あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロと聖石-12


倒れこんだ状態でハイポーションを使う。
とりあえずは応急処置といった感じか。
同じく倒れこんでいるシエスタにはエクスポーション。
元から体力の桁が違うのだ、材料費が高く回復量も高いものを使うのが道理だ。
それでも完全に回復していないところが怖い、というか化物ですか?
さようならエクスポーション。作成費金貨三枚、貴方のことは忘れない。

同じく倒れこんでいるウェールズ皇子の容態を調べる。
リレイズの発動まで後三十秒弱。
これは、皇子がアンリエッタ様に再び会えるように掛けたおまじない。
今ここで使わせるわけにはいかない。
万が一のために用意しておいたフェニックスの尾。
鳥形使い魔の抜け落ちた羽をベースに薬を混ぜて作った気付け薬。
細かく砕いて水と共に飲み込ませる。しめて金貨十枚なり。
即効性が売りの薬だ。効果はすぐに現われ、ウェールズ皇子も起き上がる。

「この水の秘薬は、一体なんだ? 先ほどまでは動けそうも無かったが、今は少しなら動けるぞ」
「ちょっとした薬です。完全に回復したわけではないので、こちらも飲んでください」

そう言って、渡す薬はエクスポーション二本とエーテルにハイエーテル。
これだけ飲ませれば完全回復するだろう。
さようならエキュー金貨で十八枚。
この旅だけで金貨三十枚以上は無くなっている。
私の財布は悲鳴を上げるのであった。

「少なくとも五分は動かないでくださいね。傷がふさがる前に動くと痕が残りますから。
 ついでに本来の回復量に達しませんから絶対に安静にしていてください」

ここまで釘を刺しておけば確実に動かないだろう。
その間に、手持ちの材料からポーション三つとエーテル二つを作っておく。

「もう動いても大丈夫です」

その言葉に、軽くストレッチする形で体を確かめるように動く皇子。
この感じなら完全回復だろう。

と、そこで爆音が響く。
レコンキスタの攻撃だろう。
予告された攻撃時刻よりも早い。
つまり、奇襲。

「少しだけ、私が時間を稼ぎます。皇子は非戦闘員の脱出を」
「眠りの雲よ……」

予備の杖から放たれた雲は、いともたやすく私の意識を奪っていった。


「シエスタ、といったね。君は彼女を連れて脱出するんだ」
「しかし、皇子は! ―――分かりました。アンリエッタ様には名誉に殉じたと、伝えます」

皇子様の決心は硬い。
騎士にとっての名誉をお爺様から教えられた私には、止めることなど出来なかった。
「せめて、こちらをお持ちください。これならば契約をしていなくても触媒として申し分ないと」

鎧の内側に仕込んでおいたお爺様の剣の模造品、ルーンブレイドを手渡す。
お爺様曰く、魔力を高める効果に魔法触媒としても有効だと。
さらにルイズ様が準備しておいたポーションとエーテルを渡す。

「御武運を、ウェールズ皇子様」
「君に、アルビオンから吹く風の加護があらんことを。
 それと、宝物庫に君達が持っているのと同じ石が有る。それを持っていってくれ」


それだけの言葉を交わし、私はルイズ様を背負って駆け出した。
途中で遭遇したレコンキスタは全部切りながら進む。
宝物庫にたどり着く。
扉を開き、中を確認すると殆どのものは運び出され、残っているのはガラクタばかり。
部屋の中央で小箱を見つけ、中を開けると聖石が入っていた。
淡い水色の、やはり似たような文字が刻まれている。
サジタリウスが共鳴し、名前を教えてくれる。

「アクエリアス? 宝瓶宮? よくわからないけど聖石なのね?」

それに反応するように、サジタリウスが煌く。
爆音と怒号が響く。
ここらもそろそろ人が入り込んでくる。
急いで脱出しないと。

脱出艇が出港を始めている。
しかし、周りのメイジが攻撃を始め、撃沈の危機にさらされている。
私はそいつ等の注意をひきつけるために、技を放つ。

「命脈は無常にして惜しむるべからず…葬る! 不動無明剣!」

まとまっていたメイジが氷の刃に貫かれ、絶命。
桟橋を離れた脱出艇へ駆けると同時に技を放ちつつメイジの数を減らす。

「間に合え、間に合え、間に合えぇーー!!!」

最大速度、ルイズ様を抱えた状態での大跳躍。
距離は大体五十メイル。
ぎりぎり届くか届かないか!
甲板で援護をしていたメイジたちが一斉に着地スペースを作る。
ここまでお膳立てされたら確実に成功する。
そう思った刹那、足に鈍い衝撃が走る。
骨を砕いて風の針が突き立っていた。
それが原因でバランスを崩す。
目算で十メイル足りない。
だけど、人一人なら問題ない!

たどり着けないと計算した私は、背負っていたルイズ様を船に向かって、

「ルイズ様を、お任せいたします!!」

全力で放り投げた。
慣性の法則で私は失速、ルイズ様は甲板に到着。
これでいい。
私が居なくても、あの方は強いから。
空中で無双稲妻突きを繰り出して、港のメイジを蹴散らす。
ますます遠くなる船。
私に向かって飛来する魔法をデルフで弾きながら、メイジを撃ち落す。
そして、港も見えなくなる。
下は霧がかっていて見えない。
確実に助からないだろう。

「ゴメンなさい、デルフ。あなたまで巻き添えにしちゃった」
「まぁ、相棒は使い手じゃないくせに使い手以上の動きしたから楽しかったぜ」

デルフを抱きしめる。
初めて持たされたとき、その重さにふらついたっけ。
喋り始めたときは怖くて思わず泣いたっけ。
最高のご主人様に、最高の相棒を持つことが出来、

「お爺様、剣聖へは至れなかったですが、シエスタは、幸せでした―――」
「じゃあまだ幸せは続くな相棒。剣聖もまだ目指せるぜ」

へ? と思う間も無く、背中に衝撃。

「まったく、ルイズ以上に無茶なのは貴方だと思うわ、シエスタ」
「それには同意」
「まぁ、間に合ったんだからよかったじゃないか」

キュルケ様にタバサ様にギーシュ様、という事はここはシルフィードの背中か。
ラ・ロシェールからここまで飛んできたのか?
だとしたら凄い長旅だろう。

「迎えに来たわよ、シエスタ。ルイズはあの船?」

私は満面の笑みで、はいと答えた。

お爺様、先ほどの言葉は訂正します。
私は、こんな素晴らしい方達に囲まれて剣聖を目指せることを、誇りに思います。

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