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魔法少女リリカルルイズ24


突然の訪問に立ちつくすルイズに、アンリエッタ王女は涙まで浮かべて頬を寄せた。
「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!」
「いけません、姫殿下!」
その声でルイズはようやく我に返り、自分の不敬に気づいた。
「こんな下賎な場所にお一人で」
ルイズはかしこまって膝をつく。
「そんな堅苦しい行儀はやめて、ルイズ・フランソワーズ。私たちはお友達じゃないの」
「もったいないお言葉です。姫様」
アンリエッタ王女は膝をつき、驚くルイズの両手を握った。
「ああ、ずっと会いたかった」
「姫殿下……」
「父上がなくなって以来、ずっと心を開いて話せる相手もいなかったの。それなのに、あなたにまでそんなよそよそしい態度をとられたら、私どうしたらいいか解らなくなってしまうわ」
「姫さま……」
「ほら、幼い頃、中庭の蝶を追いかけたことを追いかけ覚えているでしょう?」
「ええ、ええ。あのときには二人とも泥だらけになって怒られてしまいました」
二人は昔話を進めるうちにどんどんうち解けていく。
その様子を見ながら、ユーノは部屋の隅に下がった。
「なあ、あの二人どういう知り合いなんだ?」
「僕も知らないんだ」
女同士のお喋りに男二人が入り込む余地は全くなかった。


二つの月がちょうど窓の真ん中に来た頃、それまで昔話に花を咲かせていたいたアンリエッタ王女が言葉を詰まらせた。
「姫さま?」
アンリエッタ王女はすぐには答えない。
胸のあたりをつかみ、一度大きく息を吸った後にようやく切り出した。
「ねえ、ルイズ。あなた、近頃何か困ったことがない?」
「え?わたし、なにもないですけど」
アンリエッタ王女はルイズの目のじっとのぞき込む。
ルイズは驚いてアンリエッタ王女の目を見返すが、彼女が何を言おうとしているかはさっぱり解っていなかった。
「数日前、町で何が起こったか覚えてる?」
「え?」
「大きな木の怪物が突然生えて、町を壊した事件」
「あっ」
ルイズが2番のジュエルシードを回収した時の事件だ。
あのときは町に少なくない被害が出ていた。
「あの事件自体は、城に侵入した賊が何らかのマジックアイテムを使って引き起こしたものだと解ったわ。でもね、それだけじゃ終わらなかったの」
「何があったんですか?」
何かいやな予感がする。とてもいやな予感だ。
実はその予感に気づいているが気づきたくない、そういう予感だ。
「あの事件では突然のことというのもあったけど、魔法衛士隊は手が出せなかったわ。そんな中、木の怪物を倒したメイジがいたの」
「え!」「え!」
ルイズとユーノは思わず声を出してしまう。
「あらま」
デルフリンガーもついでに声をだしだ。
「あら、今の声は?」
あわててルイズは壁際に立てかけているデルフリンガーを指さす。
「あ、あ、あ、あれです、姫さま。この前、インテリジェンスソードを買ったんです」
「そうだったの。話を続けるわね。フライを使いながら見たこともない魔法一つで魔法衛士隊も手が出せなかった木の怪物を倒したメイジ。その捜索が今行われているわ」
「は、はぁ」
ルイズは背中に冷たい汗を流した。
──まずい、まずい、まずい、まずい、まずい。
──ばれてしまう、ばれてしまう、ばれてしまう、ばれてしまう、ばれてしまう。
顔から滝のように汗が流れているようだったが、気のせいであることを祈る。
「目撃者から集めたそのメイジの特徴は、白い服と桃色がかったブロンド……そう、ルイズ、ちょうどあなたみたいな色の髪の持ち主なの」
「そ、そうなんですか」
──そんなに!
キュルケにも見られていたのだ。誰にも見られていないはずがなかった。
あのあと学院であの話があまり話題に上らなかったから、たいしたことがないと思っていたが、甘かった。
「もちろん、それだけで誰かは特定できないわ。そんな髪の持ち主はヴァリエール家以外にもいるから。でも私はその話を聞いて真っ先にあなたを思い出したの。ねえ、ルイズ!」
アンリエッタ王女のわずかに強くなった語気にルイズはまたも体をびくつかせた。
「あれって、あなたじゃないわよね。あなた、何か困ったことに巻き込まれてないわよね?」
「そ、それは……」
それでもユーノとジュエルシードのことは隠さなければいけない。
ルイズは自分を見つめるアンリエッタ王女の視線に耐えられなくなり、視線をそっと外してしまう。
「何も、ありません」
「ルイズ、誰にも言わないわ。私には本当のことを言って」
「何も、ないです」
「そう……」
アンリエッタ王女の声に少し悲しいものが混じったのはルイズの気のせいだろうか。
ルイズは自分も耳をふさぎたい衝動におそわれた。
「話したくないことって、あるものね。私もだし」
「姫さま……」
「でもね、ルイズ。本当に困った時には抱え込まずに私に相談して。私はずっとあなたの友達よ。昔、約束したわよね。必ず助けてあげるって」
「姫さま、まだそんな約束を覚えていたくださっていたのですか?」
「もちんろんです。それに私も本当に困ったときにはルイズに相談するかもしれませんし」
「あ……もしかして、それがここに来た本当の目的ですか?」
「ばれましたか?ルイズ・フランソワーズ」
二人は言葉を詰まらせる。
こらえて、こらえて、ついに笑い出してしまった。
とてもおかしかった、うれしかった、楽しかった。


楽しい時間はあっという間に過ぎる。
気づけば双月はとうに窓から外れ、中天にかかろうとしていた。
こっそり抜け出てきたアンリエッタ王女も、もう帰らなければならない。
扉の外に見送られたアンリエッタ王女はルイズの両手を握って、今日最後の挨拶を交わす。
「ここ数年で一番楽しい一時でした」
ルイズの手を強く握る。この手を次に握れるのはいつのことだろうか。
見下ろす視線の先に琥珀色の小動物が入ってきた。
「忘れていたわ。ルイズ、あなたの使い魔も紹介してもらえないかしら」
「あ、はい。ユーノ」
ユーノがルイズの肩に駆け上がる。
目線をアンリエッタ王女とあわせたユーノがぴょこんとお辞儀をした。
「私の使い魔。ユーノ・スクライアです」
「まぁ」
アンリエッタ王女がさも驚いたような声を上げる。
「あなたの使い魔って、さっきのインテリジェンスソードじゃなかったの?」
「ち、違います!あんなもの召喚するはずがありません!」
きっぱり言い放つルイズ。
「冗談よ。冗談。解ってるわ。ユーノ・スクライア、ルイズをお願いね」
ユーノはまたお辞儀で返す。
「もう、姫さまったら」
ユーノのすぐ横でルイズがほおをふくらせていた。

その頃のデルフリンガー。
「あんなもの扱いはねーよな。あんなもの扱いは」

ルイズは扉を静かに閉めた。
アンリエッタ王女はもう戻られたはずだ。
「ねえ、ユーノ」
「なに?」
ルイズは眉を寄せる。
このことだけはユーノと話し合わなければならない。
「あのね、姫さまにジュエルシードのことはいつか話さないといけないとおもう」
「ルイズ……」
いつか話さなければならない。
そうでなければ、姫さまの信頼を裏切ってしまう。
「そのときは私に決めさせて。お願い」
そのことがユーノを危険にさらしてしまうかもしれないのは解っている。
だがルイズにはアンリエッタ王女の信頼も、ユーノの信頼も裏切るなんてできない。
その果てに出した結論がこれだった。
沈黙が続いた。静けさが聞こえる。そんな沈黙だ。
「いいよ。ルイズが決めて」
「ありがとう」
ルイズは肩に乗せたユーノをそっとなでた。


そして品評会当日。
この日を待っていたのか、来て欲しくなかったのか複雑な心境でルイズは自分の出番を待っていた。
他の生徒が演技をしていくが、ルイズにはそれが目に入らない。
「えーと……それから……」
自分の演技の手順の確認で精一杯だ。
何回目かの確認を終えた頃、周りから今までにない歓声が起こった。
順番がルイズの前のタバサの演技が始まったのだ。
皆がうらやむような風竜の背中に乗って飛んでいる。
しかも、ただ飛んでいるだけではない。竜騎士にも劣らないような曲芸飛行をしているのだ。
「ルイズ、すごいよ。うわ、宙返りだ」
ユーノの声も耳に入らないルイズがようやく気づいたのは、司会進行役のコルベールに自分の名前を呼ばれたときだった。
「続きまして、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール」
まばたきも忘れて妙にぎこちなく歩いていく。
シエスタの作ってくれた大道具が重たかったが、これも姫さまにみっともないところを見せないためだ。仕方がない。
観客の注目が集まる中、ルイズは大道具を下ろして準備を整える。
あまり難しいことはない。準備はすぐに終わった。
観客に向き、胸を張って遠くまで響くように声を出す。
「紹介いたします。私の使い魔、ユーノ・スクライアです」
周りからおざなりな拍手が聞こえてきた。


その頃、ロングビルは宝物庫のある塔のすぐそばに立っていた。
周りに人影はいない。
予定通り衛士はすべて品評会場周辺に配置されている。
しかも今は風竜を召喚した学生が演技しているときだ。
すべての目がそちらに集まっているはず。
今から始めるかなり乱暴な計画にはうってつけの状況だ。
ロングビルはマントのローブを深くかぶり、唇を青い三日月のようにゆがめる。
その姿こそ彼女の本性である土くれのフーケのものだ。
「さあ、始めるとしようか」
ロングビル改めフーケが呪文を唱える。
杖で叩かれた地面が急速に盛り上がり、土のゴーレムを作り上げていった。


地中に埋もれていた青い宝石はじっと目覚めの時を待っていた。
それがいつ目覚めるかは誰にも解らない。
だが、目覚めるきっかけになりうる事象がある。
強い魔力を浴びたとき、強い願いを感じたときがそれだ。
それが今、青い宝石の近くにあった。
宝を手に入れるという強い願い。
そのために使われているゴーレムを作り出す魔法。
それを感じた青い宝石、ジュエルシードは魔力と土の流れにのり、土のゴーレムの中に入っていった。


そのとき、ルイズの脳裏には閃光のような感覚が走った。
「ジュエルシード!?」
連日の練習でルイズの魔力コントロールは上達してきている。
それに伴い、魔力に対する感覚も鋭くなっていた。
「ユーノ!行くわよ」
舞台を降りたルイズは感知した閃光の源に走る。
「ミス・ルイズ!どこに行くのです?待ちなさい!」
アンリエッタ王女の居るこんな場所でジュエルシードが発動しようとしているのだ。
コルベールの声が聞こえたが待てるわけがない。


演技の終わったタバサは観客席に戻っていた。
その後、ルイズの演技を見るのかと言えばそうではなく、いつものように本を広げていたのであるが、ルイズが突然舞台を降りて走り出したと同時に本を閉じた。
「あら、どうしたの?」
キュルケは珍しいものを見たような気がした。
タバサがこんな風に自分から読書をやめてしまう時なんて滅多にないからだ。
タバサが立ち上がり、ルイズとは逆の方向に走り出していく。
あまり面白くもない品評会だったが、ここでおもしろくなってきた。
ルイズがいきなり舞台を放棄したのだ。
これは何かおもしろいことがあるに違いない!と思って追いかけようとするが、隣に座っていたタバサまで走り出してどこかに行く。
しかもルイズとは逆の方向だ。
どちらも何かありそうではあるが、両方を追いかけることはできない。
「あー、もー、どうなってるのよ」
どちらを追いかけるか、早く決めなければならなかった。


タバサは走りながら誰にも見られない陰を探していた。
このあたりには警備の衛士も観客もいない。
そういう場所はどこにでもあるはずだ。
ちょうど良さそうな建物の影に飛び込み壁を背にする。
薄い胸元に手を当て、魔力を集め、あの言葉を唱えようとする。
「バ……」
「ねえ、タバサ。何してるの?」
元来た道に目をやると、息を切らせたキュルケが赤い髪が少し乱れさせていた。


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