あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロHiME~嬌嫣の使い魔~ 第七話(後編)


 トリスティンの城下町についたルイズと静留は、目的地の服屋に向かっていた。

 「そういえば馬に乗るのは始めてとか言ってたけど、ちゃんと乗りこなしてたわね」
 「そうどすか? 自分ではよう分かりまへんけど」

 納得いかない様子のルイズに、静留が首をかしげながら答える。そして数歩進んだところで横にある路地に向かって声をかけた。

 「誰や知らんけど、そんなとこに隠れんと堂々と出てきなはれ。さっきから尾けてきとるのバレバレどすえ」
 「えっ?」

 ルイズが静留の声に驚いて路地の方を見ると、そこからキュルケとタバサが現れる。

 「な~んだ、ばれてたのね。驚かそうと思ったのに残念」
 「だから……成功しないと……」

 あっけらかんとした感じのキュルケの隣でタバサが不満そうに呟く。

 「で、人をこそこそ尾け回して、何の御用かしら?」
 「別に用事なんかないわよ。私達はあなた達を偶然見かけて、面白そうだから後を尾けてただけだもの」
 「あっそ、用事ないならさっさとどっか行きなさいよ」

 ルイズはそう言ってキュルケを追い払おうとするが、キュルケはそれをまるきり無視して話を続ける。

 「そういえば、この先って服屋があるけど、今日はシズルの服を買いに来たの?」
 「そうよ、いつまでも自分の使い魔にメイドから借りた服を着せておくわけにはいかないもの」
 「ふ~ん……そうだ、私達と一緒に買い物しない?」
 「はぁ!? なんでそうなんのよ?」

 ルイズは唐突なキュルケの提案に声を荒げるが、それをなだめるように静留が口を開く。

 「別にええんやないどすか? せっかく出会ったんやし、皆で買い物したほうが楽しいと思いますえ」
 「結局、それってシズルの希望じゃないの……まあ、今日はあなたの買い物だし、好きにするといいわ」
 「ルイズ様、おおきに。ほな、いきまひょか」

 渋々ながら同行を認めたルイズを先頭に、静留たちは連れ立って服屋へと向かった。


 その後の服屋での買い物は大騒ぎだった。
 ルイズとキュルケがとっかえひっかえ服を持って来ては、その度にあーでもないこーでもないといって言い争い、それを静留とタバサがなだめるということが繰り返されたからだ。
 結局、タバサの「実用的じゃない」という突っ込みでルイズとキュルケが選んだのが却下され、静留はタバサの選んだ丈夫なチュニックとズボンという実用重視の組み合わせを数着購入した。もっともルイズとキュルケは不満そうにしていたのだが。
 その後、小物や靴などを見て回ったルイズ達が、昼食のために小奇麗な食事処に入った頃にはすでに正午をだいぶ過ぎていた。


「ルイズ様、予備の武器を買いに行きたいんやけど」

 食事がひと段落して、皆でこれからどうしよかと相談していると、静留がそんなことを言い出した。

 「予備の武器って……エレメントがあるのに他にも武器が必要なの?」
 「実は高次物質化能力が不安定で、いつでも殉逢を出せるいうようにはいかんようなんどす。現に今日はいくら精神を集中しても出えしまへん」

 ルイズの疑問に静留がすまなそうに答える。

 「へえ、あの武器ってエレメントっていうのね。で、高次物質化能力って何?」
 「あっ……」

 横から口を挟んできたキュルケの言葉に、ルイズがしまったという表情で口を手で押さえる。そのルイズの様子に静留は苦笑すると、キュルケにもタバサの時と同じように生まれつきの能力だという説明をした。

 「ふ~ん、そういうことだったのね」
 「キュルケ、くれぐれもこのことは……」
 「はいはい、誰にも言わないから安心しなさい。いくらなんでも級友の使い魔を売るようなまねなんかしないわよ――タバサ?」

 キュルケが心配そうな顔をしているルイズに向かって面倒くさそうに答えていると、隣に座っていたタバサが席から立ち上がって口を開く。

 「武器屋に行くなら急がないと……夕食までに帰れないかも知れない」
 「そうどすな。ほな、いきまひょか?」

 静留がタバサの言葉に同意して皆を促し、ルイズ達は食事処を出て、路地裏にある武器屋へと向かった。


 「こいつはおったまげた! 貴族が剣を! おったまげた!」

 武器屋に入ると、店主は最初はルイズ達を王宮から手入れにきた役人かと怪しんでいたが、客だというと今度は大げさに驚いてみせた。

 「ねえ、貴族が客だからってちょっと大げさすぎない?」
 「いえ、お嬢様方。農民は鍬を振って、兵隊は剣を振って、貴族は杖を振る、と相場は決まっておりますんで」
 「使うのは私じゃないわ。使い魔よ」
 「忘れておりました。昨今の使い魔は剣も振るうようで……剣をお使いになるのは、そちらの方で?」

 店主は揉み手をしながら静留をジロジロ見回すと、ルイズに尋ねる。

 「ええ、そうよ。私は剣の事は分からないから彼女に合いそうなのを適当に見繕って頂戴。そうね、できれば槍の方がいいけど」
 「あいにくとそのお嬢さんが持てそうな槍は扱ってませんな。剣ならこの長剣とか丁度良いかと」

 店主はそう言うと、装飾された煌びやかな長さ1メイル半ほどの長剣を出して見せる。

 「最近、城下の貴族のお屋敷を土くれのフーケとかいう、メイジの盗賊が荒らしてるせいか、貴族の方々の間で手だれの下僕を警護につけて剣を持たせるのが流行っておりましてね。その際にお選びになるのが、こういう業物の長剣でさあ」
 「へえ、このごろ随分と物騒なのね」

 適当に相づちを打つルイズの横で、剣を見ていた静留が店主に話しかける。

 「ご店主さん、確かに見事な剣のようやけど……こら数合打ちおうただけでポッキリいってしまいそうやねえ」
 「冗談言っちゃいけませんぜ。こいつを鍛えたのはかの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿で、魔法が掛かってるから鉄だって一刀両断でさ。この通り紋章と銘が刻まれておりやすでしょう」

 静留の言葉に店主は血相を変えて食って掛かったのだが――

 「残念……これは精巧な模造品……」
 「そうね、シュペー卿のは実家にあるけど、紋章が違うわ。ご店主、偽物をつかまされたんですのね、お可哀想に」
 「そ、そんな……」

 タバサの冷静な、キュルケの哀れむようなダメ押しを受けて、がっくりと店の床にへたり込んだ。

 「へっ、ざまあみろってんだ! この俺様の価値も分からねえでガラクタの中に突っ込むようなやつにゃ、いい薬だぜ」
 「……誰やの?」

 突然、聞こえてきた店主を嘲るカチャカチャという金属音混じりの低い男の声の主を探して、静留はさっと店内を見回した。

 「ここだぜ、貴族の娘っ子ども」

 再び聞こえてきた声の主は、店の隅に放置されているガラクタの間に突き立てられ、柄にある金具をカタカタとさせている錆びが浮いた片刃の剣だった。

 「へえ、喋る剣どすか」
 「おうよ。なんだ娘っ子、インテリジェンスソードも知らねえのか? 一体、どこの田舎もんだよ」

 静留が物珍しそうに剣と会話していると、店主がつかつかとやってきて剣に向かって怒鳴り声を上げた。

 「やい、デル公! てめえ、俺をコケにした上に、お客様に失礼なこと言いやがって! 今日と言う今日はもう勘弁ならねえ! 貴族に頼んで溶かしてやらあ!」
 「やれるもんなら、やってみろ! どうせ、こちとらこの世に飽き飽きしてたところさ! 溶かしてくれるんなら、上等だ!」
 「おう、やってやらあ」

 そう言って剣を取ろうとする店主を、静留が押しとどめる。

 「まあ、ご店主さんもそう怒らんと。剣とはいえ、自我があるんやし、粗末に扱われれば嫌味のひとつもいいたなると思いますえ」
 「おっ、なかなか話が分かるじゃねえか、娘っ子。俺の名はデルフリンガー、おめえの名は?」
 「うちの名は藤乃静留や。よろしゅうにな、デルフリンガーはん」

 静留に挨拶を返されたデルフリンガーと名乗った剣は一瞬、黙り込んだ後、静留に向かって口を開いた。

 「おどれーた! 娘っ子、てめ、『使い手』かよ! へっ、しかも場数を踏んでるときてやがる! 娘っ子……いや、姐さん、俺を買いな」
 「別に買うてもかまへんよ」

 静留がくすりと笑ってデルフの売り込みに同意すると、ルイズが嫌そうな声を上げる。

 「えー、そんなの買うの? 何か錆びてるんだけど」
 「まあ、磨けば錆は落ちるやろし、いざいう時にはいい知恵を貸してくれると思いますえ。それに見栄えが立派なナマクラを掴まされるよかはええんやないかと」
 「そうねえ、少なくともさっきのよかましね」
 「王宮に通報……」

 静留、キュルケ、タバサが冷ややかな視線で見つめると、店主は引きつった愛想笑いを浮かべてルイズに声をかけた。

 「お嬢様、お代は結構なんで、どうぞお持ち帰りください。こうやって鞘に入れときゃ、おとなしくなりますんで」

 店主はデルフリンガーを鞘に収め、背負うためのベルトと一緒に静留に手渡した。


 「それじゃあ、お先にね。ルイズ、シズル」
 「お先に……」

 武器屋を出て街の入り口につくと、キュルケとタバサはシルフィードに乗って一足先に学院へと帰っていった。

 「まったく何しに来たのかしら、あの二人」
 「でも、楽しかったんとちゃいますか?」

 馬上から飛び去るシルフィードの影を見送りながらぼやくルイズに、静留がにこにこと微笑みながら尋ねる。

 「まあ、確かに退屈はしなかったけど……べ、別に楽しくなんか――って、なにニヤニヤしてんのよ!」
 「別になんにも……ただ、ほんにルイズ様はかいらしいなと思うて」
 「かっ……な、何恥ずかしいこと言ってんのよ! と、とにかく帰るわよ!」
 「はいな」

 自分の言葉に顔を真っ赤にするルイズの様子に静留は目を細めると、共にくつわを並べて学院への帰路に着いた。



新着情報

取得中です。