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ゼロHiME~嬌嫣の使い魔~ 第七話(前編)


 静留がギーシュと決闘してから数日が過ぎた。
 その間、シエスタにすっかりなつかれたり、決闘の仔細を聞いたマルトーに「我らが刃」という仇名をつけられたり、ギーシュが何かとアプローチをかけてきて、モンモランシーにお仕置きされたりするぐらいで、特に何もなく平穏に過ぎていった。
 それに少し変化が起きたのは虚無の日の前日のことだった。


 その日の昼食後、静留はここ最近の日課になっている学院内の探索に出かけた。もっとも探索というより、午前中のうちに仕事が終わってしまい午後にやることがない静留の暇つぶしの散歩なのだが。

 「さて、学院の主な場所は回ってしもたし……そや、昨日コルベールはんに許可もらった図書館にでも行ってみまひょか」

 静留はどこへ行こうかちょっと悩んだ後、図書館へと向かった。

 (言葉は分からんけど、絵本ぐらいなら何とかなりますやろ)

 「たかが絵本と思うたけど……なめたらあかんね、読めへんわ」

 図書館の机で本を見ていた顔を上げ、静留は自嘲気味に苦笑した。
 奥への立ち入りは禁じられているため入り口のほうの棚にある絵本らしきものを漁って来たのだが、子供向けといえども絵だけで理解するには無理があった。

 「やっぱり読み書きぐらいは出来た方がええやろね……ん?」

 しばらく絵本を手にして考え込んでいた静留は、誰かに見られている気がしてその方に顔をむけた。
、分厚い本を手にした青い髪と瞳を持つ小柄な少女が静留をじっと見つめていた。

 「えーっと、たしかキュルケはんのお友達の……」
 「……タバサ」

 少女――タバサは自分の名をぼそっと告げると再び静留を見つめる。

 「……」
 「……で、タバサさんはうちになんぞ用事でもありますん?」

 見つめるだけで何も言わないタバサに、静留が頬を掻きながら居心地悪そうに尋ねる。

 「あなた……何者?」
 「何者て……うちはルイズ様の使い魔の平民、藤乃静留や。それ以上でも以下でもあらしまへんえ」
 「嘘……只の平民が武器を自在に出したり消したりできるはずない……あの能力は何?」

 (こら下手に誤魔化しても納得せんやろね……)

 「あれは高次物質化能力いうてHiMEの能力や」
 「先住魔法じゃない……HiMEって何?」
 「HiMEいうんはうちみたいに生まれついて高次物質化能力を持った人間のことや」
 「生まれつき……後から習得できない?」
 「そやね」
 「……残念」

 タバサは無表情にそう言った後、静留の手元にある絵本に目を向ける。

 「言葉……覚えたい?」
 「そやね、いざという時に困るやろし」
 「……教えてあげる」
 「そら、教えて貰えるならありがたいんやけど……一体、なんでやの?」
 「話のお礼……」

 タバサは提案の真意を図りかねて尋ねた静留にそう答えると、微かに――本当に微かに微笑んだ。


 「シズル、明日は虚無の曜日だし、町へ買い物へいくわよ!」

 夕食後、自室に戻ったルイズは静留に向かってそう宣言した。

 「虚無の曜日……ああ、休日どすか。何ぞ買うもんでもありますん?」
 「何言ってんるの、シズルの洋服を買いに行くに決まってるでしょ。いつまでもシエスタから服を借りてるのも悪いし、大体サイズ合ってないじゃない」

 サイズが合わない服のせいで強調された静留の胸の方を見ながら、ルイズが不機嫌そうに答える。

(大体、たださえ主人の私より胸大きいのに、それを強調する服なんか着せとけないわ)

 「そういうわけで、明日は早めにでるからもう寝るわよ。着替えるから寝巻きを頂戴」
 「はいな」

 静留から寝巻きを受け取って着替えると、ルイズはベットに入った。それに続いて静留もルイズの隣に潜り込む。

 「おやすみさんどす、ルイズ様」
 「おやすみ、シズル」

 就寝の挨拶を終え、しばし静留と見詰め合った後、ルイズが口を開く。

 「ねえ、シズル」
 「なんどすか?」
 「……なんで私と一緒にベットにもぐりこんでるのかしら?」

 警戒する様にルイズがジト目で睨みながら尋ねると、静留は悪びれない感じでにこにこ笑いながら答えを返す。

 「そやねえ、せっかくベッド用意してもろうておいて言うのもなんやけど……初日から一緒に寝てたもんやから今更一人寝はなんや寂しゅうて。それにルイズ様のかいらしい寝顔も見れまへんし」
 「なっ……ば、馬鹿なこと言ってないで、自分のベッドに戻んなさいよ!」

 静留の返答に一瞬、絶句した後、ルイズは顔を真っ赤にして怒鳴ると、静留を隣にある質素なベッドの方へと蹴り出した。

 「いやん、いけずやわあ」
 「うるさい!」

 隣のベッドで騒ぐ静留に枕を投げつけると、ルイズは今度こそ眠りについた。


 「……タバサ?」

 虚無の曜日の朝、朝日を受けて目覚めたキュルケは、隣に寝ていたタバサが起き出して身支度しているのに気づいて身を起した。

 「こんな時間に起きるなんてどうしたの? 虚無の曜日だし、てっきり部屋に篭って読書かと思ったけど」
 「ルイズがシズルと出かけた……追いかける」
 「ふ~ん――って、出かけるの?」

 キュルケが驚いて聞き返すと、タバサは振り向いて無言で頷く。

 「タバサ、まさか、ルイズのこと……」
 「誤解……シズルに興味があるだけ」

 (この子が他人に興味を持つなんてね……いい傾向だわ。少し寂しい気もするけど)

 「じゃあ、私も一緒にいくわ。ルイズを冷やかすのも面白そうだし」
 「分かったから……早く準備して……」

 タバサはそう言ってキュルケに着替えの服を渡した。


 「それで、二人がどっちへ行ったか分かってるの?」

 十数分後、タバサと共に彼女の使い魔であるウインドドラゴンの背に乗ったキュルケが髪をなびかせながら尋ねる。

 「当然……ルイズとシズルが乗った馬二頭、食べちゃダメ」

 タバサはキュルケに答えると、己が使い魔に指令を出す。
 主の命令にシルフィードは小さく鳴くと、翼を大きく羽ばたかせ、スピードを上げてルイズ達を追った。



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