「どう? へんじゃない? ねえ、おねえさま!! 聞いてる? もう! きゅいきゅい!」
タバサの部屋では、長身の美女がしきりと鏡をみつめ、タバサに声をかける。美しい青い髪が肩にかかり、年頃は18歳といったところに見える。
「しかし、まさかシルフィードが風韻竜とはねぇ……それを召喚したんだもの、つくづくあなたの才能には呆れるわよ、タバサ」
美女の青い髪を櫛でといてやっているのはキュルケであった。呆れ顔で、キュルケは鏡の中のシルフィードを眺める。
そこにいるのはうれしそうにはしゃぐ類まれな美女だが、つい先ほどまでは巨大なドラゴンの姿だったのだ。
そこにいるのはうれしそうにはしゃぐ類まれな美女だが、つい先ほどまでは巨大なドラゴンの姿だったのだ。
(まあ、あのルイズが呼び出した使い魔も変化が出来るしね……しかも、変化しながら先住魔法を使うんだから恐れ入るわよ。
いまさらシルフィードが風韻竜でも驚かないけどね……)
いまさらシルフィードが風韻竜でも驚かないけどね……)
シルフィードはひざの上に乗せた包みを嬉しそうになでる。先ほど、武器屋でタバサに買ってもらった杖であった。
「とらさま喜ぶ? プレゼントあげたら喜んでくれるかしら? シルフィ、どきどきしてきちゃった! 不思議な感じなのだわ。歌いたい! るるー、るーるる!」
「ふふ、シルフィード、それが恋ってヤツよ」
「これが恋? すてき!! おねえさまも恋すればいいのに! どうキュルキュル? シルフィ、きれい?」
「すてきよ。どんな使い魔だってイチコロ。人間の男だってわんさか集まるでしょうね……って、キュルキュルってあたしのこと!?」
「ありがとう! シルフィ、キュルキュルのこと見直しました。ただのあばずれの享楽主義者じゃないのね!」
「あーら、ありがとう。香水ぶっかけてあげようかしら?」
「やめてー!! とらさまに嫌われるのだわ! きゅいきゅい」
「ふふ、シルフィード、それが恋ってヤツよ」
「これが恋? すてき!! おねえさまも恋すればいいのに! どうキュルキュル? シルフィ、きれい?」
「すてきよ。どんな使い魔だってイチコロ。人間の男だってわんさか集まるでしょうね……って、キュルキュルってあたしのこと!?」
「ありがとう! シルフィ、キュルキュルのこと見直しました。ただのあばずれの享楽主義者じゃないのね!」
「あーら、ありがとう。香水ぶっかけてあげようかしら?」
「やめてー!! とらさまに嫌われるのだわ! きゅいきゅい」
シルフィード年齢200歳……その長い寿命のためか、韻竜の成長はゆっくりとしたものらしい。キュルケはなんだか、幼い妹と話しているようであった。
(おねえさま、ね……タバサもまんざらでもなさそうじゃないの)
キュルケは友人の意外な一面にクスリと笑う。
はしゃぐシルフィードに『サイレント』の魔法をかけることもなく、タバサは静かに本を読むのであった。
一方、ルイズの部屋……
はしゃぐシルフィードに『サイレント』の魔法をかけることもなく、タバサは静かに本を読むのであった。
一方、ルイズの部屋……
「相棒、勘弁してくれ、頼む、お願い、炎で溶かしたりしねえでくれ」
とらの手に握られたデルフリンガーは、口からぶすぶすと煙を上げるとらに早くも涙声であった。
「うるせえ、さっきから何聞いても『忘れた』だの『思い出せねえ』だの言いやがってよ……アタマに婢妖でも喰らってんのか、ああ?」
「おでれーた、あたまなんざねーよ。インテリジェンス・ソードだって度忘れすることもあるってこった」
「……ち、使えねえ……。やっぱり溶かすかよ?」
「相棒! そりゃねーぜ! おい、娘っこ! なんとか言ってくれよ!!」
「おでれーた、あたまなんざねーよ。インテリジェンス・ソードだって度忘れすることもあるってこった」
「……ち、使えねえ……。やっぱり溶かすかよ?」
「相棒! そりゃねーぜ! おい、娘っこ! なんとか言ってくれよ!!」
デルフリンガーは絶望的にルイズに助けを求める。ルイズはようやく失神から回復して、ベッドに腰掛け虚ろな目で空中を見ているところであった。
「もう、絶対乗らない。うま、馬に乗るわ。わたし、乗馬得意だもん、魔法は苦手だけど、ううう馬なら……」
「おい、こら? 娘っこ! ションベン垂れたぐれえでそんなに気を落とすんじゃねえよ、情けねえ」
「うっさいわね、ボロ剣! だだだれが、おおおもらししたのよ!? ちょ、ちょっと下着が濡れちゃっただけじゃない! ほんのちょっとよ、ああ汗かいたのよ、汗!」
「なんでもいいから相棒を止めてくれ! たすけてくれーっ」
「おい、こら? 娘っこ! ションベン垂れたぐれえでそんなに気を落とすんじゃねえよ、情けねえ」
「うっさいわね、ボロ剣! だだだれが、おおおもらししたのよ!? ちょ、ちょっと下着が濡れちゃっただけじゃない! ほんのちょっとよ、ああ汗かいたのよ、汗!」
「なんでもいいから相棒を止めてくれ! たすけてくれーっ」
あまり貴族らしくない、というか、かなり悲しいやりとりであった。と、どんどんとドアが叩かれる。
「ルイズ? 入るわよー」
「ひぇっ! キュ、キュルケ?」
「タバサもいるわよー」
「ちょ、ちょ、ちょっとまって!」
「ひぇっ! キュ、キュルケ?」
「タバサもいるわよー」
「ちょ、ちょ、ちょっとまって!」
(ばかばかばか、わたしのばかー! まだパンツ履いてないじゃないっ!!)
ルイズは慌ててベッドから飛び起き、タンスをまさぐって下着を探す。そして、引っ張り出したパンツに片足を通したところで――
ガチャリという音と共にドアが開き、ルイズは凍りついた。
ガチャリという音と共にドアが開き、ルイズは凍りついた。
『アンロック』の呪文でキュルケ、タバサ……そして最後に、青い髪の美女が入ってきた……。