あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ワイルドの使い魔-7(1)

「君は、危険なのだよ、キタロー君。ガンダールヴのルーンに、その奇妙な力だけならば、まだ良かった。
 だが、君にはまだ何かがある。恐ろしい何かが・・・その何かを見過ごす事は出来ないのです」

物陰からキタローとコルベールの様子を伺うキュルケは、想いもよらない状況に戸惑いを隠せないで居た。
あの決闘での凛々しい姿に心底痺れ、(何時ものように)恋に堕ちたキュルケ。
彼・・・キタローの事を色々知りたいと、サラマンダーのフレイムに彼の行動を追いかけさせていた。
夜半過ぎに彼が一応の主・・・ルイズに気付かれないようこっそり部屋を出たのを知った時は、そうそうに恋の炎を燃やす機会が出来たと喜んだ物だ。
しかし、フレイムに誘導させる間もなく、彼はそのまま学園を抜け出してしまった。
そこで、タバサの風竜に乗せてもらいここまで来たのだが・・・

(どうしてあの昼行灯先生がダーリンと待ち合わせてるのよ!?)

彼女たち二人が演習場に辿り着いて見た光景。
それは普段の色ボケかつ昼行灯な姿からは想像も出来ない鬼気を発するコルベールと、あの決闘で見せた幻影を呼び出したキタローの姿だった。

タバサにとって、キュルケの今回の無茶は、かえって喜ばしい物だった。

「僕にまだある・・・何か?」

タバサも、それが知りたかったのだ。
あの使い魔の少年の放つ死の気配は、無数の視線を超えたタバサにとって無視できない類の物。
あの決闘以来彼を頻繁に目で追うようになったが、ある程度慣れたつもりでも未だに手に冷たい何かが滲んでしまう。
正体がわからないというのも大きな理由だ。
その正体が判るのであるのなら、夜中に急にたたき起こされ訳も判らずここまで『足』にされたことも許せそうな気持ちになる。
あくまで許せそう、であって許す気は無いのだけれども。
それに、あの先生・・・只ならない実力を隠している事は以前から気付いていた。
その片鱗をも垣間見る事が出来るのなら、明日少し寝不足になったとしてもかまわないとも思う。

「ええ、見極めさせてもらいましょう。君を、君の中のモノを」

物陰から伺う二人の少女の存在に気付かぬまま、コルベールは杖を振るった。
異形の戦いが、始まる。


無数の炎の鞭が、空気を切り裂いてキタローに殺到する。

「っ!?」

違う、それは炎のメイジが呼び出していた炎の蛇だ。
キタローは慌てて身を翻し、かわし切れないものはオルフェウスの音の衝撃でまとめて吹き飛ばす。
(小手調べで、これなの?これが、まだ学生のギーシュとはちがう、熟練のメイジの力・・・)
吹き飛んだ炎の蛇の残骸だけで、一気に周りの気温が跳ね上がってる。
恐るべき火力だった。もしあの蛇に絡みつかれたら、たとえペルソナ使いであっても、骨まで焼かれてしまいかねない。

「まだまだこんな物ではありませんよ。今夜、私は君を殺すつもりで居ます」

投げられた言葉にキタローが戦慄する間もなく、コルベールは更なる魔法を紡ぐ。
再度振るわれた杖にあわせて、今度は無数の蛇達がとぐろを巻くように球形の炎に姿を変える。
蛇から姿を変えた火球は、先刻の蛇よりも速く幻影を従えた少年の元へ殺到する。
慌てて飛びのく少年。その飛びのく前の足元へ『それ』は落下して・・・
一瞬の閃光!続いて襲ってくる爆風と衝撃に、キタローは人形のようになす術も無く跳ね飛ばされた。
もし此処でキタローが、何か武器を手にしていたのなら、コルベールの魔法の数々をかわす事が出来たかもしれない。
しかし今のキタローはかのガンダールヴの力を使えない。
ペルソナはもう一人の自分自身であり、武器を使いこなすガンダールヴのルーンの発動条件には合致していなかったからだ。
故に今のキタローは人外の身体能力を発揮できない。
無論ペルソナを持たぬ身であれば、始めの炎の蛇の時点で既に無残な焼死体と化していただろう。
コルベールはそれほどまでの術者だった。

一方のコルベールにしても、楽観は出来ない状況だった。
相手は、未知なる力の持ち主だ。死の気配以外にも、メイジの常識が通じない強烈な力を振るえるはず。
今はまだ、コルベールを攻撃しては居ないが、もし攻めに転じたら・・・そう思うだけで杖を握る手が震える。
何より、彼を殺そうとしているこの瞬間が、コルベールにとって最悪の時間だった。
かつて犯した過ちの数々。それを省みて、二度と人を殺さないと誓ったはずだった。
だが今こうして一人の少年を死に追いやっている。
その中に眠る『何か』を見過ごせないが為に。
『何か』・・・恐らく『死』にまつわる何かが彼の教え子たちの傍にある・・・それを見過ごせないが為に。
死を遠ざけるために、目の前の少年を殺す。その矛盾もコルベールを苦しめていた。
そして・・・

「っっぁぁぁっつ!!!」

ついに炎が、彼を焼いた。
一瞬にして燃え上がる衣服。肉が焼ける独特の異臭が辺りに漂って・・・

「またお会いしましたな」

何故か、再び僕はベルベットルームにやってきたのだった。

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