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カラッポの使い魔 第二話

カラッポの使い魔 第二話

コルベールは目を見開いた
目の前に立っているのはオークの様な亜人では無い
目の前にいるのは自分と変わらない人間
それなのに震えが止まらない

「大丈夫ですか?」
目の前の男が聞いてくる
コルベールはそれに答えず、気力を振り絞って杖を構える

「!」

男が半身を後ろに下げ軽く拳を握る、彼独特の戦闘態勢

空気が張りつめる

「最初に聞きます。何で貴方は俺に敵意を向けるんですか?」
彼からしてみれば、使い魔の召喚に応えてこの場に来たに過ぎない
だから、この場にいる人間においてもっとも高い可能性を提示する
「それとも、貴方が俺の召喚者ですか?」

「だとしたら・・・・・・どうするのかね?」
コルベールは考える
この男が自分よりも遥かに強いことを、それを踏まえて横で気絶している自分の生徒を守る方法を
男は召喚者かと聞いてきた、ならば自分が使い魔として呼ばれた事を理解しているかもしれない
だが、彼がすんなりと使い魔になることを受け入れるとは思えなかった

しかし、彼の思いは裏切られる事となる


「有り難うございました!!」
「は?」


コルベールには何故、礼を言われるのかが分からなかった
「どういうことだね?」
気が付けばそんな言葉が口をついて出ていた




「なるほど、話は分かった。」
男から、話を聞き終えたコルベールは深くため息を付いた
彼がここでは無い何処か、彼はボルテクス界と言っていたが
そこで彼は閉じこめられていたのだと言う
言うなれば牢獄のような物だ、其処から救い出してくれた形になれば礼の一つも来るだろう
だが、彼が牙を剥かないと言う保証は何処にもない
いまだコルベールの右腕は杖を掲げている
「それで・・・だ、君は使い魔になる気があるのかね。」
コルベールは賭けに出た

返答は軽かった
「あ、かまいませんよ。」

男は元よりそのつもりであったのだ
あの何もない牢獄から出してくれたのだ、使い魔にでも何にでもなってやると決めていた
仲魔ではないが問題はないだろう
あの牢獄に居ることの方が苦痛だったのだから
「それで、使い魔って何をするんですか?」




コルベールは自分がなにかとんでもないモノを相手にしていると自覚はあった
だが、同時に彼に対して好意も持ち始めていた
この短い時間で・・・だ
彼は素直なのだ、よく言えば純真、悪く言えばまるで自分が無いかのようにカラッポ
コルベールが長い教師生活で培った人を見る眼は曇っていない
最初に感じた重い圧力もそのままだが、それが余り苦痛だとは感じなくなってしまっていた
それよりも、彼に教師として教えを説きたいと思ってしまうほどに
彼は先程まで上げていた右腕を降ろした



「さて、何処から説明したものでしょうか。
 まぁ、基本からいきましょう。君を呼びだした呪文は『サモン・サーヴァント』といって使い魔を呼び出す呪文です。
 春の使い魔召喚の儀式は『サモン・サーヴァント』で呼び出した使い魔候補と
 『コントラクト・サーヴァント』によって契約することで正式に使い魔と言うことになります。」
「春の使い魔召喚の儀式?」
「春の使い魔召喚の儀式というのは、トリステイン魔法学園の伝統でしてね。
 二年生に進級する際、『使い魔』を召喚し、それによって今後の属性を・・・・」
其処まで言って気が付いた
目をやれば、彼を召喚した少女は今、気を失い倒れている
「済みません、私は彼女を医務室へ連れて行かねばなりません。」
男はその言葉を聞き、申し出た
「俺が連れていきますよ。どうも、俺を召喚したのはこの子みたいですから。」
この言葉にはコルベールが驚いた
「私は何も言っていないはずですが。」
男は笑って
「簡単ですよ、貴方が言ったんです。ここが学園で有ること、使い魔召喚は二年生に進級する時にすること、そして貴方はどう見ても教師

だ。
そうすれば、俺と貴方の他にもう一人居るこの子が俺を召喚したと考えるのが自然だと思いますけど?」
言いながら、男はルイズを背負う
「それで、医務室はどこですか?」
「ああ、こっちだ。」
二人は歩き出す
向かう道の途中でも話を続ける
トリステインという国のこと、魔法学園の概要など大ざっぱではあるが、男はこの世界ハルケギニアの事を理解した
そして、医務室のある建物の前に立った時
「ちょっと、待って欲しい。」
「?」
「非常に言い辛いんだが、彼女が気絶した原因なのだがね。その・・・君が出す『覇気』みたいなモノに当てられたようなのだよ。」
男が困ったような顔をした
「じゃあ、俺はここで待ってます。」
それが本当ならば医務室の医師もまた気絶するかも知れない
コルベールはルイズを連れて医務室に入っていった

入り口の横の壁にもたれかかって男は考え事をする
『覇気』の押さえ方を考える
向こうに居たときにはそんなことは考えなかった、というか、感じなかった
試しに『マガタマ』を『マサカドゥス』から『マロガレ』に変えてみる
これと言って変わった感じがしない
風が吹く
「寒いな・・・」
向こうにいたときには感じなかった
常に太陽が輝いていたためだろうか
自分の体を見てみる
苦笑が漏れる
上半身は裸だ
「服が欲しいな・・・」
ボルテクス界に行く前の自分を思い浮かべる
ゆっくり、体が暖かくなっていく
「あれ?」
気が付けば、上半身にジャケットがあった
おぼっちゃまからの好意です・・・
そんな老婆の声が聞こえた気がした
そして理解する
これは悪魔が取る『人間の姿』だと
この姿で有れば『覇気』は押さえ込めるだろうと
今の自分の姿は昔の悪魔になる前の自分の姿なのだと

「そう言えば、夜も久しぶりだな。」
空を見上げる
暗闇にほのかに光る星
それすらも懐かしく、頬が歪む
そして、見つける
「月が・・・ 二つ?」
ここが異世界だと言うことは理解していた
しかし、月が二つだとは思わなかった
「でも・・・ 綺麗だな。」
ドアの開く音が聞こえた



時をほぼ同じくして、男を遠くから覗く眼が4つ
「なんなのね、あの人間。とりあえず、お姉さまに報告なのね。」
身を翻し飛んでいく竜
「・・・・・・メイジの実力を見るには使い魔を見よ・・・か。」
水晶に映った男を見る老人
彼らが男と出会うのにはもう少し時間を要する
二人に共通するのは、男を脅威と感じること

場所を変えて、男と別れた後コルベールはルイズを医務室まで連れていき治療を受けさせていた
と、言ってもルイズは気絶しているだけだったので、彼女はすぐに目を覚ました
「良かった。気が付きましたかミス・ヴァリエール。」
「ミスタ・コルベール・・・」
焦点の定まっていない瞳でコルベールを判別するルイズ
その声はいつもの声でなく、かすれ、弱々しい
「はっ!ミスタ!私!私の使い魔は!!」
「落ち着きなさい、ミス・ヴァリエール。貴方は『サモン・サーヴァント』を成功させました。」
「そうですか・・・」
自分が『サモン・サーヴァント』を成功させたと聞き、ルイズは安堵のため息を漏らす
だが、同時に理解する
「ミスタ、私は『コントラクト・サーヴァント』を行っていません。」
コルベールが首を縦に振った
「その通りです、ミス・ヴァリエール。貴方は『コントラクト・サーヴァント』を行わなければなりません。」
ルイズが頷いた
「ですが、私は貴方にやり直しをさせても良いと思っています。」
「!!」

ルイズは悟った
春の使い魔召喚の儀式は失敗したのだ、と
『サモン・サーヴァント』すら成功しなかった、そうに違いない
幾らコモン・ルーンとはいえ、あれほどまでに大量に呪文を唱えたのだ、気絶しない方がおかしい
何か呼んだような気がしたのは気のせいだったのだ
そして、気絶したことを良いことに、『サモン・サーヴァント』は成功したが、やり直しを認めると言う特例で・・・
情けか、同情か
確かに自分は『ゼロ』だ
魔法成功率、ゼロ
そんなことは分かっている
ここで、受け入れなければ自分は留年だろう
怒る母親の顔が浮かんだ・・・・やめようかな
そうではない、自分はそう言う情けを掛けられるのが嫌いなのだ
いつか、必ず魔法を使いこなせるようになってみせる
決めた

「ミスタ・コルベール。」
「なんだね。」
「春の使い魔召喚の儀式は神聖な儀式だと聞いています。
 それに参加したメイジは、呼び出した相手と『契約』しなければならないことも。」
「ミス・ヴァリエール、それなんだがね。」
「ミスタ!」
コルベールのやり直し発言は、けっしてルイズに同情したモノではない
男の力と、今のルイズの力が明らかに不均等だからだ
使い魔の強さはメイジのステータスとも言って良い
だが、強すぎる力は、時に狂気を生む事がある
魔法と言う力を追い求める少女にとって、ここであの男のような強い力を与えるのを忌避したからだ
しかし、彼は教師だ
生徒にはっきりと言われ、信じてみようと思った
「わかりました。ミス・ヴァリエール、動けますか?」
「はい。」
「では、ついてきなさい。」

ルイズは困惑していた
自分は『サモン・サーヴァント』に失敗したはずだ
なのに、ミスタ・コルベールはついてこいと言う
もしかしたら、本当に召喚は成功していたのだろうか
かぶりを振ってその考えをうち消す
そうであるなら、『やり直し』何て事にはならないからだ
そうか、このまま学園を放逐になるのだろう
お父様、お母様、ごめんなさい、ルイズは駄目な子でした

建物の出口に二人はついた
「よろしいですか、ミス・ヴァリエール。心を強く持つのです。」
ルイズが訳が分からない顔をするが、頷く

扉を開ける

一人の男の人が空を見上げて立っていた
「ミス・ヴァリエール、彼が貴方の使い魔です。」
男はルイズの方を見て、笑った






始祖ブリミルよ
私、貴方に何かしましたか?
正直、こんな事だとは予想外でした
平民を使い魔として呼んじゃったのですね私
泣いて良いですか?

「ミス・ヴァリエール。彼と『契約』を。」
ミスタ・コルベールが『契約』を促してくる
なるほど、心を強く持てと言ったのはこう言うわけだったの
『やり直し』って言うのも、こう言うわけだったのね
でも、『やり直し』を自分は拒否したわけで・・・・・・

いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

ちょっと、絶望しかけたわ

ミスタ・コルベールを見る
良い笑顔だ

「せめて鷲とか・・・ 犬でも良かったのに・・・」

仕方ない
それに、進級できないと困るし
それに・・・・・・『契約』なんだからノーカウント!ノーカウントなんだから!
よし、 覚 悟 未 完 了

男の人に近寄る
「本当に私が呼び出したの?」
「ああ、そうだよ。」
軽く応えてくる
「使い魔のことは知っているの?」
「其処の先生に聞いた。」
なんで私は時間を延ばそうとしているのかしら
すーはーすーはー
良し
背、高いわね
「しゃがみなさい。」
「?」
目線を合わせるようにしゃがんできた
少なくとも、命令を聞く気はあるようね
じゃあ・・・やるわよ

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 五つの力を司るペンタゴン。
 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」
んっ                   甘い


「終わりました。」
ルイズはコルベールに告げる
「うん。『コントラクト・サーヴァント』は上手くできたようだね。」
そう言って、コルベールは男を見る
男は左腕を押さえ、息を殺して、何かに耐えている
「大丈夫だ、君に『使い魔のルーン』が刻まれているだけだ。すぐに収まる。」
コルベールはその理由を察し、告げる
「・・・・・。」
男が息を吐く
その左手の甲にルーンが刻まれていた
「珍しいルーンですな。」
コルベールが左手を取り、確認し、ルイズに向かい直る
「ミス・ヴァリエール、おめでとう。」
「有り難うございます。」
通算666回の召喚が身を結んだ瞬間だった

その後、男とルイズは部屋に行くこととなった
コルベールは報告があるから、と、急ぎ足で出ていった

部屋につくと、ルイズはベッドに腰掛け、男に向かう
男が部屋に入ってくるのを確認
「で、なんであんたみたいな平民が私の使い魔なのよ!」
不機嫌を露わに言う
「そんなこと言われてもね。・・・・・えっと、ルイズ・・・で、いいんだっけ。」
「ルイズ様、もしくはご主人様よ。
 それと、私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、覚えておきなさい。
 はぁ、もう・・・しかたないわ。諦めるわよ、貴方が私の使い魔って事に。」
「それは良かった。」
男は軽く返してくる
この態度がルイズを不安にさせる
「ちゃんと働けるんでしょうね。」
「使い魔のこと?秘薬の採取は無理だけど、身を守るって事はできると思う・・・たぶん。」
たぶん と付いたのは単純に男が守る戦いをしていなかったからだ
「嘘、貴方、悪いけどそんなに強そうに見えないわよ。他の使い魔どころか烏にも負けそう。」
何で、こんなはずれくじを引いたのかとルイズは頭痛を覚えながらベッドに倒れ込む
そして、重要なことを思い出し、体を起こす
「で、貴方、名前は?」
そこで、男は自分が名乗っていないことを思い出す

「名前・・・か。」

悪魔の名乗り方
『彼女』に教わった名乗り方
『彼女』を思いだし、少し悲しくなる
けれども、すこし、心が温かくなる

世界が冷える





「我は 人修羅 ヒラガ・サイト コンゴトモヨロシク。」


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