あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのアトリエ-02




 使い魔召喚の儀式…授業を終え、扉からではなく窓から部屋に入る…メイジにとっては当たり前の日常だが、ルイズにとっては初めての経験である。ホウキを下ろし、その勢いのままベッドに飛び込むと、ルイズは枕に顔を埋めながら足を激しくばたばたさせ始めた。
(私が、ゼロのこの私が! 空を飛んで窓から、窓から部屋に入るなんて!)
 あまりの感激に全てを置き去りにしてバタ足に没入するルイズ。
 その時、使い魔の事はきれいさっぱり忘れ去っていたようだ。
 ヴィオラートは小一時間に渡ってバタ足ルイズを見続けることになる。
 生暖かい目で。


ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師2~


「嬉しかったんだよね?」
 ヴィオラートのいい笑顔が自分に向けられていることが、このうえなく恥ずかしい。
 全て見られたのだ。見たうえでこいつは私にこの…たんぽぽみたいな暖かい笑顔を向けているのだ。
(おおお落ち着け、COOLになれルイズ! 使い魔に、この使い魔に最初から舐められるわけには!)
「じゃあ、使い魔としての心得を説明するわ。しっかりと憶えておきなさい。」
「いよっご主人様えらいっ! だいとーりょーわーパチパチ」
 ヴィオラートはこれ以上無いほどの笑顔を見せながら、1秒で考えた賛辞の言葉を口に出す。ルイズがせいいっぱいの威厳を示そうとしている事にも、おそらくは気付いているのだろうか。
「そ、それじゃ…コホン。」
 違和感を感じつつもまんざらでもないルイズは、得々として解説を始める。
「まず、使い魔は主人の目や耳となることができる。と言っても…あなたは無理みたいね。」
「そうなんだ。ごめんねルイズちゃん。」
「べ、別に謝らなくたって…貴方が悪いんじゃないんだし…」
 失望感を出し、罵り言葉が口をついて出る前に謝られたルイズは完全に虚を突かれ、なぜか自分が悪いような気になってしまう。いつの間にかルイズちゃんと呼ばれている事に違和感すら感じない。
 まともすぎるほどまともなヴィオラートの対応が、早くもルイズの心を捕らえようとしているようだ。
 …カナーラント王国一の創業社長、ヴィオラートの手練手管に手玉に取られていると言う説もある。

「次に、色んな…例えば、秘薬なんかを見つけてくる使い魔もいるんだけど…」
「秘薬?」
「そ。硫黄とか、コケとか…まあ、あなたは地理とかも不案内みたいだし…」
「できるよ?」
「へ?」
「採れる場所と、欲しいものの特徴を教えてくれれば、かごいっぱいになるまで集めてきてあげる。」
「え、ええと、鉱石とか、薬草とか、ちゃんと見分けられるの?」
「うん、材料探しは慣れてるし、フライングボードもあるし。ついでにあたしも材料集めとかしたいから。」
 マジックアイテムを持っているだけでなく、その材料まで集められる使い魔。ルイズにとっては予想外の展開であった。
「そ、そう。あなた意外に使えるのね。じ、じゃあ何か必要なものがあったらお願いするわ。」
 嘘である。
 ルイズは秘薬を使ったことなど無い。あるならゼロのルイズなどと呼ばれるはずもない。
 ただ、使い魔の能力を生かしきれないメイジだと思われたくない、そのような一種の見栄がそう言わせた。
 まさにメイジの道はシグルイであった。

「それで、あとは…ご主人様を守るっていうのが一番の役目なんだけど…」
 ルイズはヴィオラートの様子から、ルイズなりのスペック予想をはじき出していた。
 おそらく今回召喚された使い魔の中で一番使えるのは事実だが、戦闘能力はあまり期待できないのではないか。
「あなた、剣は使える?」
「剣はちょっと…使えないかな。」
 ルイズはその返答に少々の失望をおぼえつつ、その反面、ほっとするような感覚を得ていた。
 この使い魔は完璧ではない。やはり、できないことはあるのだ――――
「でも、色々持ってるから…そうそう負けるようなことはないと思うんだけどなあ。」
「色々? マジックアイテムか何か?」
「たるとか、地球儀とか…ウニもあるよ。」
「…一応聞いておくけど、地球儀とかたるとか…ウニでどう身を守るの?」
「え? よく効くよ?」
 ヴィオラートの不思議そうな表情にルイズは自信を喪失し、あっさりと今までの常識を捨て去ってしまう。
「そ、そうね。たるは重要なマジックアイテムよね。基本よ、基本。は、はは…たる。」
(今度…図書室で調べておこうかしら…。)

「そ、そうね。あとあなた、錬金術とか言ってたけど…それをすれば、マジックアイテムが作れるようになるの?」
 ヴィオラートは少し考えるような顔をすると、何かを指折り数えながら返答する。
「うーん…施設と、材料がないからなあ。今すぐどうこうってわけにはいかないと思うけど。」
「そう。なんか残念ね。」
 ヴィオラートが指折りをやめ、にんじんを額にあてながら考え込む事数分。
「んー…暇な時に、施設を作ったり材料を集めたりしていいかな?」
「え?ええ、まあ、皆の邪魔にならない程度なら、いいんじゃない?」
「やったあ! 出来たらルイズちゃんにもわけてあげるね!」
 この時の軽率な判断を、ルイズは後悔する事になるのだが。
 この時ルイズは、未だ己に待ち受ける――土まみれの――運命を知らずにいた――――。



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