久方ぶりの夢を見た。
親には成績が悪いとしかられ、使用人の陰口も聞いてしまった。
私は中庭の池に浮かぶ小船の上で泣いていた。
いつもの夢なんだと理解してしまった。
いつもならここで子爵様が出てくるのだが、今日の夢はいつもと違っていた。
親には成績が悪いとしかられ、使用人の陰口も聞いてしまった。
私は中庭の池に浮かぶ小船の上で泣いていた。
いつもの夢なんだと理解してしまった。
いつもならここで子爵様が出てくるのだが、今日の夢はいつもと違っていた。
泣くのをやめて舟を漕ぎ、対岸にたどり着く。
そこではキュルケが化粧をしていた。
タバサがシルフィードにもたれて本を読む。
シエスタがデルフと話しながら重り付きの三メイルほどある棒で素振りをしている。
見知らぬ女性とロバの足を持った化物が仲睦まじく話している。
オールド・オスマンがその光景を見て少し引きつっている。
そこではキュルケが化粧をしていた。
タバサがシルフィードにもたれて本を読む。
シエスタがデルフと話しながら重り付きの三メイルほどある棒で素振りをしている。
見知らぬ女性とロバの足を持った化物が仲睦まじく話している。
オールド・オスマンがその光景を見て少し引きつっている。
私は皆の元へと走っていった。
そこで、目が覚めた。
私にしては早く目が覚めた、眼下の中庭、シエスタが洗濯物の横で三メイルほどの重り付き棒で素振りをしている。
うん、いつもの朝だ。
いつものように着替え、いつものように友人達と騒ぎながら授業を受ける。
さて、日常を謳歌しましょう。
私にしては早く目が覚めた、眼下の中庭、シエスタが洗濯物の横で三メイルほどの重り付き棒で素振りをしている。
うん、いつもの朝だ。
いつものように着替え、いつものように友人達と騒ぎながら授業を受ける。
さて、日常を謳歌しましょう。
「さて、諸君は最強の系統は何だと思う?」
風は最強がモットーのミスター・ギトーの講義が始まり、いつもの決まり文句が飛び出す。
二年次で初めてこの授業を受ける時、必ずする質問で、彼はここで生徒の未熟な魔法を吹き飛ばして悦に浸るのが趣味だと聞いた。
さて、毎年ここで『火』や『水』とかそういった声が自信満々な生徒が挑戦してくるのだが、今年は違った。
二年次で初めてこの授業を受ける時、必ずする質問で、彼はここで生徒の未熟な魔法を吹き飛ばして悦に浸るのが趣味だと聞いた。
さて、毎年ここで『火』や『水』とかそういった声が自信満々な生徒が挑戦してくるのだが、今年は違った。
「いや、多分ミス・ヴァリエールが使う先住魔法ぽい魔法じゃないかと」
ギーシュがそう呟き、共に授業を受けていた全員が頷く。
どうやらいまだにトラウマなようだ、アルテマが。
どうやらいまだにトラウマなようだ、アルテマが。
「ほう、ゼロのルイズが最強との声が名高いが、最強の系統は風だ。
ありとあらゆる災難を吹き飛ばす風こそが最強、というわけで、ミス・ヴァリエール。その魔法とやらを使ってみなさい」
ありとあらゆる災難を吹き飛ばす風こそが最強、というわけで、ミス・ヴァリエール。その魔法とやらを使ってみなさい」
瞬間、全員どころか使い魔まで教室外に逃げる。
調度品が近くにある生徒はそれを抱えて撤退し、風系のメイジが長机で入り口にバリケードを築く。
そのうえ、タバサほか水系統が使えるメイジが氷で障壁を張り、土系メイジがゴーレムでバリケードを押さえる。
調度品が近くにある生徒はそれを抱えて撤退し、風系のメイジが長机で入り口にバリケードを築く。
そのうえ、タバサほか水系統が使えるメイジが氷で障壁を張り、土系メイジがゴーレムでバリケードを押さえる。
その手際の良さに驚きつつ、ギトーは詠唱を開始する。
同時にルイズも詠唱を開始。
ギトーの周囲に暴風とも取れる障壁が張られる。
同時にルイズも詠唱を開始。
ギトーの周囲に暴風とも取れる障壁が張られる。
そのとき、横の教員用入り口から入ってきたズラをかぶったコルベールが登場。
「みなさん、授業は中止で……あれ?」
「さあ、全て吹き飛ばして見せよう!」
「星となりし偉大なる神々よ、我が力となりたまえ…リタンジャ!」
「星となりし偉大なる神々よ、我が力となりたまえ…リタンジャ!」
その瞬間に、ギトーの作り出した風の障壁が消える。
リタンジャによって障壁を作り出すという行動自体を無効化。
その隙にアルテマの詠唱を完成させる。
リタンジャによって障壁を作り出すという行動自体を無効化。
その隙にアルテマの詠唱を完成させる。
「なっ!? 風よ」
「遅い! 渦なす生命の色、七つの扉開き力の塔の天に到らん! アルテマ!」
「遅い! 渦なす生命の色、七つの扉開き力の塔の天に到らん! アルテマ!」
ギトーの間一髪で間に合った全力の障壁をものともせず、アルテマの破壊力が教室中を埋め尽くす。
「ぎゃぼーーーーー!!」
「なんでわたしまでーーーーーー!!」
「なんでわたしまでーーーーーー!!」
二つの断末魔が響き渡り、退避した生徒達全員が祈りの十字を切った。
ズラが消え去り、服に焼け焦げを作りながらコルベールが授業は中止だと告げた。
アンリエッタ姫が学院を尋ねるのだと。
そう、アンリエッタ様が。子供のころ一緒に遊んだアンが。
そのことに少しだけ胸を躍らせながら、同時に嵐が来る予感もした。
アンリエッタ姫が学院を尋ねるのだと。
そう、アンリエッタ様が。子供のころ一緒に遊んだアンが。
そのことに少しだけ胸を躍らせながら、同時に嵐が来る予感もした。
夜になって、アンリエッタ様が予想通り尋ねてきた。
久方ぶりのお嬢様ハイテンションに任せて会話を続けたが、正直頭が痛くなってきたので本題を切り出すように言った。
久方ぶりのお嬢様ハイテンションに任せて会話を続けたが、正直頭が痛くなってきたので本題を切り出すように言った。
「要約してしまうと、アルビオンのウェールズ皇子から手紙を受け取ってほしいと」
「その通りですが、しばらく見ないうちにずいぶんとさっぱりした性格になりましたね」
「その通りですが、しばらく見ないうちにずいぶんとさっぱりした性格になりましたね」
なんでもゲルマニアとの婚約をご破算にしてしまうほどの物らしい。
どーせ恋文でしかも始祖ブリミルに誓ってとか書いちゃったんだと思う。
そこで私は部屋のドアを開け、盗み聞きしていた不逞の輩を部屋にご招待。
どーせ恋文でしかも始祖ブリミルに誓ってとか書いちゃったんだと思う。
そこで私は部屋のドアを開け、盗み聞きしていた不逞の輩を部屋にご招待。
「盗み聞きとは根性悪いわね、ギーシュ・ド・グラモン」
こちらの笑顔を見て、震えながら命乞いをするギーシュ。
まて、まだ何もしていないぞ。
まて、まだ何もしていないぞ。
その後、アンリエッタ様のとりなしで同行を許可したのであった。
というか使い物になるのかコイツ?
さらに王家の証ということで水のルビーを借り受け、指にはめる。
そんな簡単に王家の証渡していいのか?
そんなことを考えながら、翌日の任務に備えて眠るのであった。
というか使い物になるのかコイツ?
さらに王家の証ということで水のルビーを借り受け、指にはめる。
そんな簡単に王家の証渡していいのか?
そんなことを考えながら、翌日の任務に備えて眠るのであった。
翌朝。
二人だけの任務だったはずだが…
二人だけの任務だったはずだが…
「皆まで言わないわ。とりあえず行きましょうか」
いつもの面子全員が集結していた。
シエスタがデルフを背中に背負い、普段は見ないような立派な盾に鎧を身に着けている。
キュルケも冒険用の軽い皮鎧にツェルプストー家の家紋が入った杖を背負っている。
タバサは白いローブに身を包み、いつもの杖を持っている。
ギーシュはいつもの格好、せめて何かしらの旅行用の装備位しろと。
そういう私は黒のローブにマント、ヴァリエール家の杖にリボンと完全武装。
準備も整ったので、激を飛ばす!
シエスタがデルフを背中に背負い、普段は見ないような立派な盾に鎧を身に着けている。
キュルケも冒険用の軽い皮鎧にツェルプストー家の家紋が入った杖を背負っている。
タバサは白いローブに身を包み、いつもの杖を持っている。
ギーシュはいつもの格好、せめて何かしらの旅行用の装備位しろと。
そういう私は黒のローブにマント、ヴァリエール家の杖にリボンと完全武装。
準備も整ったので、激を飛ばす!
「いざ、アルビオンへ!」
「「「「「おー!!」」」」」
「「「「「おー!!」」」」」
おかしい、聞き覚えのあるようで懐かしい声が聞こえた。
後ろを振り向いて人数を確認する。
―――マテ、一人多い。
あからさまに一人だけ、年齢の割りに顔つきがオッサン臭い人物が!
後ろを振り向いて人数を確認する。
―――マテ、一人多い。
あからさまに一人だけ、年齢の割りに顔つきがオッサン臭い人物が!
「ワルド様!?」
「やあ、久しぶりだな、僕のルイズ!」
「やあ、久しぶりだな、僕のルイズ!」
ルイズを抱きかかえて回りだす。
全員が驚きながら、こうも思った。
どこかにいっちゃってる人だな、と。
全員が驚きながら、こうも思った。
どこかにいっちゃってる人だな、と。
その全員の中にルイズも含まれていることは秘密だった。