ルイズは夢を見ていた。
そこは地面が石畳に覆われており、灰色の建物で埋め尽くされた場所だった。
そんな所にたった一人、自分は立っていた。
彼女は、誰か人は居ないものかとその場から歩き出した。
しかしいくら歩いても、いくら呼びかけても誰も居ないし返事もない。
突然自分の体を影が覆った。ルイズはふと空を見上げた。
そこには巨大な円盤が浮いていた。
突如その円盤から、砲撃が始まった。
砲撃により自分のまわりの建物が次々と崩れていく。
恐怖を感じたルイズは一目散に逃げ出した。
息が切れ、足がもつれそうになりながらもひたすら逃げる。
すると自分の前に人影が現れた。5、6人はいるだろうか。
よかった、この人達に助けを求めよう。
人影に駆け寄り声をかけようとする。しかし喉から出たのは恐怖の叫びだった。
それは人ではなかったからだ。その姿は図鑑でも見たことも無い怪物だった。
口や胸から無数の牙の生えたもの、全身が泡のように膨らんだものなど醜悪と呼ぶのに相応しい生き物だ。
ルイズは本能的に危険を感じ、その怪物達からまた逃げ出した。
が、怪物達は奇妙な音を発しながらルイズを追いかけてきた。
殺される
そう考えながら走っていると、一匹の子犬が地面に伏せっていた。逃げ遅れたのだろうか。
その子犬を助けようと抱きかかえたとき、一体の怪物がルイズの足元に稲妻を放った。
その攻撃でルイズはその場に倒れこんでしまう。
逃げなければ殺される、そう思い立ち上がろうとするものの足に力が入らない。
疲労のせいか恐怖のせいかは分からないが、もう逃げることはできなかった。
怪物達は徐々にルイズに近づいてくる。
もうだめか。そう思ったときルイズと怪物達を隔てるように一人の影が立ち塞がった。
また怪物の仲間だろうか、ルイズは諦めていたがそれは紛れも無く人間であった。
「逃げろ」
声からして男だろうか、彼はそうルイズに告げた。
さすがにルイズは躊躇した。
自分が死ぬのは怖い。でも、たった一人ではこの人も殺されてしまう。
それを見透かしたように男はルイズに振り返った。逆光で顔はよく見えない。
「また会えるさ…きっと」
ルイズを安心させるように言葉を発すると、男は怪物達に立ち向かっていった
そんな所にたった一人、自分は立っていた。
彼女は、誰か人は居ないものかとその場から歩き出した。
しかしいくら歩いても、いくら呼びかけても誰も居ないし返事もない。
突然自分の体を影が覆った。ルイズはふと空を見上げた。
そこには巨大な円盤が浮いていた。
突如その円盤から、砲撃が始まった。
砲撃により自分のまわりの建物が次々と崩れていく。
恐怖を感じたルイズは一目散に逃げ出した。
息が切れ、足がもつれそうになりながらもひたすら逃げる。
すると自分の前に人影が現れた。5、6人はいるだろうか。
よかった、この人達に助けを求めよう。
人影に駆け寄り声をかけようとする。しかし喉から出たのは恐怖の叫びだった。
それは人ではなかったからだ。その姿は図鑑でも見たことも無い怪物だった。
口や胸から無数の牙の生えたもの、全身が泡のように膨らんだものなど醜悪と呼ぶのに相応しい生き物だ。
ルイズは本能的に危険を感じ、その怪物達からまた逃げ出した。
が、怪物達は奇妙な音を発しながらルイズを追いかけてきた。
殺される
そう考えながら走っていると、一匹の子犬が地面に伏せっていた。逃げ遅れたのだろうか。
その子犬を助けようと抱きかかえたとき、一体の怪物がルイズの足元に稲妻を放った。
その攻撃でルイズはその場に倒れこんでしまう。
逃げなければ殺される、そう思い立ち上がろうとするものの足に力が入らない。
疲労のせいか恐怖のせいかは分からないが、もう逃げることはできなかった。
怪物達は徐々にルイズに近づいてくる。
もうだめか。そう思ったときルイズと怪物達を隔てるように一人の影が立ち塞がった。
また怪物の仲間だろうか、ルイズは諦めていたがそれは紛れも無く人間であった。
「逃げろ」
声からして男だろうか、彼はそうルイズに告げた。
さすがにルイズは躊躇した。
自分が死ぬのは怖い。でも、たった一人ではこの人も殺されてしまう。
それを見透かしたように男はルイズに振り返った。逆光で顔はよく見えない。
「また会えるさ…きっと」
ルイズを安心させるように言葉を発すると、男は怪物達に立ち向かっていった
ルイズはそこで目が覚めた。
いやな夢だった。自分が殺されそうな夢を見るなんて。
でも、夢の最後に出てきた人かっこよかったな。
自分の命も顧みず、私を助けてくれるなんて。
「あーゆー使い魔がよかった…」
ふと自分の使い魔の方を見る。
スズムラアキラと言ったか。変な名前。
幸せそうな寝顔を浮かべている。はっきり言ってマヌケ面だ。
でも昨晩は頑張ってくれると言ったし、ちょっとは期待しよう。
そう思ったときあるものが目に入る。
洗濯物の山だ。まさか忘れたのだろうか、昨日洗濯しといてと言ったのに!
今すぐ叩き起こしてやろう、しかしルイズはあることに気づく。
洗濯物がそのままということは、こいつはもしかしてずっと寝ていたのだろうか。
ひょっとして私を起こすことも無く。
ルイズの体から冷や汗が噴き出す。彼女は恐る恐る時間を確認した…
でも、夢の最後に出てきた人かっこよかったな。
自分の命も顧みず、私を助けてくれるなんて。
「あーゆー使い魔がよかった…」
ふと自分の使い魔の方を見る。
スズムラアキラと言ったか。変な名前。
幸せそうな寝顔を浮かべている。はっきり言ってマヌケ面だ。
でも昨晩は頑張ってくれると言ったし、ちょっとは期待しよう。
そう思ったときあるものが目に入る。
洗濯物の山だ。まさか忘れたのだろうか、昨日洗濯しといてと言ったのに!
今すぐ叩き起こしてやろう、しかしルイズはあることに気づく。
洗濯物がそのままということは、こいつはもしかしてずっと寝ていたのだろうか。
ひょっとして私を起こすことも無く。
ルイズの体から冷や汗が噴き出す。彼女は恐る恐る時間を確認した…
「いやあああああああああああああああああああああああああ!」
ルイズは悲鳴を上げた。それはこの部屋だけでなく、学院全体を震わすほどの大声だった。
「うわぁ!なんだなんだ!ダークザイドか!?」
あまりの大声に暁は驚き目を覚ます。
そんな暁に気づいたルイズは鬼のような形相で睨みつける。
「ア、アンタ…よくも…のん気に…」
「え、俺なんかした?」
暁は寝起きでぼーっとしながら問いかける。
「『何かした』じゃなくて『何もしてない』のが問題なのよ!アンタ何考えてるのよ」
大声でまくし立てるルイズに対し、暁は眠たい目を擦りながらうーんと考える。
「何だっけ?えーっと、今日はルイズとデートの約束だっけ?」
予想もしなかった暁の返答にルイズは顔を真っ赤にする。
「な、ななななな何言い出すのよ!洗濯よ洗濯!それに何で起こしてくれないのよ!」
「洗濯?そんなもの一週間くらい溜まってからやればいいだよ。
それにおてんと様は真上じゃないよ。まだまだ寝てる時間でしょ」
暁はぜんぜん悪びれずに言い切った。
それもそのはず、暁はこれまで夜は遅くまでガールフレンド達と遊び倒し
次の日は昼まで寝ているという生活を送ってきている。普段ならまだ寝ている時間なのだ。
「そんな訳ないでしょ!どんなグータラ生活を送ってきたのよアンタは!」
「うーん、まだ寝足りないな。どれ、もう一眠り…」
「寝るな!無視するな!着替えるの手伝いなさい!早くしないと朝食に間に合わないじゃない!」
「うわぁ!なんだなんだ!ダークザイドか!?」
あまりの大声に暁は驚き目を覚ます。
そんな暁に気づいたルイズは鬼のような形相で睨みつける。
「ア、アンタ…よくも…のん気に…」
「え、俺なんかした?」
暁は寝起きでぼーっとしながら問いかける。
「『何かした』じゃなくて『何もしてない』のが問題なのよ!アンタ何考えてるのよ」
大声でまくし立てるルイズに対し、暁は眠たい目を擦りながらうーんと考える。
「何だっけ?えーっと、今日はルイズとデートの約束だっけ?」
予想もしなかった暁の返答にルイズは顔を真っ赤にする。
「な、ななななな何言い出すのよ!洗濯よ洗濯!それに何で起こしてくれないのよ!」
「洗濯?そんなもの一週間くらい溜まってからやればいいだよ。
それにおてんと様は真上じゃないよ。まだまだ寝てる時間でしょ」
暁はぜんぜん悪びれずに言い切った。
それもそのはず、暁はこれまで夜は遅くまでガールフレンド達と遊び倒し
次の日は昼まで寝ているという生活を送ってきている。普段ならまだ寝ている時間なのだ。
「そんな訳ないでしょ!どんなグータラ生活を送ってきたのよアンタは!」
「うーん、まだ寝足りないな。どれ、もう一眠り…」
「寝るな!無視するな!着替えるの手伝いなさい!早くしないと朝食に間に合わないじゃない!」
「ゼェ…ハァ…アンタが…起こしてくれれば…」
「ハァ…間に合ったんだから…ハァ…いいじゃないの」
何とか着替えを直ぐに終わらせたが、全力ダッシュで食堂に着いたため
二人ともすでにグロッキー状態である。これは朝食がうまくなりそうだ。
「ふぅ…コレに懲りたらアンタも規則正しい生活を心掛けることね」
「たった一回失敗しただけじゃないの。もっと大目に見てやってよ」
「アンタの言えるセリフじゃないでしょ!」
そんなことを話していると一人の女性がやってきた。
「おはようルイズ。今朝はスッゴイ声だったわね。それになんか疲れてるみたいだけど」
赤い髪、モデルのような体つき、褐色の肌。隣人のキュルケである。
「おはようキュルケ。まあ、色々あったのよ」
ルイズはあからさまに嫌そうな顔をして答えたが
当のキュルケは「ふーん」と特に気にもせずに頷いている。
どうやら今の彼女の興味はルイズの隣の青年だ。
「あら、もしかしてそれが貴方の?」
ちょっとバカにしたような口調で尋ねてきた。昨日の儀式の時に知ってるくせに。
ここは抑えてキュルケに暁を紹介することにした。
「そうよ、こいつが私の使」
いない。今まで隣に居たのに。
「いやーお美しい。例えるならキミは妖艶な真っ赤なバラだ。あ、俺涼村暁って言うの。ヨロシクね」
「あら、お上手ね。あたしはキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー、キュルケでいいわよ」
暁はキュルケの隣に移動していた。いつの間に。
「キュルケちゃんか。しかし長い名前だね、貴族っぽいよ。高貴な家柄はキレイな人が多いっていうけどホントだね」
「貴方もなかなかイケてるわよ。ハンサムさん」
このバカは何をしているんだろう。朝っぱらからナンパか?
しかもよりによってツェルプストーの女を。
ちょっといい感じなのが余計ムカツク。
「アンタ何やってのよ!初対面の女を口説くなんてどーいう性格してるの!」
ルイズは遂にキレた。洗濯しなかったことも起こさなかったことも何とか我慢したがもう限界だ。
しかし暁とキュルケは白い目でルイズを見ている。
「ちょっとぉ、男女の会話を遮るなんて無粋なんじゃないかしら?」
「カリカリしちゃってカルシウムが足りないんじゃないの?あ、ウェイトレスさーん、俺バナナパフェひとつねー」
こいつらはどこまでマイペースなんだ。使い魔はちゃっかり自分の食事を注文しているし。でもバナナパフェて。
「アンタにあげる食事なんてないわよ!」
「えー、なんでなんで?」
暁は抗議の声をあげるがルイズは気にせず言葉を続ける。
「しつけの一環よ!洗濯はしないわ、寝坊はするわ、おまけにナンパまでするバカ犬にエサなんてあるわけないでしょ!」
一番頭にきたのはキュルケをナンパしたことなのだが。
しかしそのキュルケはルイズをからかう。
「まあ!ルイズったら自分の衣類を男に洗わせようとしたの?はしたない人!」
「そこ、うるさい!」
さすがに食事を抜きにされては暁もたまらない。
ここは謝るべきだろうと判断したが
「ごめんなさーい、ご主人様。反省しますから食事抜きは勘弁してくださいにゃーん♪」
「それは猫でしょ!てゆーかかわいくないわよ!」
ちっとも反省しているようには見えなかった。母性本能をくすぐる作戦だったが逆に火に油を注いでしまったようだ。
「ハァ…間に合ったんだから…ハァ…いいじゃないの」
何とか着替えを直ぐに終わらせたが、全力ダッシュで食堂に着いたため
二人ともすでにグロッキー状態である。これは朝食がうまくなりそうだ。
「ふぅ…コレに懲りたらアンタも規則正しい生活を心掛けることね」
「たった一回失敗しただけじゃないの。もっと大目に見てやってよ」
「アンタの言えるセリフじゃないでしょ!」
そんなことを話していると一人の女性がやってきた。
「おはようルイズ。今朝はスッゴイ声だったわね。それになんか疲れてるみたいだけど」
赤い髪、モデルのような体つき、褐色の肌。隣人のキュルケである。
「おはようキュルケ。まあ、色々あったのよ」
ルイズはあからさまに嫌そうな顔をして答えたが
当のキュルケは「ふーん」と特に気にもせずに頷いている。
どうやら今の彼女の興味はルイズの隣の青年だ。
「あら、もしかしてそれが貴方の?」
ちょっとバカにしたような口調で尋ねてきた。昨日の儀式の時に知ってるくせに。
ここは抑えてキュルケに暁を紹介することにした。
「そうよ、こいつが私の使」
いない。今まで隣に居たのに。
「いやーお美しい。例えるならキミは妖艶な真っ赤なバラだ。あ、俺涼村暁って言うの。ヨロシクね」
「あら、お上手ね。あたしはキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー、キュルケでいいわよ」
暁はキュルケの隣に移動していた。いつの間に。
「キュルケちゃんか。しかし長い名前だね、貴族っぽいよ。高貴な家柄はキレイな人が多いっていうけどホントだね」
「貴方もなかなかイケてるわよ。ハンサムさん」
このバカは何をしているんだろう。朝っぱらからナンパか?
しかもよりによってツェルプストーの女を。
ちょっといい感じなのが余計ムカツク。
「アンタ何やってのよ!初対面の女を口説くなんてどーいう性格してるの!」
ルイズは遂にキレた。洗濯しなかったことも起こさなかったことも何とか我慢したがもう限界だ。
しかし暁とキュルケは白い目でルイズを見ている。
「ちょっとぉ、男女の会話を遮るなんて無粋なんじゃないかしら?」
「カリカリしちゃってカルシウムが足りないんじゃないの?あ、ウェイトレスさーん、俺バナナパフェひとつねー」
こいつらはどこまでマイペースなんだ。使い魔はちゃっかり自分の食事を注文しているし。でもバナナパフェて。
「アンタにあげる食事なんてないわよ!」
「えー、なんでなんで?」
暁は抗議の声をあげるがルイズは気にせず言葉を続ける。
「しつけの一環よ!洗濯はしないわ、寝坊はするわ、おまけにナンパまでするバカ犬にエサなんてあるわけないでしょ!」
一番頭にきたのはキュルケをナンパしたことなのだが。
しかしそのキュルケはルイズをからかう。
「まあ!ルイズったら自分の衣類を男に洗わせようとしたの?はしたない人!」
「そこ、うるさい!」
さすがに食事を抜きにされては暁もたまらない。
ここは謝るべきだろうと判断したが
「ごめんなさーい、ご主人様。反省しますから食事抜きは勘弁してくださいにゃーん♪」
「それは猫でしょ!てゆーかかわいくないわよ!」
ちっとも反省しているようには見えなかった。母性本能をくすぐる作戦だったが逆に火に油を注いでしまったようだ。
結局暁は食堂から追い出されてしまった。無論食事は抜きである。
ルイズに「私が食べ終わるまで外にいなさい!」と言われ広場で寝そべっていた。
それにしても何もそんなに怒ることもないじゃないか。ちゃんと謝ったのに。
やっぱ、あそこは泣き落としのほうがよかったか。
そんなことを考えていると、メイド服を着た一人の少女が歩いていく。黒髪ショートカットのかわいいコだ。
暁はすぐさま飛び起きた。美女がいたらすることは一つだ。
「キミかわいいねえ。例えるなら大きく花開いたひまわりだ!」
さっそく女の子に声をかける。
「え?あ、あの…あなたは?」
口元に手をあてながら女の子は困ったように尋ねてくる。
その仕草がまたかわいいなと思いつつ暁は自己紹介をした。
「俺涼村暁。ルイズってコの使い魔やってんの」
暁の言葉を聞くと、女の子は警戒を解いたように笑顔を見せる。
「ああ、ミス・ヴァリエールの使い魔さんですね」
「え?俺ってそんなに有名人?」
「ええ、平民の使い魔を呼び出すなんて珍しいってウワサになってますから。
私はここでご奉公させてもらっているシエスタと言います。」
いいウワサなのか悪いウワサなのかこの際どうでもいい。
とりあえずこのコと仲良くなろうと暁は会話を続ける。
「ヨロシクね、シエスタちゃん。でもかわいいね、何だかキミと話してると癒されるってゆうか」
そんな話の途中で暁の腹の虫が鳴り、シエスタはくすくすと笑う。
「ありゃ、ごめんねカッコ悪いとこみせちゃったなぁ」
「お腹空いてるんですか?」
「うん、ルイズに『しつけだー』とかなんとか言われちゃって朝飯抜きなんだよ」
腹をおさえつつ暁は事情を話す。
原因を作ってしまったのは自分なのだが、シエスタを見た瞬間からそんなものは忘れてしまっている。
「じゃあ、厨房にいらしてください。何かご用意いたしますから」
「え、マジでいいの?」
「はい、困ったときはお互い様ですから。」
シエスタはにっこり笑いながら暁を案内する。
「サンキュー、シエスタちゃん。やっぱかわいいコは親切だ!」
「そんな大げさですよ」
暁の言葉にシエスタは頬を赤く染める。
そんなシエスタの様子を眺めながら暁は足取りも軽く厨房へついていった。
ルイズに「私が食べ終わるまで外にいなさい!」と言われ広場で寝そべっていた。
それにしても何もそんなに怒ることもないじゃないか。ちゃんと謝ったのに。
やっぱ、あそこは泣き落としのほうがよかったか。
そんなことを考えていると、メイド服を着た一人の少女が歩いていく。黒髪ショートカットのかわいいコだ。
暁はすぐさま飛び起きた。美女がいたらすることは一つだ。
「キミかわいいねえ。例えるなら大きく花開いたひまわりだ!」
さっそく女の子に声をかける。
「え?あ、あの…あなたは?」
口元に手をあてながら女の子は困ったように尋ねてくる。
その仕草がまたかわいいなと思いつつ暁は自己紹介をした。
「俺涼村暁。ルイズってコの使い魔やってんの」
暁の言葉を聞くと、女の子は警戒を解いたように笑顔を見せる。
「ああ、ミス・ヴァリエールの使い魔さんですね」
「え?俺ってそんなに有名人?」
「ええ、平民の使い魔を呼び出すなんて珍しいってウワサになってますから。
私はここでご奉公させてもらっているシエスタと言います。」
いいウワサなのか悪いウワサなのかこの際どうでもいい。
とりあえずこのコと仲良くなろうと暁は会話を続ける。
「ヨロシクね、シエスタちゃん。でもかわいいね、何だかキミと話してると癒されるってゆうか」
そんな話の途中で暁の腹の虫が鳴り、シエスタはくすくすと笑う。
「ありゃ、ごめんねカッコ悪いとこみせちゃったなぁ」
「お腹空いてるんですか?」
「うん、ルイズに『しつけだー』とかなんとか言われちゃって朝飯抜きなんだよ」
腹をおさえつつ暁は事情を話す。
原因を作ってしまったのは自分なのだが、シエスタを見た瞬間からそんなものは忘れてしまっている。
「じゃあ、厨房にいらしてください。何かご用意いたしますから」
「え、マジでいいの?」
「はい、困ったときはお互い様ですから。」
シエスタはにっこり笑いながら暁を案内する。
「サンキュー、シエスタちゃん。やっぱかわいいコは親切だ!」
「そんな大げさですよ」
暁の言葉にシエスタは頬を赤く染める。
そんなシエスタの様子を眺めながら暁は足取りも軽く厨房へついていった。
厨房に着いた暁は皆の作業の邪魔にならないよう隅のほうに座る。
「ごめんなさい、貴族の方の残り物ですけど」
シエスタは料理を持ってきたが申し訳なさそうにしている。
しかし腹の減った暁はそんなことは気にしない。
「いいって、そんなこと。んじゃいだだきまーすマルトーさん」
「おう、ゆっくり食えよ」
料理長のマルトーにも声をかけられる。
目の前のシチューとシエスタたちに感謝しつつ暁は食べ始めた。
「うん、すっげーうまいよこれ。貴族ってのはいいもん食べてるんだなー」
「そう言っていただけると厨房のみんなも喜びます」
シエスタは暁の食べる様子を見てうれしそうにしている。
年上なのに妙に子供っぽいこの青年のことが少し気になったシエスタは質問をしてみた。
「アキラさんは今までどんなことをされていたんですか?」
「ん?俺は探偵やってたの」
「探偵さんですか?」
ちょっと意外だなと思いながらも質問を続ける。
「どんな事件があったんですか?」
「んーとね、お金持ちのお嬢さんを凶悪犯から助けたり、密輸の現場をおさえたり
迷宮入りになりそうな殺人事件を解決したりとか毎日すっげー忙しかったよ」
「すごいですね!アキラさんは名探偵なんだ」
シエスタは尊敬の眼差しで暁を見つめる。
「いやいや、大したことじゃないよ」
無論嘘である。暁の探偵事務所は代々続く名門ではあるが、やってくる依頼といえば近所の犬探し等が主なものだった。
その依頼も決して多くなく事務所のパソコンのスケジュールは埋まったことなど一度も無い。
そんな暁の嘘を真に受けたシエスタは興味津々に尋ねてくる。
「大したことですよ、そのお金持ちの方を助けたときとかアキラさんはどんな活躍したんですか?」
「え?えーと、話がちょっと長くなるし、また今度聞かせるよ。」
シエスタにカッコつけようと見栄を張ったが自分の首を絞めてしまう。
何とか話題を変えようと暁は逆にシエスタのことを聞いてみる。
「シエスタちゃんこそ仕事とか大変じゃない?」
「私ですか?そんなことないですよ。料理長のマルトーさんとか同僚の方達とかとても親切ですし」
「そっか、やっぱり仕事は楽しくても人間関係がよくないとね。」
暁はうんうんと頷くと、ちょっと突っ込んだ質問をする。
「ところで恋人とかいるの?」
「い、いませんよ。恋人なんて」
いきなり恋愛のことを聞かれシエスタはどぎまぎする。
「ウソだー!いないなんて。でもシエスタちゃんの良さが分からないって可哀想だよな、女の子を見るセンスなくてさ」
「もう、アキラさんってお世辞がうまいんですね」
「ごめんなさい、貴族の方の残り物ですけど」
シエスタは料理を持ってきたが申し訳なさそうにしている。
しかし腹の減った暁はそんなことは気にしない。
「いいって、そんなこと。んじゃいだだきまーすマルトーさん」
「おう、ゆっくり食えよ」
料理長のマルトーにも声をかけられる。
目の前のシチューとシエスタたちに感謝しつつ暁は食べ始めた。
「うん、すっげーうまいよこれ。貴族ってのはいいもん食べてるんだなー」
「そう言っていただけると厨房のみんなも喜びます」
シエスタは暁の食べる様子を見てうれしそうにしている。
年上なのに妙に子供っぽいこの青年のことが少し気になったシエスタは質問をしてみた。
「アキラさんは今までどんなことをされていたんですか?」
「ん?俺は探偵やってたの」
「探偵さんですか?」
ちょっと意外だなと思いながらも質問を続ける。
「どんな事件があったんですか?」
「んーとね、お金持ちのお嬢さんを凶悪犯から助けたり、密輸の現場をおさえたり
迷宮入りになりそうな殺人事件を解決したりとか毎日すっげー忙しかったよ」
「すごいですね!アキラさんは名探偵なんだ」
シエスタは尊敬の眼差しで暁を見つめる。
「いやいや、大したことじゃないよ」
無論嘘である。暁の探偵事務所は代々続く名門ではあるが、やってくる依頼といえば近所の犬探し等が主なものだった。
その依頼も決して多くなく事務所のパソコンのスケジュールは埋まったことなど一度も無い。
そんな暁の嘘を真に受けたシエスタは興味津々に尋ねてくる。
「大したことですよ、そのお金持ちの方を助けたときとかアキラさんはどんな活躍したんですか?」
「え?えーと、話がちょっと長くなるし、また今度聞かせるよ。」
シエスタにカッコつけようと見栄を張ったが自分の首を絞めてしまう。
何とか話題を変えようと暁は逆にシエスタのことを聞いてみる。
「シエスタちゃんこそ仕事とか大変じゃない?」
「私ですか?そんなことないですよ。料理長のマルトーさんとか同僚の方達とかとても親切ですし」
「そっか、やっぱり仕事は楽しくても人間関係がよくないとね。」
暁はうんうんと頷くと、ちょっと突っ込んだ質問をする。
「ところで恋人とかいるの?」
「い、いませんよ。恋人なんて」
いきなり恋愛のことを聞かれシエスタはどぎまぎする。
「ウソだー!いないなんて。でもシエスタちゃんの良さが分からないって可哀想だよな、女の子を見るセンスなくてさ」
「もう、アキラさんってお世辞がうまいんですね」
そんな他愛も無い世間話をしているうちに暁は料理を平らげた。
「ごちそーさま。んじゃ、俺そろそろ行くね。マルトーさん、ご飯ありがとー」
「ああ、貴族に飯抜かれたらいつでも来な」
気さくで豪快そうなおっちゃんだなと暁は思いつつシエスタにも声をかける。
「ありがとシエスタちゃん、助かったよ。今度なんかお礼するから」
「お礼なんて気にしなくっていいですよ。」
シエスタとしては当然のことをしたまでなのでお礼など必要ないと断ったがそれでは暁の気がすまない。
「ダメダメ、かわいいコに親切にしてもらったのに何もしないなんて俺の主義に反するから」
「かわいいだなんて、そんな…」
照れて顔を伏せるシエスタだがまんざらでもなさそうだ。
「わかりました、じゃあアキラさんの言葉に甘えます」
その答えを聞いた暁は、にぱっと笑う。
「うん、それじゃ何か考えといて。またね、シエスタちゃん」
「はい、またいらしてください。」
深々とお辞儀をするシエスタに手を振りながら暁は厨房を後にした。
「ごちそーさま。んじゃ、俺そろそろ行くね。マルトーさん、ご飯ありがとー」
「ああ、貴族に飯抜かれたらいつでも来な」
気さくで豪快そうなおっちゃんだなと暁は思いつつシエスタにも声をかける。
「ありがとシエスタちゃん、助かったよ。今度なんかお礼するから」
「お礼なんて気にしなくっていいですよ。」
シエスタとしては当然のことをしたまでなのでお礼など必要ないと断ったがそれでは暁の気がすまない。
「ダメダメ、かわいいコに親切にしてもらったのに何もしないなんて俺の主義に反するから」
「かわいいだなんて、そんな…」
照れて顔を伏せるシエスタだがまんざらでもなさそうだ。
「わかりました、じゃあアキラさんの言葉に甘えます」
その答えを聞いた暁は、にぱっと笑う。
「うん、それじゃ何か考えといて。またね、シエスタちゃん」
「はい、またいらしてください。」
深々とお辞儀をするシエスタに手を振りながら暁は厨房を後にした。
もうルイズたちの食事も終わっているだろう。暁はそう思い広場に戻る。
それにしてもシエスタちゃんか、かわいいなぁ
なんてことを考えているとそこには、とても怖い人がいた。
暁のご主人様、我等のルイズである。
朝食はとっくの昔に終わっていたのだ。
正直お近づきになりたくない雰囲気を醸し出している。
おそらく待たされたことに怒っているのだろう。
暁はビビりながらもなるべく平常心でルイズに声をかける。
「お待ちでしたか?」
なぜか敬語になってしまう。
「今までどこに行ってたのかしら?」
妙にやさしく話しだすルイズ。
それが余計に怖い。
「ごめんね、待たせちゃって。それじゃ教室に行こうか」
冷や汗をたらしながら暁はその場をそそくさと離れようとする。
すかさずルイズに腕をつかまれる。
「質問に答えて欲しいんだけど」
ギリギリと腕を捻られ思わず暁は悲鳴を上げてしまう。
「ああ、痛い痛い!暴力はやめて!」
そんな叫びを聞いたルイズは力を弱め、暁を連れて行く。
「とにかく、早くしないと授業に遅れちゃうから言い訳は後で聞くわ。ついてきなさい」
声を荒げることはなかったが、その言葉には明らかに怒りを感じる。
腕を引っ張られつつ暁は
これはシエスタちゃんのことは言えないな
そんなことを考えながら教室についていくのだった。
それにしてもシエスタちゃんか、かわいいなぁ
なんてことを考えているとそこには、とても怖い人がいた。
暁のご主人様、我等のルイズである。
朝食はとっくの昔に終わっていたのだ。
正直お近づきになりたくない雰囲気を醸し出している。
おそらく待たされたことに怒っているのだろう。
暁はビビりながらもなるべく平常心でルイズに声をかける。
「お待ちでしたか?」
なぜか敬語になってしまう。
「今までどこに行ってたのかしら?」
妙にやさしく話しだすルイズ。
それが余計に怖い。
「ごめんね、待たせちゃって。それじゃ教室に行こうか」
冷や汗をたらしながら暁はその場をそそくさと離れようとする。
すかさずルイズに腕をつかまれる。
「質問に答えて欲しいんだけど」
ギリギリと腕を捻られ思わず暁は悲鳴を上げてしまう。
「ああ、痛い痛い!暴力はやめて!」
そんな叫びを聞いたルイズは力を弱め、暁を連れて行く。
「とにかく、早くしないと授業に遅れちゃうから言い訳は後で聞くわ。ついてきなさい」
声を荒げることはなかったが、その言葉には明らかに怒りを感じる。
腕を引っ張られつつ暁は
これはシエスタちゃんのことは言えないな
そんなことを考えながら教室についていくのだった。