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ZEROMEGA-7


アルビオンの空に重く、分厚く垂れ込む雨雲。
稲光が走る黒雲の下、巨岩が目立つ草原を黙々と歩き続ける一団があった。
一団に属する者は男も女も体格の違いこそあれ、似たような姿をしていた。
雑多な種類のケダモノの皮で作られた粗末な衣服。
太く強靭な筋肉とその筋肉に相応しい巨大な棍棒。
豚に良く似た顔の中で小さな眼が貪欲な光を放つ。
子供を好んで食べるという悪癖のためにハルケギニア中で恐れ疎まれている鬼族の一種、オーク鬼である。



オーク鬼たちの先頭を歩いていたものが突然脚を止めた。
群の進路に立ちふさがる者の姿を認めたからだ。
闇を切り裂く雷光が彼らの姿を照らし出す。
一つは金属の獣のように見える電磁駆動バイク、重二輪。
そして、今一つは風変わりな騎士の鎧兜のように見える漆黒のライダースーツとヘルメット。
合成人間、丁五宇とその相棒ヒノト・タイラであった。



無言のまま見詰め合う豚顔の鬼と黒面の騎士。
空の雲よりも重たく圧し掛かる沈黙、それを最初に破ったのはタイラだった。
重二輪の上に浮んだ小さな立体映像が五宇の顔を見上げる。



「ねえゴウ、あいつらなんか変じゃない?」
「ああ、酷く切羽詰っている感じがするな」



目の前にハルケギニアの常識では決して説明できない存在がいる。
しかし、オーク鬼たちは驚く様子も見せずに、五宇たちに向かい合っている。
すでに十分不可解なのだが、それ以上に五宇の注意を引いたのはオーク鬼たちの顔に浮んだ奇妙な表情だった。
どのオーク鬼の顔にも同じように恐怖が酷い火傷のように深く刻まれていた。
落ち着かなく辺りを伺う姿は鬼というよりも亡霊に怯える子供のようである。



鬼たちに恐怖に震える姿は、五宇にオーク鬼の背後で糸を引く者の存在を強く意識させた。
やはりこいつらをただ追い払うだけでは十分ではない。
オーク鬼たちをティファニアのいる村に送り込んだ者の正体を何が何でも聞き出す必要があった。





五宇は重二輪の座席から降り、一人オーク鬼たちの先頭に立つ者に歩み寄る。
落ち着いた静かな声で宣言する。



「この先は通行止めだ。通りたければ、ここを通る理由を話せ」



先頭にいる一匹は五宇の言葉に面食らったように仰け反った。



『お前、ウエストウッドの黒騎士か? 俺たちの言葉を話すとは驚いたぜ』



しかし、オーク鬼が驚いたのは一瞬だけだった。
五宇が自分よりも頭二つ分も小さいことに気付いたそいつは黄ばんだ牙を見せてにやりと笑った。



『……竜みたいに強いって聞いたが、随分ちっこいじゃねえか』
「俺たちのことを知っているようだが、誰から聞いた?」
『知りてえか、チビスケ?』



馬鹿にしたように首を傾げながら、オーク鬼が聞く。
青年は素直にその問いに頷いた。



「ああ、教えてくれ」
『それじゃあ、教えてやるぜ。ただし―――こいつに聞くんだなっ!!』



口で言うよりも速く、オーク鬼の豪腕が唸りを上げる。
巨大な棍棒が象(ベヒモス)の頭蓋骨も砕くような勢いで青年のヘルメットに叩きつけられた。
オーク鬼は咆えるように笑いながら、慣れ親しんだ殺しの感触が手に伝わるのを待った。
大口を開けて、細かくミックスされた温かな脳漿と血を味わおうとした。



だが、彼が実際に味わったのは味気ない木と金属の欠片。
手に感じたのは大分軽くなってしまった自分の武器の重みであった。
オーク鬼の棍棒は主人の度重なる乱暴に耐え切れず、ついに跡形もなく砕け散った。
しかし、その棍棒で打たれた青年は微動だにしなかった。
始めに話し掛けた時と何一つ変わらない静かな声で言った。



「なるほど、これがお前たちのコミュニケーションの取り方か? 失礼した。今からそっちの流儀に合わせよう」





手袋に包まれた両手を小指からゆっくりと握り締める。
それを見たオーク鬼が目を剥きながら、何かを喋ろうとした。
弁明か、制止か、或いは威嚇か、今となってはもはや分からない。
喉まで出かかっていた言葉と一緒に、五宇がそいつの顔を時速八十リーグで後ろにいる仲間のところまで殴り飛ばしていたからだ。



血と砕けた歯の欠片を撒き散らしながら飛んでくる仲間を見て、残りの鬼たちが棍棒を構えようとした。
だが、彼らが武器を振り上げるよりも速く、目の前に現れる黒いライダースーツ。
殴り飛ばしたオーク鬼とほぼ同じ速度で踏み込んだ合成人間は弓の弦を引くように拳を引き絞ると―――



一瞬―――



立ち向かおうとする者の腕を折った。
逃げようとした者の足を折った。
棍棒の後ろで身を縮めるものはもろとも肋骨を叩き割る。
文字通り瞬く間に五匹の鬼が血反吐を吐いて、地面に転がった。



一瞬―――



蜂の羽ばたきのような速度で閃く手足。
磐石の下半身、目にも止まらぬコンビネーション、骨と木が砕ける音がテンポ良く木霊する。



そして、一瞬―――



三回瞬きをする間に群の約三分の一、十五匹のオーク鬼が無力化された。
あちらこちらで、苦痛の鳴き声ができの悪いコーラスのように響く。
だが、声の大きさとは裏腹に命に関わる傷はさほど多くなかった。
別に五宇がオーク鬼たちに情けを掛けたわけではない。
苦痛の悲鳴で相手の恐怖を煽って、後の尋問を楽にしようとしただけだ。





『だめだ! まるで歯が立たない! こいつ化け物か!』



黒騎士の圧倒的な力に恐れをなしたオーク鬼の一匹が背後にいる仲間を押し退けて逃げようとした。
しかし、普通のオーク鬼よりも頭一つ分大きく、鳥の羽根や人間の骨で派手に装った鬼が逃げ出そうとした奴の頭を鷲掴みにする。



『お、族長(おさ)!』
『てめえ、どこへ逃げる気だ? おれたちの後ろに本物の化け物どもが控えているのを忘れたか? あいつらに逆らった前の族長がどんな目に合わされたのか覚えてるだろっ? てめえ、俺を同じ目に合わせてえっていうのか、あぁ!!』



頭を掴まれたオーク鬼は涙を流しながら命乞いした。
鬼の族長は構わず腕に力を込め、まるで果実を絞るように手下の頭を握り潰した。
まだ痙攣を繰り返す屍を投げ捨て、吠えるように残った手下を叱咤する。



『わがったか! てめえらに逃げ道はねえ! 死ぬ気で食い下がれ! ホッグ、あの化け物どもが持たせたマジックアイテムを持って来い!』



怒鳴り声に応えて、小柄なオーク鬼が何かを取り出すために族長の背後に消える。
その間、手足を折られて地面に転がっていたオーク鬼が一人、また一人と立ち上がった。
族長が骨折の痛みよりも恐ろしいことを彼らは骨の髄まで思い知らされたのだ。



五宇は少しずつ詰め寄る豚顔の鬼たちには目も向けなかった。
彼の視線は只一点、手下たちの背後で檄を飛ばす族長に向けられている。



指揮個体を目視で確認。
これより確保の後、尋問に移る!



標的と自分を隔てる者は無機か有機かを問わず、もはや只の障害物でしかない。
腰を落とし、後ろに退いた右足の踵で強く大地を踏み締める。
弾丸のように一直線に飛び出そうとした瞬間、



『たすけてっ!!』



ふいに五宇の視界が半分になった。
左眼に見えていた光景にまったく別の映像に変わった。
まず見えたのはティファニアの家の玄関。
扉の壊れた門を塞ぐ司祭服と仮面の巨漢。
その巨漢の触手から我が身を庇うために伸ばされた手は―――。



「テファかっ!!」





無意識の内にティファニアの家の方向に顔を向ける。
オーク鬼たちはそのチャンスを見逃さなかった。
勇気のある一匹が五宇の腰にタックルをかけた。
躊躇無くそいつの頭に肘を落とす。
頭蓋骨が砕け、耳から血と脳が飛び出した。



しかし、オーク鬼の死体は原始的な生命力で五宇の体になおもしがみつく。
その死骸を引きはがそうとした瞬間、もう一匹が組み付いて来た。
さらに一匹。また一匹。
恐怖と狂気に支配されたオーク鬼たちは自分の骨や傷が軋むのも構わず次々に五宇の体に飛び掛った。
一匹で五人力と呼ばれるオーク鬼が四十匹。
合計二百人力が一人の青年の身体に圧し掛かり、叩き潰そうと押し寄せる。



青年の姿はたちまち鬼たちの身体で出来た山の中に埋まり、完全に見えなくなった。
それを見た族長は醜い顔を歪めて笑うと、



「良いぞ! その調子で時間を稼げ! ホォォッグゥ! アイテムの準備はまだか!」
「す、すんません、族長! こいつの使い方がなかなか思い出せなくって」



族長の隣りでは小柄なホッグが縦一メイル、横五十サントほどの大きさの箱を必死に弄くり回していた。
その箱の中にはオーク鬼の族長ですら、嫌悪に顔をゆがめるような代物が入っていた。





一言で言えば、それは毒蛇の巣だった。
蛇や毒虫に似た極色彩のケーブルが縦横無尽に箱の中を走り、その中央には殻を剥かれた大きな胡桃の実のようなものが入っていた。
それは頭蓋骨を外された人間の首だった。
もちろん、人間の首程度でオーク鬼の族長が怯えるわけがない。
彼の毛皮には同じような人間の頭蓋骨が無数に飾られている。
族長の剛毛を逆立てているのは、その人間の首がかすかに呼吸し、瞬きを繰り返していることだ。
生きているのだ。そして意識があるのだ、この生首は。
理解できないような不気味な存在から一刻も早く離れたいと思うのは人間も、オーク鬼も大差ない。
ついに堪え切れなくなった族長はホッグを押し退け、



「どけえ、ホッグ! こんなもんはな! 適当にぶっ叩けば動くんだよ!」



生首の入った箱に向かって拳を振りかぶった瞬間、オーク鬼で出来た山が噴火した。
溶岩のように吹き出すオーク鬼の血と体。
その下から姿を現した青年は族長の前にある箱を目にして息を飲んだ。
ハルケギニアには存在しないはずの高度な電子機器。
それに接続されている生首は紛れもなく五宇が始めてこの世界に来た時に撃退した傭兵団のリーダーのものだった!



あの箱が何の装置なのかは分からない。
しかし、危険なものであることだけは間違いない。
もはや一刻の猶予もないと判断した五宇は腰に下げている銃、弾体加速装置を抜き放ち、警告も告げずに引き金を引いた。



ヴォンと言う音と共に雷光を纏った弾丸が銃口から飛び出す!
その極超音速の破壊力の前にオーク鬼の分厚い筋肉や骨も水分過多のゼリーに等しい。
被弾した族長の頭部は百分の一サントのシャワーとなって周囲に降り注いだ。



しかし、族長の肩と腕は脳が跡形もなく吹き飛んだ後も忠実に命令を実行しようとした。
そして、悪魔が計ったようなタイミングでその拳が箱の仕掛けを起動するために必要なスイッチを叩いた。
箱の中でケーブルに埋もれていた液晶に明かりが点り、電子の光が五宇たちにとって見慣れた五文字のアルファベットを表示する。



『ENTER』



その時、五宇は世界を支配する何かが「雑音(NOISE)」と共に歪むのを感じた。





―――歪む。



風が狂う。
水が狂う。
光が歪む。
混沌が顕現する。



オーク鬼たちが持ち出した箱を中心に竜巻のような渦が現れた。
土も、水も、空気も、族長の死骸や近くにいた運の悪いオーク鬼までも。
箱の周囲にあったものは全て原子以下の極微に至るまで分解され、渦の中に飲まれて行く。



「何が起きているんだ、タイラっ!?」



苦痛や恐怖を忘れて呆然と立ち尽くすオーク鬼たちに囲まれた五宇が聞いた。



「わからない。だけど、あの渦から放出されているもの……電磁波、重力波、タキオンやオルゴンまで! まさか、空間の位相転移が起きているの!」



ちょうどタイラの言葉が合図だったように混沌の渦は唐突に消滅した。
辺りには渦の名残である分子の霧が漂う。
一陣の風がその霧を吹き散らし、乳色のベールの奥に隠されていたものを露わにした。



『な、なんだ、ありゃ……』



オーク鬼の一匹が呻くように言った。
霧の中から現れたそれは一言で言えば、身長五メイル余りの人形だった。
男にも女にも見える無性的な顔立ち。
黒い球体で形作られた全身の関節。
人間の個性を殺ぎ落とした白い陶器のような体の中で手足に付いた黒い鉤爪が異様な存在感を放っている。



軽い地響きを立てて、異形の人型が前に進み出る。
その迫力に押されたようにオーク鬼たちが一歩後ろに下がる。
次の瞬間、人形が巨体に似合わぬ速度で突然走り出した。





最初に人形の形をした怪物に接触したオーク鬼は二匹。
一匹は眼前に迫る怪物に立ち向かい、もう一匹は背を向けて逃げ出そうとした。
二匹が選んだ道は正反対、しかし行き着く先は同じだった。



戦おうとした一匹は黒い爪で即座に三枚に下ろされた。
逃げようととした一匹はもう一本腕で脊髄を折られ腹を突き破られる。
瞬く間に二匹の鬼を葬った怪物は腕に張り付いた死骸を放り投げ、五宇たちの方に顔を向ける。
両手を地面につけると獣のような姿勢と速度で再び走り出した。



異形の行く手にたちまち出来上がる地獄と言う名の道。
細長い四肢が振り下ろされる度に逃げ遅れたオーク鬼の体が蛆のように踏みつぶされ、甲高い悲鳴と血飛沫が空に舞う。



一瞬、能面のような顔と目が合った。
背筋の毛が一気に逆立つのを感じた。
血に飢えた獣ではなく、人間の悪意ともまた違う。
無機質な獰猛さとしか呼びようのないものが視線を介して脳に突き刺さる。



奴の狙いは俺だ!
瞬時に怪物の意図を察した五宇は逃げようと揉み合うオーク鬼を押し退け、弾体加速装置を立て続けに発射。
しかし、極超音速の破壊力も怪物の歩みを止めることはできなかった。
真っ白な顔に命中した弾丸は全て硬質な音を立てて弾かれ、後に残ったのは焦げた着弾の跡のみ。
怪物がダメージを受けた様子は全くない。
いや、むしろさらにスピードを上げて走り寄ってくる!






「ゴウ、逃げて!」



悲鳴のようなタイラの声。
そうしたいの山々だったが、またしても周囲にいるオーク鬼たちが迅速な回避行動を阻んだ。
僅か数メイル先で振動。怪物が跳躍し、数匹のオーク鬼を踏み潰して五宇の目の前に着地する。
もう逃げ切れる距離ではない。五宇は腕を十字に組んで敵の攻撃に備えた。
鞭のような腕の一閃、五宇と怪物の間にいたオーク鬼たちの体は血の詰まった風船みたいに弾け、血と臓物でできた噴水が約六メイルの高さまで吹き上がる。
砲弾のような衝撃は五宇のガードを吹き飛ばし、青年の身体をスリングショットみたいに弾き飛ばす。



再び背中に激しい衝撃。
地響きが立つほどの強さで岩山の斜面に叩き付けられる。
同時に五宇の周りに一緒に吹き飛ばされたオーク鬼たちの体が着弾し、熟れた果実のように破裂した。



顔を上げる。
目に入ったのは、腕を高く振り上げる人形の怪物の姿。
突け抜けるような破壊力が青年の体を岩山の中に埋め込んだ。
怪物が体を捻ってさらにもう一撃を加えようとした時、



「ゴウから離れなさい!」



タイラの重二輪が時速三百リーグのスピードで怪物に体当たりを仕掛けた!
激突の瞬間、バイクの車体の前から鋭い角状の突起が飛び出した!
しかし、タイラの角は怪物の外殻にぶつかった瞬間五宇の弾丸と同じように弾かれてしまう。



「私の衝突角を弾いた! なんて硬いのこいつ!」



体当たりで吹き飛ばされたが、怪物の外殻には擦ったような細かい傷跡しか付いていなかった。
能面よりも無表情な顔をタイラに向けると怪物は新しい獲物に襲い掛かろうとする。





刹那、鉄床をハンマーで思いっきり叩いたような音が響き渡る。
突然、真横から襲いかかった衝撃に怪物の体がくの字に折れ曲がる。
足下に目をやると拳を振り切った姿の五宇が目に入った。
すぐさま黒い爪が青年のヘルメットに襲いかかる。
しかし、怪物の細長い手足は破壊力とリーチに優れているが懐には入り込んだ相手を仕留めるのには向いていない。
五宇は怪物の体に張り付くように黒い爪を避けると、背後に回り込んで今度は渾身の肘打ちを叩き込んだ。



合成人間の全力の一撃も怪物の外殻を突き破ることはできなかった。
だが、肘打ちの衝撃は怪物を突き飛ばし、地に叩き伏せる。
その隙に五宇は怪物の背に飛び乗った。
腕を振り回して青年を振り落とそうとする怪物。
破壊力とスピードは凄まじいが、所詮は技も芸もない力任せの攻撃。
五宇はやすやすと敵の腕を捕らえ、肩の関節を極める。



せめぎ合う巨大な氷河のように張り詰める緊張と力。
タイラが怪物の脇腹につけた傷跡から小さなヒビが生じ、少しづつ肩関節へと広がって行く。
やがて、そのヒビが白い顔に辿り着いた時、



ついに限界に達した怪物の肩関節が弾け飛んだ!



腕を引ちぎった勢いで五宇が敵の背中から転げた。
怪物は昆虫のような動きで再び立ち上がろうとする。
すかさず肩にできた傷口に弾体加速装置の弾を何発も打ち込んだ。
ほとんど破壊不可能に近い怪物の外殻が今度は災いした。
傷口から侵入した弾丸は外殻の中で跳ね回り、体内をずたずたに攪拌する。
怪物は雷に打たれたように痙攣すると、体中の関節から赤い体液を零して、ついに地面に倒れ伏した。





五宇はまだ手に持っていた敵の腕を投げ捨てると、よろよろと立ち上がる。
一瞬倒れそうになったが、背中に回りこんだタイラの重二輪が身体を支えてくれた。



「ゴウ、大丈夫?」
「ああ、なんとかな……」
「こいつ、なんだったんだろう?」
「分からない。しかし、オーク鬼がこんな奴を連れて俺を待ち伏せしていたと言う事は……」



瞼の裏に蘇る一瞬の映像。
耳に残る少女の悲痛な悲鳴。
常に完璧に制御されているはずの鼓動がどうしようもなくがざわめく。



「テファが危ない!!」



滝のように零れ落ちる雨を黒い重二輪が引き裂く。
速度は既に時速五百リーグを超えている。
舗装されていない草原を、それも豪雨の日に走るには危険すぎるスピードだ。
だが、重二輪も乗り手も速度を落とすどころか、ますます電磁駆動の機体にアクセルをかけようとする。
しかし、そこまでして急いだと言うのに、ウエストウッド村に着いた時五宇が目にしたものは、



  ―――雷光と黒雲の下で激しく燃え盛るティファニアの家だった。




◆    ◆    ◆




注1)今回、五宇たちを襲ったのは駆除系と言う一種のロボット。雑魚のくせにほとんど破壊不可能な外骨格を誇る厄介な奴らです。
注2)作中に登場した激震衝突角は、作者が付け足したタイラのオリジナル能力。駆除系には通用しなかったのは、近くにいる五宇を巻き込まないように威力をセーブしていたからです。

今回出てきた駆除系はセーフガード製ではなく、
外伝に出てきた教団制(と言うか珪素生物製)駆除系です。

なお、ハルケギニアはジョセフ王によって召喚されたダフィネルのせいで、
すでにごくごく限定的ですが、ネットスフィアに接続しております。
ネットのカオスがないと生きていけない珪素生物達が元気溌剌に暴れまわっているのはそのせい。
そして、完璧なアクセスを目指して、ガリアの珪素生物たちは聖地を狙っているのです。
空間的に繋がってませんが、大昔に転移した建設者や珪素生物の屍骸などの遺跡物は結構あります。
それとマジックアイテムと虚無の使い魔の能力を組み合わせれば、
量子レポートのようなものでセーフガードが発動しないぐらいの低レベルな通信は可能。
これ以上は避難所向きの話題ですので、今度こそ沈黙します(汗)



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