あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの(オンドゥル)使い魔-6

 夜。
 ルイズは自室のベッドで、となりにいる奇妙で不気味な生き物を観察していた。
なんなのかしら、この使い魔は。
 さっきからチラッ、とこっちを見るくせに、
 「なによ?」
 と聞くと、
 「な、なんでもない」
 と、焦ったように呟く。
 これではまるで、悪いことをして、それを親に打ち明けるべきかどうか迷っている子供じゃないか。
 そこでルイズは、はたと気づく。その通りではないのだろうか?
 「あんた、なにかしたでしょう?言ってみなさい」
 剣崎の額から、一筋の汗が垂れた。
 「・・・怒らないで聞いてくれるか?」
 「ええ」
 「あのな」
 「うん?」
 「えーとな」
 「だから、なに?」
 「その・・・なあ。あはは」
 「いいから言いなさい!」
 しょぼん、と剣崎は縮こまると、ルイズの前に正座した。
 「実は俺、戦えません」
 「はあ?」


 「つまり、あんたはそのなんちゃらカードがないと戦えない。
ただの無能で、生きている価値すら見出せない野良犬以下だと・・・そう言いたいわけね」
 「・・・それは言いすぎだろう」
 剣崎は、ルイズに変身するための条件を説明した。
 と言っても、ライダーについては召喚された日に、ある程度話したので、数分で説明は終わったが。
 この前、どこのだれとも分からない人物から送られてきたカテゴリーKのカードは、覚醒器に通したときでないと効果を発揮しない。
 変身できない剣崎には、無用なブツである。
 「ああいやだわ、情けない。この使い魔は足止めもできないうえに、唯一の戦う手段すら奪われ、しかも犬以下だなんて!」
 ルイズが芝居がかった感じでいう。
 さすがに今のはカチンときた。
 「お前な、少しは年上への礼儀ってもんを考えろよ!」
 「へえ」
 ルイズはつい、と顎を上げ、ベッドの上に立った。
 正座している剣崎は、自然と見下ろされてしまう。
 「・・・・・・おい」
 「なあに?」
 「パンツ見えてるぞ」
 剣崎が、キャミソールから覗く下着を指差して指摘した。


 するとルイズは、ふんふんふんふ~ん、と鼻歌を歌いながら、逆立ちの姿勢に入る。
 「おい、危ないって!気でもふれたか!?」
 「とう!」
 ルイズの細腕で逆立ちが出来るはずもなく、そのまま倒立前転の形になる。
 ルイズの踵が振り子のように振り下ろされる。
 そして、ちょうどいい具合に、剣崎の頭頂部に命中した。
 「いだっ!」
 「こんのバカ魔!あんたが戦えないってのは、さっきいった通りよ!」
 「つ、つまり、無能・・・ってことなのか?」
 「そうよ!あんたはなに!?」
 「け、剣崎一真」
 「違うわ!この私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエールの使い魔よ!」
 頭を抑え、うずくまっていた剣崎の背中に、容赦ないフライングボディプレスが襲い掛かる。
 「おげ!」
 「いいこと!?明日!剣を買いに行くわ!紙程度の殺傷力しかないあんたでも、
いちおう武器を持てば、マシになるでしょ!」
 トランポリンと剣崎を勘違いでもしているのだろうか。
 ルイズは床に突っ伏した剣崎の上で、なんどもジャンプする。
 「ほげ!うえ!ぶへ!」
 「ほらほらほら!剣を買うって言ってるのよ!一言くらい感謝の気持ちをあらわしなさい!」
 「あ、ありが・・・とうっ!」
 「ございますは!?」
 「ごっ・・・ざいます!」
 「よし、許してあげるわ」
 最後に強烈なジャンプを見舞い、ルイズはやっと剣崎から降りた。
 「明日は虚無の曜日だから、街に連れてってあげる」
 ルイズはそのままベッドに入り、眠ってしまった。
 痛む背中をさすり、剣崎はのそのそと立ち上がった。
 いてて。すごく痛い。
 ちびっ子のくせになんてパワーだろう。
 「ふう」
 痛みが引いたころ、剣崎はポケットからカテゴリーKのカードを取り出した。
 「これだけじゃ変身できないんだよなあ・・・」
 『進化』と書いてあるらしいカードを眺め、剣崎は大きなあくびをした。



 虚無の曜日、というのは休日のことをいうらしい。
 昼ごろ、ルイズは剣崎と馬で出掛けた。
 こんなに遅く出て大丈夫なのかよ、と剣崎は不安になって尋ねた。
 まさか三日三晩ずっと旅します。なんて言いださないだろうな。
 「馬はけっこう速いのよ」
 なんて、ルイズの言葉を信じたばっかりに、剣崎は今、尻を押さえている最中である。
 「さ、三時間も乗せるなよ。おかげで、とても尻と腰がいたい」
 「ぐだぐだうるさいわね。歩いたらもっとかかっちゃうじゃないの」
 「そ、そうだけどさ」
 反論できず、とりあえず剣崎は主人に対する心の闇を払うために街を見た。
 白い石造りの街は、まるでテーマパークのようで、そう考えると、自分の邪気が薄れた気がする。
 貴族に比べて、平民が多いのも特徴だ。
 老若男女。とにかく様々な人が道を行き来している。
 「行くわよ」
 「ああ」
 ほかの道に比べると、大通りといえなくもない道を歩いて数分、一軒の店の前で、ルイズは立ち止まった。
 「ピエモンの秘薬屋の近くだったから、この辺なんだけど・・・」
 きょろきょろしていると、ルイズが一枚の看板を見つけ、嬉しそうに呟いた。
 「あった。あそこよ」
 看板は剣の形をしていた。ばかに分かりやすいな、と剣崎は思いつつ、ルイズの後に従った。

 店の中には、五十くらいの店主らしい親父が、入ってきたルイズと剣崎を胡散臭げに見つめた。


 紐タイ留めに描かれた六芒星に気づき、ドスの利いた声で話しかけてきた。
 「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありませんや」
 「客よ」
 ルイズは腕を組んで言った。
 そのままふたりで、なにやら話し始める。
 剣崎は、店の中にある武器を触ったり、持ったりしてみた。
 「ん?」
 剣を握ったとたん、左手のルーンが輝きだした。
 慌てて剣から手を離す。
 「どうしたのよ?」
 「いや、なんかこの剣を持ったらルーンが光って・・・」
 「そいつはなんの魔法もかかってない剣ですぜ?今まで、そんなことなかったはずですが・・・」
 剣崎が指差した剣を見て、店の主人は、不思議そうに言った。
 「じゃあ、あんたそれ買ったら?」
 「これか?」
 何の変哲もない、ちょうどいい長さで、ちょうどいい重さの剣である。
 う~ん。ならこれにしようかな。と、剣崎がそれを手にとろうとすると、
 「おい坊主!」
 手を伸ばした先の、乱雑に積み上げられた剣の中から声がする。
 「おめえ、自分を見たことがあるのか?身長ばかりデカイくせして、全然ヒョロヒョロじゃねえか!
それで剣を振るう?そんなことしたら、逆におめえが折れちまうぜ!」
 「なんだと?」
 「やい、デル公!」
 目を吊り上げて、主人が積み上げられた山の中から、一本のさび付いた剣を抜き取った。
 「お客様に失礼があったら、貴族に頼んでてめえを溶かしちまうからな!」
 主人はその剣に向かって怒鳴りつける。
すると、なんとも不思議なことに、その剣から、今まで聞こえていた声が発せられた。
 「おもしれ!やってみろ!どうせこの世にゃもう、飽き飽きしてたところさ!溶かしてくれるんなら、上等だ!」
 「やってやらあ!」
 主人と剣が、言い合いを始めたのを、呆れ顔で剣崎とルイズは見守っていた。
 ふと、剣崎は視線を感じ、店の外を見る。
 そこには、通りを行きかう人々に混じって、自分を見つめる青年の姿があった。
 その顔には、挑発するような笑みを浮かべていた。
 間違いない。あいつは。
 剣崎は急いで、店の扉に手をかけると、走り出そうとする。が、その前にルイズが立ちはだかった。
 「ちょっと!どこ行くのよ!?」
 「悪い!知り合いがいたんだ!行かせてくれ!」
 「あんた、剣はどうすんのよ?いらないの!?」
 青年は、まだこちらを見ている。


 剣崎は口を二、三度パクパクさせると、店の中で依然として怒鳴りあっている店の主人と剣を指差した。
 「あの剣でいい!」
 「あんなのでいいの!?」
 「いいんだ。大好きなんだよ!分かったなら、ごめん、すぐ戻るから!」
 剣崎が走り出すのを確認すると、青年はゆっくりと人通りを歩き出した。


 五分ほど、青年のあとを追っていた剣崎は、いつのまにか人通りの少ない場所に向かっていることに気づいた。
そして、さらに奥の行き止まりに差し掛かったとき、剣崎は叫んだ。
 「キング!!」
 「なにかな?」
 前を歩っていた青年は、くるりと振り向いた。その手には、携帯電話が握られている。
 「お前、封印されたんじゃなかったのか!?」
 「封印かあ。・・・冗談はよしてよ、ブレイド。君以外に、この世界で僕を封印できるヤツがいるのかい?」
 「それは・・・」
 いない、はずだ。
 この世界にいるのは、自分と、キングだけのはずである。
 「君のところに送られてきたカードだよね?」
 「・・・!」
 なんでそんなことまで知っているんだ。
 剣崎は、じりと身構える。戦おうなんて思っていない。
 「あれ、君に送ったの、オスマンとかいうやつだよ。僕、あいつが部屋から出るのみたんだ」
 キングは携帯をいじりながら、さも当然のように言った。
 「なんだと?」
 「お、今の驚いた顔いいね~。ま、僕にもよく分からないけど・・・
あの子供たちには、この前の借りがあるしな。いつか、復讐しにいくから」
 キングが、行き止まりの壁を軽く突く。
 そんな、日常でもごく普通にありそうな動作で、壁を粉々に粉砕した。
 そのまま去ろうとしたキングは、なにかに気づいたのか、くるりと後ろを振り向いた。
 「そうそう。これ、返してあげようか?」
 キングの右手には、奪われたラウズカードが十二枚ある。
それをひらひらさせながら、さらに左手から、別のカードの束を取り出した。
 「それは・・・始のカード」
 「そう。ブレイドのカードはタダで返してもいいけどなあ。・・・・・ジョーカーのカード、欲しいかい?」
 「それを渡せ」
 あれさえ、揃えば、始はジョーカーの苦しみから、逃れることができるかもしれない。
 キングはにやりと、いかにもワルです、といったふうの笑みを浮かべると、ひとつ、提案してきた。
 「それじゃあ、きょうの夜、あの学校の中庭に来てよ」
 「それだけでいいのか?」
 「うん。ほら、これ。前払い」
 キングはカードをばらばら落とし、去っていく。
 一体、なにが目的なんだろう。剣崎は、とりあえず落ちたカードを拾うことにした。


 ルイズは、店で買った錆びた剣・デルフリンガーを背中に背負い、剣崎が走り去った方向へと向かった。
 「全く・・・主人を置いて行くなんて、ご飯ヌキね」
 「おい!降ろしやがれ!」
 「ん」
 リクエストどおり、ルイズは肩からそいつを落とす。
ごん、と鈍い音と共に、デルフリンガーは地面に倒れた。
 ここは大通りである。しかもかなり混み合っているのだ。
通行人は、デルフリンガーになど目もくれず、踏みつけて行く。
 「ぎゃあ!やめろ!悪かった!痛え!マジ痛え!」
 「ふふふ」
 剣崎への怒りが溜まっていたルイズは、悲鳴をあげるデルフリンガーをにやにやと見ていたが、
はっ、としたように、再びそれを背中に背負った。
 「そんなことより、あの馬鹿追いかけなきゃ」
 よいしょ、と健気にもルイズは、その小さな体躯で人ごみを進んだ。



 ルイズが、汗を流しながら狭い通路を歩いていると、剣崎が引き返してくるところだった。
 途端、ルイズはデルフリンガーを放り出し、使い魔にむかって駆け出す。
 「いでぇ!!」
 デルフリンガーは抗議の声をあげるが、聞く耳もたずなのか、ルイズは、とりあえず剣崎にタックルした。
 「うわ!」
 小柄なルイズのタックルは、助走も半端だったこともあり、大した威力を持っていなかった。
 「全く・・・主人を置いていくなんて。しかも、主人にあんなものを運ばせるなんて」
 「ごめん」
 どうやら思ったほどルイズは怒っていないらしい。腕を組んで、剣崎を睨みつけるだけだ。
 「けど、いいことがあった!」
 「あ?」



 ルイズは怪訝そうに眉をひそめた。
 「カードが戻ってきたんだ!これで、俺、また戦える!」
 きゃっきゃっと剣崎がはしゃいでいるあいだ、
ルイズは地面に放置されていたデルフリンガーを鞘から引き抜き、剣崎に切っ先を向けた。
 「無駄な金使わせた罰。それ没収よ」
 「ちょ・・・ちょっと待って!せっかく、取り戻したんだけど」
 「口答え禁止!」
 ルイズは剣崎のカードを引ったくると、デルフリンガーを放り投げ、ずんずんと大通りへ戻っていく。
 「オ、オンドゥルルラギッタンディスカー!!」
 なーんてね。不思議なことに、俺のポケットにはまだカードがあるんだなあ、これが。
 スペードのA、それと始のカード。
 それにしても、スペードのカードはどうやって返してもらおう。ピンチに陥ったりすれば、返してくくれるだろうか。
 「おい」
 「・・・ん?」
 見ると、ルイズが乱暴に投げたデルフリンガーから、声がかかった。
 「お前さん、俺のこと使わねえつもりだろ?」
 それはそうである。
 はっきりいって、ただの剣よりもブレイラウザーのほうが数倍扱いやすい。
なのに、使い慣れないさび付いた剣を使うアホがどこにいようか。
 「もし、俺を使わない魂胆だったら、あのお嬢ちゃんに言っちまうぜ。へんなカードまだ持ってるぜ、ってな」
 こ、こいつ、剣のくせにいい性格してやがる。
 渋々、剣崎はデルフリンガーを拾った。
 「おでれーた。見損なってた。てめ、『使い手』か」
 「『使い手』?」
 「なんだよ、自分の実力も知らんのか。まあいい、てめ、運がいいぜ。俺を買うなんてな!」
 「そりゃどうも」
 剣崎は、落ちていた鞘を拾い、剣を収めようとする。
 「おい、待ちな。おめ、名前、なんていう?」
 「俺は、剣崎一真だよ」
 デルフリンガーは、う~ん、と唸った後、豪快に笑った。
 「ははっ!おめ、名前まで剣がついてんのか!最高だな!最高だ!
おめえさんは、まさしく剣を振るうために生まれてきたっつーわけか!」
 なんだろう、この剣。
 錆びてるし、喋るし。
 なんか、気に入られたし。
 「なんなんだろう、魔法って」
 遠くでルイズが、怒ってる。はやくしなさいと怒鳴る。吊りあがった目尻と、赤くなった顔から察するに、相当怒り狂っているようだ。
 剣崎は、急いでデルフリンガーを背負うと、ルイズの元へと全力で走った、

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