あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの使い魔0083サーヴァントメモリー-1

『ジオンの残光』

サモン・サーヴァントを行ったルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、この上なく困惑していた。
数度の爆発を経て召喚に成功したものの、現れた物は、この世界にある物とはかけ離れた物だったからだ。
「なに…?これ」
目の前に現れたのは80メイルはあろうかという巨大な緑色の物体。
だが、その巨体の半分以上を焼け焦がせ異臭を放ち、所々からは火花が巻き上がっている。
「これ…ゴーレム?」
脚は付いていない。ならば飛ぶのかとも思ったが、全く動く気配は無い。
初めはその巨体に驚いていた他の生徒達も、動かない物を召喚したルイズを笑い始めた。
「さすが『ゼロ』だな!壊れたゴーレムを召喚するなんて!」
「ミスタ・コルベール…あの!もう一度召喚させてください!」
「それはダメだ。ミス・ヴァリエール。春の使い魔召喚の儀式は神聖なものだ。好む好まざるに関わらず、これを使い魔にするしかないのだよ」
そうは言うが、コルベールの気は重い。
不名誉極まりない『ゼロ』という二つ名を持つ彼女が数度の爆発を経て召喚に成功したのだが、物が物だけに困っていた。
個人的には再召喚させてもいいという心情だったが、公平を期すためにはそれはできない。
「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール…例外は認められない。これは…」
そう言って、その物体を指差すが、改めて息を呑む。
表面をかなりの高熱で焼かれたらしく、気泡が現れている部分もある。
こんな大質量の金属をどうやって焼いたのだろうかと、興味を持ったが、すぐに目の前の落ち込んでいる少女の事を考えて自己嫌悪に陥りかけた。
「…今は動かないかもしれないが、呼び出された以上、君の使い魔にならなくてはならない」
「そんなぁ…」
がっくりと肩を落としたルイズが『それ』に近付いたが、契約するにもどこにやればいいのかサッパリ分からない。
これが動いてくれれば、文句無しに喜んで契約するとこなのだが…
とりあえず、『フライ』を使ったコルベールに掴まり、頭らしき方に近付いたのだが
その時、沈黙していた頭部から一条の光が放たれた。

「あれは…目か?どうやらまだ動くようだね」
一つ目という特異な目だったが、動く事にほんの少し安堵した。
だが、安堵したのも束の間、頭部が後退し、すぐ下の部分が様々な動きを見せ内部が開け放たれた。
「…ミスタ・コルベール。あそこにいるのは一体…」
「私にもよく分からん…だが、怪我をしているようだ」
中に居たのは、妙なスーツで全身を覆った人。
だが、腹部から血を流していた。


(いいか…一人でも突破し…アクシズ艦隊へたどり着くのだ!)
周囲に浮かぶ、様々な巨人に向け言葉を放ち続ける男が一人。
(我々の真実の戦いを、後の世に伝えるために!)
その言葉を合図として、周りの巨人が加速し一直線に突き進む。
ただ、ひたすらに、居並ぶ敵艦隊の向こうに存在するはずのアクシズ艦隊を目指して。

(我々が尽きようとも、いつの日か、貴様らに牙を剥くものが現れる!それを忘れるな!!)

壁というべき艦隊と突き抜け、周囲を見渡すが、すでに周りには自分しか存在していなかった。
(最後の…一人か…)
そう思うと、声にならない叫びをあげ目の前の艦へと突き進む。
迷いなどあろうはずもない。成すべき事を成し、後に続く者が現れる事を信じて機を推し進めた。
視界が赤く染まり、全ての音が途切れる。
だが、その赤く染まっていた視界が再び開かれ、ぼやけた視界に入った物は…緑色の長い髪だった。

ミス・ロングビル。オールド・オスマンによって採用された秘書であり、理知的で物静かな姿勢から一部生徒達からも人気がある人だ。
もっぱらの悩みの種は、そのオスマンによるセクハラであるのだが
『ゼロ』の二つ名を持つルイズが召喚した大破したゴーレムの中の人の様子を見るようにとオスマンに言われて医務室にやってきている。
「まったく…こんな事する暇があるなら、宝物庫の事でも調べときたいんだけどね」
秘書にあるまじき言葉ではあるが、本職が秘書でないのだから仕方ない。
とりあえずは異常なしとして、戻る事にしたのだが、背後から恐ろしいまでの殺意と咆哮を受け固まった。

「シーマ!?貴様ァーーーーーーーーーー!!!閣下を殺害しておきながら、よく私の前にその姿を晒せたなッ!!」
なに?シーマ?誰?てか何で!?
そう思うまもなく一気に組み伏せられる。早い。杖を抜く暇すら無かった。
「お、落ち着いてください!ここはトリステイン魔法学校で…」
必死こいて後ろへと顔を向ける。
長く纏められた銀髪が印象的だったが、おっそろしい程に怒り猛っている。
しばらく視線が交錯したが、手の力が少し緩んだ。
目覚めたてで、思考が鈍っており、そこに仇敵であるシーマ・ガラハウを彷彿とさせる緑の長い髪が目に入ったからなのだが
よくよく考えてみれば、サラミスに特攻したはずの自分を、シーマが拾うはずもないと思い、とりあえず状況を掴む事にした。
あの状況で命があったとすれば、十中八九ここは連邦の艦だからだ。
「シーマではないようだが…捕虜というわけか?」
捕虜であるにしろ、このまま黙っているわけにはいかない。
このまま事が進めは、宇宙の晒し者になる事は確実なのだ。
最悪、目の前の女を人質にMSなり戦闘機なりを強奪する気でいた。

「一先ず、話を聞いてください。ここはトリステイン魔法学校で、あなたは捕虜などではありませんから」
「トリステイン…?艦の名か…?いや待て、学校だと。という事はコロニーか?だが、サイド3にもサイド6にもそのようなコロニーは無かったはずだが」
サイド1.2.4.5の修復されたコロニーのどれかとも思ったが、少なくとも、そんな名のコロニーは無い。
それ以前に『魔法』という単語も聞こえたのだが、あえて無視する。
もちろん、状況が掴めない以上は、離す気は無い。
連邦の勢力下だとして、星の屑の中心人物である『ソロモンの悪夢』を、そう簡単に逃がすはずは無いと判断した。

そうしていると、扉が開いて、明らかに軍人ではないような桃色の髪の少女が入ってきた。
「……この…!ミス・ロングビルになにやってんのよ!バカーーーーーー!!」
叫びと共に放たれる蹴り。
だが、間合いも遠い上に、素人の蹴りだ。
不意を付かれでもしない限り本職の軍人が食らうようなものではない。
軽くいなすと支えている脚を払い転倒させた。
「…ロングビルと言ったな。一つだけ聞こう。ここは連邦の勢力下か?」
「連邦…?少なくともトリステインは王国ですが」
「王国だと?ふざけた事を」
そう思うのも無理は無い。
地球の全域は、アフリカなどが影響が弱いぐらいで、全てが連邦の勢力下だ。
宇宙にしても、サイド3のジオン共和国。月のフォン・ブラウンとグラナダ。中立であるサイド6のリーア。そして遠く離れたアクシズ。
少なくとも王国などというものは一切無い。
「とにかく…離していただかない事には話もできませんので…できれば」
倒れて目を回している少女とロングビルと呼ばれる女を一瞥する。
少なくとも、軍関係の者ではないようなので、一先ず離す事にした。

そこで自分の状態に気付く。
無いのだ。ノーマルスーツの上半身部分が。
バイザーが砕けかかったヘルメットは側にあったが、上半身部分が綺麗に切り取られたかのように無くなっている。
そして、銃創と破片によって受けた傷も無い。
「怪我をされていて、着ていたものが脱がせず治療できないとのことでしたので、切り取らせていただきました」
訝しげにしていた様子に気付いたのか、ロングビルが答えるが、切り取ったというとこに納得がいかない。
宇宙にしろ地球にしろ、少なくとも医療関係者がノーマルスーツの着脱法を知らないはずが無い。

さすがに、妙だと思っていると、目を回していた少女が目を覚まし、起きるや否や叫んだ。
「へ、平民が…使い魔が…主人にいきなりなにすんのよ!!」
平民?使い魔?そんな疑問が浮かんだが、状況がサッパリ掴めない。
「名前は!?平民でも名前ぐらいあるんでしょ?」
そう聞かれたが、この規律の塊とも言うべき男からすれば、まず第一に口の利き方がなってない。
「人に名を聞くときは、聞くほうが先に名乗るべきだが」
ぐぅ!と言葉に詰まる。相手は平民だが正論だ。おまけに妙に威圧感がある。
「…ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
「アナベル・ガトーだ」
「アナベル?女みたいな名前」
アナベルが男の名前でなにが悪いんだ!俺は男だよ!!

最も信頼する部下の声でそんな言葉が聞こえたが多分幻聴か何かだろう。
少なくとも、名前関係で人と揉め事を起こした事は無い。
一応の自己紹介が済んだが、最も大事な事に気付いた。
「…ノイエ・ジールはどうなった」
どうも今一、記憶がハッキリしない。アクシズ艦隊目指し、追撃艦隊に突入したところまでは覚えているのだが。
「ノイエ・ジール?緑色の大っきいやつ?それなら、草原に転がってるけど、なんなのよあれ」
「馬鹿な!宙間戦闘用MAが転がっているだと!?」
草原というからには、ここが艦ではないという事は分かった。
ならば、コロニーという事になるのだが、転がっているというのは理解しがたい事だ。
漂流したのならば、少なくともノイエ・ジールはコロニーの外にあるのだから。

ルイズに案内され外に出たが、ここがコロニーではないという事を目にする。
コロニーにあるべき物が全く無いからである。
上空に見える地面も無ければ、河も無い。
そして、草原に転がっている半壊状態のノイエ・ジール。
さらに、その上を浮いている人。
「なん…だと!?」
さすがの、ソロモンの悪夢も、その光景には言葉が出ない。
まだ05が飛んでいるといった方が信じられるだろう。重力に囚われたような環境で人が飛ぶなどとは。

「おお、気が付いたのかね。三日も意識が無かったから、どうしたものかと思っていたのだが、無事なようでよかった」
上空から声がかけられたが、返事ができない。
「一体これは、なんなのかね!表面を見た事も無い金属で覆っている!実に興味深い!」
「…まずは、それから離れてもらおう」
ノイエ・ジールはアクシズから寄与された試作MAである。軍事機密の塊と言ってもいい。
ノーマルスーツの腰に付けられている拳銃を抜くと、その銃口を向けた。
だが、拳銃を向けても離れようとはしない。これが武器であるかとも分からないかのように。
一発、上空に向けトリガーを引く。威嚇だが、これで次は無い。
「うわ!な、なんの音だ!」
「次は無いと思え」
「銃…なのかね?それは」
至近距離で銃声を聞いた、ルイズが耳を押さえているが。関係無い。
不承不承の体でコルベールが降りてきたが、それに銃口を向ける。
「私を回収してくれた事には一応感謝しておく。だが…どういうわけだ?」
「きみは、そこのミス・ヴァリエールの使い魔として召喚されたのだよ。手に使い魔のルーンが刻まれているだろう?」
左手を見るが、確かになにやら文字のようなものが刻まれている。
おまけに、なにやら光っている。
さすがにこれは反応せざるを得ない。
「貴様…!私に何をした!」
改めて銃口を向け、手に力を込める。
MSで敵を撃破するか。生身で人を撃つか。形に違いはあれど失われる命に違いは無い。
この男が敵であり、なにか妙な事を施したとでもいうのであれば、トリガーを引くのに躊躇はしないだろう。

コルベールもそれに気付いたのか、幾分か緊張した面持ちになる。
メイジではないが、雰囲気から、この使い魔がどこかの国の軍人であると判断した。
平民が軍人になれる国…それは隣国『ゲルマニア』しかない。
基本的に、実力主義で戦果さえ挙げれば一平卒でも将官への昇進が連邦よりも容易なジオン公国軍。
実力と才能で稼いだ金で地位を買う事のできるゲルマニア。
まぁ似たようなとこはある。

「とりあえず、銃を降ろしたまえ。我々はきみの敵というわけではないよ」
なるべく穏やかに言ったが、ガトーは鋭い目をコルベールに向けたままだが、ゆっくりと銃をホルスターに仕舞った。
「まず、話をしよう。ここはトリステインだ。きみはどこから来たのか聞かせて欲しい」
そう問われたが、ぶっちゃけあまり聞いていない。
「ジオン公国」
短く答えたが、考えが纏まらない。
コロニーで無いなら、ここはどこになるという事だが、常識で考えれば地球しかない。
だが、それなら、ノイエ・ジールがこんなとこに転がっているはずもない。
八方塞というやつだ。
「ジオン公国…聞いた事が無いな」
ジオン公国を聞いた事が無い。
そんなはずはない。U.C0083に生きる人間にとって、ジオン公国は前大戦の主役の片割れを担っていたと言ってもいい存在だ。
ジャブローの原住民でも、ジオン公国という名前ぐらいは知っているはずだ。

埒があかないので、こちらから質問してみる事にした。
「先程、飛んでいたが…どういう技術だ?」
「『フライ』かね?魔法だが…知らないはずはないだろう?」
『魔法』その単語を聞いて、少し頭が痛くなったが、現実だ。
「…魔法学院とか言っていたな」
「そのとおりだ。ここは、貴族が魔法を学ぶための施設で、君はミス・ヴァリエールの使い魔となったのだ」
「使い魔?どういう事かは知らぬが、私は、そのようなものになった覚えは無い」
「そのルーンが何よりの証拠だ。コントラクト・サーヴァントは君が気を失っている間に済ませてしまったようだが」

話は変わるが、基本的にジオン軍人は、軍人より武人に近いと言われている。
宇宙攻撃軍だけにしても猛将と揶揄されるドズル・ザビ中将を筆頭に、白狼『シン・マツナガ』といった武人気質の人間が非常に多い。
もちろん、そのドズル中将麾下の302哨戒中隊を率いていたガトーも例外では無い。
そんな人間に、気を失っている間に契約しておいたから、使い魔になれ。と、一方的な事を言えばどうなるか。
ただでさえ、多大な圧力を掛けてくる地球連邦に反発し1/30以下の国力がありながら独立戦争を仕掛けたのだ。
当然、次の瞬間には銃を抜いていた。

「動くな。動けば即座に撃つ」
「な、何を…!」
「確か…ルイズと言ったな…私を元居た場所に戻してもらおう」
会話に付いていけず、半ば呆然としていたが、コルベールに銃を突きつけ、そう言ってきた事でやっと我に返った。
「へ…?ああ、無理ね。『サモン・サーヴァント』は呼び出すだけ。使い魔を元に戻す呪文なんて存在しないわ」
「っく…!ふざけるな!」
「わたしだって、あんたみたいな平民が使い魔なんてイヤよ!大体、大怪我してて、治癒の魔法の秘薬の代金だってわたしが出したんだから!」
「ぬう…」
先にも言ったが、アナベル・ガトーは武人気質の人間で、行動理念の大半は義だ。
確かに、コウ・ウラキに撃たれた傷は塞がっている。
つまりは、命を拾われたという事になるのだが…どうもいま一つ納得しがたい。
「確かめたい事がある。どういう理屈か知らんが、私をノイエ・ジールのコクピットまで運んでもらおうか」
「それは…構わないが、銃をだね…」
指示をしつつ、ノイエ・ジールのコクピットに運んで貰う。
ルイズも付いてきたので中に三人入る事になった。いかに巨大MAノイエ・ジールとはいえ狭い。
おまけに、倒れているため、非常に操作し辛い。これが宇宙なら関係無いのだが。
各部チェックを行うが、武装関係はほぼ全滅でIフィールドも働いていない。
ジェネレーター出力も辛うじて作動していると言っていいLvだ。
それでも、システムを動かすだけなら何とかなる範囲。
ハッチを閉じると、モノアイを通して外の風景が映し出される。
「なにこれ!閉まってるのに外が見える!」
「戦闘記録データ…U.C0083.11/13/00・34・38…このあたりか」
コンソールを動かし操作するとモニターが外の風景から漆黒の宇宙へと切り替わる。
そこに移るのは、大きく輝く地球と周りに浮かぶ、06.09.21などのMSだ。
何かを合図としたかのように、それが艦隊へと向け突き進んだが、映し出されるのは、ミサイルや機銃。護衛のジムの攻撃により次々と脱落していく姿。
しばらくすると、一隻の艦がモニターに映し出され、それが大きくなると、爆発に巻き込まれ画像が途絶えた。
コルベールは黙って見ていたが、ルイズはビームやミサイルがかすめる度に大声を上げている。
そして、ハッチを開け放つと核融合炉を停止させた。
地上である以上役には立たないし、この損傷だ。暴走して爆発でもしたら洒落にもならない。
ガトーが無言でノイエ・ジールの装甲の上に立つ。
「生き恥を晒したというわけではないだろうが…お前に拾われた命だ。好きにするがいい」
「君はいったい…どこから、いや、あれは一体…」
その問いには答えない。というより答える余裕が無い。
日が沈みかけ、ハルケギニアにソロモンの悪夢が降り立ってからの三日目が終わろうとしていた。

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