あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

侍の使い魔-14

 ルイズは夢を見ていた、子供の頃の夢を。
 あの頃自分は優秀な姉と比べられ、いつも叱られていた。
「ルイズ、ルイズ、どこに行ったの? ルイズ! まだお説教は終わっていませんよ!」
 この日も魔法の成績が悪いと母親に叱られていたのだ。
「ルイズお嬢様は難儀だねえ」
「まったくだ、上の2人のお嬢様は魔法があんなにおできになるというのに」
 召使の陰口に歯噛みしながら、ルイズはいつもの場所に向った。
 彼女が秘密の場所と呼んでいる中庭の池、そこに浮かぶ小さな池。
 ここにはめったに人がくることも無く幼い頃のルイズは落ち込むといつもここへ来ていた。
 そしていつものように船に乗り、毛布をかぶった。
「泣いているのかい、ルイズ」
 声をかけてきたのはルイズより歳が10歳ぐらい上の子爵だ。
 最近近所の領地を相続したその貴族はルイズにとって憧れの君だった。
「子爵様、いらしてたの?」
「今日は君のお父上に呼ばれたのさ。あの話のことでね」
「まあ!」
 それを聞いてルイズは頬を赤く染めうつむく。
「いけない人ですわ。子爵さまは……」
「ルイズ。ぼくの小さなルイズ。きみはぼくのことが嫌いかい?」
 おどけた調子で言う子爵の言葉にルイズは首を振る。
「いえ、そんなことはありませんわ。でも……わたし、まだ小さいし、よくわかりませんわ」
そんなルイズに子爵はにこりと笑い手を差し伸べる。
「子爵様・・・」
「ミ・レィディ。手を貸してあげよう。ほら、つかまって。もうじき晩餐会が始まるよ」
「でも・・・」
「また怒られたんだね? 安心しなさい。ぼくからお父上にとりなしてあげよう」
 ルイズはその子爵の手を握る。

「くくく・・・」
 突然子爵が笑い出した。
「子爵様?」
「ぶひゃひゃひゃ・・」
 とても貴族とは思えない下品な笑いにルイズは困惑する。
 子爵は帽子をばっとはずす、帽子は風で飛んでいった。
 その下の髪は子爵の持つ綺麗なストレートの髪ではなくモジャモジャの天然パーマだった。
 そう、子爵だと思った人物はルイズの使い魔、坂田銀時だった。
 ルイズの姿もいつの間にか16歳に戻っている。
「なんであんたが・・・」
「ひー腹いてー・・よう、じゃじゃ馬娘、おめえの憧れの子爵様のちょっとまねやったら
 簡単に引っかかるんだもんなー、何が『いけない人ですわ。子爵さまは……』だよ。
 普段そんな言葉一言使わねえくせに癖に笑わせてくれるな」
 銀時は腹を抱えて笑いすぎて涙目になっている。
「ギントキのくせに・・使い魔のくせに・・・」
 ルイズは顔を赤くしながら怒る。
「ぷぷ・・そんなこといってほんとはわかってるんだぜ」
 憧れの子爵の格好をした銀時はニタリと余裕たっぷりの笑みを見せる。
「何よ?」
「ルイズ、おめえはこの銀さんに惚れてんだろ」
「ば・・ばかじゃないの! 何ちょっと一緒に踊ったからって、調子に乗らないで!
 あんたのことなんか大嫌い!!」
「そうかい、そうかい、そいつは良かった」
「え?」 
 銀時の意外な言葉にルイズはさらに困惑する。
「ガキなんざ最初から興味ねえし、惚れられてもうぜえだけだし
 元々居たくてこんなところに居るわけじゃねえし」
「ちょっと・・・」
 ルイズは何か言おうとするが言葉が出てこない。
 もしここで反論したら惚れていることを認めてしまうようなものだ。
「じゃあな、ルイズ、俺は神楽のところに帰るわ」
「ちょっと待ちなさいよ、あんたは私の使い魔なのよ、勝手に帰るのは駄目」
「別にいいだろう、嫌いな男となんか一緒にいたくねえだろうし、じゃあなルイズ」
 そう言って銀時は船から高くジャンプしそのまま消えてしまった。
 ルイズは一人船に取り残される。
 船はいつの間にか池の中央まで来ていた、魔法が使えないルイズはここから出られなくなってしまった。
「ギントキ、待ちなさいよ、勝手に帰るなー!!せめて船元の場所に戻しなさい」
 ルイズの叫びに答える者は誰も無く、池の中に消えていくだけだった。

「うぃー、今けーったぞ、銀さんのお帰りだぞ、ひっく」
 銀時は酔っ払いながらルイズの部屋のドアを開けた。
 今日はマルトーと飲んで帰ってきた。
 かなり遅い時間のためルイズはベッドに寝ている。
「何だ、寝てんのか」
「うわ、お前酔っ払ってんな、相棒」
 部屋の隅に置かれたデルフは呆れたように銀時を見た。
「いいじゃねえか、マダケン、っと」
 銀時はフラフラしながら部屋の中に入る。
「おい、相棒そこは・・」
 銀時はルイズのベッドに倒れこんだ。
 銀時は酔っ払って家に帰ったとき、ソファーにそのまま寝る癖があり、
 その癖がそのまま残ってルイズのベッドに潜り込んでしまったのだ。
 そのままいびきをかきながら銀時は眠ってしまった。

「ん~、ギントキ、待ちなさい・・」
 眠っていたルイズは目を覚ました。
「何だ夢か・・そうよね、使い魔が主人をおいて勝手に帰るなんて・・」
 ルイズはほっとしたように横に寝返りをうつ。
 ルイズの顔には何か白くてモジャモジャしたものが当たった。
 ―なにこれ・・
 ルイズはそれを良く見る。
 それは人の髪の毛のような物だった。っていうか髪の毛だ。
 そして自分の目に銀時の寝顔のドアップがうつる。
 銀時は自分のすぐそばで寝ているのだ。
「きゃああああ!!ああああんたなんでここにいるのよ」
「んだよ、うっせえな、人が気持ちよく寝てんのに・・ん、ルイズ、お前夜這いか?」
 ルイズの悲鳴を聞いてそれまで寝ていた銀時は目を覚ます。
「夜這いはあんたでしょうがぁぁぁ!!」
 ルイズは銀時の股間を思いっきり蹴飛ばす。
「ぐおおおぉぉ!! 何しやがるこのブス!!もう一人のデリケートな俺が今大変なことになってんぞ。
 パー子か、俺をパー子にする気か!!」
「ブスですって!!ゼロといわれてもブスって言われたことは無いのに」
 ルイズの怒りが最早違う方向に向っている。
「うっせえブス」
「このー!!」
 ルイズは銀時の首にギロチンチョークをかける。
「うおおお、ちょっとぉぉ!!俺の首と胴体が離婚寸前なんだけど、ふざけんな、俺はまだ別れねえぞ」
 こうしてルイズの部屋では深夜のプロレス大会もしくはSMプレイが始まった。

 その頃フーケが囚われているチェルノボーグの監獄
「ぐっ、まだ顔がひりひりする、あの使い魔、人の顔面思いっきり叩きやがって」
 牢屋の中ではフーケが悪態をついていた。
 銀時もさすがに加減はしたが、それでもフーケにとっては死ぬほど痛かった。
 痕に残らなかったのは奇跡といってもいいだろう。
 フーケは悔しかった。
 あの使い魔の徹底的に人を馬鹿にした態度が、その上普段はちゃらんぽらんである。
 そんな使い魔に自分は捕まったのだ。
 フーケは銀時とは喋ったことは無いが何度か見たことはある。
 ちゃらんぽらんなくせに学院で働く平民からは妙に人気があった。
 最初はギーシュを倒したからだと思ったがどうもそれだけではないようだ。
 人当たりがいい風にも見えない。
 実際顔は好みだった。
 あの天パと死んだ魚の目を除けば結構見れる顔だ。
 キュルケが自分の素性を聞いてきたとき、庇うような事をいってくれたのは
 正直嬉しかった。
 ―って何考えてるんだ私は。
 フーケは今思ったことを振り払った。
「くっ、もしここから出られるならあの男をギャフンと言わせてみたいね」
 フーケはうなだれながらそんなことを口にした。
 そんなことは不可能なのはわかっている。
 杖を没収されている上、裁判にかけられたらよくて島流し、悪くて縛り首だ。
 誰かが近づいてくる音が聞こえる。
 見回りの看守の足音にしては妙だ。
 来たのは白い仮面をかぶった貴族の男だった。
「お前の願い叶えてもよいぞ」
「聞いてたのかい、趣味が悪いね」
 男は自分を脱獄させてやるといってきた。
 話を聞く限り、今アルビオンでクーデターを起こした貴族派の一味らしい。
 自分たちの仲間になれというのだ。
 フーケにとっては断る理由が無かった。
 正直あまり乗り気ではないが断ったらどの道殺されるか、縛り首だろう。
「これから旗を振る組織の名前ぐらいは、教えてもらってもいいんじゃないかい」
 フーケの問いに白仮面の男は鍵を開けながら答えた。
「レコン・キスタ」

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