あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

豆粒ほどの小さな使い魔-11




ルイズに聞いてみたら、契約の力で、言葉を話せるようになる使い魔もいるって。
そのことを聞いてから、私もあのどらごんと話をしてみたくって、時々様子を窺ってた。
あの大きさなのに、主人である女の子よりも子供っぽい声で話すのは、可愛いくて可笑しい。
そんな風に思ってたんだけど、見てるうちに気がついた。あの二人は、話ができるのを、ないしょにしてる。
それで、話しかける機会を逸してしまった。
青い髪の女の子が、ルイズの手の火傷を魔法で治してくれたとき、ちゃんとお礼を言えなかったのは、彼女のないしょの一つを知っちゃったから。
そのことが、まだ私の中で引っかかってる。
あの子が、どらごんに会いに行くのは、早朝か、日が落ちかけた今くらいの時間。
「るいず、チョット、外走ッテクルネ」
「あんまり遅くならないでね」
窓の隙間から飛び降りる。これも、考えないといけないことの一つ。
雨が降ったときとか、どうしようかな。冬は窓が開いてたら寒いし。

いつもの草原にいた女の子。だけど、その顔はいつもより強張ってて、目つきが暗かった。
任務? 生徒なのに。
どらごんに乗って、飛んで行っちゃった……

* *


私に声を掛けてから、多分、窓から出て行ったハヤテ。
何か気になってることがあるみたい。
本当は、こんなときこそ視界をつなぐべきなんだろうけど、どうしてだか、ハヤテが自分で話してくれるまで待っていたい。
「私にとって、危険だとか、そういうことじゃない。これは確かよね」
それならもっと早く言ってくれてるだろうし。
私はどうだろうか。今の私に、ハヤテの話を聞いてあげられる余裕があるかな。
一番を占めてるのは、やっぱり魔法のこと。コルベール先生に、ここしばらく考えたこと、練習したことを、レポートにまとめて提出した。
属性と反発するんじゃないかと思ったまではよかったんだけど、それだとコモン魔法まで爆発する理由が説明できなかった。
あ、違う、書き忘れてた。魔力の込めすぎ。
でもこれも、私の魔力がそんなに桁外れなのか、自信がない。
四属性じゃなくて、膨大な魔力を必要とする魔法があれば確かめられるかもしれないのに。
ああいけないハヤテのこと考えてたのにすぐこれじゃあ。これじゃハヤテが言えなくて抱え込んじゃうの仕方ないじゃない。
羽ペンを転がして、思いっきり背筋を伸ばす。
また煮詰まってるのかなぁ。
ハヤテを失望させるのが怖い。だから、やりすぎちゃうのかも。
ぐうと仰け反ったら、本棚がさかさまに見えた。
ハンモック、あれは、傑作だった。お腹から力が抜けて笑っちゃう。
横板に止めたピンと毛糸を上手く使ってて。自慢げに靴下のベッドに足を組んで寝そべって、私とシエスタに笑いかけてくれた。
あれは絵に残しておきたかったかも。
他にも、ダイスの椅子に、タペストリーだと思ったのはキャンディーの包み紙だったり。
「痛っ?」
ずきっと、こめかみが痛んだ。それと一緒に、頭の中に割り込んできた、これは?
舞い上がっていく風竜を見上げてる、その視点、一瞬だったのに、草の匂いまで感じたような気がした。
「……ぁ」
消えた。というか、途切れた。
あれは、タバサの使い魔だったと思う。背中に小さな人影が見えたし。
だけど、こんな時間に、どこに行こうと言うんだろう。窓から外を見ても、もう薄暗くて。
偶然竜が飛ぶところを見て、それでハヤテがびっくりして、そのせいで私と繋がっちゃった、とは思えないんだけどな。


「るいずっ」
「お帰りなさい、ハヤテ」
私も、それにハヤテも話があるんだろう。私の肩じゃなくて、インク瓶の上に座った。この方が、視線を合わせやすい。
「あのね。わざとじゃないことは信じて欲しいんだけど、さっきハヤテの目と繋がったわ」
さっきみたいに視界が繋がる、まではいかなくても、そういえばこのところ、ハヤテが近いなって感じること、けっこうあった気がする。
一瞬だし、気のせいだとばかり思ってたんだけど。
「ル……私ハ、今マデソンナコトナカッタケド、明日ノコトヲ少シダケ見タリ、遠クノ人ヲ感ジタリスルころぼっくる、少シダケイルノ」
「じゃあ、ハヤテもそうなったのかしら」
本人もよく分からないみたいで、首を傾げてる。やっぱりハヤテが意識して私の視界を繋いだわけじゃないんだ。
「るいず、コレノセイジャナイノ?」
ハヤテが差し出したのは、左手。使い魔のルーン。
そう言えば、使い魔になると、何か特別な力を得ることもあるんだった。言葉を話せるようになったり。確かに有り得るわね。
うん、落ち着いて話せてる。本題に入ろう。
「それで、ハヤテが最近気になってたのって、タバサ――あの、あのときキュルケと一緒にいた、青い髪した子のこと?」
ハヤテは頷いてくれた。
「アノ子ガ、ナイショニシテルコト、私ガ知ッチャッタノ」
そのことをタバサは知らないって。
それは、謝ろうとしたら藪を突付きそうだし、かと言って黙ってるのも気まずいわ。
本当は忘れてあげるのが一番なんだろうけど。
「でも、気になるんでしょう?」
「ン……るいずト、チョット、似テル気ガシタノ」
私に似てるから気になる?
それって、ハヤテは私のことが気になるってことで……ああ違うそういう話じゃないのよね。ポットから冷めた紅茶を注いで、半分ほど飲み干した。ちょっと部屋が暑い。
ハヤテにも、注いであげる。
だけど、タバサの顔を思い浮かべてみる。キュルケと違って、印象が薄い。
あんまりしゃべらないし、表情も変わらない。
キュルケ以外と話してるとこだって、ほとんど見たことないもの。
「それなのに、私と似てるの?」
なんか、やだな。
……タバサが似てるのが嫌なんじゃなくて……タバサも、使い魔を呼ぶまで、私みたいに一人で泣いてたりしたのかな。
考えたことなかったから、初めてなんだけど。自分のなら我慢できるけど、人が辛いのって、我慢できない。
それって、私だけなのかな。
「ハヤテ」
「少シシカ、知ラナイ。聞イタノハ、偶然ダカラ。デモ、凄ク辛ソウダッタノ」
ああ、もう。
そんな顔して言わないでよ。
「タバサは、どっかに飛んでっちゃったのよね。何処に行ったかは、知らないか」
時々授業を休んでたのは、体調を崩してたんじゃなくて、こんな風に学院を抜け出してたのかもしれない。

「ねぇ、ハヤテ。タバサにコロボックルのことを話したら、だめかな」
こんなことしか考え付かなかった。
後ろめたいままじゃ、話なんてできないもんね。

どうして私、ハヤテの言うことこんなに信じてるんだろう。
コルベール先生が元軍人だとか、タバサが辛そうだとか。ただの変な先生と、無表情な女の子なだけかもしれないのに。
どうして……タバサが早く帰ってこないかなって思ってるのかなぁ。




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