あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

BLAME!の霧亥がルイズに召喚されたら? log_01

無数の超構造体を越えた先。いつかの未来。ネット端末遺伝子。
システムの正常化。暴走の停止。再起動。機能の正常化。

――そして探索者は不要となり、解体屋が生成された。
これはその不要となった探索者が辿り着いた世界の話である。

Maybe on the earth. Meybe on the future.

<クエストクリア>
一人の男が、端末から正常化していくネットスフィアを見つめていた。
彼の網膜に表示されるのは任務の成功を告げる文字であり解雇通知である。
この瞬間、人類は魔法のような能力を失う代わりに平穏な世界を手に入れた。
そして混沌の時代が終焉していく。その、始まりだった。

ギン、という金属的な音が聞こえてくる。
珪素生物たちの襲撃が始まったのだ。目的はこの端末だろう。
接続された少女と機械を交互に見て男は銃のようなものを握り、外へ出る。

やがて敵は倒れた。だが、彼は2度と端末のある部屋に戻る事は無かった。

『冷たく静かな大地が明るくなる頃、人影は丘の上に登った。 ……大地ってなんだ』
彼は、その大地に立つことになった。

Maybe on the ******. Maybe beyond the something.

至る所に、ぽかりと抉れた無数の穴が開いている。
魔法使い見習いの少女が、何回も何回も頑張って魔法を使い続けた成果だった。
そこから大して離れていない場所で、無数の生徒や教師たちが彼女を見守っている。

やがて魔法で呼び出されたのは一人の男だった。
男は、名前を尋ねる少女を見てこう言う。

「霧亥だ」

その後、彼女は彼に口付けるために顔を寄せてきた。
彼は動けなかった。痛みではない。もっと別の事実からだ。

「……感染の形跡が無い?だがネット端末遺伝子も持っていない」
「何ブツブツ言ってんのよ。いいから行くわよ」

フィールド……霧亥の用いる認識なら階層……は、彼にしてみれば酷い混沌に満ちていた。
無数の色、流動する大気。空には、多くの人類が永劫目にすることの無いと思われた雲まである。
何かハッキリしていることがあるとすれば、霧亥には理解できず、言語化できない状況だということ。
そして探索を終え、来たる脅威を退け、永木にわたる時代に終止符を打ち、用済みになったことだけだった。

彼らの装備は、霧亥から見れば原始的と言って差し支えないレベルのものだった。
基本的に探索のため、メンテナンス不要で人間とはそう変わらない構造のボディではある。
霧亥に自由は無い。この世界に迎合するか自壊するかのどちらかしかないだろう。
そこまで考えた彼が常に持っていた装備が無いことに気づくまで、そう時間はかからなかった。

ルイズとの会話には問題は生じなかった。だが、文字の認識には問題が発生していた。
認識についてもかなりの齟齬があり、彼女に理解できるレベルまで説明を簡易化するのには時間を要した。
彼女の認識はこうだ。
1.霧亥はこの世界とはまったく違う場所から来た。その世界のことはよくわからない。
2.どこかで働いていたがクビになった。だけど何とか最後の仕事はやりとげた。
3.武器を持っていたが失われてしまった。ここの文字は読めないけど会話は出来る。

つまりルイズは霧亥のことを、異世界の平民か兵隊で、今は無職なのだと認識していた。
さらに遠方の国家の人間のように、文字が読めないので教育の必要があるとも思っていた。
一方、霧亥はルイズの状況に関しては正確ではないものの、概ねの把握を行うことができた。
彼の蓄積されたデータと似たようなケースを照合した結果で、経験の勝利である。

たっぷりとした時間を使って、ようやく彼女は本題に入ることが出来た。
空には2つの月が昇り、きらきらと星が輝いている時間で、夢の世界へ行きたがる時間だ。

「で、貴方には使い魔になって欲しいのよ」と、ルイズは言う。
「使い魔って何だ」と霧亥は尋ねた。
珪素生物の発生源となった『教団』と呼ばれた連中の一部が、準独立型デバイスを指してそう言っていた。
彼のデータにあるのはそれくらいであり、行動が多岐にわたる程度にしか記録されていない。

「まず目となり、耳となってもらうわ」
「お前は接続端末を持っていない」
「何それ?っていうか、私のことはご主人様って呼びなさい。口の利き方がなってないわ」
「……他には何だ」
「特定の品を見つけてくることね。秘薬の材料である硫黄とかコケとか」
「わかった」
「知ってるの?」
「見たことは無いが、サンプルさえあれば可能だ」
「はぁ……それからこれが最優先事項なんだけど、主人を、その能力で敵から守ることよ」
「わかった」
「ホントにわかってんの?アンタ見た感じ、タダの顔色の悪い平民じゃない」
「……他には何だ」
「洗濯、掃除、その他雑用」
「わかった」
「………さっきから同じ言葉しか聞いてない気がするんだけど?」
「そうだな」

ルイズは呆れたようで、そのまま眠ることに決めたらしい。
霧亥はどうしたらいいのかわからないので部屋を出ることにした。
ここには珪素生物もいない。それほど睡眠も大切ではない。
敵でない相手の機嫌を損ねないようにするのが上策。
それが霧亥の探索行における原則であり、経験則であり、男女間に対する常識でもあった。
いくら時間が経とうとも変わらぬ本能の営みは、確かに人という種に残り続けたのだ。

「どこにいくの?」
「外だ」
「基本的に外出禁止だし、いくら学院近くでも外には狼や野犬がいるわ。ここで寝なさい」
「狼?ここには野生の生物がいるのか?」
「当たり前じゃない……ねえ霧亥、貴方のいた場所では、そんなに生き物が珍しいの?」
「俺のいた環境の有機生命体は数が乏しかった」
「ユーキ……生き物のこと?」
「そうだ」
「寂しい場所なのね……ここはたくさん生き物がいるわよ」
「興味があるな」
「私が許可するまで勝手にどこか行っちゃダメよ」
「……」
「おやすみ。アンタは床で寝なさい。あと洗濯物、そこに置いてあるから明日洗って。」

霧亥は答えなかったがそのまま横になる。そのうちルイズが眠ったのを確かめると、自分も寝た。



"使い魔"霧亥の新たなクエストが、今、始まる…



何時間か経過して外が薄っすらと光っていることに気づいた霧亥はそのまま起きて外に向かう。
洗濯をする場所を求めて1時間ほどさ迷い続けた結果、川と呼ばれた場所に向かい、手で洗うことになった。
シエスタと名乗るメイドと偶然出会い、そのまま案内してもらったのだ。

「噂には聞いています。平民の使い魔なんて聞いた事が無いって…あの、顔色が悪いですよ」
「元々だ」
「そっ、そうでしたか。失礼しました!  ………あ、あの」
「?」
「そんなに強く洗うと破けちゃ…」

ビリ、という嫌な音が聞こえる。

「……。」
「……後はやっておきますか?」
「頼む」

こうして霧亥は下着と朝食を失う代わりに、協力者を一人得ることに成功した。


周囲の建材や人々をスキャニングをして、彼はここが全く異なる世界であることを認識していた。
ここは多くの有機物で溢れていた。まるで丁寧にデバッグしたプログラムのようだと霧亥は思った。
重金属や合金、合成製品の類は極めて微量であるか、全く存在していなかった。
太古の昔、超構造体が設計されるより、ネットワークが存在するよりも前の時代がこの風景だった。

ハルケギニア。素晴らしき有機物の楽園。珪素生物たちの言うカオスとは異なる、真の混沌の満ち溢れる世界。
光は程よく減衰して適切な温度を提供していた。強固な外装やシェルターのような設備など、ここには不要なのだ。
霧亥は自分が死者の国にいるか、あるいは自分の意識だけがシミュレータの中で動いているような錯覚を覚えた。
もちろんそんなことは無い、ということを彼の有機デバイスの方が教えてくれる。

自分はスタンドアローンである。その事実が自分自身に対する論理的な矛盾の解消を可能にしていた。
サナカンにより登録を抹消された時よりも前から、ずっとそれは変わることは無かった。
彼は人間と呼ぶには多くの部分で異なっている。だが、機械と呼ぶには余りにも人間的だった。
それが幸運なのか不運なのかは人によって判断が分かれる部分だろうが、とりあえず霧亥にとっては幸運なのかもしれない。

部屋に戻るとルイズはまだ寝ていた。放っておくのも問題だというのは想像することができる。
それに新しい情報が必要であった。ネットワークが滅んだ環境で活きてくるのは、原始的な方法である。
そういう点で不都合を出さないことが彼の長期間の、それなりに安定している探索を可能としていた。
霧亥はルイズを起こそうとしてみた。

体をゆすってみる。起きない。
声をかけてみる。返事はあるが、起きない。
両方同時に試みてみる。起きた。

「何…誰あんた」
「霧亥」
「使い魔…そっか、昨日召喚したんだっけ…」

もぞもぞと起き上がってくると、欠伸をして、ぶっきらぼうにこう言い放つ。

「服」
無言で近くにある洋服を手渡す。
「下着」
「どこだ」
「そこのクローゼットの一番下に入ってるわ」
確かに昨夜見た下着と同型のものが入っている。霧亥はそれを取り出すと、ルイズに手渡した。
「服」
違うのか、と尋ねると、どうやら着せて欲しいようだった。
「自分では装着できないタイプなのか?」
確かにナノスキンスーツのような形式のものは特殊な設備が必要だった筈だ、などと見当違いの解釈をする霧亥。
「時々変な言い回しを使うわね。そっか…異世界人だったっけ…。もう少し言葉を覚えた方がいいわよ。
 ……私が言いたいのはね?霧亥。着せてくれる人がいるなら、わざわざ自分から着ないということ」

霧亥は頷いた。滅多に無いことだが、大規模な人間の集落で特定の人間に対してそういう事をさせる場合がある。
あまりいい気分では無かったが別に断る理由もないので、さっさと着せておくことにした。

部屋を出ると別の女と鉢合わせした。女性はキュルケと名乗り、何やらルイズとしゃべっている。
霧亥は名前を一言告げると背後の有機生命体に気づいた。どういう原理か、尻尾が燃えている。

「どうやって燃焼させているんだ?」
「知らないわよ、そんなの」

その後、キュルケと名乗る少女が食堂へ向かい、自分たちも続くことになった。
食堂は広大なもので、これほどの人数を収容するほどの集落を、霧亥はあまり見たことが無かった。
設備が残っていても肝心の人間が死滅しているケースは何度かあったが、両立しているのは稀だ。

「貴方の食事はそれよ」指差す先にあるのはスープとパン。
「少ないな」
「貰えるだけありがたく思いなさい」
「そこにあるのは食べられないのか」

霧亥は人間の食物や珪素生物のグリス、他には電力等のエネルギーを動力とすることができる。
効率では断然後者だが前者でも最低限の活動は可能であり、制御可能な範囲ではあるが食欲というのもある。
エネルギーが無いのに動ける訳は無いのだから、それを求めるのは当然の事だった。
最も、その「動ける」時間は人間よりも遥かに長いのだが。

食事が終わると彼女たちは再び移動を開始した。聞けば授業だと言う。
『学校は戦場だ』

「…?」

霧亥は何故かそんなフレーズを意識していた。

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