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ゼロと人形遣い-3

ゼロの人形遣い 3


「はぁ・・・、こうも分かり易い違いがあると疑う気も起きませんねぇ。」

亜紫花は、窓枠に腰掛け空を見上げながら呟いた。

そこには、元の世界よりも深い暗闇と、その闇にぽっかりと浮かぶ月と、それらを彩るようにちりばめられた星が輝いていた。
街灯などの明かりがないせいか、今までに見たこともないほど星が見えて、とても美しい夜空だった。
が、元の世界とは圧倒的な違いがある。べつにあるべきはずの星がないわけではない。もともと星の違いなど分かりはしない。

「・・・まさか、お月さんが二つもあるとはねぇ。」

その言葉のとおり、空には二つの満月が浮かんでいた。

「穣ちゃんの話を聞いてるときからうすうすとは感じていましたが・・・、あんまりにも予想通りすぎると、面白くありませんねぇ・・ふぁ~あっ・・・。」

ゆっくりと紫煙を吐き出しながら欠伸をする。

亜紫花が、今居る場所はトリステイン魔法学院の中にある女子寮の一室である。
この部屋の持ち主は、自分をこの場所に連れて来た張本人であり、ご主人様になるらしい人物だ、今はそこのベットで暢気に眠っているピンク髪の少女ルイズだ。
本当はもっと長い名前があったはずだが忘れてしまった。確か公爵家がどうとか言っていたがたいしたことではないだろう。

「それにしても・・・、どうしたもんかねぇ・・・。」

またゆっくりと紫煙を吸い込みながら呟く。

そう、亜紫花は深刻な問題に直面していた。
その問題とは、この部屋に来る途中にルイズからさんざん聞かされた貴族の崇高さや偉大さなどではなく、部屋に着いてから説明された使い魔としての態度や使命などでもない。

亜紫花にとって、貴族などと呼ばれる上流階級は仕事の依頼人の場合が多く、元殺し屋である彼は、そんな連中の後ろ暗い部分を散々見てきており、そんな気持ちを向けるつもりなどさらさらない。
使い魔についての説明されたこともたいした問題ではない。
大雑把には三つの仕事をさせたいらしいが、そのすべてが自分には無理であったし、可能だとしても進んでやるつもりもなかった。

一つ目は、聴覚や視覚などの感覚の共有だが、ルイズが言うにはできないらしい。

二つ目は、秘薬やその材料を探すことだったが、彼にはそんな技術も知識もないのでやりようがない。

三つ目は、護衛や主人が魔法を唱えている最中の盾になることらしい。

どこぞの時代にいた、名前が呼びづらい下忍と世間知らずのお姫様でもなかろうに、普段から荒事で鍛えられているとはいえ、生身の自分にはできるはずがない。

まあ、武器があれば不可能でもなかろうが、自分は普通の剣や槍などの武器は使ったことがないし、ある程度扱える武器は、ナイフや拳銃だが、これらも得意といえるほどでもない。
唯一の特技といえる武器も、この世界には存在しないだろう。

この三つを確認したルイズは、何もできない自分に雑用を任せるつもりらしいが、そんなことをしてやる義理もない。

つまり亜紫花は、そんな些細は事を悩んでいる訳ではない。
彼にとって一番の問題は、

「まさか煙草がないとはなぁ・・・、せめて巻き煙草くらいはあって欲しいんですがねぇ・・・。」

亜紫花が悩んでいたこと、それはこの世界には煙草が無いかもしれないという事だ。

それはこの部屋に連れて来られた時にさかのぼる。
ルイズの説明だか愚痴だかよくわからない話を聞き流していたところ、

「ちょっと、あんた!ちゃんと私の話を聞いてんの!?」
「まあ、ぼちぼち聞いてますよ。」

そう答えながら、自然な流れで煙草に手を伸ばした。

「ぼちぼちって、いい加減にしなさいよ!平民のくせに、貴族に対する口の利き方がなってないわ!ただでさえ・・・、んっ、なによそれ?」
「なにって、こりゃただの煙草ですよ。」

返事を返しながら火を点ける。

「タバコ?聞いたことないわね。・・・って、うわぁ臭い!それパイプじゃない。やめなさいよ。部屋に臭いが移っちゃうじゃない。」
「気にしなさんな、別に煙草なんて珍しくもないでしょう。」
「そういう問題じゃないわよ。でも、そんな形のパイプを見たのは初めてね。持ち手の部分が木でも金属でもない、いったい何でできてるの?」

ルイズの言葉を聞きながら、亜紫花が渋い表情になる。

「穣ちゃんの話を聞く限りじゃあ、この世界にはこの形の煙草はないんですかい?」

ルイズは亜紫花の質問を聞いて、少し考えてから答えた。

「う~ん、私が吸ったりするわけじゃないから詳しくはさらないけど、・・って、質問に質問で返すんじゃないわよ!」

ルイズの怒声を聞きながら、亜紫花はため息を付いた。

「は~あぁ、そいつは困りましたねぇ・・・。」

その後も延々と続くルイズの説教に、形だけの相槌を返していた。

そして喋り疲れたルイズは、

「もういいわ。今日はもうおしまい。続きはまた明日にして、今日はもう寝ることにするわよ。」

ここから史実と同じように、ルイズが服を脱ぎだした。
だが亜紫花は、女性経験豊富なうえ、ルイズを自分の弟と大して変わらない歳だと思っていたので、何の感情も持たずにその姿を見ていた。
服を脱いだルイズは、それを亜紫花に投げ渡すと、

「それ明日の朝に洗濯しといて頂戴ね。」

亜紫花は、洗濯物に一瞬だけ目を向けてから、

「アタシはどこで寝れば良いんで?」

と言った。
すでに布団に潜りこんでいたルイズは、手近にあった毛布を投げ寄こしてから床を指差して、

「あんたは床よ。」

してやったりといった顔で言ってきた。
いいかげん彼女の性格を理解した亜紫花は、

「そうですか。」

とだけ答えると、ルイズは一瞬不満そうな顔をしてから、すぐに寝返りを打ち、パチンと指を鳴らした。
すると部屋を照らしていたランプの明かりが消え、部屋の中を暗闇と沈黙が支配した。
亜紫花がしばらくじっとしていると、しばらくしてわずかに寝息の音が聞こえてきた。

そっと立ち上がり窓の方へ移動する。
そして、窓枠に腰掛てから、煙草に火をつけると冒頭の科白を呟いた。

限りある煙草をゆっくりと吸いながら、これからの事を考えようとするが、どうせなるようにしかならないだろう途中で思考を打ち切ると、

「なんとか代用品なりを考えませんとねぇ。」

それだけ決めると、短くなった煙草を揉み消してた。

床に座って毛布を被ってから、思いのほか寝難いことに気がついて、ため息を吐いてから眠りについた。

明日から適当に女を捕まえて転がり込もうかと考えながら。

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