があり、これまたでかいテーブルがいくつか並べられている。
テーブルの周りの席にはマントを付けた生徒らしき人間が座って談笑しており、その間をメイドの少女らが忙しそうに歩き回っている。

「ぼっとしてないでさっさと席に行くわよ。」

ルイズは先に食堂へと入っていく。
それに気づいた生徒らが、ルイズと阿紫花を見ながらニヤニヤと笑いながらなにやら囁きあっている、中にはこちらを指さしている者さえいる。

それらの嘲笑を受けながらルイズはずんずんと進んでいく。
表情こそ不満そうだが、騒ぎ出す様子は無い。
その後をゆっくりと追いながら、違和感を覚えた。

「んんっ?」

いままでのルイズから考えたら異状な反応だ。
他の生徒が昨日の使い魔召喚の失敗で馬鹿にされるなら、彼女は即座に爆発するはずだ。
それなのに、彼女はそれを受け入れている節がある。

そこで朝のキュルケとのやりとりを思い出した。
二人を見ていた限りでは、ルイズは半分本気で噛み付いていたが、キュルケは楽しんでいる感じだった。
しかし、会話の端々に普段から馬鹿にしている様な響きがあった。

「ああっ、そういうことですか・・・。」

どこにでもいるものだ、いわゆる落ちこぼれという奴は。

ルイズの反応からして、これが彼女の日常なのだろう。

どこの世界に行っても変わらないものもあるのだ。
学校という閉鎖された空間の中では、常に弱者が求められる。
どんな些細なことでもいい、とにかく自分と比べて少しでも劣っている部分を探し、それと自分を比べて悦に入っている輩はどこにでもいるものだ。

そんな嘲笑の中を、ルイズは堂々と歩いていく。

強い子供だ、しかし頑なすぎる。
あの手のタイプは、目標がある内は大丈夫だが、目標を失ったとたんに潰れてしまいやすい。

そこまで考えたところで、おもわず頭を抱えそうになってしまった。

『いつからこんなにやさしくなっちまったのかねぇ。』

こんなのは、自分の性分ではない。
どうにも元雇い主の二人の影響を受け過ぎている気がする。


「ちょっと!ノロノロしてんじゃないわよ。早くこっちに来て、椅子をひいてちょうだい。」
「はいはい、わかりましたよ。」

とりあえずは、大人しく言うことを聞いてやる。
ルイズは満足そうに椅子に座った。

「それで?嬢ちゃんアタシの食事はどこですか?」

ルイズはニヤリと笑って、

「あんたの食事はそれよ。」

そう言って、床を指した。
そこには、粗末な皿に冷えた不味そうなスープと硬そうなパンが二切れのっていた。
呆れた顔にしてしまったが、大方の予想通りだった。

その表情に満足したのか、勝ち誇った顔で言ってくる。

「感謝なさい。普通の使い魔は外で食べなくちゃいけないけど、特別に食堂の中で食べさせてあげる。」

言い返すのも面倒だった。
その時、いままでとは違った視線を感じて、そちらに振り返る。

視線の先には、すまなそうな顔をした黒髪のメイドがいた。
阿紫花と目が合うと、無言で食堂の奥の方へ視線を向けた。

彼女の意図が理解できた。
こちらも無言のまま、小さく頭を下げた。

意図が伝わったのを理解して、少女も小さく微笑んで仕事に戻っていった。

『社会的弱者の結束が固いのも変わんないもんだねぇ。』
「ちょっとあんた!何回私を無視したら気が済むのよ!」

声の方に視線を戻すと、憤怒の表情をしたルイズがいた。

「いい、今度から私の命令を無視したら餌抜きにするからね。」

そう言い切ると、また勝ち誇った顔になった。

「でも今回だけは勘弁してあげる。慈悲深いご主人様に感謝しなさい。」

『餌ねぇ・・・。』

その明らかに人間扱いしていない言葉に、おもわずぶん殴りたくなった。
だが、これ以上に酷い扱いは何度も受けてきたので我慢することにした。
それに、いま手を出すといろいろと不味いことになりそうだ。

しかし、やられっぱなしは性に合わない。

「まあ、どうしてもって言うなら肉の一切れくr
「せっかくのご好意ですが、遠慮させてもらいますよ。」

続きの言葉を切って捨てる。
目を丸くするルイズを見ながら、悠々と煙草に手を伸ばす。

「へぇ?ちょ、ちょっとあんた何言ってんのよ。」

予想だにしていなかった言葉に、ルイズは狼狽している。
対して、阿紫花はゆっくりと煙草に火をつけ、

「だから遠慮するって言ってんですよ、嬢ちゃん。誇れるもんなんてなんにもないですが、これでも多少のプライドくらいはあるんでね。」

そう言いながら紫煙を吐きだす。

「そんじゃ先に外に出てますよ、心配しなくてもいなくなったりなんかはしませんから。」

言い捨てて、背を向けて食堂の出口に歩き出す。
呆けていたルイズが気がついて、怒気で顔を真っ赤にして叫んだ。

「あっ、あああんたなんかずっと餌抜きなんだから!わかってんの!」
「へいへい、そんくらい自分で何とかしますから。嬢ちゃんも食いすぎて太っちまうんじゃないですよ。」
「~~っ、この馬鹿犬―――――――!!!」









食堂から出た阿紫花は後悔していた。

「あ~あ、おもわずやっちまった。」

とぼとぼと目的地へ歩きながら呟く。
そこで、あることに気つき足を止めた。
いままで吸っていた煙草が、もうフィルターだけになっている。

「はぁ・・・、これで残り一箱か、あんな事で吸うんじゃなかった・・・。」

そう阿紫花は先ほど反抗したことを悔いているのでなく、煙草を消費してしまったことを後悔していた。
揉み消した煙草と空箱を捨てる。

「せめて葉っぱだけでもありゃあな~。」

その呟きも誰もいない廊下へ消えてしまった。

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