あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのアトリエ-01



 神聖なるサモン・サーヴァントの儀式。
 その日、ゼロのルイズはいつものように魔法を失敗し、いつものように爆煙を生産し、 ただ一つ、全てを引き当てた。


ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師~


「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」
 もう失敗の数も30は数えただろうか。周囲に黒煙が立ち込める中、
 ルイズはようやくその中に動くものを認め、胸を高鳴らせていた。
(どうせならドラゴンとか、グリフォンとか! 空を飛べる使い魔だったらいいんだけど!)
 煙が薄れ、輪郭が見え始める。それほど巨大な使い魔ではないようだ。
(ああ、もう何でもいいわ、とにかく人間以上の、この私が胸を張って紹介できる使い魔を!)
 ルイズの期待を一身に受け止め…たかどうかは知らないが、
 現れたのは赤いバッグを2つ下げ、ホウキにまたがった平民。なぜか生のにんじんを齧っている。深い茶色の髪と茶色の瞳、身に纏うのは土で汚れたエプロンのような服。
 どこに出しても恥ずかしくない立派な田舎娘、『おらが村一番の美人』がそこにいた。
「見ろ、平民だ!しかもかなりのいなかものだぞ!」
 誰かがそう言うと、一斉に笑いの渦が巻き起こった。
「おお ルイズよ わしはいなかものとて ばかにせぬぞ」
「畑仕事なら得意そうだ。このさい実家に帰って農園でもやったらどうだい?」
「ゼロのルイズの使い魔はにんじん娘だ!」
「ホwウwキとかwクオリテイタカスw」
「えりんぎしいたけなまでくえ~」

「み、ミスタ・コルベール!」
 ルイズがそう叫ぶと、生徒達をかき分け、禿頭の男性が進み出る。
「何だね? ミス・ヴァリエール。」
「も、もう一度召喚させてください!」
 コルベールは少し困ったような顔をすると、ルイズを見ながら言った。
「これは…伝統なんです、ミス・ヴァリエール。例外は認められない。」
「そんな!」
 懇願するようなルイズの叫びにも、しかしコルベールはただルイズに視線を送り、宣告する。
「さあ、早く契約しなさい。時間も押しているのでね。」

(このハゲ…残った毛を寝た後に毎日一本ずつむしってやろうかしら。)
 だが、自分が遅れの原因であることはたしかだ。仕方ない。
 ルイズは覚悟を決めて、にんじん娘に向き合う事にした。
「あんた、名前は何ていうの?」
「わたしの名前は…ヴィオラート、って言うんだけど…」
「そう。ヴィオラート、私はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。」
「あ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラ…えーと、ルイズさん、でいいかな?」
「…まあ、いいけど。貴方は、この私の使い魔として呼び出されたの。」
「使い魔?」
「そう。使い魔。強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔…の、はずだったんだけど…」
 その問答の間にも、ヴィオラートの持つにんじんはその体積を減らし続け、周囲の生徒達の間には失笑の輪が広がってゆく。
「そのにんじんは…何?」
「えーと…おいしいよ?」
 その瞬間、失笑の輪は爆笑の輪へと華麗なる進化を遂げる。
 ルイズは深い、深いため息を1つつくと、ヴィオラートの肩に手を置く。
(さっさと契約を済ませて、部屋に帰って…寝よう。今日はとりあえず寝よう。うん。)
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」
 半ば義務のように契約を唱え、ヴィオラートを一瞬見つめた後…ただ静かに、唇を合わせた。
「あたしはそういう趣味は…その…」
「私だってないわ。契約よ、ただの契約。儀式。そこんとこ間違えないでよね!」
 しばらくすると、ヴィオラートの体が光り出し、使い魔のルーンを刻み込んだ。
 そこにハゲ…いや、コルベールが寄ってきて、ヴィオラートの額を覗き込む。
「ふむ…珍しい。基本的なルーンとは違うようだが…体のほうは何か…変化はないかね?」
「はい、ちょっと暑かったかな、って言う程度で…あの、大丈夫なんですか、これ。」
「なにしろ人間の使い魔というのは初めてだからね…まあ、契約が原因で死ぬ使い魔はいないと思うがね。」
 ヴィオラートの額のあたりをさらに触って調べ、ルーンを確認、ノートに何かを書き記す。

「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ。」
 コルベールは踵を返すと、空を飛んで建物の2階へと消えた。
 周りで野次馬と化していた生徒達も、それにならって空を飛び、教室へ帰っていく。
「…ヴィオラート、私についてきなさい」
 ヴィオラートはルイズのその言葉だけを聴くと何の気なしにホウキに跨り、ルイズ以外の生徒の後を追って飛ぶ。皆が飛べるのだから、ルイズも飛べるのだろう。そんな思い込みから出た何気ない行動であったが、
 しかし、それはルイズにとっては驚天動地、まさに一発逆転の瞬間であった。
「あ、あああああああ…」
「ん?何かな?」
「ああ、あああなあなた、空、飛べるの!? ていうかメイジだったの!?」
「え? ああ、これは魔法じゃなくて『錬金術』って言う技術で…」
「な、何、あなた錬金でそそ空を飛んでるわけ!?」
「れんきん、じゃなくてれんきんじゅつ、だよ。魔法は関係ないよ。」
「関係ない?」
「うん。錬金術で作った空飛ぶホウキっていう道具。魔法とかは使ってないよ。」
「そう、なんだ…」
 魔法を使わないで空を飛べる道具。欲しい。ものすごく欲しい。
「つ…使い魔のものは、ご主人様のものよね?」
「え?」
「あ、あああなたは使い魔なんだから、それはご主人様に使わせるのが道理ってもんよね?」
 ヴィオラートが、惚けたような顔をする。やはり、強引に過ぎただろうか?
(…お、怒るかしら?で、でも、)
「もー、しょうがないなあ…ホントはすっごく高いんだけど、これ、あげる。」
「え?」
 言い出しておいてなんだが、ルイズもまさかあっさりもらえるとは思っていなかった。 こんな貴重なアイテム、よこせと言われればかなりの難色を示すだろうと、説得(脅迫、強奪とも言う)の手段をあれこれシミュレートしていたのだが…。
「そのかわり、使い魔だから何でも命令に従えとかそういうのは無しだからね?」
「え? う、うん…そうね…」
 貴重なアイテムをあっさりもらえたという信じがたい事実が、ルイズに使い魔の再評価をする機会を与えた。その事実一つが、ヴィオラートの実力を証明していたからだ。
 そう、こんなものはヴィオラートにしてみれば初対面の人に贈る花束のようなものなのではないか――― 。
(この、使い魔…ひょっとして、今日呼び出された中で一番の…)
「えーっと…どこにやったかなー。」
 ルイズにホウキを渡したヴィオラートは、赤いバッグの中に手を突っ込んで何かを探している。ルイズは、また何かとてつもない予感がしてヴィオラートをただ、見守る…。
 すると、ヴィオラートのバッグの中から、バッグの何倍もの大きさの木のテーブル…いや、板?が姿を現した。
「な、なななななななななな…」
「あたしにはこれがあるし…ちょっと出来が悪いからあんまり好きじゃないんだけどなあ。」
「ああああなた! 今、何を…」
「ね? ここ、ちょっと黄ばんでるでしょ?」
「ききき黄ばみなんてどうでもいいでしょ!? 何をしたかって聞いてるの!」
「何、って…秘密バッグだよ。聞いたことない?」
「し、知らないわよ! あんた、何者!?」
「何者!? って言われても、だから、錬金術師のヴィオラートだよ。カロッテランドでお店をやってるんだけど…」
そこまで言うと何かに気付いたのか、ヴィオラートはきょろきょろと辺りを見回し、
「ところで…ここは、どこなのかな?」
今日初めての問いを発した。





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