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ゼロのミーディアム 第一章 -15


コルベールが王室に通報してフーケを追ってもらうように提案したがオスマン氏が即座に却下する。
「馬鹿者!んな事しとる間にフーケは逃げてしまうわい!
それに、身にかかる火の粉を己で払えぬようで何が貴族か!この問題は我ら学院の手で解決する!」
オスマン氏大激怒。
日頃のエロボケジジイ(失敬)ぶりから想像もつかぬ迫力だ。
そして教師達を見回し声高らかに有志を募った。

「これよりフーケ追撃及び破壊の杖奪還隊を編成する。我をと思う者、杖を掲げよ!」

しかし誰も杖を上げようとしない。困った顔で皆オスマン氏から目をそらす。
相手は国中を騒がす悪名高き盗賊、しかも巨大なゴーレムを作り出す強力な土のメイジと来たものだ。
いかに学院の教師でも躊躇うのは致し方ないか……。
「なんじゃ?おらぬのか!フーケを捕まえ名をあげようとは思わぬのか!
誇り高き魔法学院の教師達がなんたる様か!情けない!」

(同感…ホント、なっさけなぁい)
その様子を水銀燈が後ろから黙って見ていた。再び宝箱の上に座り込み冷ややかに教師達を見回す。
(自称誇り高き貴族とか名乗っといて腰抜けばっかりじゃないのよ。
…つまんなぁい。いっそのこと、ここでメイメイの報告バラして……)
ふと水銀燈の視界の隅で誰かが杖を掲げた。
(あら?ちゃんといるのね。貴族の中にも勇気と使命感に満ちたメイジが)
そうして視線を移した先にいたのは……彼女もよく知る桃色の髪の少女。

「ルイズ…!」
「ほう、ミス・ヴァリエール」
水銀燈が小さくつぶやき、オスマン氏が興味深く言った。
「ルイズ、貴女本気なの?」
「もちろんよ、貴族に二言はないわ」
水銀燈がルイズの隣に並び固い表情を浮かべ聞いた。
教師達すら躊躇するこの任務、それをメイジとしては未熟極まりない彼女が名乗り出るとは……。
ルイズの気性を理解していたつもりだったがまだ認識が甘かったらしい。
水銀燈が眉間を押さえ顔をしかめる、まさかここまで向こう見ずなな性格だとは思いもしなかったのだ。

「ミス・ヴァリエール!やめるんだ!君は生徒じゃないか!」
コルベールの反対にルイズはきっと唇を強く結び言い放つ。
「誰も杖を掲げないじゃないですか!ならばこの私がフーケを捕まえてご覧にいれます!」
その凛々しく真剣な表情を見ていたキュルケ、
(この子もよくやるわ)と深く溜め息をついた。
「流石はヴァリエール…その根拠の無い自信はどこからくるんだか……」
(あんたらしいって言えばらしいけどね)
フッと微笑みキュルケもまた杖を掲げた。

「ミス・ツェルプストー!君まで!」
「ヴァリエールに負けてはいられませんもの!」
コルベールがさらに驚いたが、キュルケは瞳を閉じ口元に笑みを残したまま得意げに答えた。

キュルケが杖を上げた直後にもう一本杖が上がる。キュルケの隣にいたタバサがその長い杖を掲げていた。
「タバサ、これは私のルイズに対する気まぐれよ。あなたがつき合うことないわ」
キュルケがそう言うもタバサが短く答える。
「乗りかかった船」
そして少しだけを彼女も小さく笑った。
「……それに心配」
キュルケが感動した面もちでタバサを見つめルイズも感極まりお礼を言う。
(あと、もふもふ)
水銀燈だけ突然その背中にゾクリと悪寒が走る。彼女はキョロキョロと周りを警戒するが悪寒の理由はわからずじまいだ。

「水銀燈、あんたも来るのよ」
「……」
すぐに答えず彼女は顔をしかめ少し考え事を始めたが、何かを決めたように頷いてルイズに言った。
「……いいでしょう。大元の原因も私みたいな物だし。それを清算する願ってもないチャンスだもの」
黒衣の天使は先程のキュルケやタバサとは正反対の触れれば切れるような凍りついた薄笑いを浮かべて言葉を続ける。
「……それにあのメイジ、散々私をコケにしてくれたしねぇ?」
そして何故か一瞬だけミス・ロングビルに赤みがかった紫紺の瞳を向けた。


「よかろう、君達の決意しかと受け取った。」
「オールド・オスマン!?」
「彼女達は敵を見ている。それにミス・タバサは若くしてシュバリエの称号を得た騎士と聞いているが?」

その『シュバリエ』と言う言葉にルイズ・キュルケはもちろん教師達も驚いて皆タバサに注目したが、
当のタバサは返事もせず水銀燈の翼をじーっと見つめつっ立っている。オスマン氏の話を聞いていたのかも怪しい。
「本当なの?タバサ?」
「……?」
キュルケの質問に対しタバサは無表情で首をかしげるばかり。
「ちゃんと学院長の話ぐらい聞きなさいよ……」
「と言うか私の翼から目を離して!落ち着かないから!」
……どうやら本当に話を聞いてなかったらしい。
オスマン氏はゴホンと一つ咳払いをしキュルケを見つめる。
「さらにミス・ツェルプストーはゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した名家の出身。彼女自身の炎の魔法もなかなかの物と聞く」
キュルケはオスマン氏の言葉に髪をかきあげた。

ルイズは次は自分の番だとばかりに胸をはるが、彼女を前にオスマン氏は「あー」だの「うー」だの唸って困っている様子。
つまり……ルイズの誉めるところをなかなか見つけられなかった。

「ルイズ……」
水銀燈以下キュルケ、タバサまで生暖かい眼差しをルイズに向けた。
「そんな目で私を見ないでぇぇぇぇ!」
これはまずいとオスマン氏は目を逸らしながらもルイズを無理矢理誉め始める。
「その…ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを排出した公爵家の息女で……。
それにあの、えーと、あー、将来有望なメイジと聞くような聞かないような……。」

そしてだらだらと汗をかき始め視線を右往左往させていると銀髪黒翼の人形が目に入り熱っぽい目で見つめた。
「おお!そうじゃ!その使い魔はあのグラモン元帥の(ドラ)息子であるギーシュ・ド・グラモンと決闘して勝ったという話ではないか!」

ルイズが大きくずっこけた。そして下から自分の代わりに誉められた使い魔を膨れっ面で非難がましく見上げている。
「何よ、別に私が悪い訳じゃないのに……」

「……おまけに宝物庫にかかったスクエアメイジの固定化をぶち抜き、分厚い壁を錬金も使わずに消滅させたのも彼女らしいしの」
「うっ!」
少々の嫌みを込めたオスマン氏の言葉に水銀燈が自分の胸を押さえた。

オスマン氏は思う。彼女が本当に伝説の『ガンダールヴ』なら、……そして自分も知らぬ彼女の得体の知れぬ力をもってすれば、
いかに相手が土くれのフーケと言えど遅れは取らないだろうと。


「そうですぞ!なにせ、彼女は伝説のガンダムッ!?」
コルベールの言葉をオスマン氏は慌て口を押さえて塞ぎ小さく彼に耳打ちした。
(ミスタ!ワシ意外に他言は無用と言ったはずじゃぞ!)
(ははあ!申し訳ございません!)
オスマン氏はさも何事もなかったように振る舞い四人の少女に向き直った。
「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する!!」
オスマン氏の威厳ある声にルイズとタバサとキュルケは真顔になり直立する。
「杖にかけて!!」
そして三人同時に唱和してスカートの裾をつまんで恭しく礼をした。

(ほら!あんたも!)
(はいはい……)
水銀燈もルイズにせかされて仕方無しに自分のドレスの裾をつまみ頭を下げた。


「オールド・オスマン。私がフーケの場所まで案内しましょう。同行することをお許し下さい」
ミス・ロングビルが前にででオスマン氏に言った。
「うむ!彼女達の力となってくれ!魔法温存の為に馬車を用意する。それで向かうのじゃ!」
「かしこまりましたわ」

「やっぱり来るのね…」
「それはそうよ。ミス・ロングビルがフーケの場所知ってるんだもの」
「……ああ、そうよね」
呆れたように答えた水銀燈に腹立たしさを感じるルイズだったが、
彼女が自分に背をむけ宝物庫を出ようとするのを見てその後ろ姿に声をかけた。
「どこに行くのよ?」
「デルフを取ってくるわ。またあんなゴーレムが出たら私の剣じゃ心細いもの」
「ゴーレムが出たら剣なんかじゃ無理よ」
「それでも無いよりましよ。それにせっかく買ったんだから使わなきゃ損でしょ?」


「ぶえっきし!」
ルイズの部屋の片隅でボロボロの剣がくしゃみをした。
「あー、ちくしょうめ~誰かが噂でもしてんのかね?それともただの風邪か?」
デルフリンガーがガチャガチャと鍔を鳴らして
何やらブツブツ言っている。
……剣がくしゃみ?剣が風邪?

ルイズの部屋に向かう途中の廊下で水銀燈は見知った顔に会った。

「水銀燈?こんなに朝早くから何かあったんですか?」
「それがね?ちょっと聞きなさいよシエスタ」
ばったり出会ったメイドに彼女は事件の経緯とこれからの任務についてベラベラと話しだした。
…いいのかコレ?学院長の特命なのに。

「まあ!あの土くれのフーケを捕まえに!」
「そうなのよ。まったくルイズと来たら…。まあ事件の原因は私でもあるんだけど……」
「ですけどこれから出発するんじゃ朝ご飯は食べれませんね」
「あ……」
水銀燈は口をポカンと開け固まった。空きっ腹での盗賊討伐など御免被る。

「ねえ…シエスタ、悪いのだけれど……」
「はいはい、すぐにご用意しますからちょっと待ってて下さいね!」
そう言ってニッコリと笑いシエスタは駆け出す。
「厨房で待ってますから~!!」
「頼んだわよ~」
遠くの曲がり角でもう一度こちらを向いて手を振るメイドに黒翼の人形も手を振り返してお願いした。人の夢と書いて『儚い』、月の夜と書いて『腋』。
そして女が三人で『姦しい』とはよく言ったもの、ではそれが五人となったらどうだろう?
答えは馬車を見ての通り。
姦しいのはルイズ・水銀燈・キュルケの三人。
タバサは無言で本を読んでるし、とミス・ロングビルは物静かに馬の手綱を握っている。

つまり…やっぱり普通に姦しかった。

「だ~か~ら~!この子から離れなさいよツェルプストー!」
「何よー!減るもんじゃないし良いじゃない!ね?水銀燈!」
「うざいわ。離れて」
「ああん!ツンツンしてて素敵!ねぇデレてデレて~」
年甲斐も無く痛々しい言動でキュルケは体をくねくねさせて水銀燈に迫る。
彼女はトントンと後ろから肩を叩かれそちらの方を振り向いた。
「ん?なに?タバサ?」

「イタい(主に言動が)」


無表情…いや、鉄面皮の顔のまま言い放たれた親友の痛烈な一言に、キュルケは馬車の隅にうなだれるように体育座りをしてがっくりと落ち込んでしまった。

タバサは口数こそ少ないが、その言葉に込められた意味は実に重いのだ。……爆弾発言とも言うが。


「まったく…やっと静かになったわね。……ん?」
手綱を握っているミス・ロングビルを見やるルイズ。そして少し疑問に感じた事を投げかけた。
「そう言えばミス・ロングビル、何故あなたが御者を?手綱なんて付き人にやらせればいいのに」
ミス・ロングビルはにっこりと笑った。
「いいのです。わたくしは貴族の名を無くした者ですから」
だが、どこか諦めの入った表情に見えるのは気のせいだろうか?
「だけど貴女は、オスマン氏の秘書なのでしょう?」
「ええ、でもオスマン氏は身分の差などあまりこだわらないお方ですから」
「ふぅん、ちゃんと貴族にもそんな人がいるのね」
貴族の中にも身分等にとらわれない者がいると言うことに水銀燈も感嘆する。
「ま、学院長やってるぐらいの人柄だもの」
「ちょっとセクハラが激しいですけどね」


「差し支えなかったら身分を追われた事情をお聞かせ願いたいわ!!」
こう言った話が大好きなのか馬車の隅っこにいたキュルケが復活し御者台に座ったミス・ロングビルににじり寄る。
何という変わり身、何という回復力。
だがミス・ロングビルは微笑みを浮かべたまま口を閉ざしている。あまり口に出したく無いのだろう。
「いいじゃないの。教えてくださいな~」
キュルケのあまりのデリカシーの無さにルイズが眉をひそませそれを注意しようとした矢先、

「やめなさい、キュルケ…!」
水銀燈がいつになく厳しい顔で、冷たくキュルケに言った。
「人には触れてはならない傷みと言うものがあるのよ。例え時間がその傷を癒やそうとも忘れる事は、消える事は決して無いの……!」
彼女はギリッと歯を食いしばり憎しみすら込めた眼差しでキュルケを睨みつける。
「そして古傷を抉ってまでそれを聞き出そうとする等恥ずべき事だわ。
ましてやそれが人生の転機となった話となるなら以ての外よ!!」
反論一つ許さぬ、強い意志を秘めた言葉だった。
弱々しい自分と、それに憐れみを寄せた紅い薔薇の少女との過去、水銀燈はそれを思だしていた。
人生の転機、思えばあの少女との別離が自分の戦いの宿命の始まりだった。


「す、水銀燈どうしたのよ突然?」
「そ…そうよ、ちょっと暇だからお喋りしようとしただけなのに……」
忌々しい過去を思い出し憎しみの炎を燃え上がらせた水銀燈だったが、
驚きに青ざめたルイズとキュルケを見てハッと我に返り落ち着きを取り戻す。
「い、言い過ぎたわね……ともかく他人の過去を詮索するのはあまり好ましい事ではないでしょ?」
二人から顔を背けてごまかすように早口で言い直した。
「確かに、無粋」
手元の本をパタンと閉じてタバサもまた水銀燈の言葉に同意した。
その表情が若干険しい。もしかすると彼女もまた、何かつらい過去があるのかもしれない。


(自分の事を棚に上げてよく言ったものね……)
水銀燈は嘆くようにそう小さく言い捨て自嘲気味に首を振った。馬車が重っくるしい雰囲気に包まれてしまった。
これからフーケを捕まえようと言うのに気が滅入るような陰鬱さが彼女達に渦巻いている。

「……とりあえず腹拵えといかない?」
この状況を打破すべく。水銀燈が膝の上にのせていた箱に手をかけた。
「あ、それ!」
ルイズはそれに見覚えがあった。以前朝食を食べ損ねて空腹に呻いた時、休み時間に水銀燈が持ってきてくれた箱だ。

「シエスタ特製サンドイッチぃ~」
箱の中身には一口サイズの色とりどりのサンドイッチが所狭しとならんでいる。
「まったく……ピクニックに来てるんじゃないのに」
「よだれ出てる」
キュルケが真面目ぶって言うも、タバサのツッコミどおり美味しそうなサンドイッチを前によだれを垂らしているのではいささか説得力に欠けた。
それだけシエスタのサンドイッチが魅力的なのかもしれないが。

「甘いわね、キュルケ。かつて古き戦場においてコウメイと言う名軍師がこんな言葉を残しているの……」
水銀燈のその言葉にルイズ、キュルケ、タバサが首を傾ける。

「……腹が減っては、戦はできぬ!!」

「「おお!!」」
「正論…!」
三人が驚くように声を上げた。
いや、かの諸葛亮孔明も流石にそんな事は言ってないから。


「うーん、やっぱりおいしいわ」
「ま、こう言うのもわるくないわよね」
「……(もぐもぐ)」
朝食を抜いて来たため三人とも一心不乱に食事をとりはじめた。
水銀燈も一つサンドイッチを手にとりミス・ロングビルに差し出す。
「ミス・ロングビルもお一ついかがぁ?」
そして切れ長の瞳をさらに細め、いやに挑戦的な韻を含ませて言った。
「ではお言葉に甘えてわたくしも……」
彼女は渡されたそれを手にとり片手で手綱を持ちながらそれを口に運ぶ。
彼女は水銀燈の攻撃的な物言いを受け流すように終始微笑んだままだった。



「シエスタだったわよね?二度もご馳走になったんだし、一度はお礼にいかなきゃね」
「この任務が終わったら行ってあげるのね、あの子も喜ぶわぁ」深い森の中、一行が開けた場所に出た。学院の中庭程の広さの空き地の真ん中に廃屋が一つ。
元は木こり小屋なのか朽ちた炭焼き窯と壁板が外れた物置が隣に並んでいる。

5人は小屋から見えないように茂みに隠れ小屋を監視していた。
「わたくしの情報ではあの中にいると言う話です」
ミス・ロングビルが小屋を指差す。

「作戦会議」
タバサがそう呟きがちょこんと正座して、地面に絵を書き始めた。
作戦の内容はこうだ。
まず偵察兼囮が小屋の中の様子を確認。

そしてフーケが入ればどうにかして外に出す。無論小屋の中には土がないためゴーレムの生成は不可能。

フーケが外に出たところをゴーレムを作り出す前に魔法の集中砲火で沈める。

単純な作戦ではあるが理にはかなっている。


「偵察兼囮はこの子にやってもらいましょう。……メイメイ」
水銀燈の言葉に呼ばれ彼女の翼から蛍を思わせる紫光が現れる。ルイズが不思議そうにそれを見つめ聞いた。
「これはなんなの?」
「私の人工精霊のメイメイよ。言ってみれば……私の使い魔ね」
「使い魔が使い魔を持つなんて……」
「色々言いたいことあると思うけど今はそれどころじゃないでしょ?」
水銀燈が自分の手のひらにのったメイメイに語りかけた。
「お休み中に悪いわね、もう一仕事頼むわ」
主人の言葉に微塵に不満を感じる事無くメイメイは瞬くと、地面スレスレを飛んで小屋に近づいていった。良くできた従者だ。

「本当に大丈夫なの?」
「あの子は優秀な私の従者よ?戦いのサポートだってこなしてくれるわ。追跡・偵察・囮、何でもござれ…なんてね?」

そして小屋の周りをぐるぐる飛んだメイメイが主人の元に戻り耳元でチカチカと瞬く。
「誰もいないそうよ?」
それを聞き恐る恐るもルイズ達が小屋に近づこうとしたその時、
「ちょっと待って」
水銀燈がそれに待ったをかけた。「何も5人全員で小屋に入ることはないわ。見張りや周りの警戒だって必要よ?」
水銀燈が他4人を見回して続けた。
「捜索に3人、周囲の警戒に1人、見張に1人で分けましょう」
彼女の提案に皆賛同し大きく頷く。

「ではわたくしが周囲の警戒を……」
「警戒はタバサ、貴女にやってもらうわ」
ミス・ロングビルが言うのを制して水銀燈が素早く言った。
「貴女は使い魔の風竜で空から警戒して」
「わかった…」
タバサはそう言って口笛を吹いてシルフィードを呼び出す。

「見張りはキュルケ、貴女に任せたいのだけれど……」
「えー、なんで私がそんな地味な役……」
水銀燈が嫌がるキュルケに目配せしてそれを諭す。
「お願いよキュルケ」
そして片目を閉じてウインクした。その様子に水銀燈が何かを察した彼女は、
「しょうがないわねー。愛しの水銀燈の頼みじゃ断れないわ~」
と言って森の茂みに戻り周囲に注意を向けた。


水銀燈はタバサとキュルケ二人の後ろ姿に警戒と見張りを託し、残りの2人に向き直る。
「さ、行きましょ。ルイズ、ミス・ロングビル」
「よーし!フーケの手がかり、探すわよ~!」
「え、ええ……」
やる気を出して張り切るルイズの横でミス・ロングビルが曇った笑顔で水銀燈に返事をした。小屋の中に入った水銀燈達がフーケの残した手がかりが無いかを探し始めた。
水銀燈が目を付けたのは狭い小屋の片隅にある露骨に怪しいチェスト、木でできた大きな箱の事だ。
「まさかこーんなところに盗まれた破壊の杖があったりしてぇ……」
クスクス笑いながらチェストの蓋を開ける。

「……何よこれ」
チェストの中を見て彼女は我が目を疑った。
それは明らかにこのハルケギニアに、魔法の世界に有るはずもなく、相応しくも無い代物だった。
この世界にも似たものがあるのかとそれを手にとった瞬間、左手の甲のルーンが輝き出しそれが何であるかを水銀燈に告げる。
「やっぱりこれは私の世界の……でも何故?」


「それが破壊の杖です!」
水銀燈の手に持っている物を見てミス・ロングビルが驚きの声を上げる。
「これが破壊の杖!?」
水銀燈もまたそれに驚いた。


「え?もう見つかっちゃったの?なんかあっけないわね…。あ、でもあとフーケを探さなきゃ」
水銀燈はとりあえずこの杖がここにある理由については置いておく事にしたらしい。
ルイズのフーケを探さなきゃと言う言葉に反応し彼女は言った。


「ねえ、どうしてフーケは破壊の杖を置いて姿を消しちゃったのかしらぁ?」
「うーん。……何でだろ?」
ルイズが腕組みをしつつ首を傾げる。
「ルイズ、私は貴女に聞いたのではないの。私はミス・ロングビルに言ったのよ?」
ミス・ロングビルの顔が凍りつきピタリと固まった。

「そんなに私の事邪険にしなくてもいいじゃないの」
「気を悪くしたなら謝るわ。でも別に貴女を除け者にした訳ではないの。……ただ、ね?」

ルイズの拗ねるような抗議をなだめるように水銀燈は彼女に笑いかけた。
不意に小屋の中にバサッと言う何かをはためかせる音が鳴り響く。
水銀燈の日頃は小さい漆黒の翼が大きく広がった。
さらに言葉を続ける。



「他人の推測より本人に直接聞いた方が早いでしょ?違うかしら?ミス・ロングビル。いいえ……」
そして、ミス・ロングビルを紫紺の瞳を細めて見やり、微笑みを狂気の笑みに変えて言い放った。
「『土くれ』の、フーケ……!」






オマケ・NGシーン


「そうですぞ!なにせ、彼女は伝説のガンダムッ!?」
「だぁれがガンダムですって!?くるァァァァァァァァ!!」
「水銀燈!突然何!?」
「ルイズ!可憐な乙女が屈強なガンダム扱いされたのよ!?黙ってられるもんですか!
そこに直りなさい!ジャンクにしてあげるわぁ!!」
「ガンダムって何よ!?!」

「まあまあ、ミス・水銀燈。明鏡止水の心ですぞ?怒りでは真のスーパーモードは引き出せませんから。ねえ?オールド・オスマン」
「認めたくないのう。若さ故の過ちと言うものは……」

「貴方達知っててやってるでしょ!!」
「とにかく落ち着いてよ!!」
「放して下さいルイズ!わたくしは……彼の者達を、自由と正義の名の下に討たねばならないのです!!」

「水銀燈の髪がルイズと同じ色に……。タバサ、なんなのあれ?」
「電波受信……?」


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