ユリアゼロ式TYPE-4「婚約者、現るの巻」
「トリステイン王国王女、アンリエッタ殿下のおなーーーーりーーーーーッ!」
王女はにこやかに手を振って生徒からの歓声にこたえていた。
「あの人がその、この国の王女様なのですか?」
「ええ、そうよ。あの人はアンリエッタ王女といって国民からも絶大な人気を誇っているのよ。」
と、自分のことでもないのに誇らしげにしているルイズ。
「ふーん。あの人が王女ねえ…… 私のほうが美人じゃないの。」
「うーん……でもキュルケさんもきれいですけどあの人だって十分きれいな人ですよ。」
そうこうしている間にアンリエッタ王女の馬車はルイズたちの前を通り過ぎ、後ろの護衛隊が現れた。
「あっ、あの人が……」
その先頭にいる男を見てルイズとユリアは息を呑んだ。
その男の美貌は学院の女性達を惹きつけるには十分すぎるものだった。
王女はにこやかに手を振って生徒からの歓声にこたえていた。
「あの人がその、この国の王女様なのですか?」
「ええ、そうよ。あの人はアンリエッタ王女といって国民からも絶大な人気を誇っているのよ。」
と、自分のことでもないのに誇らしげにしているルイズ。
「ふーん。あの人が王女ねえ…… 私のほうが美人じゃないの。」
「うーん……でもキュルケさんもきれいですけどあの人だって十分きれいな人ですよ。」
そうこうしている間にアンリエッタ王女の馬車はルイズたちの前を通り過ぎ、後ろの護衛隊が現れた。
「あっ、あの人が……」
その先頭にいる男を見てルイズとユリアは息を呑んだ。
その男の美貌は学院の女性達を惹きつけるには十分すぎるものだった。
「婚約者?」
ユリアはルイズにそう聞き返した。
婚約者のことについてはあまり人に話したくなかったルイズだったのだが、先日の晩も彼女がいつものように迫ってきたので諦めさせようと思わず打ち明けたのである。
ルイズの話によるとその婚約者の名前はワルドと言い、今ではトリステイン王国の親衛隊隊長として活躍しているらしい。
その話を聞かされたユリアは諦めるどころか
「じゃあその人に負けないように既成事実を作っちゃいましょう!」
と言ってまた迫ってきたのだから手に負えない。
『ユリア100式マニュアル
ダッチワイフであるユリア100式は性器越しに精液の交換を行うことでその人物の一生の性の奴隷になるのだ!』
結局はまたいつものように虚無の魔法を使ってユリアを吹き飛ばしたのだが
めげるどころかますます燃え上がりそうな勢いだった。障害が多ければ多いほど燃えやすい性格なのかもしれなかった。
「ルイズさん一つ質問があるんですけど」
「何? 変な事聞いたらまたぶっ飛ばすわよ。」
「その人って男ですか?それともおn
その日のユリアはまた吹き飛ばされた。
ユリアはルイズにそう聞き返した。
婚約者のことについてはあまり人に話したくなかったルイズだったのだが、先日の晩も彼女がいつものように迫ってきたので諦めさせようと思わず打ち明けたのである。
ルイズの話によるとその婚約者の名前はワルドと言い、今ではトリステイン王国の親衛隊隊長として活躍しているらしい。
その話を聞かされたユリアは諦めるどころか
「じゃあその人に負けないように既成事実を作っちゃいましょう!」
と言ってまた迫ってきたのだから手に負えない。
『ユリア100式マニュアル
ダッチワイフであるユリア100式は性器越しに精液の交換を行うことでその人物の一生の性の奴隷になるのだ!』
結局はまたいつものように虚無の魔法を使ってユリアを吹き飛ばしたのだが
めげるどころかますます燃え上がりそうな勢いだった。障害が多ければ多いほど燃えやすい性格なのかもしれなかった。
「ルイズさん一つ質問があるんですけど」
「何? 変な事聞いたらまたぶっ飛ばすわよ。」
「その人って男ですか?それともおn
その日のユリアはまた吹き飛ばされた。
「私、既成事実を作ります!」
ユリアはルイズにそう宣言した。ルイズは杖をくるくる回しながら空返事をしている。
「じゃあ失礼します。うーん……」
「だからなんでそれで既成事実が必要なのよ! ってこらぁ!唇を突き出してこっちに向かってくるなぁ!」
あわてて逃げようとするルイズだったがユリアに足首をがしっとつかまれてしまい身動きをとることができない。
そのままルイズは仰向けにさせられユリアに馬乗りされてしまった。
「やっ、そっそんなやめっ……」
「ふっふっふ~ よいではないかよいではないか~」
「何よその喋り方……ってあんたなんで上着を脱がしにかかってるのよ!いい加減に――――――あ」
上目で見るとドアが開けられていることに気づいた。そこには
「おっ、お久しぶりね………あはははは………」
目の前の惨状に苦笑するしかないトリステイン王国王女アンリエッタと
「ルイズ………これはいったいどういう事かね?」
目の前の惨状に怒りで震えているルイズの婚約者ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドがいた。
ユリアはルイズにそう宣言した。ルイズは杖をくるくる回しながら空返事をしている。
「じゃあ失礼します。うーん……」
「だからなんでそれで既成事実が必要なのよ! ってこらぁ!唇を突き出してこっちに向かってくるなぁ!」
あわてて逃げようとするルイズだったがユリアに足首をがしっとつかまれてしまい身動きをとることができない。
そのままルイズは仰向けにさせられユリアに馬乗りされてしまった。
「やっ、そっそんなやめっ……」
「ふっふっふ~ よいではないかよいではないか~」
「何よその喋り方……ってあんたなんで上着を脱がしにかかってるのよ!いい加減に――――――あ」
上目で見るとドアが開けられていることに気づいた。そこには
「おっ、お久しぶりね………あはははは………」
目の前の惨状に苦笑するしかないトリステイン王国王女アンリエッタと
「ルイズ………これはいったいどういう事かね?」
目の前の惨状に怒りで震えているルイズの婚約者ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドがいた。
重い。空気が重い。
ワルドはつんとした冷たい表情をしており、ユリアは冷や汗をたらたら流している。それに関してはルイズも同様だった。
話によると「たまたま向かう部屋が一緒だったから一緒に行くことにした」ってどうよアンリエッタ王女。
しかし当の王女はニコニコしながら何もしゃべらなかった。
口火を切ったのはワルドだった。
「説明してくれないか ルイズ。」
一見丁寧な口調だが明らかにルイズを責め立てようとしている。とりあえずルイズは言い訳をすることにした。
実際はユリアが一方的に迫ってくるだけなのだが少なからず自分にも原因があると負い目を感じていたのでついついしどろもどろになってしまう。
「いや、だから彼女は私の使い魔で……」
「使い魔だからと言って女性同士であんなことをするものなのかね?」
ワルドの厳しい指摘が飛ぶ。当然この国では同性愛というものは認知されているわけではない。
「いや、だから、えっと……その……」
「ミス・ヴァリエール 私はありだとは思うのですが……」
「姫さま違います! 私たちは本当に何もないんです! 彼女は私の使い魔だから世話してるだけで……」
「とはいっても、あんなのを見せ付けられたら信用することもできまい。」
「そ、そんな………」
婚約者の思わぬ一言に愕然とするルイズ。
(ど、どうしよう……私のせいでルイズさんを困らせてしまって……) 「あっ、あのっ!………」
勢いのまま立ち上がったユリアに3人の視線が集まる。
(こうなったら本当のことを言うしかない!)
ユリアは意を決して口を開いた。
「私は……ただのダッチワイフなんです!
だからワルドさんが思っているような怪しい関係じゃないんです!」
「「……ダッチワイフ?」」
ワルドとアンリエッタは思わず顔を見合わせた。互いに何を意味するのかわからないらしい。
ルイズも意味はわからなかったのだが、何か嫌な悪寒が走った。そしてそれは的中する。
「ただの性欲処理器具です! だからそういうのじゃないんです! 心配しないでください!」
三人の反応は様々だった。
アンリエッタは合点がいって思わずポンと手を叩き
ルイズは自分の悪寒が的中して「あわわ……」と震えた声を出すことしか出来ず
ワルドはユリアが言った言葉を反芻して理解すると一言
「不潔だ」とつぶやいた。
愕然としたのはユリアのほうだった。それに見かねた王女が小声で説明してくれた。
「この国ではそういうHな本やそういう物を持っていると軽蔑されてしまうのよ。当然持ってる人はいるけどね。」
(えーっ!? 私の存在全否定!?)
『ユリア100式マニュアル
ダッチワイフであるユリア100式は最高級アダルトグッズを謳っています!』
「ワルドさん! お願いです! どうか私をルイズさんの元へいさせてください!」
ユリアはワルドに向かって深々と土下座をした。その最中ユリアの目からぽろぽろと零れ落ちた涙が床をぬらした。
「それにルイズさんを一人じめしようだなんて思ってません!
3Pでも結構ですから!!」
『ユリア100式マニュアル
ダッチワイフであるユリア100式は1人~多人数プレイ対応です。』
そこまで言ってルイズに後ろ首をつかまれた。
「とりあえずあんたは立ちなさい。それでちょっと黙っててもらえるかしら………?」
「はっ、はい………」
「ミス・ヴァリエール」
「はっ、はい!」
口調がさっきよりも冷たくなったワルドがルイズに淡々と告げる。
「愛しの婚約者がこんな色情倒錯の女といるのはどうもいただけないね……」
「そ、それはそうだけど………」
ルイズは思わず口ごもった。それにしても今まで自分に襲い掛かってきた事ぐらいしかしてないこの使い魔のことが気にかかるのだろう?
ルイズは心の中に大きな靄がかかっているような気持ちだった。
「この女とずっと生活するのであれば婚約の件は考え直さなければならないね。」
「「「えっ!?」」」
ルイズは突然の二択にどうすればいいのかわからなかった。
方や高級軍人の婚約者か方や平民で主人に毎晩夜這いをかけてくる使い魔か
「ぐすっ……えっく……ぐすっ……」
「ユリア………?」
ユリアはさっきとは比べ物にならないくらい大粒の涙を流していた。そして涙声になりながらこう告げた。
「本当…えっく……そうですよね
ワルドさんごめんな…えっく…ごめんなさい
私ったら自分のことばかりでみんなに迷惑をかけたりして……」
そしてルイズのほうに向き直りこう宣言した。
「ルイズさんお世話になりました。 私、出て行きます……!」
「ちょ…ちょっと待ちなさいよ!」
ルイズは慌てて引きとめようとする。だがユリアはとまらない。感情のままを告白した。
「わっ、私は遠い異世界から来たただのダッチワイフなんです! でも、そんな私をルイズさんは受け入れてくれたんです! すごく嬉しかったんです!!
確かに何度もルイズさんに襲い掛かってHをしようとしました。でもルイズさんはそのたびに婚約者のワルドさんを思って拒み続けてきたんです。」
そしてユリアは感情のままにそのときの内容についても生々しく告白した。
『ユリア100式マニュアル
ダッチワイフであるユリア100式のデータベースは性的ワードでのみ検索可能なのだ!』「信じてください!
キスとかソフトSMとかありましたけど貝あわせとかそういうんじゃありませんから!!」
(ええっ!?)
「さようなら 二人ともお幸せに……!」
そう言ってユリアは部屋を飛び出していった。
「まっ、待ちなさい!」
ふと我に返ったルイズは慌ててユリアを追いかけていった。
残されたのは部屋を訪れた用事を忘れかけていた王女と婚約者に浮気相手が発覚して怒りに震えている軍人だった。
「あの娘を追いかけなくていいのかしら?」
「姫殿下」
アンリエッタの質問には答えずにワルドは質問で返した。
「先に自分の部屋に戻ってもよろしいでしょうか? 今日のところは出直すことにします。」
「あら、そう………」
「それともう一つ……ここでの出来事は口外無用にしてもらいませんか?」
「それはこちらからもお願いするわ。」
そして去っていくワルドの背中を見届けた後に
「やっぱり男より女かしらね…」
と意味深な言葉を残して部屋を去っていったアンリエッタなのであった。
ワルドはつんとした冷たい表情をしており、ユリアは冷や汗をたらたら流している。それに関してはルイズも同様だった。
話によると「たまたま向かう部屋が一緒だったから一緒に行くことにした」ってどうよアンリエッタ王女。
しかし当の王女はニコニコしながら何もしゃべらなかった。
口火を切ったのはワルドだった。
「説明してくれないか ルイズ。」
一見丁寧な口調だが明らかにルイズを責め立てようとしている。とりあえずルイズは言い訳をすることにした。
実際はユリアが一方的に迫ってくるだけなのだが少なからず自分にも原因があると負い目を感じていたのでついついしどろもどろになってしまう。
「いや、だから彼女は私の使い魔で……」
「使い魔だからと言って女性同士であんなことをするものなのかね?」
ワルドの厳しい指摘が飛ぶ。当然この国では同性愛というものは認知されているわけではない。
「いや、だから、えっと……その……」
「ミス・ヴァリエール 私はありだとは思うのですが……」
「姫さま違います! 私たちは本当に何もないんです! 彼女は私の使い魔だから世話してるだけで……」
「とはいっても、あんなのを見せ付けられたら信用することもできまい。」
「そ、そんな………」
婚約者の思わぬ一言に愕然とするルイズ。
(ど、どうしよう……私のせいでルイズさんを困らせてしまって……) 「あっ、あのっ!………」
勢いのまま立ち上がったユリアに3人の視線が集まる。
(こうなったら本当のことを言うしかない!)
ユリアは意を決して口を開いた。
「私は……ただのダッチワイフなんです!
だからワルドさんが思っているような怪しい関係じゃないんです!」
「「……ダッチワイフ?」」
ワルドとアンリエッタは思わず顔を見合わせた。互いに何を意味するのかわからないらしい。
ルイズも意味はわからなかったのだが、何か嫌な悪寒が走った。そしてそれは的中する。
「ただの性欲処理器具です! だからそういうのじゃないんです! 心配しないでください!」
三人の反応は様々だった。
アンリエッタは合点がいって思わずポンと手を叩き
ルイズは自分の悪寒が的中して「あわわ……」と震えた声を出すことしか出来ず
ワルドはユリアが言った言葉を反芻して理解すると一言
「不潔だ」とつぶやいた。
愕然としたのはユリアのほうだった。それに見かねた王女が小声で説明してくれた。
「この国ではそういうHな本やそういう物を持っていると軽蔑されてしまうのよ。当然持ってる人はいるけどね。」
(えーっ!? 私の存在全否定!?)
『ユリア100式マニュアル
ダッチワイフであるユリア100式は最高級アダルトグッズを謳っています!』
「ワルドさん! お願いです! どうか私をルイズさんの元へいさせてください!」
ユリアはワルドに向かって深々と土下座をした。その最中ユリアの目からぽろぽろと零れ落ちた涙が床をぬらした。
「それにルイズさんを一人じめしようだなんて思ってません!
3Pでも結構ですから!!」
『ユリア100式マニュアル
ダッチワイフであるユリア100式は1人~多人数プレイ対応です。』
そこまで言ってルイズに後ろ首をつかまれた。
「とりあえずあんたは立ちなさい。それでちょっと黙っててもらえるかしら………?」
「はっ、はい………」
「ミス・ヴァリエール」
「はっ、はい!」
口調がさっきよりも冷たくなったワルドがルイズに淡々と告げる。
「愛しの婚約者がこんな色情倒錯の女といるのはどうもいただけないね……」
「そ、それはそうだけど………」
ルイズは思わず口ごもった。それにしても今まで自分に襲い掛かってきた事ぐらいしかしてないこの使い魔のことが気にかかるのだろう?
ルイズは心の中に大きな靄がかかっているような気持ちだった。
「この女とずっと生活するのであれば婚約の件は考え直さなければならないね。」
「「「えっ!?」」」
ルイズは突然の二択にどうすればいいのかわからなかった。
方や高級軍人の婚約者か方や平民で主人に毎晩夜這いをかけてくる使い魔か
「ぐすっ……えっく……ぐすっ……」
「ユリア………?」
ユリアはさっきとは比べ物にならないくらい大粒の涙を流していた。そして涙声になりながらこう告げた。
「本当…えっく……そうですよね
ワルドさんごめんな…えっく…ごめんなさい
私ったら自分のことばかりでみんなに迷惑をかけたりして……」
そしてルイズのほうに向き直りこう宣言した。
「ルイズさんお世話になりました。 私、出て行きます……!」
「ちょ…ちょっと待ちなさいよ!」
ルイズは慌てて引きとめようとする。だがユリアはとまらない。感情のままを告白した。
「わっ、私は遠い異世界から来たただのダッチワイフなんです! でも、そんな私をルイズさんは受け入れてくれたんです! すごく嬉しかったんです!!
確かに何度もルイズさんに襲い掛かってHをしようとしました。でもルイズさんはそのたびに婚約者のワルドさんを思って拒み続けてきたんです。」
そしてユリアは感情のままにそのときの内容についても生々しく告白した。
『ユリア100式マニュアル
ダッチワイフであるユリア100式のデータベースは性的ワードでのみ検索可能なのだ!』「信じてください!
キスとかソフトSMとかありましたけど貝あわせとかそういうんじゃありませんから!!」
(ええっ!?)
「さようなら 二人ともお幸せに……!」
そう言ってユリアは部屋を飛び出していった。
「まっ、待ちなさい!」
ふと我に返ったルイズは慌ててユリアを追いかけていった。
残されたのは部屋を訪れた用事を忘れかけていた王女と婚約者に浮気相手が発覚して怒りに震えている軍人だった。
「あの娘を追いかけなくていいのかしら?」
「姫殿下」
アンリエッタの質問には答えずにワルドは質問で返した。
「先に自分の部屋に戻ってもよろしいでしょうか? 今日のところは出直すことにします。」
「あら、そう………」
「それともう一つ……ここでの出来事は口外無用にしてもらいませんか?」
「それはこちらからもお願いするわ。」
そして去っていくワルドの背中を見届けた後に
「やっぱり男より女かしらね…」
と意味深な言葉を残して部屋を去っていったアンリエッタなのであった。