あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

STEALTH & Aegis-03-1

STEALTH & Aegis  :3-1   襲撃




城下町での買い物を終えたその夜。


今日も来るであろうコルベールを中庭の片隅で待ち構えていたエディの高感度マイクが、データに記録された声をキャッチした。
声紋照合。サイト、ルイズ、並びにもう1名の女性の声を確認。
名称不明の女性の声は、午前中に竜に乗って飛来してきた2人の内の赤毛の女性である確率は97.32%。

センサーで捉えてそのまま追いかけていると、なんとロープで縛られたサイトが本塔の上から解体された肉よろしく吊るされたではないか。
塔の屋上では、午前に出会ったもう1人の少女と竜が飛んでいる。スキャンの結果、竜が咥えているのはサイトが購入した喋る剣と別の剣だ。
吊るされた高さは30mほど。何かの拍子で落下した場合の確率は90%近くとの結果。
何で吊るされているのだろうか。エディには判断がつかない。
50m以上離れた位置で話し合っているルイズと女性の音声を拾う内に、呆れのような感情をエディは覚えた。


分かりやすく抜粋すれば、魔法を使って今のサイトにとって――文字通り――唯一の命綱を切って、サイトを地面に落とせば勝ち。

とどのつまり、単なるちっぽけな意地を賭けた勝負だ。


……何とも言えない情けなさをエディは感じた。
これがもし軍隊内の揉め事であれば、即座にMPにでも捕まって双方懲罰房行きで即座にノーゲームで終わる揉め事であろう。
第一、落とされたサイトはどうなる?縛られた状態であの高さから落ちれば確実に命は無いだろうに。
ああでも、コルベールから教えてもらった知識の中に物理法則の大半を無視して物を浮かせたり飛んだりする魔法もあるとデータの中に記録してある。
ならばあの高さぐらいどうって事無いという事か。

それでも道徳的論理的、ああして他の人間を巻き込むやり方はどうなのだろう?

ルイズが杖を振るうと、本塔の壁で爆発が起こった。

――――爆発の特徴に関する該当データ無し。
データ中のどのような火薬、または引火性物質による爆発とも一致しない。
瞬時に発生した爆風速度とその規模から威力は手榴弾からグレネードランチャー用榴弾程度と推測。
だが爆発の際、少なからず影響が出る筈の空気中の組成の変化はまったく見受けられない。
建物への損害評価――壁の一部に亀裂が入ったが、建築素材のスキャンの結果から軽微と評価を下した。

続けて女性が、言語データに一致しない言葉を紡いで杖を振るうと、大気中の混合比率――特に酸素の割合――が急激に変化が発生。火の玉を形成。
放たれた火球は、容易くサイトの命綱を焼き切った。
重力に従って縛られたサイトはなすすべも無く落下したものの、急激な落下速度の低下によって怪我1つ無く地面に着地する。
エディのセンサーは、その瞬間にサイトの周囲の気流が急激に変化するのを計測した。

そのデータによる比較から、不可思議な結果が発生する。



――――ルイズの放った『魔法』は、エディのセンサーにまったく反応しない。



これは一体どういう事か。その詳細な診断結果を出すべく、エディの脳が人間の数万倍もの回転速度を発揮し始める。

その時、火山活動に似た地質の変化を探知した。
機械でしか探知できないレベルの地面の揺れを感知。
するとエディとルイズ達との中間の地面が盛り上がって、勝手に巨大な人型を形成した。
不自然なくらい静かに地面から現れたせいで、ルイズ達は未だ気づいていない。このままでは危険だ。

スクラムジェット起動。

背後に迫る未知の脅威が迫っている事を知らせるべく、エディは即座に出力を上昇。
ヘビメタバンドのコンサートも子供騙しな轟音を、学院中へと轟かせた。




土くれのフーケ――――ただ今全米中、じゃなくてトリステイン中を騒がせている盗賊の名だ。

『土』系統のトライアングルクラスである彼(もしくは彼女)が次に目をつけたのは、トリステイン魔法学院の宝物庫に保管されているという『破壊の杖』である。
しばらく前にこの楽員の要職として潜入し要領良く宝物庫についての情報を手にしたは良いが、その対処法が見つからなかったのだ。

宝物庫の壁にかけられている『固定化』のクラスはフーケよりも高度なスクウェアクラス。
『錬金』の魔法によって壁を破るのがフーケの主な盗みのやり方であるが、自分よりも強い魔法がかけられている以上効果は無い。
ならば、と特大のゴーレムを生み出して力任せに壁を破壊する強行策も考えはした。
色々と手を使って学院の教師から、物理的な衝撃が弱点だと聞き出した為である。
もっともそれも、核サイロの隔壁並みの分厚さと強度を持つ壁に阻まれて諦めかけたのだが。

しかし、それも目の前で、学院1の落ちこぼれとまで言われていた少女の爆発魔法によって、宝物庫の壁に亀裂が入れられるまでの話。

何であの少女の魔法?によって『固定化』のかかった壁が破壊されたのかは見当がつかない。
が。これが明らかにチャンスである事に気づくぐらいの鋭さをフーケは持ち合わせていた。
そばに居るのは単なる学院の生徒とその使い魔ぐらい。強行突破ぐらい容易い。



――――そして今、フーケは生み出した全長30メイル程もある巨大ゴーレムの肩に乗っていた。だがその表情は苦々しい。

理由は、ゴーレムを生み出してからすぐに背後から轟いてきた爆音の為。
あまりの大きさに耳も痛いが、もっと厄介なのはその音に釣られてやってくるであろう衛兵や学院教師達だ。
背後を見てみると、例の落ちこぼれの少女の使い魔の片割れ…何やら奇妙な見た目の鋼の塊が、ゆっくりと浮上していた。それを見て舌打ちが漏れる。
この使い魔が魔法も何も使わずに自由に空を飛んで見せる存在だというのはフーケも聞いている。実際に風竜の軽く10倍近い速度で飛んできた場面も目撃済みだ。

だがそれは今は関係無い。自分のやるべき事は、

①ゴーレムで宝物庫の壁を破壊する
②中へ忍び込んで、『破壊の杖』を頂戴する
③中の壁に『錬金』で犯行声明を残す
④ばっくれる

まずは最初の段階を終わらせよう。
ゴーレムを壁に近づけていく。足元に居た生徒たちが慌てて逃げてくのを満足げに確認してから、ゴーレムの拳を『錬金』。鉄の拳へと変化させる。
轟音。
拳が壁にめり込む。
壁はあっけなく崩れ、めり込ませた拳から腕を伝って宝物庫へと入り込んだ。
中に並ぶ様々な宝物を無視して、真っ先に奥へ。そこにあるのは、多数の杖がかかった一角。
そこにそれはあった。
それを見た瞬間、フーケは思わず呟いていた。

「……なんだい、こりゃ」

明らかに、杖には見えない。
いや、これまで様々な杖は見てきたが、外見からして判る通り、全て鉄で出来ているような杖なんて見た事が無かった。
とにかくこれが『破壊の杖』だろう。
1メイル以上ある『破壊の杖』を抱える。重い。
しかし今は急がなければと、去り際に杖を振ってから、最初とは逆の要領で逃亡した。


宝物庫に刻まれていた文字はこうだ。





『破壊の杖、確かに領収いたしました。

                      土くれのフーケ』



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