あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

まじかるメイジ エンジェルタビィ傑作選

「今だっ! タバ・・・じゃなかった、タビィ! トドメを刺せっ!」

フーケのゴーレムから次々と繰り出される攻撃をデルフリンガーで捌きながら、サイトは後方に居る
タビィに合図を送ります。

「任せて」

タビィはバトンを構えて、必殺技の詠唱を始めました。

「必殺! パ○リックイリュージョンアタック!」

模擬戦で鍛えられたスペシャルな何かがゴレームに2000回ヒットします。
頭と両腕を破壊されたゴーレムはその場で仰向けに倒れ込みました。

「とぉぉっても、コォォ○サワァァァァ!」

フーケは必殺技の衝撃で意味不明な叫びを上げながら、遠いお空の彼方へと消えて行きました。

「天罰」
「やったな、タビィ」
「うん」

今日は午後の授業はお休みです。使い魔との親睦を深める為の自由時間に充てられているからです。
本来ならこの二人もそれぞれの使い魔や主人と一緒に居るべきなのですが、タバサちゃんの使い魔
サーリアと、サイトの主人であるルイズは昼食で出されたスープを飲んだ途端、急にお腹の痛みを訴
えて寝込んでしまったので親睦を深めるどころではありません。
特にする事も無いので二人で買い物がてら、王都トリスタニアにやって来たのです。
そこで、街の中でゴーレムを使って暴れている『ダイナマイト・フーケ』の姿を発見します。
フーケが操っているゴーレムは妙に細い体躯をしています。高速で飛行するので苦戦しましたが、何
とか倒せました。

(タビィの力って凄いよなぁ。でも、何か足りないんだよなぁ)

タビィの能力を認めながらも、サイトはそんな考えを抱いていました。



まじかるメイジ☆エンジェルタビィ 第183.5話「やっぱり魔法少女には変身ポーズが無くちゃね☆」

※ヴィントヴス用ゲームソフト「まじかるメイジ☆エンジェルタビィ 愛憎版」初回限定版に同梱の
ドラマCDより抜粋。



翌日。
学院の教師コルベールは急ぎ足で学院長室へ向かっていました。
1ヶ月前の『破壊の杖』盗難事件で負傷し、意識不明の状態で入院していたオスマンが昨日退院した
と聞いたので挨拶をする為にです。
昨日の内に行けなかったのは、自身の研究に没頭していて忘れていたからです。他の教師達は既に挨
拶を済ませていると聞きます。
生徒の見本となるべき自分がこの様な失態を犯すとはなんと情けない。そう自分を戒めつつ、学院長
室に辿り着いた彼は扉を軽くノックします。
すると、扉の向こうから返事がしたので中に入ります。目に涙を浮かべたオスマンが居ました。

「おお。コルベール君か」
「退院おめでとうございます。オールド・オスマン」
「うん。ありがとう……グスッ」
「どうなさったのですか? もしや、お体の調子がまだ優れないのでは…」
「ううん。違うの。調子は良いんじゃが、寂しくてしょうがないんじゃ……グスッ」
「何かお悩みであれば、このコルベールが力になりますぞ」

コルベールは自信たっぷりに言いました。

「ありがとう。じゃが悩み事では無い。ただ寂しいだけじゃ。だってこの部屋、わし一人しか居ない
んだもん」

コルベールはずっこけました。どうやら秘書だったロングビルが居なくなり、一人きりになってしま
ったのが寂しかっただけの様です。

「偵察に出したモートソグニルも帰って来んし……わし、一人ぼっち……グスッ」
「げ、元気を出して下さい。秘書ならまた雇えばいいではありませんか」
「そうじゃな……うん。わし、もう泣かない」

(これでは、先が思いやられるなぁ)

健気に涙を拭うオスマンを見て、コルベールは溜め息をつきました。
ちなみにモートソグニルとはオスマンの使い魔で、白いハツカネズミの名前です。



「なあ、サーリア。それ、どうしたんだ?」

厨房での皿洗いの手伝いを終え、休憩をとっていたサイトは隣で白いネズミを弄んでいる少女に声を
掛けました。

「これですかぁ? さっきからサーリアの周りをウロチョロしてたんですけど、美味しそうなので捕
まえちゃいましたぁ~☆」

ネズミはサーリアの手の中で必死にもがき苦しんでいます。

「放してやれよ」
「駄目ですかぁ~?」
「まあ、可哀想だしな。それに、年頃の若い女の子がネズミなんか弄ってたらマズいだろ?」

今のサーリアは人間の姿をしています。頭にネコの耳がついている以外、若い女の子の姿そのものです。
サーリアがネコの姿の時はタバサちゃんとしかお話が出来ませんが、人間の姿になれば誰とでも普通
にお話が出来るのです。
ネコの耳がついている人間なんて怪しまれそうですが、サイトが元居た世界のとある場所ならともか
く、ここは火を吐く大トカゲや、無駄に大きいモグラ等が居る学院の中です。ネコ耳の女の子ぐらい
居ても不思議ではありません。
それに魔力の消耗が激しいから、長時間この姿を維持する事が難しい等といった制限も無いので、こ
の姿の方が何かと便利なのです。
欠点を言えば、ネコの時と同じ量のご飯を食べてもお腹がいっぱいにならない事ぐらいです。

「それもそうですねぇ~。寂しいですけど、これでお別れですぅ~」

サーリアが名残惜しそうに手を放すと、ネズミは一目散に逃げて行きました。

「それでさ、ちょっとサーリアに相談があるんだけど」
「相談ですかぁ? 恋のお悩みなら、お任せですよぉ~☆」
「そんなんじゃねぇよ! 実はな…」

サイトは昨日から考えていた事をサーリアに耳打ちしました。

「にゃにゃあ、それはグッドアイディアな名案なのですぅ~☆」
「だろ? 後でタバサにも話してみようぜ」
「はいですぅ~。タバサちゃんもきっと喜ぶですぅ~☆」

「おーい。こんな所に居たのか」



学院の食堂に勤務する料理長のマルトーが二人に声を掛けてきました。

「二人共、皿洗いご苦労だったな。メシの用意が出来てるから食っていきな。賄いだけどよ」
「やった! ご馳走になります!」
「お腹ペッコペコですぅ~☆」

二人は食堂の厨房の一角で賄い食のシチューを食べる事になりました。教師や生徒達に出しているシ
チューの残り物ですが、沢山の野菜が煮込んであってとても美味しそうです。
味わって食べていると、サイトはマルトーの足元の異変に気付きました。マルトーの靴が新しい物に
変わっているのです。
確か、前の靴はお気に入りだった筈です。疑問に思ったサイトはその事をマルトーに尋ねてみました。

「前の靴? ああ、ありゃ、破れて履けなくなっちまったんでなぁ。新しいのに替えたんだよ」
「へぇ。それで前の奴はもう捨てたんですか?」
「そんな勿体無い事しねぇよ。こないだ貴族のガキ共にまた文句を言われたのがムカついたんでな、
ここ数日、スープのダシとして使ってる訳よ。勿論、今日のシチューにも使ってるぜ。貴族の何人か
は腹壊してるかもしれねぇけどな」

サイトはショックの余り、スプーンを床に落としてしまいました。コック達が休憩に入っている為、
静まり返った厨房に乾いた金属音が響き渡ります。

「ゲッ! 何て事しやがる! 思いっきり食っちまったじゃねぇか!」
「冗談だよ。そう怒るなって。そんな事したら、クビになっちまうからな」
「何だよ、マルトーさんも人が悪いなぁ」

いくら貴族の糞ガキ共が気に入らないからといって、マルトーさん程の人格者がその様な下種な事を
する筈がありません。

「ぎにゃあ!」
「どうした!? サーリア!」

サーリアは何故か涙目になっています。

「く、靴紐が…入ってるですぅ…」
「やべぇ、取り除くの忘れてた」
「やっぱ、入れてんじゃねぇかぁぁぁ!!」
「ニンゲンの分際で何て事するんですかぁ! コンチクショー! 謝まりやがれですぅ!!」

サーリアもサイトの後ろに隠れながら、マルトーに怒りをぶつけました。口調も若干、変わってしま
っています。



その頃、ルイズは一人馬車に揺られていました。

「やっと腹痛の痛みが治ったわ。それにしても何だったのかしら…」

ここ最近、学院では腹痛の痛みを訴える者が続出している為、数日間休校になりました。その間、ル
イズは一時的に実家へ帰る事にしたのです。
本来なら使い魔であるサイトも連れて行くべきなのですが、今回は連れて来ていません。
平民に貴族の家の敷居を跨がせる訳にはいかないだとか、男を連れて行って恋人に間違われるのが嫌
だ等という訳では無い様ですが………た、単に忘れてきた訳じゃ無いんだからね!
そんな事を考えていると、馬車はラ・ヴァリエール公爵家の屋敷に到着しました。

「お帰りなさいませ。ルイズお嬢様」

屋敷で働く使用人達が一斉にルイズの帰りを出迎えます。そして…

「お帰りなさい。(胸が)小さなルイズ」
「ただいま。ちい姉様」

ルイズのすぐ上の姉であるカトレアも、彼女の帰りを優しく出迎えました。
カトレアは生れ付き病弱の為、余り屋敷の外に出た事がありません。激しい運動など以ての外です。
カトレアはルイズを優しく抱きしめました。

「ルイズ。(胸以外が)また一段と大きくなったわね」
「ちい姉様こそ、具合は大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。最近は調子が良いの」
「良かった………ちい姉様。もう離してもらってもいいかしら?」
「? どうしたの、ルイズ」

カトレアは少し困った顔でルイズを見つめています。

「だって、ちい姉様って、動物臭いんですもの」

カトレアは優しい笑みを浮かべたまま、ルイズに強烈な左フックを叩き込みました。
ルイズは空中できりもみしながら、5メイル程離れた場所に倒れてしまいます。
数秒間、気を失った後、その身を起こしました。

「ち、ちち、ちい姉様。一体、何を…」
「人の悪口を言うのは良くないわ、ルイズ。そんな事をしても、倍になって自分に帰って来るだけよ。
分かった?」
「は、はい! 御免なさいっ!」

カトレアは、一番上の姉エレオノールの様に感情を露にして怒ったりはしません。
表情を変えずに怒るのです。普段がおっとりしていて物静かな分、余計に怖いです。

「分かったのならいいわ。今度から気を付けてね」
「…えーと、ところで、エレオノール姉様は?」
「今は居らっしゃらないわ。アカデミーの仕事が忙しくて、暫くはお戻りになれないそうよ」
「まったく、可愛い妹が帰って来てるのに。アカデミーもろくな所じゃないわね」
「ルイズ…」

又もやカトレアは怒っています。笑顔のままですが。

「ひっ! 御免なさいっ!」
「いい? ルイズ。個人の悪口はいけない事だけど、大きな組織の悪口はもっといけないわ」
「え?…どういうこと?」
「個人の悪口を言った場合、その人から殴られるだけで済むけど、大きな組織の悪口を言った場合は
皆から殴られるのよ。皆から殴られたら、もっと痛いでしょう?」
「…殴られるだけで済む問題じゃ無いと思うわ、ちい姉様……」



タバサちゃんは昨日買ったばかりの小説を片手に、寮の自室で優雅なひとときを満喫していました。
その小説のタイトルは『いばるの』。ハルケギニアに古くから伝わる英雄譚の中で、最も有名な物語
『イーヴァルディの勇者』を現代の解釈で再構成した作品であり、全長約500メイルの巨大なゴー
レムを操って、異世界から次々と現れる敵とハルケギニアの命運を賭けて戦う少年少女達を描いた内
容です。
アンリエッタ王女殿下が帯に推薦文を寄稿した事により人気に火が付き、発売以来、どこの書店でも
品薄が続いています。
その人気はトリステイン国内の書籍売上ランキングの10位以内に、10週連続でランクインしてい
る事からも分かります。

タバサちゃんは『イーヴァルディの勇者』に相当な思い入れがあります。
故に、最初は『いばるの』の原型を留めない程の改悪ぶりが許せませんでした。
しかし、巷での評判が気になったので、試しに人から借りて読んでみたところ、見事にハマってしま
いました。特に、終盤の最後に生き残った一人が全てを受け入れて戦う場面がお気に入りです。
その最後の一人が勝利した後、後に続く者達に想いを託して逝く場面では思わず泣いてしまいました。
その時、一緒に居たキュルケに心配された程です。
もう一度、ゆっくりと読みたくなったので、昨日、サイトとトリスタニアに出掛けた時に買ったのです。

物語を堪能していると、部屋の扉をノックする音が聞こえてきました。
何時もなら消音魔法で周囲の音を消しているのですが、今日は小説に没頭する余り忘れていました。
今日のタバサちゃんは、本への感情移入度が何時もより格段に高いのです。
誰かに邪魔されようものなら、最大威力の風魔法で容赦無く吹き飛ばしているでしょう。
けたたましく部屋に入ってきたサーリアを、今日だけで既に2回も吹き飛ばしています。

「タバサー、居るんだろー。ちょっと話があるんだけど、いいかなー」

声の主はサイトでした。先程のノックも彼の様です。

「開いてる。入って」

サイトには昨日のフーケとの戦いで助けて貰った借りがあるので、話を聞いてみる事にしました。
サイトと一緒に、サーリアも入ってきました。今度はけたたましく無いので、風魔法は使わずに済み
そうです。

「それで、話って何?」
「実はダビィの事なんだけど…」



サイトは昨日から考えていた事をタバサちゃんに話しました。
それは変身の呪文を唱えている時に、変身ポーズを取り入れて見てはどうかという提案でした。
今のタバサちゃんは直立不動の状態で呪文を唱えているのですが、魔法少女に強いこだわりを持つサ
イトには、それが納得いかないのです。
話を聞き終えたタバサちゃんは暫く考え込んだ後、サイトの提案を受け入れる事にしました。。

「分かった。やってみる」

思い立ったが吉日。早速、練習開始です。
先ず、サイトがこちらの世界に来る前に、よく見ていた某魔法少女アニメの変身ポーズを実演してみ
せます。
大の男がやるには少々恥ずかしいポーズですが、なかなか堂に入っています。

「大体、こんなもんだな。じゃあ、やってみろよ」

タバサちゃんは先程のサイトの動きを思い出しながら、見様見真似でやってみました。
本人が恥ずかしがっている為か、動きにぎこちなさが残ります。

「うーん。一通りの振りは出来てるんだけどさ。まだ、ぎこちないんだよなぁ。それに笑顔が無い!
ここ、一番重要だぜ。」

再度、やってみます。今度はサイトのアドバイス通り、笑顔も取り入れてみました。
動きは先程よりも良くなりましたが、顔は引き攣っている様にしか見えません。笑顔には程遠いです。

「タバサちゃん、さっきより良くなってるのですぅ~。後は練習あるのみですぅ~☆」

その後も変身ポーズの練習は続きました。



翌日。
タバサちゃんは昼近くになっても起きて来ませんでした。
万が一の事も考えられます。心配になったキュルケは様子を見に行く事にしました。

「ちょっと、タバサ。何時まで寝てるのよ」

扉を叩いてみましたが、反応がありません。鍵も掛かっています。
こうなったら開錠魔法の出番です。開錠魔法は校則で禁止されているのですが、タバサちゃんの安否
を考えれば些細な事です。
しかし、開錠魔法を使うのは何時もと同じで芸が無いので、フレイムを特攻させてみました。
扉は壊れてしまいましたが、タバサちゃんの安否を考えれば些細な事です。

「…あ……キュルプストーちゃん……おはよう……ですぅ……」

部屋に入ると、そこには目に隈を作ったサーリアが居ました。ふらついていて、今にも倒れそうです。

「人の名前を変に略さないで。それより、タバサはどこ?」
「…あ、あそこ……ですぅ……」

視線を部屋の奥に向けると、タバサちゃんが姿見の前でうつ伏せに倒れていました。

「タ、タバサ! 大丈夫!?」

キュルケはタバサちゃんに駆け寄り、彼女を抱き起こします。タバサちゃんはサーリア同様、目に隈
を作っていました。

「何があったの?」
「…変身する時の……ポーズを……練習してた……タビィの……」

昨日、サイトが帰った後もサーリアに付き添ってもらって練習を続けていました。
しかし、熱中する余り、一睡もせずに今日の昼前まで練習を続けてしまったのです。
そのおかげで変身ポーズは完璧にマスターしましたが。

「あんた達、寝ないで何やってるのよ…」

キュルケはタバサちゃんが努力家であることを理解していますが、これには流石に呆れてしまいました。
その後、この変身ポースはタビィの変身時に役立てられる事になりますが、サイトはまだ物足りなさ
を感じていました。

「必殺技の決めポーズが無いな…」


おしまい

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