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とある魔術の使い魔と主-51


「あなたの名前はなんて呼べばいいのかな?」
 暗かった道は、朝日が差し込んで次第に明るくなる。その朝日が二つの人影をぼんやりと映し出す。
 このような時間に歩き以外の移動手段を持たないのは、端から見れば家出コンビだと思わせる二人はしかし、この国の住人ではない。
 安全ピンを体中に纏わせてる白いシスターと、ワイシャツと黒ズボンを身につけた、いたってシンプルな学生少年。
 そう、この世界に紛れ込んだ上条当麻という少年を、元の世界に戻すために送られた魔術師達。
 インデックスと土御門元春だ。
 二人は真っ直ぐに伸びている道を黙々と歩いていたのだが、堪らずインデックスが声をかけた。
「ん? 好きに呼んでいいんぜよ」
 名称など今更どうでもいいと言えるが故、土御門は素っ気なく答えた。
「じゃあとうまのことをとうまと呼んでるから、もとはるでいいのかな?」
 あぁ、と土御門はインデックスの提案に頷く。
 話の流れが止まり、再び沈黙が支配する。このような明朝から話す内容など限られているからだ。

 彼らはこの世界にたどり着いてからまだ半日と経っていない。

 二人は、タルブ村のとある戦闘機の前から侵入することになった。
 世界と世界とを繋ぐゲートには、元々こちら側にある物が関わってくる。もっとも、どうやってその戦闘機が移動したかを考えると埒があかないので、詮索しないことにした。
 時刻は深夜ぐらいだろうか?。周りは物の輪郭がうっすら見える程度の暗さであり、寝静まっている。
 土御門は、ここで上条当麻の情報収集をしたとしても、あまり効果的ではないと判断した。そのため、早々にこの村から去り、より大きな町を目指して道のりを歩き始めたのだ。
 タルブ村がそのとある少年と深い係わり合いがあることを知らないまま……。

 互いに「必要悪の教会」に所属している二人。直接出会ったことは今までないが、ある程度の事はそれなりに知っているようだった。
 故に、今更詳しい自己紹介とかをする必要性はない。
 短い会話のキャッチボールを終えた二人は、足をただ進める。もとより体力はある二人。通常よりやや早い速度で歩いていても、疲れを見せる様子はない。
 そんな中、土御門は考えていた。
 一体アレイスターが何を考えて当麻をこちらの世界へ呼んだのかと。
 そんな中、インデックスは考えていた。
 当麻はまた新たな女の子をいちゃいちゃしているのではないかと。
 両者は自分の世界に閉じこもりながら、
 目の前の地平線から新しい町が見えてきた。



「これがトウマさんの世界の服装なんですか?」
 くるっ、とシエスタは体を一回転する。その際ふわっ、とスカートが宙に浮かぶ。
 ズバッ、と頬を赤く染めた当麻は首をすばやく横に動かした。
「あぁ、き、気に入ってくれたか?」
「はい! こんな素敵なお洋服……ありがとうございます!」
 当麻は以前貰ったマフラーのお礼としてセーラー服をプレゼントすることにした。
 とある少年とは違い、当麻はギリギリラインではなく、むしろゆったりとした感じな服装をチョイスした。
 ただ、夏という事もあり、胴の丈はちらりとおへそが見えるか見えないか辺りで切る事にした。ただ、スカートは膝上数センチと、少し長めだ。

 必死にシエスタから裁縫を習った当麻の傑作品とも呼べる代物である。

 日本人寄りのシエスタにはやはりと言うべきか、とてもよく似合う。やはり制服は女性の可愛さを引き出す必須アイテムだと当麻は感じた。
 もちろん、シエスタが下着を身につけていないのは知らない。
「これでわたしにも属性っていうのがついたのかな……?」
 シエスタの顔が赤く染まり、手をもじもじとしてるその言葉に、当麻は面食らったかのように目を丸くする。
「えと……何をおっしゃっているのですかシエスタさん……?」
「わたし聞いたのですよ、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪赤髪青髪
 魔乳怪乳爆乳巨乳豊乳貧乳微乳無乳虚乳ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛
 制服保母さん看護婦さんメイドさんシスターさん軍人さん秘書さん踊り娘ロリツンデレヤンデレおしとやか一途ドジッ娘
 白ゴス黒ゴス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様キャミソールガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し盲目眼帯包帯エルフハーフエルフ吸血鬼
 とかそういう属性があるんですよね?」
「あのー……、それは誰から聞いたのでしょうか?」
 思わず聞き返してしまった。まさかこのようなところでも、ジャパニーズ文化が浸透しているのだろうか?
 いや、そんな事はありえないとわかっていても、なぜかそう思える所がこの世界の不思議な部分だ。
「えと……ローラとドミニックですけど?」
 あいつらか、と当麻はあらぬことをシエスタに吹き込んだ二人に対して怒りのオーラが沸いてくる。
 二人は、以前とある騒動で知り合いとなった金髪とオレンジ髪のメイドさんであった。
 というか、そんなことまで知っている彼女らに対して日本人ではないかという錯覚を覚えてしまう程。
 それだけ彼女らには親近感というのが感じられた。
「それでその……わ、わたしはどんな属性なのですかね?」
そんな事を考えているとは知らないシエスタがさらに質問を重ねる。
「……はい?」
 当麻は返答に困った。
 本人の目の前で、さすがに属性について自分の思っていることを言うのは失礼だとはわかっている。しかし、上目遣いでキラキラ輝かせるとなるとこのまま黙っているのもいかがなものかと思ってしまう。
 えぇい、どうする俺!? と究極の選択に悩んでいた当麻であったが、

 不意に、後ろから飛び蹴りが襲いかかった。

 ドゴッ! という鈍い音と共に壁際まで追いやられる当麻。キャッ、と短い悲鳴をあげたシエスタがその足の持ち主へと視線を向ける。
「ああああんたは~、ななななにご主人様の存在をカンッペキに無視して、メメメイドといいいいいちゃいちゃしてるのかしら?」
 こめかみをひくひくと動かしているルイズが、ずかずかと当麻へと近寄る。
「いや、別にいちゃいちゃなど断じてこの上条当麻は――」
「なんか言ったかしら?」
 必死に説得を試みようとしたが、ギロリと睨まれただけでハハーッ、と土下座モードに入る。
 その突き出た背中に、ルイズは足を乗っける。
「あんたは、いつからそんな頭が高くなったのかしら!?」
 隣で「ラ・ヴァリエール嬢! 落ち着いてください!」と腕にしがみつくシエスタをうっとうしいと感じたのか、ルイズは彼女を薙ぎ払う。
「だいたいあんたもそうよ! 一体何のためにここにきたのよ!」
 ルイズに指摘されて、シエスタは「あ」と気付いたようだった。



「へぇ~、中世ヨーロッパな外見なんだね」
 タルブから一番近い町、ラ・ロシェールに着いたインデックスは、同行者の土御門元春の周りをうろちょろしながら観光者気分を味わう。
「俺らとそんな変わらないんぜよ、もっと異世界人なのを予想したんだけどにゃー」
 異世界、と言っても自分達とは大差がない。普通の人間ばかりで、自分達と違う点を挙げるのが難しいくらいだ。
 時刻も朝が過ぎて、そこそこ賑わいだす時刻。新しい世界という事もあり、インデックスはさらに見るもの全てに目を輝かして眺める。
 この点に関しては、上条当麻を捜す時は便利である。
 訪ねたらいきなり拳が飛んできたりとか、出会った瞬間襲われるそうなイメージはない。むしろ友好的に手伝ってくれそうである。
 しかし、

 決定的な問題点があった。

「wカラtgd」
「トイミgm6qアルマ」
 すなわち言語だ。
 当然のように、彼らが話している言葉は土御門には理解できない。それこそ、宇宙人が話しているようにも感じられる。
 このような事態に陥る事は、容易に想像できた。しかし、指摘されたアレイスターは「問題ない」の一言で済ましたのだ。
 あの世界最高の科学者であり、世界最強の魔術師である人間が問題ないと言ったので、気にしない事にしたのだが……。
(チッ……アレイスターは一体何を考えているんだ?)
 まさか魂のボディランゲージ一つでこの世界にいる上条当麻を捜すなど不可能に近い。
 まずは他人とのコミュニケーションが一番。そうでなくては話にならない。
 どのような思惑があるのかを考えながら、彼は町の中を突き進む。
「4ajチマヤmwtbf」
「あ、あれ一体なんなのかな?」
「シュチpuh58ox」
 ぴたっ、と土御門の足が止まった。
 今の会話の流れで、明らかおかしい言葉が混じっていた。
 ――すなわち、日本語だ。
「にゃぁぁぁぁぁああああああ!」
 ズバッ! と振り返り、絶叫する土御門に周りの視線が一斉に集まる。
 といっても、そちらに気をかける余裕はない。
「異世界式迷子は自力で救わないと次のイベントに進めないというオチかにゃー!?」
 たびたび言うが、ここではコミュニケーションをとれる手段が魂のボディランゲージしかない。

 あなたはそれだけで白いシスターを探しています。一体どこにいるのでしょうか。と聞けますか?

「無理ぜよ!」
 ウガー、と両手で頭を抱えて悩み出す。
 あのインデックスの事だ。ここで待っていればきっと戻ってくるはずだと脳は答えを導いたのだが、
 なぜか早く見つけないととんでもない事になってしまうと体が訴えてくる。
 周りの人が思わず近寄って『大丈夫ですか?』と聞こうした瞬間、
 土御門はガバッ! と起き上がり、辺りを見渡す。
「確かあいつは何か興味をそそるような物を見つけたはずなんぜい!」
 この一見特に変わったものがない普通の町。ならばインデックスが興味津々に足を向けてしまうような物は、土御門自身も気付くはずだ。
 ぐるりと体を一回転してそれらしい場所を探す。
「あったにゃー!」
 ビシッ、と土御門が指した先には、空を飛んでいる飛行船が今まさに降りようとしていた。


「で、あんたはこいつと一緒にタルブの村で夏休みを過ごしたい。そういうわけ?」
 なぜか当麻と一緒に土下座の態勢でいるシエスタ。繰り返し言うが、スカートの中身はもちろん何もない。
「えっと……まぁ簡潔に言うのならー……」
「却下」
 ビシッ! といつの間にか手にしている鞭をシエスタの目の前の床にたたき付ける。
 たいていの人間――しかも平民であるから今の威嚇で反論の一つも出てこないのが普通だ。
 しかし、今日のシエスタは違う。
 当麻からプレゼントを貰い、後押しされた恋する乙女に階級の差など関係ない。
 シエスタは敵対する貴族に肩を震わせながらも必死に言葉を紡ぐ。
「ト、トウマさんだって人間です! いつまでも使い魔の仕事をやらせるのはあんまりだと思います!」
 もっともな反論なのだが、今のルイズはそのような事では納得してくれない。
「なによ! 使い魔の仕事は使い魔にとって本望なのよ! それなのにトウマが嫌がるわけないじゃない!」
「それはルイズさんの勘違いです! ……へぇ、それならトウマさん本人に聞きましょうか?」
「うっ……いいじゃないの! さぁ、早く答えなさい!」
「トウマさん、もちろんわたしと一緒にタルブ村に行きたいんですよね?」
「あー、えっとー……」
 二人の視線が自分に集中し、思わず口を濁す。
 正直以前もこんな事あったよなー、と思いながらどうやらどちらかを選ばなければならないようだ。
 その時だ。

 タバサが、窓から颯爽とルイズの部屋に侵入してきた。

「あータバサってうぉあ!?」
 暢気に返事をしようと思った矢先、突然腕を引っ張られる。
「きて」
 小さくぽつりとタバサは呟く。
 その華奢な体からは想像できない力で当麻は腕を引っ張られる。
 侵入した窓から再び外へと出て、待機しているシルフィードの背中にうまく乗ると、
「少しばかり、借りてく」
 という言葉を残し、そのまま去って行った。
 突然の出来事に、ポカンという擬音が似合うような格好でルイズとシエスタは口を開いている。
 窓から出発したシルフィードはもう小さな点になっている。とてもじゃないが、今更呼び戻すのは不可能だ。
 そして、入れ違いに一匹のフクロウが同じく窓から侵入してきた。そしてルイズの肩に乗ると、お届け物の合図として頭を突く。
「イタッ……、もうなんなのよ……!」
 混乱していたその頭を突かれてルイズは不快感をあらわにする。
 まさに電光石火の早業――という程のものではないが、こちらの言い分を聞かないまま人の使い魔を借りていく行為に関しては納得がいかない。
 嫌々フクロウが口に加えている小さな書簡を取ると、それを眺める。
 最初はあまり興味のなさそうにしていたが、そこに押された花押を見て、態度を一変、真剣な眼差しへと変えた。
「ルイズさん……?」
 思わずシエスタが聞き返す。当麻の事などもうどうでもいいような態度に、事の重要性を感じた。
「ねえ」
「なんですか……?」
 読み終えたルイズがシエスタに声をかける。一体何事かと、シエスタは思わず恐る恐るな思いで聞き返してしまった。
「あなた、これから暇?」
「え? 私は実家に帰るつもりですけど……」
「そう、だったらお願いするわ。できれば一緒に来てくれるかしら?」
 何処へですか? と聞くシエスタに、ルイズはアンリエッタから貰った手紙を差し出した。
「ゼー、ハー……インデックス……悪いが俺の目から離れないでくれ……」
「見て見てもとはるー、でっかい飛行船があるんだよ! てか凄いでっかい樹! イグドラシルといい勝負かも!」
 疲労感に襲われて、肩を上下に動かしながら叱ろうとしたが、目をキラキラ輝かせているインデックスの耳には入らない。
 ここは港町と呼ばれているラ・ロシェールの核といってもおかしくない場所、飛行船場だ。
 巨大な樹が四方八方に枝を伸ばして、そこに幾多の飛行船がぶら下がっていた。
 そのうちの一つの飛行船の前に二人は立っていた。
 インデックスは土御門のワイシャツをぐいぐい引っ張って、彼の視線を船体へと向けさせる。
「あれはガリア王国行きらしいんだよー」
 そういって指差すインデックスに、土御門は「は?」と目を丸くする。
「インデックス……お前、読めるのか?」
「うん、魔導書はもともと異世界のルールについて書かれた物だからね。たまたま運がよかったのかな? この世界の字で書かれた魔導書があるんだよ」
 ご丁寧に翻訳つきでね、と付け加える。
 インデックスには瞬間記憶能力というスキルがある。それにより、彼女の頭には十万三千冊という莫大な量の魔導書を抱えているのであった。
(だとしても……)
 おかしい。
 わざわざこちらの世界の言語を使うのはおかしい。いや、そもそも使える上に翻訳してしまうのがおかしいのだ。
 これがアレイスターが大丈夫だと言った理由なのだろうか? 土御門はインデックスから情報を引き出そうとする。
「なぁ、その魔導書は一体誰が書いたんだ?」
「ん? スタウリー・クローレイア。私が生まれた後に出来た魔導書なんだよ? 地球では使えない内容ばっかりだったけどね」
 聞き慣れた事のない魔術師。そんな名も知らぬ魔術師が書いた魔導書をなぜインデックスが覚えているのだとアレイスターが知っているのだろうか?
(いや、それとも……)
 別の可能性を見出だす土御門。どっちみち考えても答えは見つからない。
 とりあえず、この件に関しては保留にしても問題ない。王国、と言う限りには相当大きい場所である。ここに滞在するよりもヒントが見つかるかもしれない。
「王国ということは相当でかい場所なんだにゃー。ちょいと無賃乗船さして貰うんぜい」
「おー!」
罪の意識など感じない二人は、出発の準備をしている飛行船にこっそりと乗船するのであった。


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