あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの(オンドゥル)使い魔-2

 仮面ライダーはアンデットを封印し、人々を守るヒーローだ。
 幼い頃、火事で家族を失った剣崎は、人を救えないことに激しい恐怖心を抱いていた。
 だからこそ選んだのがBOARDへの就職だ。カテゴリーAに認められたこともあり、ブレイドへ変身する資格も得た。
 なのに。なのに、俺は仲間を守れていない。
 人類の敵であるジョーカーを守るために戦っている。それは人々を守る立場であるはずの剣崎にとっては矛盾している。だから、キングにも勝てない。
 そう、キング自身が言った。
 もしかすると本当にそうなのか。俺は、間違っているのか。
 「俺は・・・間違ってなんか、ないよな」
 まだ薄暗い。変な夢を見たせいで、中途半端に起きてしまったみたいだ。
 ルイズはまだベッドで寝息を立てている。その横顔は年相応の少女のものだ。
 こうしてみると、昨日の態度が嘘のように思えてくる。
「・・・これで黙ってれば可愛いんだろうけどなぁ」
 その呟きと同時に、ルイズが小さく唸り声のようなものをあげる。
 剣崎は身構えたが、叱咤が飛んでこないことに安心し、再び毛布にくるまり、眠りについた。

 それから数分後。
 「おじゃましま~す」
 キングはそろりそろりと、ルイズの部屋へと忍びこんでいた。
 「お宝どこかな~」
 キングが部屋で寝ているルイズと剣崎を起こさないように、辺りを物色しはじめる。
 まず、手にとったものを持ち上げてみる。
 パンツだ。違う。ぽいっと投げ捨て、そのあと反対の手にもったものを見る。
 キャミソールだ。これも違う。ごそごそ漁ってみるが、なかなかお目当てのものを探しだせない。
 薄暗い部屋では、いつもより2倍増しの月明かりだけが、この部屋では頼りだ。
 「きれいだなぁ」
 大きな2つの月を見つめていると、足元の剣崎が寝返りをうった。
 「こんなことしてる場合じゃなかった・・・え~と・・・・・・あったあった」
 どうやらお目当てのそれ、ラウズアブソーバーは剣崎の毛布の中にあったようだ。それを自分の懐に隠し、キングはきしし、と悪戯に成功した子供のように笑うと、出口へと向かった。
 「君はこれにすぐ頼っちゃうからね。ゲームだって、主人公は、最初弱い状態で始まるだろ?」
 じゃあね、と呟き、キングは部屋のドアを閉めた。


 「たいへんだ!!!たいへんたいへんたいへんだ!!」
 「変態はあんたよ」
 ルイズは寝起きの目をだるそうにこすると、窓の外を見た。まだ、夜が明けたばかりである。
 なあんだ、まだまだ余裕じゃない。バカな使い魔ね。変態変態騒いで。あとでお仕置きしなきゃ。
 ルイズは再び毛布に包まろうとして、剥がれた。
 「お前、おおおおおお前、知らないか!?」
 「あ~もう!うるさいわね~。どうしたの?」
 寒い寒い、と剣崎の手から毛布を奪い取り、ルイズは渋々聞いた。
 「ないんだ!」
 「なにが?」
 「ラウズアブソーバーがないんだ!」
 「はぁ?」
 何言ってるんだかこの使い魔は。本当に変態なんじゃないだろうか。そうだったら最悪ね。平民を呼び出したうえに、変態だなんて。
 「私は寝るから。あんたはみんなの迷惑にならないよう、静かに洗濯でもしてなさい。もし、私に恥をかかせるような真似したらただじゃすまさないわよ」
 ふん、と鼻息も荒くルイズは毛布に顔を隠す。
 これ以上騒いだらどうなるか、それを昨日の会話で充分理解していた剣崎は仕方なく、なるべく音をたてないように部屋の中を探すことにした。
 「ブレイバックルは無事なんだけどな」
 きちんとカテゴリーAのカードもある。変身するぶんには問題ないのだが。



 部屋のすみからすみまで調べたが結局、ラウズアブソーバーは見つからなかった。
 最悪だ。
 剣崎が軽く鬱状態に陥っていると。
 「服、持ってきて」
 と、眠そうな声が聞こえた。どうやらルイズが起きたらしい。
 「ま、待っててくれ」
 服か。この制服みたいなのがそうなのだろうか。いやでも、昨日は召喚なんたらで特別こういう服装だったのかもしれない。そのとき、剣崎の目にクローゼットが映った。
 アブソーバー捜索中に中を見たが、なかなか高級そうなドレスが入っていた。



 そうか。
 貴族か。
 なら、ドレスだよな。昔、教科書で見た貴族はみんなドレスだった。
 剣崎は適当に、一番高そうなドレスを選ぶと、それをルイズに渡した。
 「・・・・・あんた、ふざけてるの?」
 「な、なにが?」
 ルイズはドレスを持ったまま、半眼で剣崎を睨みつけた。
 「あのねぇ、こういうのは普段着ないの。そっちの制服でいいんだから」
 「そうだったのか。ごめん」
 「役に立たない使い魔ね」
 「・・・・・・・・・・・・・・悪かったな」
 「へぇ」
 ルイズが勝ち誇ったような笑顔をしている。嫌な笑顔だ。



 ほんのちょっとした反抗心だったのだ。別に彼女の恐ろしさを甘く見ていたわけではない。ほんの少し共にすごしただけでその性格は理解していた。
 だが、しかしだ。ぼそっと、本音を言った。それだけで、朝飯抜きはいかがないものだろうか。
 「朝飯抜きをなしにしてほしくば、早く服を着せなさい」
 「・・・いいのかよ」
 さっきは下着までルイズに手渡した。思春期であろう、この少女には恥じらいというものがないのだろうか。いや、その前にそういえば自分は人間として見られてなかったんだ。
 「平民のあんたは知らないだろうけど、貴族は下僕がいる時は自分で服なんて着ないのよ」
 「本当にいいのかよ」
 「いいって言ってるでしょ」
 剣崎は恐る恐るルイズのブラウスを手に取った。


 ルイズと部屋を出ると、似たような木でできたドアが壁に三つ並んでいた。そのドアの一つが開いて、中から燃えるような赤い髪の女の子が現れた。あらゆる面でルイズと対照的だ。
 一番上と二番目のブラウスのボタンを外し、胸元を覗かせている。剣崎も男だ。オンドゥルルラギッタンディスカー!!と日頃は言っていても、その谷間につい視線がいってしまう。褐色の肌が、健康そうでオンドゥル的な色気を・・・ってどんな色気だ。
 彼女はルイズを見ると、にやっと笑った。
 「おはよう。ルイズ」
 「おはよう。キュルケ」
 「あなたの使い魔って、それ?」


 一人脳内漫才を続けていた剣崎を指差して、バカにした口調で言った。
 「そうよ」
 「あっはっは!ほんとに人間なのね!すごいじゃない!」
 なんだ、こいつ。
 確かに剣崎一真は人間だ。だが、何故それがおかしいのだろうか。お前だって人間じゃないか。お前の祖先だってきっとヒューマンアンデットなんだぞ。俺と一緒じゃないか。
 「・・・ん?」
 そういえば、BOARDは『人が地球を制した理由は進化論では説明できない』という理由から創設されたと聞いた。ならば、この世界ではどうなのだろうか。この世界でもバトルファイトはあったのだろうか。それとも、魔法という存在で世界を制したのだろうか。
だが、剣崎の思考をぶち破るかのごとく、キュルケが面白そうに話し出した。
 「『サモン・サーヴァント』で、平民喚んじゃうなんて、あなたらしいわ。さすがはゼロのルイズ」
 「うるさいわね」
 「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」
 「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ~。フレイムー」
 すると、キュルケの部屋からのっそりとした真っ赤な巨大トカゲが出現した。すごい、熱気だ。
 「ほんとうに別の世界なんだな」
 などと実感してみる剣崎。
 「これって、サラマンダー?」
 そんな剣崎を無視してルイズはキュルケに尋ねた。どことなく悔しそうでもある。
 「そうよー。火トカゲよー。見て?この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ?ブランドものよー。好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」
 「そりゃよかったわね」
 けっ、とルイズははき捨てた。
 「素敵でしょ。あたしの属性にぴったり」
 「あんた『火』属性だもんね」
 「ええ。微熱のキュルケですもの。ささやかに燃える情熱は薔薇。でも男の子はそれでイチコロですわ。あなたと違ってね?」
 キュルケは得意げに胸を張った。ルイズも負けじと胸を張り返すが、まぁ、惨敗だ。
 ルイズはそれでもキュルケを睨みつけた。負けず嫌いなのは知っているが、あの胸には勝てそうにない。生身でカテゴリーKに挑むくらい勝敗は見えている。
 「あんたみたいにいちいち色気振りまくほど、暇じゃないだけよ」
 口で攻撃に出たか。
 だが、キュルケはにっこり笑いで、余裕の態度である。それから剣崎を見つめた。
 「あなた、お名前は?」
 「俺は剣崎一真」
 「ケンザキカズマ?ヘンな名前」
 「余計なお世話だ」
 「じゃあ、お先に失礼」
 そう言うと、炎のような赤髪をかきあげ、颯爽とキュルケは去っていった。その後をサラマンダーがちょこちょこと付いていく。
 「・・・」
 「あれ、怒らないのか」
 以外だ。あんなに剣崎をこき使い、こんな使い魔!と嘆いていたルイズだ。くやしー!なんなのよあの女!と、地団駄踏むと思ったが。
 「あんたが朝へんな時間に起こすから、あんまり体調よくないのよ」
 「・・・・・・・・・・ごめん」
 勝手に召喚されたことには異議を申し立てられるはずだが、なぜか自分が悪い気がしてならない、剣崎であった。
 「ところであのキュルケ・・・だっけ。あいつがお前のことをゼロのルイズって言ってたけど、それってなんなんだ?あだ名か」
 「・・・まぁ、そんなものよ」
 「へぇ。確かにあいつの微熱っていうのはどことなく理解できるな。ところで、お前はどうしてゼロなんだよ」
 「知らなくていいことよ」
 ルイズはバツが悪そうに言った。
 どうやらあまり触れられたくない話題らしい。ならば、それを無理に聞いて引っ叩かれる義理もない。
 「そうか」
 「そうよ」
 とくに会話もないまま、食堂へ向かうことにした。



 トリステイン魔法学院の食堂は、学園の敷地内で一番背の高い、真ん中の本塔の中にあった。食堂の中にはやたらと長いテーブルが三つ、並んでいる。百人は優に座れるだろう。二年生のルイズたちのテーブルは、真ん中だった。
 どうやらマントの色は学年で決まるらしい。食堂の正面に向かって左隣のテーブルに並んだ、ちょっと大人びた感じのメイジたちは、全員紫色のマントをつけていた。三年生だろうか。
 ほかに茶色のマントをつけているのは一年生だろう。
 朝食、昼食、夕食、と学院の中にいるすべてのメイジたち・・・、先生も生徒もひっくるめて・・・、はここで食事を取るらしい。
 いくつものローソクやら花やらフルーツやらが並べられ、とても豪華だ。こんなに豪華な食堂は今まで生きてきた中ではない。剣崎は感激した。
 なにせ、訳の分からぬままここに来て、今まで小うるさい少女にいびられていたのだ。せめてごはんはおいしくいただけると思ったのである。
 「トリステイン魔法学院で教えるのは魔法だけじゃないのよ」
 「へぇ」
 「メイジはほぼ全員が貴族なの。『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーのもと、貴族たるべき教育を・・・ちょっと、ちゃんと聞いてるの?」
 「え・・うん、聞いてる聞いてる」
 剣崎の視線は既にテーブルに並べられた料理に向けられている。あれもうまそう、いやあれも捨てがたい。全部、食べられるかな。剣崎が椅子に腰掛けようとするが、ルイズに尻を蹴られた。
 どうやら現実はそう上手くいかないらしい。
 「言っとくけど、あんたは『ソレ』よ」
 ルイズはテーブルの下にある一枚の皿を指差した。小さな肉のかけらの浮いたスープだ。すみっこには硬そうなパンが二切れある。
 「あんたは床よ。味わって食べなさい」
 ちらっとテーブルの上の料理と見比べる。
 「・・・・・・・・・・」
 まるでルイズとキュルケくらいの差がある。身体の一部分の話だが。
 「いただきます」
 ルイズたちは祈りの言葉を述べてから食事をし始めた。その内容には『ささやかな糧を我に与えたもうた』とあったが、あれでささやかなのだろうか。普段、ルイズたちはどれほど豪勢な料理を食べているのだろう。
 ぐう、と腹から音がする。考えても無駄なので、剣崎は仕方なくスープをすすった。
 「お、おいしい」
 スープは、なかなかおいしかった。


 ルイズと教室に入ると、先に教室にいた生徒が一斉に振り向いた。
 そしてくすくすと笑い始める。その中にはキュルケもいた。先ほど、自分で、男はイチコロと言っていたのは本当だったようで、周りには何人かの男子生徒がいる。そのなかでのキュルケはまるで女王のようだった。
 「いろんなモンスターがいるんだな」
 「全部、使い魔よ」
 ルイズはつまらなさそうに席に腰かけた。そのとなりの椅子に、剣崎が手をかけ、引くと、ルイズがそれをキツイ視線で制した。
 「使い魔は座っちゃダメ。ここはメイジの席よ」
 また床か。別にいいのだけれども。
 おとなしく座った剣崎をルイズはちらっと見る。
 「なんだよ」
 「別に」
 ・・・へんなやつだな。


 ほどなくして、先生らしい中年の女性の魔法使いが現れた。
 彼女は教室を見回すと、満足そうに微笑んで言った。
 「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
 それを聞いて、ルイズは俯いた。
 「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
 シュヴルーズが、剣崎を見てとぼけた声で言うと、教室中がどっと笑いに包まれた。
 なんだ。こいつら。
 剣崎は微かな苛立ちを覚える。
 確かにルイズは高慢で横暴で、カテゴリーQの要素を充分に備えている。人に床で食事させるわ、授業中も床に座らせるだのやりたい放題だ。
 だけど、これはやりすぎだろう。これじゃ、ルイズがかわいそうすぎる。
 ここをは、使い魔として主人を庇うべきだよな。
 義理人情を見せてやろう。
 剣崎が立ち上がろうとする。それをルイズが咎めた。
 「いいから。あんたはじっと座ってなさい。ここにいるのはみんな貴族よ。あんたみたいな平民が逆らっていい相手じゃないわ」
 目が吊りあがってはいるが、ルイズは、冷静だった。
 「ゼロのルイズ!召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」
  我慢の限界か。ルイズは立ち上がると、ブロンドの髪を揺らして可愛らしく澄んだ声で怒鳴る。
 「違うわ!きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」
 「嘘つくな!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?」
 ゲラゲラと教室中が笑う。
 その後、ルイズが講義の声を上げ、相手のマリコルヌという生徒と激しいバトルになりかけたところをシュヴルーズが手にもった杖でそれをおさめ、授業は続行された。


 シュヴルーズの話を聞いていると、どうやら魔法には四大系統というものがあるらしい。
 『火』『水』『土』『風』。そして、今では失われたという『虚無』。失われたので数には含まれないらしい。
 また、メイジにもレベルのようなものが存在することも知った。二系統足せるのが『ライン』メイジ、三系統足せるのが『トライアングル』メイジ。
 その過程でシュヴルーズが『土』がもっとも優れていると言い出した。先ほどの口論で目立っていたルイズが、この石ころを錬金してみなさいと指名されたのだが。
 「みんな、なんで隠れるんだ?」
 キュルケがシュヴルーズに危険を促したかと思うと、ルイズが前に出ると、生徒たちは机の下にもぐりこんでしまったのだ。
 どうなるのだろう。剣崎は、内心期待して事の成り行きを見守っていた。
 ルイズが呪文を唱え、杖を振り下ろす。
 どうなったんだ、と剣崎は身を乗り出す。その瞬間、机ごと石ころは爆発した。
 爆風をモロに受けたルイズとシュヴルーズは黒板に叩きつけられた。剣崎も同じく、少しばかり吹き飛ぶ。すぐさま態勢を整え、教室を見回す。
 まるで地獄のようだ。使い魔が爆発に驚き、教室内で暴れまわっている。
 その中で、キュルケは立ち上がり、ルイズを指差した。
 「だから言ったのよ!あいつにやらせるなって!」
 「もう!ヴァリエールは退学にしてくれよ!」
 「俺のラッキーが蛇に食われた!ラッキーが!」
 阿鼻叫喚とは、まさにこのことである。
 煤で真っ黒になったルイズが、むくりと立ち上がった。ブラウスが破れ、華奢な肩が覗いてる。スカートが裂け、パンツが見えていた。
 ルイズは、この騒ぎを意に介した風もなく・・・。
 顔についた煤を、取り出したハンカチで拭きながら、淡々とした声言った。
 「ちょっと失敗みたいね」
 当然、他の生徒から猛烈な批判がかえってくる。
 「ああ、なるほど」
 批判の声を聞いて、やっと分かった。魔法の成功率が0。だからゼロのルイズなのか。
 道理で、聞かれたくないはずだ。

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