ギーシュはかれこれ1時間、決闘の場にて待っていた
おでこが痛む、おそらくコブになったんだろうか
自分の端整な顔つきが傷ついたことも腹が立つが、もっと腹が立つのが
あの使い魔の態度だ
おでこが痛む、おそらくコブになったんだろうか
自分の端整な顔つきが傷ついたことも腹が立つが、もっと腹が立つのが
あの使い魔の態度だ
確かに、あの子とあの子で二股をかけていたことも
確かに、あの香水を落としたのも
確かに、あの平民の使用人に八つ当たりしたのも
確かに、あの香水を落としたのも
確かに、あの平民の使用人に八つ当たりしたのも
冷静になったいま、考えてみると自分が悪い、だが一時間と少し前の
自分には、そんなことを考えている冷静さはなかった。
怒りに任せて使用人に罵詈雑言を捲くし立てていた…だが、それだけで、それだけで
いきなりケーキを乗せたお盆を投げつけるだなんて、酷いじゃあないか!
痛かったし、なによりケーキのクリームで汚れてしまった
その使い魔曰く
自分には、そんなことを考えている冷静さはなかった。
怒りに任せて使用人に罵詈雑言を捲くし立てていた…だが、それだけで、それだけで
いきなりケーキを乗せたお盆を投げつけるだなんて、酷いじゃあないか!
痛かったし、なによりケーキのクリームで汚れてしまった
その使い魔曰く
「任務中だ、邪魔をするな」
だとか言っていたが、ケーキを運ぶのが“任務”とは!まったく、馬鹿にしているとしか思えない!
お盆が命中したおでこが気になる、右手で、そこを撫で…大丈夫か確認する
……そのときギーシュの目になにか、遠くで太陽光が反射している、まるで、望遠鏡に太陽光が――
お盆が命中したおでこが気になる、右手で、そこを撫で…大丈夫か確認する
……そのときギーシュの目になにか、遠くで太陽光が反射している、まるで、望遠鏡に太陽光が――
銃声が一発、ギーシュは気になるおでこに暴徒鎮圧用弾丸を食らい昏倒した。
「こんのッ……紛争馬鹿~~!!!」
スパァンッ
「なかなか痛いぞ」
スパァンッ
「なかなか痛いぞ」
この男を召還してから、何故かどこからともなく召還できるようになったハリセンを
自分の使い魔に食らわせる、片手には物々しい狙撃用スコープが装着されたライフル
自分の使い魔に食らわせる、片手には物々しい狙撃用スコープが装着されたライフル
「狙撃はなしよ!狙撃は!」
「だが、君は『決闘とはどんな手を使っても勝つこと』と言ったではないか」
「うるさいわね!そんな卑怯な手段、許されるはずがないでしょ!やり直しよやり直し!」
「だが、君は『決闘とはどんな手を使っても勝つこと』と言ったではないか」
「うるさいわね!そんな卑怯な手段、許されるはずがないでしょ!やり直しよやり直し!」
ギーシュは再び待たされていた、まさか、教室から狙撃してくるとは
卑怯め!絶対に許しはしない!!現れたら即座にワルキューレの拳をお見舞いしてやる!
地団太のようなものを踏もうと、ギーシュは地面を踏みしめた
卑怯め!絶対に許しはしない!!現れたら即座にワルキューレの拳をお見舞いしてやる!
地団太のようなものを踏もうと、ギーシュは地面を踏みしめた
カチリ
……いま、なんの音がした、カチリ?まるでなにかのスイッチを入れたような…
足元を見ようと、視線を彷徨わせると、何故か目の前にタバサが立っていた
足元を見ようと、視線を彷徨わせると、何故か目の前にタバサが立っていた
「手紙」
何故か、手紙とナイフを手渡される…足元が気になるので、そのままの体勢で
それを広げる……習い立てのこの世界の文字、差出人は、決闘の相手、ゼロのルイズの使い魔だ。
それを広げる……習い立てのこの世界の文字、差出人は、決闘の相手、ゼロのルイズの使い魔だ。
『ギーシュ・ド・グラモンへ、貴様からの宣戦布告状は確かに受け取った
だが、あいにく今日は学園食堂の重要な任務があるので、お前の相手をできそうにない
そこで申し訳ないが、足元のそいつが代わりに相手をする』
だが、あいにく今日は学園食堂の重要な任務があるので、お前の相手をできそうにない
そこで申し訳ないが、足元のそいつが代わりに相手をする』
足元のそいつ?もしや、つい先ほどの、金属音のそれか…?
『すでに金属音を聞いたのなら、動かないほうがいい。
そこに埋まっているのは対人地雷というものだだ、足を離すと即座に爆発する。』
そこに埋まっているのは対人地雷というものだだ、足を離すと即座に爆発する。』
「退却」
どこからともなく取り出したモスグリーンのヘルメットを頭に被り
ギーシュが助けを求めるより早く、タバサはマイペースに遠ざかっていく。
どこからともなく取り出したモスグリーンのヘルメットを頭に被り
ギーシュが助けを求めるより早く、タバサはマイペースに遠ざかっていく。
『ミズ・タバサに渡しておいたアーミーナイフを使え、足を離さず、地雷を解体してみろ。
首尾良く無力化して生き残ることができたら、お前の勝ちだ。
以上。健闘を祈る。』
首尾良く無力化して生き残ることができたら、お前の勝ちだ。
以上。健闘を祈る。』
気がつけば、ギャラリーも遠ざかり、全員、いつのまにやら用意していた
モスグリーンのヘルメットを被っている。
モスグリーンのヘルメットを被っている。
「ま、またしても、あの男…!!」
当の使い魔は、むっつり顔で、一心不乱にジャガイモの皮をククリナイフで剥いていた。
シエスタに頼まれ、今日の夕食に出すオカズ作りの手伝いをしていたのだ、これが『重要な任務』である。
ジャガイモの山が、剥いていないものより、剥いてあるもののほうが多くなったころ。
中庭から爆音が響いてきた…窓がビリビリと震え、振動が伝わってくるが、すぐに静寂が戻ってくる
他の人間が顔を潜める中、使い魔は瞑目した。
シエスタに頼まれ、今日の夕食に出すオカズ作りの手伝いをしていたのだ、これが『重要な任務』である。
ジャガイモの山が、剥いていないものより、剥いてあるもののほうが多くなったころ。
中庭から爆音が響いてきた…窓がビリビリと震え、振動が伝わってくるが、すぐに静寂が戻ってくる
他の人間が顔を潜める中、使い魔は瞑目した。
「失敗したか…。」
「なにがあったんですか?」
「なに、気にするな、どこかで戦いに赴いた男が、命を落とした…。それだけのことだ」
「なにがあったんですか?」
「なに、気にするな、どこかで戦いに赴いた男が、命を落とした…。それだけのことだ」
シエスタは首を傾げたが、すぐに作業に戻っていった。
「こんのッ!究極戦争馬鹿っ!!」
すぱん!すぱあーん!
「またどこから取り出すか見逃した」
すぱん!すぱあーん!
「またどこから取り出すか見逃した」
ハリセンで折檻されながら、使い魔は叩かれた頭を撫でた。
このあとも、幾度となくギーシュとの決闘が繰り返されるが
その度にガスだの、電流だの、偽装した草むらからの狙撃だの
破壊の杖だの、爆弾だの、あーむすれいぶなど、どう見ても主人公じゃない手段をひたすらに彼は使い続けた。
その度にガスだの、電流だの、偽装した草むらからの狙撃だの
破壊の杖だの、爆弾だの、あーむすれいぶなど、どう見ても主人公じゃない手段をひたすらに彼は使い続けた。
………「土くれ」のフーケが現れたときは、身内と故郷を人質に取って
どこかの国のレコンキスタが来れば、相手が飛ぶ前に戦艦に爆薬を仕掛けて
なんか分身(しようと)する裏切りものに対しては、相手の口上中にショットガンを食らわせた
……なんかいろいろとやっていたようだが、それはまた別の話である。
どこかの国のレコンキスタが来れば、相手が飛ぶ前に戦艦に爆薬を仕掛けて
なんか分身(しようと)する裏切りものに対しては、相手の口上中にショットガンを食らわせた
……なんかいろいろとやっていたようだが、それはまた別の話である。
そう、彼は東京都立陣代高校2年4組、傘係兼ゴミ係
現ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、相良宗介であった。
現ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、相良宗介であった。