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ゼロと聖石-06


トリステイン魔法学院にフーケが現れ、宝物庫より『破壊の三魔銃』が盗まれる。
翌日、フーケ討伐隊が編成され、フーケの捕縛と『破壊の三魔銃』を取り返すことに成功。
フーケはそのままチェルノボーグの監獄に投獄。
討伐隊に志願し、フーケを捕らえた同学院の生徒達にはシュヴァリエ勲章を与える予定。

「瓦版にまとめるとこういった感じになるのかねぇ……」

投獄されてから衛兵や日常会話などから察せられる言葉から今後起こりうる展開をシミュレートする。
今現在で分かったことは、近々戦争が起こる。
それくらいのことだった。



フーケも捕らえ、フリッグの舞踏祭も例年以上に盛り上がっている。
キュルケは男子に囲まれ、タバサはテーブルの料理を食べ続けている。
私はというと壁の花に徹している。
一人、テラスで物思いにふける。
思い返すのはオールド・オスマンとの会話。


「あの、一つ聞きたいのですが。あの魔銃は私達の世界のものではないですね」

その言葉にオスマンは頷きをもって返した。

「やはり、この聖石と同じ世界のもの…どういう経緯で入手したんでしょうか?」

オスマンは椅子から立ち上がり、窓の前に立つ。
その瞳は空のみを捉えているようにも見える。

「昔の話じゃ。わしが森で散歩など楽しんでおったらワイバーンの群れに襲われての。
 そのころは未熟で、数体倒したところで限界が来てしまった。そこに現れたのが、彼じゃった」

話しながら部屋据付のチェストを空け、何かを取り出す。
強い力でひしゃげているがシルエットや構造は破壊の魔銃と同じだ。

「そこに、すでに瀕死状態の男が現れて、この魔銃でワイバーンを撃っていった。
 不思議なことにワイバーンが石化しての。この銃は彼がワイバーンの攻撃を防いだ際にこうなってしまった。
 全てのワイバーンを倒した後、彼はそのまま命を落としてしまった。
 最後の言葉は、『人をも超越した力ですら、平民は自由を得ることは出来ないのか』と、な」

そして、オスマンは椅子に座る。

「彼は丁重に埋葬し、彼が持っていたものは全て宝物庫にしまった。わしも一度だけ使ったことがあるが、危険だからの」
「そうだったのですか」

「さて、ルイズ君。わしは君の使い魔の事を危険視している」
「そうではないかと。先住魔法に近い魔法を持ち主に授け、人を狂わせるほどの魔力を持つ。
 最初にきちんとした契約を結べないと、石から召喚した存在に魂ごと食われ、乗っ取られる。
 これは、聖石という名前が与えられてはいますが、まるで人自体の欲望を表したものかと」

「だからこそ、君やシエスタ君が力におぼれ、悪魔に身をゆだねた時、わしは君等を殺さなくてはいかん」
「そのときはぜひ、私を殺してください。私はこの契約をしたときにその覚悟を済ませましたから」

「万が一の時、始祖の名に誓って、誇り高きあなたに殺されましょう」
「それでは、もう戻ってもよいぞ。今夜はフリッグの舞踏祭じゃ。ゆっくりと楽しみたまえ」
いざというときが起きたら私を殺してくれる。
そうならないことを、私は祈りつつ、月を肴にワインを煽る。

「いい月ね、そう思わない? シエスタ?」

私の後ろに、シエスタが立っていた。
本来、平民が入ることすら出来ない舞踏祭だが、今回の功績で参加が認められたのだ。
若干青みがかった白い生地のドレス。

「はい、とてもきれいな月です」

シエスタの手には年代物のワインが一本握られている。
なんでもコック長が持たせてくれたんだそうな。

シエスタが、私の隣に立つ。
静かに月を見上げ、呟く。

「戦士は剣を手に取り胸に一つの石を抱く。
 消えゆく記憶をその剣に刻み、鍛えた技をその石に託す。
 物語は剣より語られ石に継がれる」

お爺ちゃんが教えてくれた聖石の詩です、と嬉しそうに語るシエスタ。

「だとすると、聖石に継がれているのは技で、かつての記憶は剣に刻まれているってこと? 剣って一体何かしらね?」

その言葉に、微笑みながらシエスタは、

「私たち自身、って言うのはどうでしょうか?」

そう、語った。
その後、二人で笑いあった。


「ところでシエスタ、あなたのお爺様ってどんな人だったの?」
「一言で言ってしまうと、聡明で、不思議な力を使える人でした」

なにせ、辞書が武器でしたからとさらりと語る。

「辞書? あの用語とかの意味をまとめたぶ厚い本の?」
「ええ、昔はその力でトロール鬼を数体殺せるほどの力はあったとか」
それに、と付け加えて、

「私が剣を持てたのもお爺様が、『目の前で繰り広げられている不正や悪事を見捨てておけない人間がいる』
 って、教えてくれたからですし」

その言葉で、彼女は本当にお爺様のことが好きだったと分かる。
だからこそ、シエスタは聖石に抗うことが出来たのだろう。
シエスタのお爺様に感謝しつつ、二人で月を肴にワインを飲み交わした。


そして、翌日。

「頭いたーい、気持ち悪ーい」
「大丈夫ですか、ルイズ様……うっぷ」

二人揃って二日酔い、調子に乗って五本も空けるからである。
その光景にキュルケはあきれ返りながら二人を介抱した。

そんなこんなで数日が過ぎた、ある昼下がり。
普段ならシエスタがせわしなく働いているころだが、見当たらない。
それに、いつもと違ってケーキの味が荒い。
厨房にいるであろうシエスタのところに向かう。
すると、厨房の皆さんが何かしらの怪我を負っている。
事情を聞くついでに新魔法の実験。

「清らかなる生命の風よ、天空に舞い邪悪なる傷を癒せ! ケアルラ!」

大怪我を負っていたコック長を含め、全員の怪我を癒す。
包帯をはずして怪我がなくなっているのを確認すると、コック長に詰め寄る。

「全て話しなさい。シエスタが今この場に居ないことが関係あるんでしょう?」

大まかな内容をまとめるとこうだ。
  • モット伯爵がやってきてシエスタを連れて行こうとした。
  • 阻止しようとして返り討ちにあう。
  • そのせいで食事の準備にも影響がでて、特にデザートのコック補佐を担当していたシエスタが居なくなり味が低下した。

うむ、シエスタが連れて行かれた。
そのせいでデザートの質も落ちたと。
これは由々しき事態だ。
デザートもそうだが、モット伯は女癖が悪いと聞く。
これでシエスタが精神に深い傷でも負ってしまったら、私やオールド・オスマンの全存在をかけた戦いをしなくてはならない。
ただでさえ魔法無効の剣を持っているのに、その力が私達に向いたら世界滅ぶぞ?

「一つだけ聞かせて、シエスタはいつもの剣を、デルフリンガーを持ち出せた?」
その言葉に、頷きを返されると私は顔を青くした。
準備を整えないと。
急がないと、モット伯爵が殺されるかもしれない。
魔法は効かないし、剛剣で丸裸にされた後、新しい技を覚える実験台くらいにされそうな予感。
大急ぎで支度し、事情を話してタバサとキュルケにも付いてきてもらうことにした。


そしてたどり着いたモット伯爵の屋敷跡。
私はもとより、キュルケもタバサも驚きを禁じえないようだ。
そして三人の思考は一致した。
…遅かったか。
絢爛豪華な屋敷は見るも無残な姿をさらしている。
壁という壁には巨大な穴があき、倒れ付すメイジ達がそれに彩を加えている。
そして剣を持つ人影がこちらに向かって走りこんできて飛び込んできた。

「ルイズ様ぁーー!!」
「シエスタ!? 大丈夫、怪我は無い?」

はい、と頷き返すシエスタ。

「こんな服着せられて、部屋にモット伯が押し入ってきた時、怖くなって、私…」

多分、モット伯爵はもっと怖かっただろうに。
不憫と思いつつも自業自得なので同情はしないが。
シエスタを抱きしめつつ、頭を撫でて落ち着かせる。

「まぁ、特に問題も起こらなかったしこれで円満に解決ってことで」
「そうね、これ以上ここに居ても仕方が無いし」
「学院に帰還する」
「はい、皆さん助けに来ていただいてありがとうございました!」

こうして、モット伯のことなどすっかり忘れて帰ろうとした瞬間、瓦礫の一部が水に流される。

「貴様、平民風情がぁ!!」

膨大な水が渦巻き、こちらを押し流そうと鎌首をもたげている。

「新しい魔法覚えたから、最後に実験していくわ」

その言葉に誰も反対することなく、シエスタがデルフを構えて魔法を切り裂いて防ぐ。
その間にもルイズは詠唱を続ける。目標は目の前のバカ一体。

「時は来た。許されざる者達の頭上に星砕け降り注げ! メテオ!」

その二つ名である『波濤』をも飲み込み、隕石が着弾。
モット伯爵跡地は完全に更地となってしまった。


「威力が高すぎるから、封印ってことで」
「さすがにアレは俺にも斬れんわ」

こうして、メテオはめでたく封印されることとなった。

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