あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロとサボテン

その日、使い魔召喚の儀でゼロのルイズが呼び出したのは、鉢植に在る一株の植物だった。
唖然とするルイズ、爆笑する生徒達。
もちろんルイズは監督である先生にやり直しを要求した。
けれど監督官、コルベール先生は首を振った。
如何なる理由であろうと呼び出したのであればそれが使い魔であるとのことだ。
ルイズは渋々と鉢植えを持ち上げて、それをためつすがめつする。
緑色の植物、てっぺんにピンクの大きな花が開いている。
じっと見てると、丸い部分が頭で、その両側の枝が腕に見えてきた。
心なしか、頭にある変な模様が顔のようにも見えてきた。
とりあえずルイズは、その顔の、口に当たる部分にそっと口づけた。
ぽう、とその植物が光って使い魔のルーンが刻まれる。
向かって左側の枝にルーンが刻まれる。本来かなり苦痛を伴うはずなのだが、植物だからだろうか、身じろぎ一つしない。
コルベールが近づいてきて、枝に刻まれたルーンをスケッチする、珍しいらしい。

鉢を持って自室に帰り、今日はもう寝ることにする。
せっかく使い魔が手にはいると思っていたのに、優雅で美しく強い使い魔が手にはいると思っていたのに。
植物では動けないではないか、何も出来ないではないか。
「ねぇあんた何か出来る?」
ドレッサーの上に置いたそれへ、ルイズはなんと無しに話しかけてみた。
しかし当然のように沈黙を貫くだけ。
「……って、植物に言ったって何も言うわけ無いわよね……何してるんだろわたし……」
ゼロと呼ばれ続け、やっと見返せると思っていたのに、そんなときにこんなのが出るなんて。
ダメだ、考えると余計に惨めになってくる。考えちゃダメだ……もう疲れたし、着替えて寝よう。
思考を停止し、ルイズは制服を脱いでネグリジェへと着替える。
そう言えばこの植物見たこと無い種類だ、育て方もあとで図書室で調べよう。
学院の蔵書量は半端ではない。これがどんな植物であっても詳しい生態や育て方が書いているはずだ。
でもその前に、今日はとりあえずおやすみなさい。
そう独りごちてルイズはベッドに横になる。
肌触りのよいシーツを頭までかぶり、ふかふかの枕に頭をうずめつつぎゅっと抱きしめる。


「はるけぎにあというところに、よばれたみたいだ。ここは、きぞくっていうのが、まほうをつかえるらしい。
まほう、せいれいのちからをつかって、つかうがっきとはちがうみたい。つえをつかって、まほうをつかうんだって。
ぼくはつかいまっていうのに、なっちゃったみたい。つかいまって、なにをするんだろう。おるすばんでいいのかな?
みぎてに、へんなもじがかかれた。いたくはなかったけど、なんなんだろうこれ」


調べてみたら驚いた、この植物はここハルケギニアにはない植物らしい。
緑色の幹、いや、皮? 枝? 茎? ともかく、そこに茶色い棘がいくつもある。
触ると当然のようにチクチクする、毒は無さそうだ。
『サボテン』という植物らしい。西の最果てから流れ着いたとされる書物にそう書かれてあった。
乾燥地帯に生息するため、水は毎日あげる必要はないらしい。
だいたい二週間とかそれぐらいの間隔で構わない種もあるとのことだ。
植物って不思議よね。
とりあえず食堂からコップに一杯、水をもらってきてサボテンの根元に注ぐ。
とぷとぷとぷ。それにしてもこの茶色いの何かしら、土にしては硬いし、銅にしては光沢がないし。
コンコン、とサボテンの鉢を叩く。
こんなもんかな、と水を全部注ぎ終え、コップを鉢の側に置いた。
おっとっと、鉢の底から水が漏れてきた、適当なタオルで拭いておこう。
さてと、とルイズは図書室から借りてきた本をぺらりとめくった。
植物なら光合成よね。乾燥地帯なら太陽に当てた方が良いわよね。
そう思ったルイズはよいしょと鉢を持ち上げる。
持ち上げると、漏れた水がドレッサーの上にサークルを作っていた。それを布巾でさっと拭き取る。
小脇に抱えて外にでる、うん、何となくこれも可愛いじゃないの。


「ぎーしゅとかいうひとが、こびんをおとして、それをしえすたっていうひとがひろっちゃったらしい。
ほかのひとがふたまたっていってた、ふたまたってなんなんだろう?
ぎーしゅってひとが、しえすたってひとをしかったら。しえすたってひとがどげざしちゃったんだって。
おどろいたのはぎーしゅってひとのほうらしい、いくらきぞくでもおんなにひどいことはしないのがぽりしーなんだって。
ようするに、こういうばあいはきてんをきかせるべきだ、ということをぎーしゅってひとはいいたかったらしい。
ならさいしょからいえばいいのに」


どうにもサボテンというモノは著しく成長が遅いみたいね。
件の本にそう書いてあって、とてつもなく辟易した
なに、苗の状態から花が咲くまで三十年って、その時わたしもうおばさんじゃないの。
まぁ、この場合はもう既に花が咲いてるからまぁ、良いとするわ。
サボテンの花はとても可憐で魅力的とこの本には書いてある。
確かに、このピンク色の花は綺麗ね。
咲くまでにそんなに時間がかかるって言うんなら、これもとても貴重なモノに感じられるわね。
キュルケが花に手を伸ばしてきた、つい思いっ切り引っぱたいてしまった。
人のモノに手を伸ばす方が悪いのよ。


「さいきんのしんはっけん。
なぜかほかのしょくぶつをあやつれるようになってる。ふしぎ」


ある日フーケが宝物庫を襲った。
応戦したけれど効果はなく、フーケはまんまと『魔導書』を盗んでいってしまったらしい。
魔導書はこのトリステイン学院創立時に何処かの旅人が寄贈してくれたモノとのことだ。
中に書いてある文字は誰も読むことが出来なかったが、それ故に貴重なモノなのだ。
なんとしても無傷で取り返して欲しいとのこと。
なんということ、魔導書なんてモノは中に書いている文字なんて関係ない、その存在そのものに価値があるのだ。
売り飛ばされたらもう追いかける手段はない、今すぐにでも飛び出すべきだ。
しかし、何処へ逃げたのかさっぱりわからない。
けれど探すしかないだろう。
フーケの情報はトリステインにも広まっている。売り飛ばすにはそれなりの時間が必要だろう。
当然のように、討伐に志願する。
すると、キュルケやタバサも一緒に志願した、付いてきてくれるらしい。
ちょっとだけ感動してしまった、不覚……。


「ふーけ、っていうのが、まどうしょをぬすんでしまったらしい
きのうのよる、きょだいなつちのかたまりにのってたひとらしい。ごーれむっていうんだって。
はんにんのめぼしは、もうついたらしい。あれからすがたをみせない、ろんぐびるっていうひとがあやしいって。
ろんぐびるっていうのか、あのひと。
なんとしてでもつかまえなくちゃだめだって。るいずははりきっている。
ごーれむにつぶされちゃって、ぺちゃんこになったらどうするんだろう」
ぼくも、ひとはだぬいであげようとおもった」


それを見てあたし達は唖然とした。
ローブを纏ったフーケ。いや、ミス・ロングビルが木のツタに絡まって宙吊りになっている。
もはやその顔には生気が無く、ただ「あうー」とうめき声を上げるだけだ。
下に落ちているのが杖と……これが魔導書か。
わたしがそれを拾い、キュルケがフーケを釣り上げているツタを焼き切った。
フーケがどさりと落ちるが、ぐてんと全身を弛緩させて横たわったまま、動かない。
どうしようか、と二人に相談すると。このまま縛って連行することになった。
丁度いい太さのツタだし。杖を取り上げてしまえば何も出来ないでしょうしね。
シルフィードの上に乗せて、学園へと向かう。
途中、フーケが復活して暴れ出した。
「ごめんなさいおろしてやめてこわいやめてこないでやめてごめんなさいやめておろしてこわいみえないだれ
みえないこわいだれだれだれなになにやめてなにやめていやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや」
タバサがサイレントを使って黙らせた。
半狂乱になって暴れるなんて、いったい何があったのかしら。
それに、木のツタに宙づりになってた理由も気になるし。
まさか木のツタが襲ってきたと言うわけでもあるまいし。そう言うのは吸血鬼とかの先住魔法の範疇になってしまうものね。
未だにフーケはぱくぱくと何か喋っているようだ、サイレントで声は聞こえない、読唇術の心得はないからわたしにはわからないわね。


フーケを衛士に引き渡して、わたし達三人は学園長室にいる。
魔導書を持っていたわたしが歩みでて、オールドオスマンの机の上に丁寧に置いた。
すると、満足そうに頷いて、オスマン氏はわたしたちにシュヴァリエの称号を申請しておくと伝えたのだ。
シュヴァリエ、それは家名に関係ない。正真正銘功績のみによって与えられる称号だ。
貴族としての称号は決して高くはないモノの。その爵位を持つと言うことは国から実力を認められたという証明になる。
その事にわたしはとてもよろこんだ、それと別に少し複雑でもあった。
なぜなら、今回のフーケ討伐に関しては何もしていないからだ。
何者かがフーケを倒し、宙づりにしていた、それをわたし達が見つけて連行してきただけなのだ。
そう言ったら、キュルケにほっぺたをつねられた。何すんのよ。
「細かいこと気にしてるんじゃないの。くれるって言うんだから貰っておけばいいじゃないの。納得いかないってんなら後で返上しちゃいなさいな」
キュルケのその言葉を受けて、決心した。
うん、納得出来ないなら、自分自身が納得出来るようなメイジになろう。
そう決意して、わたしは自室のドアを開けた。








「ルイズ」
帰ってきたルイズへ、誰もいないはずの部屋の中から声が聞こえてきた。
「おかえり」




「ただいま」

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