あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのちグゥ-7

「ねえ、グゥ。いい加減それしまいなさい……後、その格好も何とかならないの?」
「えへへ」
「かわいく微笑んでもダメ!」

ルイズは目の前で剣――本人に言わせれば杖――を猛烈に振り回すグゥを見つめた。
認めたくない事実は、その剣を買い与えたのがルイズ自身というところだろうか。
また、その姿もかなりの問題をはらんでいる。
“杖”発言に悪乗りしたキュルケが、なんと魔法学院の制服に近い服とマントを探してきて着せたのだ。
よって、現在の光景を客観的に分析すると
“何故かトリステイン魔法学院の制服を着た子供が、学院の中庭で剣を振り回して暴れている”
……ということになる。
しかもそいつはルイズが管理すべき“使い魔”なのだ。

「ああ、深く考えたら頭痛が……」
がっくりと肩を落としたルイズに気づいたのか、グゥが仕方なさそうに剣を振り回すのを止める。
「どうした、体調でも悪いのか」
「全部あんたのせいよ」
「気のせい気のせい、ねー魔法のステッキ?」
その言葉に反応し、元インテリジェンスソードであるデルフリンガーが、カタカタと震え否定の意を表そうと口を開く……ことはできなかった。
「チッ」
舌打ちをしたグゥが、音、いや声を出しかけたそれを一瞬で鞘に収めたのだ。
電光石火の早業であった。

「気のせいには見えないわね。
ところで、あんた魔法使えるとか使いたいとかそんなこと言ってた気がするけど、結局どうなのよ?」

「ん?あ、あーあー。魔法、魔法ね」
あからさまに“忘れてました”という表情を浮かべたグゥを見て、ルイズの頭痛が一段階ひどくなる。
「忘れてたのね」

「いやいや、そんなことないですよー」
「ありまくりよ!」
「まあ、嗜む程度には。ステッキもあるしな」
罵声をさらりと流したグゥは、少しだけ真剣な表情になり今しがた鞘に押し込んだ“杖”をすらりと抜いた。

「で、何ができるの」
「んー、ちょっと待ってえな」
グゥが塔の方に向き直って数秒後。

「錬金!」

ルイズの口があんぐりと開く。
別に呪文そのものがおかしかったわけではない。
失敗して爆発したわけでもない。
確かに、グゥは魔法が使えた。
しかし………


「ねえ、何でよ。何でなの!?」

グゥの目の前に巨大な火球が現れ、魔法学院本塔に向かって飛ぶ。
壁に激突したそれは幸いなことに、魔法防御を大幅に高める多重の“固定化”に阻まれ表面を数十サントほど溶かしただけに終わった。

「どうかな」
錆びた大剣を構えたグゥが胸を張って目を細める。
「ええ、確かに凄いわ、凄いわよ!でもそうじゃなくてね!」
「何だ」

「なんで唱えたのが“錬金”なのに、発動は“フレイム・ボール”なのよ!!!!!」

休日で閑散とした学院にルイズの絶叫が響く。
グゥが少々寂しそうに呟いた。
「この破壊力じゃ不満か」
「不満とかそういう問題じゃなくてね」
「……?」

ルイズは頭を抱えて座り込んだ。

なんというか、何もかもがおかしい。
確かにグゥの放った“フレイム・ボール”は凄い。
スクウェアの“固定化”がかかった壁を少しでも溶かすなんて驚きだ。
それにしても、何で呪文が“錬金”なのかしら。
わたしが魔法の失敗で爆発するみたいなもの?そんな馬鹿な。

「グゥの魔法はおかしいか?」
「別に結果はおかしくないけど、呪文が著しくおかしいわ」
「いやな、“錬金”が一番言い易かったん」

ふと、ある発想がルイズの頭に浮かぶ。
それはどちらかというと認めたくないものであったが、そうとしか思えない。

「もしかしてあんた、わたしたちを真似して魔法使ってるの?」
「………」
グゥが微妙な表情で剣を鞘に仕舞う。
「やっぱりそうなのね」

「あかん?」
「ダメってことはないけど、控えめにね。あと、あからさまに悪そうな奴以外に使っちゃだめよ」
グゥがやや不服そうに頷く。ルイズは熱でへこんだ壁をまじまじと見た。
そして……

「とりあえず逃げるわよ」
「へいへい」

その様子を、ずっと物陰から見ていた人物がいた。
ルイズにとって幸運だったのは、そいつが塔の壁の損傷を教師陣に伝えるような奴ではなかったということ。
「これはチャンスだね……けれども、時間が早すぎる」
そいつは夕焼けの空を見上げ、一言呟くと何処かへ消えた。

新着情報

取得中です。